さいばんしょでひょうけつ(脚本)
〇行政施設の廊下
殿 福「ついに、来てしまったんだな」
あづま「カッコイイ建物だ」
玄担 一茶「負ければ、ハラキリ──」
殿 福「ハリキリすぎ!」
殿 福「あっあづま、また戦闘服着てる! 武器も持ってるだろ、だめだよ」
あづま「ちぇっ」
殿 福「あづまに話し合いで解決する真っ当な世界を見せられると思えばいい機会だな」
〇傍聴席
宇蘭 裂果「あづま様ー! 負けないでー!」
〇法廷
宇蘭 侑吾「許さん」
殿 福「まずい、傍聴席のマナーが悪すぎて怒ってる」
あづま「ハニーたちにいいとこ見せちゃうぞ」
殿 福「その浮わついた気持ちがこんな裁判を起こしたんだぞ」
玄担 一茶「この死合、腕が鳴る」
裁判長「法廷内での帯刀は禁止です、速やかに着替えるか退場しなさい」
殿 福「盲点だった! 今更ながらなんで普通に刀持ってるんだこいつ」
玄担 一茶「すまん、ここまでだ」
殿 福「始まってもないよ!! 切腹するな帰れ! あと法廷外でもダメだから」
あづま「ダーリン、ボクあの裁判長見たことある」
殿 福「そっか、ここまで好き勝手やってれば裁判にかけられることもあるよな」
殿 福「とにかく慰謝料の減額目指してやるだけやろう」
あづま「橙台さーん頑張ろうね〜」
橙台 愛未「いっぱいふんだくるかも」
殿 福「橙台はなんで敵側なんだよ」
橙台 愛未「靴舐めてくれたし、発明品試していいって言われたし、」
橙台 愛未「研究室、レストラン・・・破損した物の中には発明品もあったかもだし」
殿 福「そういや俺以外の住人は橙台の私物壊してた。完全にこっちに責が──いやなんで合同で裁判やってるの?」
橙台 愛未「裁判長がいいって言ったかも」
宇蘭 侑吾「コホン。えー私の妻・宇蘭裂果は被告人・あづまと不貞を働き1ヶ月もの間私の所有する家に住まわせていました」
宇蘭 侑吾「結果、精神的苦痛を受けた妻は仕事を辞め、私の所有する築2年の家が倒壊しました。被告人には1億円を請求します」
あづま「異議あり!」
裁判長「良心に従って真実を述べ何事も隠さず偽りを述べないことを宣誓しなさい」
殿 福「タイミングおかしくない? あっちは誓ってないことになっちゃうぞ」
裁判長「私語は慎むように」
あづま「先生、両親に従います!!」
殿 福「俺の専売特許を奪ってる」
殿 福(にしてもこの裁判長、ちょっと俺たちにだけ当たり強くないか?)
