御野町0丁目に御案内

萩野 須郷

エピソード1〜ようこそ 御野町0丁目へ〜(脚本)

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萩野 須郷

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〇病院の診察室
  ──私は、ただ変わりたかった。
  美しくなって、自分の人生を変えたかった。
  それなのに──
???「・・・はい、終わりましたよ」
???「おめでとうございます とっても素敵な顔になりました」
「・・・本当? 早く鏡で自分の顔が見たいわ」
???「今はまだ安静にして」
???「一時間後。 見てみてください」
  ──一時間後──
「・・・何よ、この顔・・・」
「こんな・・・こんなことって・・・」
「あら、あの医者はどこに行ったの?」
「・・・もしかして、私・・・」
「あの医者に、騙された・・・?」
「あんなに多くのお金を支払ったのに・・・」
「逃げられた・・・ 嘘でしょ・・・?」
「私の・・・私の顔が・・・ まるで・・・」
アオバレイコ「バケモノみたいじゃないのォォォォォォォオオオオオオ!!」

〇雑踏
  御野町0丁目に御案内

〇ビルの裏
  ──私の名は、アオバレイコ。28歳。
  20代ピチピチの女性で、
  仕事に恋愛に大忙し──
  それは、ただの幻だった。
  仕事では雑用しか任されず、
  上司からはセクハラを受ける日々──
  恋愛なんて全く縁がなかった。
  そんな私の「不幸」は、
  今に始まったことじゃない。
  なぜなら、私は小さい頃からずっと──
  自分の容姿を馬鹿にされて、生きてきたから──

〇教室
  ──学生時代──
小学生「おーいみんなー! 今日もアオバレイコが来たぞー!!」
小学生「やだー こっちに来ないでよ」
小学生「レイコ菌が移っちゃうじゃなーい」
小学生「あははー逃げろー」

〇高い屋上
「・・・あのっ・・・私・・・」
「ずっとあなたのことが好きでした・・・! 付き合ってください・・・!」
タカダヤマト「あー・・・えーっと・・・」
タカダヤマト「アオバレイコちゃん・・・だっけ? 隣のクラスの」
「は、はい、そうです・・・」
「ヤマトくんのこと・・・ ずっと気になってました・・・!!」
タカダヤマト「・・・あの、さ」
タカダヤマト「気持ち悪いからさ ・・・そういうの、やめてくれないかな」
タカダヤマト「大体、その顔で告白するとか嘘でしょ?」
タカダヤマト「告白より先に、整形でもしたら?」
タカダヤマト「あんたと付き合う男なんて、 一人も居ないよ」
タカダヤマト「じゃ、そういうことだから ・・・もう話しかけないでくれる?」

〇おしゃれな居間
  ──社会人になってからも──
「・・・あの、課長 話って、何ですか?」
カチョウ「やあやあすまないね 家まで来てもらっちゃって」
カチョウ「ちょっと、会社では話せないことを 君だけに話したくてね」
カチョウ「アオバレイコくん、 昇進したいとは思わないかい?」
「!! ・・・はい、したいです」
カチョウ「ウンウン、そりゃあそうだよね」
カチョウ「だからさ、僕が君のために 一肌脱ごうと思って」
カチョウ「君の昇進を今度、上層部に 掛け合ってみようと思うんだ」
「課長・・・! 本当ですか!?」
カチョウ「ああ、本当だよ」
カチョウ「君は、僕のお気に入りだから 特別だよ」
「課長・・・ありがとうございます」
カチョウ「・・・その代わり、さ」
カチョウ「君も、一肌脱いでよ」
カチョウ「今ここで、さ」
「・・・え? それって、どういう・・・」
カチョウ「決まってるじゃないか」
カチョウ「男と女の・・・アレだよ」
「・・・!! イヤ、そんなこと言われても・・・!!」
カチョウ「あぁん? テメェ、この僕に逆らうのか?」
カチョウ「仕事もロクにできないテメェに、 チャンスを与えてやろうって言ってるんだぞ?」
カチョウ「テメェみたいな見た目も中身もクズな奴はな」
カチョウ「上にヘコヘコしねぇと 生きられねぇんだよ!!」
カチョウ「だから良いだろォ!! どうせこんなことする相手もいないんだからよォ!!」
「イヤッ、やだ、やめて・・・」

