〇怪しげな祭祀場
ヤン「・・・・・・」
ヤン「よいしょ」
　　ヤンは
　　カイゼルをかかえた
イン「ヤン、ここにいたので・・・」
イン「!!」
イン「ヤン！ 何をしているのですか！」
ヤン「おぉ、インいい所に！ 手伝ってくれないか」
イン「え？」

〇美しい草原
ヤン「よいしょっと」
カイゼル「・・・・・・」
　　カイゼルの
　　からだが
　　ひかった！
　　じめんから
　　どんどんエネルギーを
　　すいとっていく！
イン「これは・・・！」
ヤン「すばらしい」
イン「直接地面からエネルギーを 吸収なさっているのか？」
ヤン「おそらくな」

〇美しい草原
　　きぎが
　　どんどんかれていく！
　　かいぜるの
　　ほおに
　　あかみがさした！
ヤン「我々は思い違いを していたのかもしれないな」
イン「思い違い、というと？」
ヤン「動物よりも植物の方が 上質なエネルギーを内包しているのだな」
イン「・・・そのようですね」
ヤン「これからは収集の方法を 考えた方が良さそうだ」
レジーナ「キャーッ！」
レジーナ「ちょっと誰よ！ せっかく薬草を摘んでいたのに！」
イン「薬草？」
レジーナ「・・・・・・」

〇研究所の中
赤根武瑠（タケル）「おはようございまーす！」
こいぬ「わん！」
赤根武瑠（タケル）「おぉわんこ！おはよう！ 今日も元気だなぁ」
葉隠拓郎（ハガクレ）「おはよう赤根くん 今日は早いんだね」
赤根武瑠（タケル）「ちょっと気持ちよく起きれたので ハナさんは？」
葉隠拓郎（ハガクレ）「ああ、ハナは・・・」
櫻井華（ハナ）「叔父様、それじゃあ行ってきます」
葉隠拓郎（ハガクレ）「ああ、いってらっしゃい」
赤根武瑠（タケル）「え、ハナさん!?」
櫻井華（ハナ）「あらタケル 今日は早いのね」
赤根武瑠（タケル）「ハナさんがスーツじゃないなんて どうしたの？」
櫻井華（ハナ）「今日は私、休みもらうから」
赤根武瑠（タケル）「え、休み？」
櫻井華（ハナ）「ええ それじゃ」
赤根武瑠（タケル）「待って待って！どこか行くんですか？」
櫻井華（ハナ）「別にどこだっていいでしょ 心配しないでも、 奴らが暴れたらちゃんと戦うわよ」
赤根武瑠（タケル）「わざわざ休み取って行くってことは 遠く行くんだろ？」
赤根武瑠（タケル）「どこ行くか教えてくれたっていいじゃん」
櫻井華（ハナ）「あのねぇ・・・」
葉隠拓郎（ハガクレ）「ハナはね、実家に行ってくるんだよ」
赤根武瑠（タケル）「実家」
櫻井華（ハナ）「叔父様」
葉隠拓郎（ハガクレ）「いいじゃない 隠すようなことでもないだろ」
櫻井華（ハナ）「・・・・・・」
葉隠拓郎（ハガクレ）「ずっとグラウードの動きが活発なせいで帰れてなかったもんね」
葉隠拓郎（ハガクレ）「ちょっと動きが落ち着いている間に 一度帰っておきたいんだよね」
櫻井華（ハナ）「・・・そうね」
赤根武瑠（タケル）「へぇ、実家に」
櫻井華（ハナ）「これで満足でしょ それじゃいってきます」
赤根武瑠（タケル）「待って 俺もついていく」
櫻井華（ハナ）「はぁ!?」
葉隠拓郎（ハガクレ）「兄さんと義姉さんによろしくね」
赤根武瑠（タケル）「はーい！さ、行きましょうハナさん！」
櫻井華（ハナ）「ちょ、ちょっとタケル!?」

〇走る列車
赤根武瑠（タケル）「実家って結構遠くなんですね」
櫻井華（ハナ）「まったく・・・信じられない ついてくるとか」
赤根武瑠（タケル）「いいじゃないですか 興味あったんですよ」
櫻井華（ハナ）「なにに」
赤根武瑠（タケル）「ハナさんのこと」
赤根武瑠（タケル）「スーツか道着姿しか見たことなかったし、いつもサイエンジャーのことばっかり考えてるみたいだったから」
赤根武瑠（タケル）「ハナさんの、普通に女の子の部分とか、個人的なこととかもっと知りたかったんです」
赤根武瑠（タケル）「ハナさんの両親とか、どんな人なのかなーとか」
櫻井華（ハナ）「・・・知ってどうするのよ」
赤根武瑠（タケル）「え、気になりません？ 俺の両親もハナさんに紹介しますよ、 いくらでも」
櫻井華（ハナ）「・・・いらないわよ！」

