ケダモノキングス

輝井永澄

エピソード1 Aパート(脚本)

ケダモノキングス

輝井永澄

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〇渋谷のスクランブル交差点
  ――古来からこの国には
  闇に潜む人ならざる者たちってのがいる
  人より強大な力と異形の姿を持ち、
  歴史の影で秩序に抗ってきた者たち──
  悪魔、鬼、妖魔、土蜘蛛、夜刀神――
  いろんな呼び方があるけど、
  最近はこう呼ぶのがイケてるらしいよ
  ――”獣《ビースト》”

〇ナイトクラブ
観衆「ワアアアアーッ!!」
DJ「Everybody in the House! みんな、盛り上がってるかぁーッ!?」
観衆「イェーーーッ!!」
DJ「OK! 今夜の”ヴァイパーズ・ナイト”も最高だ!」
DJ「みんな、まだまだ盛り上がれるよなァ!?」
観衆「ウオォォォーッ!」
DJ「それじゃいよいよ 今夜のメインイベントだ!」
DJ「Hers Comes・・・ 俺たちの”キング”ゥゥゥーッ!!」
観衆「ナイン! ナイン! ナイン!」
ナイン「フフフ・・・いい空気だね」
ナイン「血を見なけりゃ 収まりそうにない熱気だ・・・」
DJ「そして・・・今夜の”生贄”はこの男!」
DJ「俺ら”ヴァイパーズ”への上納金を 横領してたって勇気ある男だ!」
観衆「Booooo!!」
ラック「くっ・・・」
ナイン「フフフ・・・ 大した人気だな、ラック?」
ラック「な、ナイン・・・”キング”よォ・・・ これは誤解なんだ・・・」
ラック「妹が病気でよォ・・・ どうしても金が必要で・・・」
ナイン「ああ、いいんだそのことは」
ラック「・・・」
ナイン「バレずに上納金をパクってたのは 大したもんだよ」
ナイン「でも、まァ・・・バレちまったらからな? ルールはルールだ」
観衆「殺せ! 殺せ! 殺せ!」
ラック「・・・くっ・・・!」
ナイン「・・・なあラック 俺は強いヤツが好きだ」
ナイン「だからお前にチャンスをやるぜ・・・」
ナイン「お前の“獣性”をよォ・・・ 見せてみろよ」
ナイン「さあラック! この俺に勝ってみろ!」
ナイン「そしたら今回の件は忘れて お前を幹部にしてやるぜ」
ラック「・・・く、くそっ!」
ナイン「さぁ、来いよラック 抗ってみせろ!」
ラック「う、うあああああ!?」
ラック「ぐ、は・・・ッ!?」
ナイン「フフフ・・・ その勇気に免じて、命は助けてやらァ」
ナイン「放りだせ」
観衆「ナイン! ナイン! ナイン!」
ナイン「“恐怖”と”畏怖”がこの街のルールだ・・・ フフフ・・・」

〇入り組んだ路地裏
ラック「ぐえっ!」
黒服「“キング”に感謝するんだな・・・ 殺されなかっただけよ」
黒服「・・・ま、ストリートでは死んだも同然か もう誰もお前を恐れねェ」
ラック「くそ・・・ッ!」
黒服「さっさと消えな」
ラック「・・・」
ラック「“キング”・・・ このままじゃ済まさねェぞ・・・」
???「ククク・・・ お困りのようだねェ?」
ラック「な・・・誰だ!?」
パイドパイパー「ウゥ~ン いいねぇ、実にいい・・・」
パイドパイパー「あなたのその、執念深い目・・・ 実にいい”獣性”を湛えているねェ」
ラック「な、なんだ・・・!?」
パイドパイパー「君にプレゼントだ “力”が欲しくはないかネ?」
ラック「なに・・・?」
パイドパイパー「さあ、受取りたまえ 「エデンの種子」を・・・」
ラック「う・・・うわァァァ!?」

〇ファストフード店

〇ファストフード店の席
マカミ「めっちゃ勉強してよォ・・・ 大学を出て、就職をするだろ?」
マカミ「例えばあそこ走ってる 車の会社とかにさぁ」
マカミ「ところが、やる仕事っつったら 小さい事務所で頭下げて 営業してよォ・・・」
マカミ「土日も休まず頑張っても 社長とかにはなれねェんだとさ」
マカミ「上に行くのは最初から上にいるやつだ 生まれとかよ」
マカミ「頭のいいやつとか 仕事ができるやつじゃないんだよな」
シュン「・・・」
シュン「・・・別にいいんじゃない? マカミは頭もよくないんだし」
マカミ「そう、それよ!」
マカミ「だから俺は、ストリートでのし上がんのさ 生まれも頭も関係ねェ!」
マカミ「この俺の腕一本・・・ 男気ひとつで“あっち側”へ行ってやる!」
シュン「・・・で、僕の情報が役に立つってわけだ」
マカミ「へっへっへっ! 持つべきものは友達だよな、シュン!」
シュン「友達ならここの会計払ってくれる?」
マカミ「いや、そこは割り勘にしとこうぜ・・・ 俺とお前は対等だろ?」
シュン「・・・ま、いいけど」
マカミ「で? なんだよ情報ってのは」
シュン「これだよ」
マカミ「・・・なに?」
シュン「”ヴァイパーズ”の情報グループ」
マカミ「おお!」
シュン「で、この写真」
マカミ「・・・写りの悪い写真だな なんだこれ? 玉?」
シュン「“エデンの種”っていうらしい」
シュン「”ヴァイパーズ”のキングが これを探してるんだと」
マカミ「こんなモンを? なんで?」
シュン「わからないけど それは重要じゃない」
シュン「なぜなら 僕はこの在処を知ってるからだ」
マカミ「おお!?」
シュン「東京最大手チームのキングに コネを作るチャンス・・・ってのはどう?」
マカミ「・・・お前、最高だな!」
シュン「そう思うなら、ここの支払いを・・・」
マカミ「そうと決まれば早速いこうぜ!」
シュン「・・・ま、期待はしてないけどね」