〇雷
あづま「裂果さんが苦痛を受けてたなんてウソだよ! 死にかけだった血圧がボクに惚れて140も上がったんだから!」
殿 福「煩悩が瀕死をジャンプ」
弁護士「別の被害者の証言によると被告人に去られたショックで20時間も山に篭った女性もいる!」
殿 福「穏当な範囲のキャンプ」
あづま「ボクが手取り足取り♡教えたのは、3週間かけて敵を殲滅するサバイバルケンカ術だぞ。そんなのはショックに入らない」
殿 福「本当はダンチのギャング」
宇蘭 侑吾「貴様は近隣住民をまとめて虜にして演習場の山まで行進したと聞く! 街の治安を狂わせた自覚を持て!」
殿 福「暴走か団地のチャンプ」
裁判長「韻のために事実を捻じ曲げてはいませんか」
殿 福「俺はイカれた事実を受けて率直な感想を言ってるですから」
あづま「事実を捻じ曲げてるのはそっちじゃないか?」
〇法廷
あづま「弁護士も、裁判長も、」
あづま「見たことあるぞ、」
あづま「ハニーの旦那さんだなー!」
殿 福「当事者が裁判って──いいの?」
宇蘭 侑吾「そういう”偶然”は想定済みだ、博士お願いします」
橙台 愛未「何を隠そう原告側の弁護人は私かも🧡」
殿 福「コミュ障気味の素人!」
橙台 愛未「えっとぉ、被告人は、計13人の、女性と、関係お餅、いつも武器を所持し、ていた、ので、示談に応じない場合、刑事事件として、」
殿 福「たどたどしッ! 明らかに初めて見た文章を読み上げてる」
殿 福「そもそも全員分の要求や示談条件をちゃんと教えてくださいよ」
弁護士「事前通知を確認していないとは、誠意がないですな」
あづま「爆発した家の方に送ってきたんだもん。知らないやい」
殿 福(たしか、玄担が読まずに叩っ斬ったんだよな)
玄担 一茶「勝つ勝負の果し状など切り捨て御免だ」
殿 福(お前は黒ヤギさんか! あと切り捨て御免の正確な意味知らない武士、怖いよ)
宇蘭 侑吾「仕方がないので教えてやろう」
宇蘭 侑吾「我らが妻と接触しないことと、のべ8億を要求する」
あづま「ハイオク?」
宇蘭 侑吾「8億」
殿 福「怒りの燃料満タンすぎるだろ・・・」
ナンシー「しゅたっ 弁護人参上デース!」
殿 福「あああ〜8億取られることが現実味を帯びてきた・・・」
ナンシー「なんデス人の顔を見て厄介者みたいに」
橙台 愛未「厄介者かも」
橙台 愛未「これはスパイ七つ道具の残骸かも」
殿 福「オイ危険物持ち込み!」
裁判長「証拠品として認めました」
ナンシー「oh愛未からのプレゼントだったもの」
橙台 愛未「このプレゼントを使ってあろうことか私の研究室に潜入し、発明品をことごとく破砕したかも!」
殿 福「なるほど、一番手近でセキュリティの万全な場所で試したけど、ナンシーだから全部壊しちゃったのか・・・」
弁護士「危険物が連鎖反応を起こし三日三晩火柱が天を焼き続けたというあの伝説の──」
橙台 愛未「メゾン伏魔殿の住人が危害を及ぼすことは明らかかも!」
殿 福「そんな大事件を知らない自分にも驚くけど、橙台の自分もろとも地獄に落とそうとする執念もすごいな」
宇蘭 侑吾「私の家が倒壊したのも、あづまのせいに違いない!! 銃や爆弾を所持していたはず!!」
あづま「壊したりしないよ〜撃ちまくりはしたけど」
殿 福(擁護したいけど、ドア爆破された記憶がチラつく──)
宇蘭 侑吾「実際に家が壊れているんだ。動かぬ証拠!」
ナンシー「異議あり〜! そもそも家は動きまセン!」
殿 福「チームメイト両方外国育ちだからな、俺がしっかりしないと」
橙台 愛未「つい先日私のレストランと研究所が壊れたのも全部あなたたちのせい!」
あづま「あれ? 火の出元って橙台さんの被せてきたカツラじゃなかったっけ」
殿 福「間接的な原因は大発火アイテムだし橙台だって化学反応を楽しみにしてたよな」
裁判長「メゾン伏魔殿の住人全員が被告なので橙台博士に原因があっても議論に影響しません」
