#20 つながる糸(中編)(脚本)
〇病室(椅子無し)
空野真理「・・・あれ? ここは・・・?」
看護師「空野さん! 気がつきましたか!?」
空野真理「私、発作で倒れて・・・どうやってここに・・・?」
看護師「男性の方から連絡を受けて、自宅まで救急車を出したんです」
空野真理「男性・・・」
看護師「あっ、先生呼んできますね!」
空野真理「・・・・・・」
真理は自分の小指の指輪をじっと見る。
〇見晴らしのいい公園
空野真理「仁さん!」
天野仁「・・・・・・」
空野真理「昔から心臓が弱かったんだけど、発作なんて久々だったから、びっくりしちゃった。やっと退院できたの」
天野仁「もう、大丈夫なのか?」
空野真理「前より元気なくらいだよ!」
天野仁「良かったな」
空野真理「うん。・・・ねぇ、私を助けてくれたのって、仁さんなんでしょ?」
天野仁「・・・・・・」
空野真理「この指輪から伸びた糸が、薄くなったのが、仁さんにも見えたんでしょ?」
天野仁「・・・何のことだか、わからないな」
空野真理「ごまかさないでよ。それを見て、助けてくれたくせに」
天野仁「・・・当たり前のことをした。それだけだよ。もういいだろう」
空野真理「どうして、距離を置こうとするの?」
天野仁「・・・・・・」
空野真理「あなたは、私の気持ちを避けるけど、逃げたことも、怒ったこともない」
空野真理「本当は、あなたも私のことが好きなはず。そんなの、一緒にいたら感じるよ」
天野仁「ぷっ・・・」
空野真理「ど、どうして笑うの!?」
天野仁「い、いや。君があまりにも勝手なことを言うから」
空野真理「あなたに何かがあったら、私だって、すぐにでも駆け付ける。 この糸で結ばれてるんだから!」
天野仁「糸なんて・・・信じていいのか分からないだろ」
空野真理「私は信じる。仁さんも自分の気持ちに、素直になって。私を受け入れて」
天野仁「・・・・・・」
空野真理「もしも、全部私の思い上がりで、勘違いだと言うなら・・・今日を最後に、もうあなたの前には現れない・・・」
天野仁「・・・怖いんだ」
空野真理「えっ?」
天野仁「僕の両親は愛しあった結果、破滅した」
天野仁「もしも僕が誰かを愛したら、両親と同じように、何か良くないことが起こるかもしれない」
空野真理「・・・・・・」
天野仁「・・・だから、誰かを好きになることが怖いんだよ」
空野真理「大丈夫だよ、仁さん。大丈夫」
空野真理「私はあなたといたい。そのためなら、どうなったって構わない。怖がらないで・・・」
〇リサイクルショップ
空野真理「ここって・・・」
天野仁「この店について、話したいことがあるんだ」
〇リサイクルショップの中
空野真理「ここで、この指輪を見つけたんだよね」
天野仁「指輪が君を見つけた・・・ともいえるかもしれない」
天野仁「この店にある、不思議な力を持つ道具は、それを必要とする人と引き合うんだ」
空野真理「じゃあ、私が指輪を買った時も、私に必要なものだと分かってたの?」
天野仁「ああ。まさか、僕も巻き込まれるとは思わなかったけどね」
空野真理「嫌な言い方するね。ふふ」
〇地下室
空野真理「すごい、こんなところに部屋が・・・」
天野仁「ここに人を入れるのは、初めてだ」
天野仁「この中、覗いてみて」
空野真理「なにこれ・・・すごい・・・」
箱の中は、闇に光が散りばめられ、宇宙のような空間が広がっている。
天野仁「不思議な道具は、この中に突然現れる。その道具を売るのは、うちに代々伝わる家業なんだよ」
空野真理「じゃあ、ご両親も道具を売ってたの?」
天野仁「ああ。道具を無闇に使ったせいで、両親は死んだ」
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