〇スナック
ママ「・・・」
マカミ「・・・」
シュン「・・・」
マカミ「おいシュン、本当にここなのか? こんな場末のスナックに!?」
ママ「こんなとはなんだい この街で30年やってる名店だよ」
マカミ「あ、いや・・・」
シュン「マカミ、あれ・・・ 酒の棚のところ」
マカミ「ん?」
マカミ「あ、あんなところに!? ガンダムのフィギュアと並んで!?」
シュン「あのう、ママさん そこのそれなんだけど」
ママ「ああ? ガンダムMk-Ⅲのことかい?」
マカミ「それじゃなくて、その隣!」
ママ「ああ この玉がどうかしたのかい?」
シュン「それ、俺たちに譲ってもらえ・・・」
キャリバー「・・・」
ママ「いらっしゃい」
キャリバー「・・・」
マカミ「なんだ?」
シュン「あいつ・・・ たしか”黒後家連合”の・・・」
キャリバー「あ~~~ まったくめんどくせぇなぁ」
ママ「ちょっと、なにすんだい! 勝手にカウンターに入るんじゃないよ!」
キャリバー「あ~~~その玉をよォ 貰っていくからよォ」
マカミ「お、おい! その玉は俺が先に・・・」
キャリバー「ああ? なんだ、お前?」
マカミ「うるせぇ、それは俺んだ!」
キャリバー「ぅお、っと・・・おいおいおい 玉を返せよなァ」
マカミ「返すかよ! こっちゃ未来がかかってんだよ!」
キャリバー「・・・」
キャリバー「・・・あ~~~もう めんどくせぇなァ」
マカミ「くらえ! 爆裂正拳パンチ!」
マカミ「あだぁッ!? こ、こいつ、硬ェ・・・!」
キャリバー「うちのボスがよぉ~ それを探してんだよぉ」
キャリバー「それを邪魔するってことはよぉ・・・」
キャリバー「命がいらねぇってェェェ ことだよなアァ!?」
マカミ「な、なぁぁッ!?」
シュン「へ、変身した・・・!?」
キャリバー「おらぁぁっ!」
マカミ「ごぁっ・・・ッ!?」
キャリバー「あ~~~めんどくせェなぁ!」
マカミ「ごはぁ!?」
キャリバー「お前が悪いんだぜェ? 虫ケラは虫ケラらしくしてろよォ」
マカミ「ふざ・・・けんな・・・ッ!」
マカミ「俺は・・・虫ケラじゃねぇッ!!」

〇スナック
  弱き者よ・・・
  なぜお前は抗う・・・

〇スナック
マカミ「な、なんだって・・・?」
シュン「玉が・・・泣いている・・・?」
マカミ「こ、これは・・・!?」
キャリバー「な、なに・・・!?」
マカミ「こ、この力は・・・!?」
マカミ「うおおおおぉーッ!」

〇狭い裏通り
シュン「マカミ! おいマカミ!」
マカミ「・・・あれ? ここは・・・」
シュン「お前すごかったぜ! あいつを店から叩き出してさ・・・」
シュン「叩きのめしたあと ここで倒れちまって・・・」
マカミ「あ、ああ・・・?」
シュン「驚いた・・・まさかこの目で “獣《ビースト》”を見るなんて」
マカミ「“獣《ビースト》・・・?」
シュン「知らないのか? ストリートの伝説だよ」
シュン「裏社会を支配する“獣の力”・・・ 歴史の裏で世界を動かしてきたっていう」
シュン「織田信長やケネディの暗殺も そいつらが関わってるとか・・・」
マカミ「“獣の力”・・・ それじゃ、あの玉が・・・?」
シュン「“ヴァイパーズ”も“黒後家連合”も それを探してた・・・ってわけか」
マカミ「・・・」
マカミ「・・・なあシュン ツキがまわって来たかもしれねェな?」
シュン「・・・マカミ?」

〇入り組んだ路地裏
キャリバー「くそ・・・ あの野郎がまさか、力を・・・」
ラック「・・・よう、キャリバー いいザマだなァ?」
キャリバー「・・・あぁん? お前、ヴァイパーズの・・・」
ラック「いいや、今は黒後家連合だ」
キャリバー「・・・なに?」
ラック「それだけじゃねェぜ?」
ラック「ヒャーハッハッハッハァ!!」
キャリバー「な・・・!? “獣の力”・・・!?」
ラック「俺にもツキが回ってきたぜぇぇ~ フハハハハ!」

次のエピソード:エピソード1 Bパート

コメント

  • ストーリーが面白くて、画面がきれいで、これがBチームって、Aチームはどーなんだろうと、今からはまってきます。感謝。

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