お父さんな、TapNovelで食っていこうと思う

杉本太祐

【3.父が息子のハートを傷つけた】(脚本)

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〇おしゃれなリビングダイニング
マドカ「キツい・・・吐きそう」
ミキヤ「夕方にやっと起きたと思ったら、それが第一声とは」
ミキヤ「ミキヤ悲しい」
マドカ「起き抜けに父さんの相手するのも、キツ・・・」
ミキヤ「若いうちから規則正しい生活しないと、父さんみたいになれないぞ!」
マドカ「だったら規則正しく生活したくない」
ミキヤ「どういう意味?」
マドカ「大事なことだけ伝わらないし」
マドカ「いや、でも昨日の夜更かしは仕方ないんだって」
マドカ「コンテストの〆切ギリギリまで、自分の作品いじってたから」
ミキヤ「おお、あれか。 父さん朝起きて、すぐに読んだぞ」
ミキヤ「午前4時にリアクションと、コメント残したのが私だ」
マドカ「無いよりは嬉しいけど、身内からの反応かー」
ミキヤ「いや、互いを高め合うライバルだろう?」
マドカ「身内がライバルなのもなぁ」
ミキヤ「なんだマドカ。 今日はいつもより、2割増しでぼやきが強いじゃないか」
マドカ「んー、まぁね」
マドカ「コンテスト作品・・・ちょっと納得いかなくって」
ミキヤ「コンテストって、あの怪人のヤツだろう?」
ミキヤ「世直し怪人の話と、怪人になった男子高校生2人組が馬鹿騒ぎする・・・」
ミキヤ「どちらも、父さんには思いつかない題材だったから。興味深かったが」
マドカ「それは素直にありがとう」
マドカ「自分の作品自体に不満があるんじゃなくてさ」
マドカ「コンテスト的にどうなの?って感じで」
ミキヤ「面白かったのに?」
マドカ「もちろん、自信があるから世に送り出したけどさ」
マドカ「なんか、「怪人差別問題系」と「怪人だけど楽しく生きてます系」というのか──」
マドカ「どっちも他のコンテスト応募作品と・・・ネタ被ってる気がして」
ミキヤ「父さんはよく分からないジャンルだが、」
ミキヤ「お前は昔からヒーロー特撮好きだったからな」
ミキヤ「いつも以上に、肩に力が入ってたんだろうね」
マドカ「そうだね。それは否定できない」
マドカ「ただ、そのせいで余計に「これまで観た特撮作品」の焼き増しか、」
マドカ「「怪人かくあるべし!」みたいなスタンダードへの逆張りしてるだけって感じになっちゃって」
マドカ「そして、同じようなこと考えている人が沢山いるってことで・・・」
マドカ「結局、応募〆切ギリギリまで微調整繰り返してたんだ」
ミキヤ「マドカにとって、随分思い入れの強いコンテストだったことはわかった」
ミキヤ「ただ、さっき言っていたネタ被りに関しては」
ミキヤ「ちょっと共感しかねるな!」
マドカ「でも、少しは気にならない?」
ミキヤ「気になる!」
マドカ「矛盾が凄い!」
ミキヤ「ネタが被るのは、確かに気になる」
ミキヤ「でも、父さんの作品はネタだけで勝負してるわけじゃないからな」
ミキヤ「仮にネタが同じに見えても。 登場人物の設定や言動、行動の動機──」
ミキヤ「何より、打ち込むテキストが一言一句違わず被ることなんてない」
ミキヤ「つまり──」
ミキヤ「ネタが被っても、作品が被るなんてことはない!」
ミキヤ「・・・はずだよね?」
マドカ「そこは自信持って言い切ってよ・・・」
ミキヤ「それに、今回は『IP』のコンテストだったのだろう?」
ミキヤ「複数のメディア媒体での展開を、どこまで意識しているか。拡張性のある設定なのかどうか」
ミキヤ「何より。多くのヒーロー作品を輩出してきた東映さんが、なぜ『ヒーロー』ではなく『怪人』をテーマに据えたのか」
ミキヤ「そっちの方が肝なんじゃないか?」
マドカ「やめて・・・」
ミキヤ「他のライターさんの作品ばかり意識していたようだが、コンテスト主催者側の「want」を意識していたのか?」
ミキヤ「ちゃんと・・・東映さんの方を見て、お前は作品を作っていたのか?」
マドカ「マジレスやめて!」
ミキヤ「マジレスってなんだ!」
マドカ「自分で調べて!」
ミキヤ「へい、Siri! マジレスってなに!?」
マドカ「あとで調べて!」
Siri「すみません、うまく聞き取れませんでした」
マドカ「分かってるよ! 大好きな東映さんとのコラボのコンテストだから、」
マドカ「浮かれてましたよ!!!」
マドカ「どうしても、自分が好きだった作品や作風を追っかけちゃってたんだよ!」
マドカ「うぅ、まだ結果出てないけど悔しい」
ミキヤ「・・・」
ミキヤ「うむ。自分の非を認めつつ、」
ミキヤ「まだ「いや、でもなんやかんやオレの作品イイ線行くのでは?」という本音が見え隠れ──」
ミキヤ「見事なり。我が息子よ」
ミキヤ「叶うなら、締め切り前にお前とこうして話したかったね」
マドカ「悔しいけど、同じことを考えてたよ」
マドカ「家の中にライバルがいるっていうのも、悪くないのかもね」
ミキヤ「今更だな。 私は最初から、そう思っているよ」
マドカ「そういえば。 父さんは怪人コンテスト、出さなかったんだね」
ミキヤ「私は今「憎しみと愛」で頭がいっぱいだからね」
マドカ「・・・」
マドカ「ちゃんと、「コンテストテーマ」の「憎しみと愛」って言ってね?」
ミキヤ「良ければ、「憎しみと愛」に関して。 若いお前の意見も聞かせてくれないか?」
マドカ「親子の話題が、それでいいの!?」
ミキヤ「いや、互いに高め合うライバルとしてだよ」
マドカ「いや・・・それ以前に親子でしょ」
ミキヤ「・・・マドカ」
ミキヤ「マジレスやめて?」
マドカ「意味わかってるじゃん!!」

次のエピソード:【4.父がネクストステージへと躍り出た】

コメント

  • 3話目も楽しく読ませて頂きました❣️
    相変わらずの投稿父子‥❤️
    罵り合ってるみたい、でも実は仲が良く、
    家の中に住む良きライバルでもあるんですね
    裏山❤️
    あ〜怪人IPコンテスト出したかったな
    私はこの当時tapnovelの存在を知らなかった
    からな〜😭

  • ミキヤとまどかのやり取りに癒されます✨☺️
    面白いですね!✨☺️
    あと言葉のやりとりがいつも軽快で面白くてセンスがありますね✨😆笑わせていただきました✨
    ありがとうございます✨

  • いやぁ、マジレスからのSiriのくだりで爆笑させていただきました😂

    思い入れが高まると、ついついもっとこうした方が良いんじゃないか?と自分の感情を作品に詰め込んでしまって、文字数という制限と格闘する羽目になって、マドカくんとお父さんのやり取りに共感の嵐でございました。

    次回も楽しみにしております!

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