〇走る列車

〇走る列車
櫻井華（ハナ）「タケルがサイエンジャーになって、 もう半年は経ったわね」
赤根武瑠（タケル）「そういえばそうですねぇ 早いなぁ」
櫻井華（ハナ）「あなた、就活してたんでしょ ご両親にはなんて言ってあるの？」
赤根武瑠（タケル）「え？普通に サイエンジャーになって世界の平和を守ってるって言ったけど」
櫻井華（ハナ）「・・・ご両親の反応は？」
赤根武瑠（タケル）「なんかご当地ヒーローかなんかのスーツアクターやってると思ってるっぽくて、 普通に「頑張りなさい」って言われました」
櫻井華（ハナ）「・・・まぁ、その反応が普通でしょうね」
赤根武瑠（タケル）「酷いですよねぇ、 本当に平和守ってるっていうのに」
櫻井華（ハナ）「こんな仕事、無くなることが理想だけどね」
赤根武瑠（タケル）「え？」
櫻井華（ハナ）「それだけ平和になったらいいなってことよ」
赤根武瑠（タケル）「ああ・・・確かに」
櫻井華（ハナ）「ええ」
赤根武瑠（タケル）「俺達が暇になるように、 今は精一杯頑張りましょうね」
櫻井華（ハナ）「そうね」
赤根武瑠（タケル）「あ、でも暇になって無職になるのは困るな・・・」
櫻井華（ハナ）「ふふっ」

〇田舎の駅
駅員「虹ヶ丘駅ー虹ヶ丘駅ー」
櫻井華（ハナ）「行くわよ」
赤根武瑠（タケル）「ハナさん、意外と田舎出身だったんですね」
櫻井華（ハナ）「はったおすわよ」

〇バスの中
櫻井華（ハナ）「このバスで30分てところかしら」
赤根武瑠（タケル）「結構遠くなんですね」
櫻井華（ハナ）「悪い？」
赤根武瑠（タケル）「ううん、ハナさんと長旅、楽しい」
櫻井華（ハナ）「あんたって、ホント・・・」
赤根武瑠（タケル）「なんですか？」
櫻井華（ハナ）「なんでもないわよ、もう」
赤根武瑠（タケル）「さっきからなんなんですかー」
櫻井華（ハナ）「うるさい、あんたは大人しく座ってなさい！」
赤根武瑠（タケル）「ちぇ」

〇大樹の下

〇バスの中
赤根武瑠（タケル）「あ！見て見て、ハナさん あそこ、大きい木がある」
櫻井華（ハナ）「ああ・・・あれは楠木長老よ」
赤根武瑠（タケル）「なんですかそれ」
櫻井華（ハナ）「私が小さい頃からあそこにあるの 大きくて古い楠木だから、 楠木長老って呼ばれてるのよ」
赤根武瑠（タケル）「へえ・・・なんか、いいですね」
櫻井華（ハナ）「あの木を見ると 戻って来たって気がするの」

〇平屋の一戸建て
櫻井華（ハナ）「ただいま」
赤根武瑠（タケル）「お、お邪魔しまーす」
華の母「まぁまぁ、おかえりなさい華ちゃん！」
華の父「ご苦労さん！」
華の父「・・・ん？誰だ？この方は」
華の父「はっ！ま、まさか・・・」
華の母「あらやだ華ちゃん！まさか？」
華の父「い、いかん！まだ娘はやらんぞ！ 華はワシの可愛い娘だ！」
華の母「だめよお父さん！ そんなこと言って、このまま華ちゃんが婚期逃したらどうするの？」
華の母「もう大人なんだからいい加減子離れなさい！」
華の父「うわぁぁん華ぁ」
赤根武瑠（タケル）「えっと・・・」
櫻井華（ハナ）「ちょっとお父さんもお母さんも違うから！そういうんじゃないの！」
華の父「じゃあなんなんだ！」
赤根武瑠（タケル）「あの、俺・・・僕、華さんの同僚です 今日はちょっと、暇ついでに付いてきちゃいました」
華の母「同僚？じゃあ、あなたもサイエンジャーの？」
華の父「な・・・なんだぁそうか！ じゃあ華とはなんでもないんだね？」
華の父「いやあ良かった良かった！ はっはっはっは！ わしはてっきり・・・はっはっはっは」
華の母「ごめんなさいねぇ、驚いたでしょ？」
赤根武瑠（タケル）「え、ええ・・・」
華の母「ささ、あがってあがって！ お茶淹れるわね」

〇古い畳部屋
櫻井華（ハナ）「・・・ごめんね、驚かせて」
赤根武瑠（タケル）「いいえ 愛されてますね、ハナさん」
櫻井華（ハナ）「うるさいだけよ これで本当に結婚相手連れてきたらどうなっちゃうのかしら」
赤根武瑠（タケル）「俺はもう慣れたから大丈夫ですけどね」
櫻井華（ハナ）「えっ」
赤根武瑠（タケル）「えっ？」
櫻井華（ハナ）「・・・・・・」
赤根武瑠（タケル）「・・・・・・」
「・・・・・・」
華の母「さーお茶が入りましたよー！」

〇大樹の下