エターナル・ヘリックス

糸本もとい

第6話「退場」(脚本)

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〇渋谷の雑踏
  12月24日、夜
  人でごった返すクリスマスイブの渋谷スクランブル交差点
萩原泰智「いやはや、有象無象の群れとは、こういうものを言うのでしょうね」
オジマンディアス「民の愉しみを卑しめる気は無い」
萩原泰智「さすがは真の王。失礼致しました」
オジマンディアス「で、余をこのような場所に連れ出した理由はなんだ」
萩原泰智「なに、ちょっとした余興を用意したまで」
オジマンディアス「ん・・・! この霊圧は・・・!」
オジマンディアス「そういうことか・・・」
平将門「このような衆人環視の中で、事を構える気は無い」
オジマンディアス「ならば、なんのために余の前に姿を現した・・・と、問う前に」
オジマンディアス「余には、やらねばならぬ事がある」
平将門「顕現していない憑坐にいきなり攻撃するとは・・・それが王たる者の振る舞いか」
オジマンディアス「余を謀った罪、万死に値する」
平将門「このような場所で、その力を振るうなど言語道断」
オジマンディアス「ならば、どうする」
平将門「この場で退場していただこう」
オジマンディアス「ほう・・・この場で、余と事を構えるか」
オジマンディアス「ぐっ・・・!」
狙撃手「こちらデルタ。初撃、対象に命中を確認。次弾装填完了。送れ」
オジマンディアス「おのれっ・・・! 卑劣な・・・!」
オジマンディアス「ラムセウム・テモノス・・・!」
源為朝「その防御を弾くには、致し方ないな」
源為朝「弓張月!」
オジマンディアス「おのれ・・・! この余がこのような辺地で・・・!」
オジマンディアス「ぐああぁ・・・!」
オジマンディアス「赦さぬ・・・赦さぬ・・・ぞ・・・」
遠野篤志「急ぎ、一帯を封鎖!」
平将門「遠野殿。後のことは・・・」
遠野篤志「はい。お任せください」
平将門「うむ。しかし、誠にこのような形で宜しかったのかな?」
遠野篤志「はい。下策であることは承知しております。しかし、此度は致し方なしかと」
平将門「うむ・・・では、これにて失礼」

〇レストランの個室
  翌日、夕刻。南青山
児玉優美「えっ・・・! 萩原さんと宮成さんが亡くなった・・・?」
遠野篤志「はい。昨晩のことです」
児玉優美「どうしてですか?」
遠野篤志「萩原さんは晴明を顕現させずに、オジマンディアスの手に掛かりました」
児玉優美「そんな・・・」
遠野篤志「宮成さんは、オジマンディアスとして暴走を認められたため、機関が処理を」
児玉優美「・・・これで、終わり、ということですか?」
遠野篤志「そうです・・・と言いたいところなのですが・・・」
児玉優美「え・・・? まだ、なにか?」
遠野篤志「機関の急進派は、此度のオジマンディアス事件をきっかけに」
遠野篤志「日本国内での憑坐に対する実験に傾いています」
児玉優美「実験に傾く・・・?」
遠野篤志「はい。そして、その好奇心の対象として、児玉さんの名が上がっています」
児玉優美「わたし、が・・・? どうしてですか?」
遠野篤志「児玉さんは、数少ない憑坐の中でも、世界にも稀な二つの神格霊を憑霊しています」
児玉優美「でも、それは・・・サンムラマートという実在をベースとした・・・」
児玉優美「セミラミスという偶像的な神格霊が一緒になっているだけで・・・」
遠野篤志「はい。それが実に稀なケースなのです」
遠野篤志「そして、そのレアケースが急進派の好奇心を刺激している」
児玉優美「そんな・・・」
児玉優美「それで、その、急進派というグループは、わたしに、なにをさせる気なんですか?」
遠野篤志「なにもさせません。私が食い止めてみせます」
児玉優美「・・・遠野さんの身に危険は及ばないんですか?」
遠野篤志「正直に申し上げて、分かりません」
児玉優美「そんな・・・」
遠野篤志「急進派が、その尽きない好奇心に、どこまで走るのか・・・」
遠野篤志「今回の事件をきっかけに、どこか、急進派のタガが外れたような印象も受けます」
児玉優美「そんな危険な相手なら、無理はしないでください」
遠野篤志「ありがとうございます」
遠野篤志「しかし、危険な相手だからこそ、児玉さんを差し出す訳にはいきません」
遠野篤志「私は大丈夫です。必ず、児玉さんを守り通してみせます」
児玉優美「どうして、ですか? どうして、そこまでわたしに・・・?」
遠野篤志「これは、私の信念に基づく決断です」
遠野篤志「本当なら、この件に関しても児玉さんにお伝えせずに済ませたかったのですが・・・」
遠野篤志「今回に限っては、それは難しいと判断しました」
遠野篤志「児玉さんは、どうか気になさらず」
遠野篤志「出来うる限り早急に、決着をつけます」
遠野篤志「児玉さんには、普段の生活に戻っていただかなくてはなりませんので」
児玉優美「わたしだけじゃダメです。どうか遠野さんも・・・」
遠野篤志「はい。そのつもりです」

〇居酒屋の座敷席
  同日、夜。渋谷区神宮前
北畠真弘「そうですか・・・萩原さんと宮成さんが・・・」
高倉隼人「優美さんのことは、俺が守ってみせますよ」
遠野篤志「ありがとうございます。お二人には引き続き護衛をお願いしたく・・・」
北畠真弘「承知しました。お任せください」
高倉隼人「優美さん。安心してくださいね」
児玉優美「うん。ありがと」
児玉優美「でも、無理はしないでね」
北畠真弘「安心してください。僕たちは存外、頼りになりますよ」
児玉優美「はい。ありがとうございます」
北畠真弘「遠野さん。急進派には、手駒となる憑坐が萩原さん以外にもいるのですか?」
遠野篤志「考えられるとすれば、岸村さんでしょう」
北畠真弘「晴明の次は、蘆屋道満ですか・・・敵対すると厄介な相手ですね・・・」
遠野篤志「はい。どうにか直接に相対することは避けたいと考えています」

次のエピソード:第7話「思考」

コメント

  • 攻略を……、攻略をさせて……!!
    恐らく、周回してロックをはずさなきゃルートに入れない、遠野さんとオジマンディアスを、そしてジェイコブを……!!

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