殿 福「原告の1人が判定するんだもん、詰んでる・・・」
宇蘭 侑吾「くっくっくシンガリくん、もうツッコむ気力もないようだな。法は銃より強し!」
宇蘭 侑吾「──示談に応じるなら、額は半分でもいいぞ」
ナンシー「4億もまけてくれるなんて太っ腹デース!」
あづま「モテすぎて4億・・・」
あづま「悪い気はしないな」
裁判長「他になければ、判決に移りますが?」
殿 福「異議、異議──出てこない。悔しいよ、久しぶりに真っ当な世界にいられると思ったのに」
あづま「ダーリン・・・」
殿 福「ちゃんとした証拠──映像とかがあればよかったのに」
ナンシー「あっ。ありマス」
〇明るいリビング
宇蘭 裂果「この低血圧は死に至らず・・・」
あづま「雨宿りさせてください」
宇蘭 裂果「ここ2階──」
〇明るいリビング
宇蘭 裂果「美少女で、症状快復!!」
あづま「もしかして、お嫁さん!?」
宇蘭 裂果「いかにも私は病身の妻を放って単身赴任の夫の妻」
〇法廷
宇蘭 侑吾「私が薄情みたいになってる!!」
宇蘭 裂果「間違いないでしょう! サバイバルケンカ術でぶっ倒す!」
宇蘭 侑吾「だからといって不倫をしていいだろうかいやよくない」
あづま「みにくい!」
宇蘭 裂果「あづま様が、私をみにくいですって──!?」
殿 福(なぜナンシーが録画してたのか気になって集中できなかった・・・あの羽根はなに)
ナンシー「そしてあづまが出て行った時の映像でとどめデス!」
〇明るいリビング
マイハニーゑ
訳あって離れるけれど、心はいつも繋がっているよ。密会しよ
伏魔町5-8-1メゾン伏魔殿横の家 あづま❤️
あづま「日本語しっかり書けてるボクえらいな」
あづま「皆、夫の非道にも負けずいい戦士に育った。さようなら・・・」
ナンシー「せつないデースこれはナンシーがひとはだ──」
〇法廷
あづま「ホッ。やっぱり家なんて壊してなかったのか」
殿 福「自分でも曖昧なのかよ」
宇蘭 侑吾「途中で不自然に途切れた! 私の家が倒壊した理由がこの続きにあるんじゃないのか!?」
ナンシー「ぎくっ。残念デスが証拠はもうありまセーンよ?」
橙台 愛未「かれを使えば編集された映像から元の映像を復元して再生できるかも。かわりに──」
宇蘭 侑吾「よこせッ再生だッ!! 真実は爆弾より強し!!」
殿 福「待っ──橙台の発明品は危な」
〇明るいリビング
ナンシー「一肌脱いでやりマス!」
ナンシー「日本の美しい花火で想いを打ち上げマス!」
〇法廷
殿 福「アウトォーーーー!!」
宇蘭 侑吾「普通に爆破して隠蔽してるじゃないか・・・色々と工作しなくても勝てたのか」
橙台 愛未「じゃ、このへんで失礼するかも」
殿 福「待てアイテムのデメリットを教えろ」
橙台 愛未「いやかも」
ナンシー「友達にいじわるよくないデスよ?」
橙台 愛未「友達のプレゼントで友達の財産を破壊し尽くしたやつにだけは言われたくないかも」
あづま「この感じ──備えろハニーたち!」
あづまの女たち「ラジャーあづま様ー!!」
〇荒地
橙台 愛未「映像を再現できる代わりに現場の衝撃まで再生するアイテム、初使用にしては上手く行ったかも」
殿 福「その謎の技術力を平和利用してくれ」
あづま「ボクの指揮する伏魔町人妻スクワッドの活躍で死亡事故は避けられた」
宇蘭 侑吾「法を司る神聖な場所が・・・」
宇蘭 裂果「命が助かったことに感謝しなさい」
宇蘭 侑吾「伏魔町人妻スクワッドに感謝──くっ、もうあづまに会うのは禁止だ!」
宇蘭 裂果「私の特効薬が・・・」
殿 福「全員面の皮が厚すぎて腑に落ちない あづま、もうハニーたちと関わるのはやめようぜ」
あづま「闘争に巻き込んでまで愛を育むべきじゃなかったかも」
裁判長「今回の裁判は無効、裁判所の弁償は全員で折半になります」
殿 福「結局負債は負うのかよ!!」