〇ビルの裏
  ・・・許せない・・・
  私を菌扱いしたガキども・・・
  私を振ったあの男・・・
  私の身も心も蝕んだ、あの上司・・・
  そして、何より・・・
  こんな私の悩みを嘲笑うかのように、
  醜い顔に整形しやがった、
  あのヤブ医者・・・!!
アオバレイコ「あいつらに復讐したい・・・」
アオバレイコ「でも、そんなことしたら 私もまともな人生送れないわ・・・」
アオバレイコ「整形 復讐 で検索っと・・・」
アオバレイコ「・・・ん? 何か変なのがヒットしたわ・・・」
アオバレイコ「御野町0丁目の形成外科・・・?」
アオバレイコ「都市伝説みたいなものかしら・・・」
アオバレイコ「えーとなになに、 『この形成外科は御野町0丁目にあると噂されている』」
  そもそも御野町0丁目なんて
  地図上では存在しないが──
  もしそこに辿り着けたあなたはラッキー!
  そこにある形成外科で施術すれば、
  あなたの人生、180度変わります。
  御野町0丁目。あなたも是非探してみては?
アオバレイコ「・・・ふん、馬鹿馬鹿しい・・・」
アオバレイコ「そんなオカルト話、信じるわけ・・・」
アオバレイコ「・・・あら?」
案内人「・・・・・・」
アオバレイコ「な、何なの、あの生き物・・・」
アオバレイコ「ちょっとあなた、待ちなさいよ!!」

〇村に続くトンネル
案内人「・・・・・・」
アオバレイコ「・・・はあ、はあ・・・」
アオバレイコ「どこなのよ、ここは・・・ん?」
アオバレイコ「あの看板に書いてあるのは・・・」
  御野町0丁目 ハ コチラ
アオバレイコ「嘘でしょ、都市伝説なんかじゃなかった・・・!!」
アオバレイコ「こ、ここにある形成外科で施術すれば・・・」
アオバレイコ「私の人生が180度変わるのね・・・!!」

〇地下の部屋
アオバレイコ「・・・ちょっと! 誰かいる!?」
「・・・やれやれ、 何やら騒がしい客が来ましたね」
ヒラギノカオル「いらっしゃい ・・・おや、初めて見る顔ですね」
アオバレイコ「ここは、御野町0丁目の形成外科よね?」
アオバレイコ「何でも、人生を180度変えるとか」
ヒラギノカオル「・・・まあ、巷ではそう言われていますね」
アオバレイコ「この私を、整形しなさい」
アオバレイコ「美しい顔にして、今すぐにッ!!」
ヒラギノカオル「ははあ、なるほど そういうことですか」
ヒラギノカオル「まあ、私の前に現れる人なんて、 そういう目的の人しか来ませんけどね」
ヒラギノカオル「・・・良いでしょう」
ヒラギノカオル「あなた、中々施術し甲斐がありそうだ ・・・是非やらせていただきましょう」
ヒラギノカオル「代金は後払いで結構です ご満足いただけなければ払わなくても結構」
アオバレイコ「・・・本当に?」
ヒラギノカオル「ええ 私、腕には自信がありますので」
ヒラギノカオル「それでは、早速始めましょうか」
アオバレイコ(嘘・・・ こんなトントン拍子に進むなんて・・・)
アオバレイコ(・・・やった・・・やったわ・・・)
アオバレイコ(これでようやく私に・・・ 幸運が訪れるのね・・・!!)

〇地下の部屋
  ──三時間後──
ヒラギノカオル「・・・ハイ、できましたよ」
「・・・ふ・・・ふ・・・」
アオバレイコ「ふざけんなァッ!!」

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コメント

  • かなり恐ろしそうなホラーと思い、見るのを躊躇っていたのですが……、とても面白くて判断間違いを後悔中ですw どう復讐するのかという仄暗いワクワク感でいっぱいです

  • こんばんは!
    正に愛と憎しみ、恐ろしい復讐劇が始まってしまって、でも続きが強烈に気になりました🙆
    主人公が今までに浴びせかけられた言葉に胸が痛みました😂そして医者はどこへいったのか?謎が散りばめられていてワクワクしています!

    整形という題材もこのコンテストにまさに合っていて本当に凄いと思いました!

  • 整形×復讐という題材、大好物です! 今までの自分ではできなかったことでも、見た目を変えるとできるような気がしてきますね! どんな復讐劇になるのか楽しみです!

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