エピソード9(脚本)
〇荒廃した国会議事堂の広間
堂内に誰かいる場合、新たな入室者には
死の罠が襲いかかる音楽堂
このため多聞が他殺体で発見された事件は
密室殺人と考えられたのだが・・
音楽堂にはふたりまでなら
一緒に入れるとわかった!
菊梁善意「犯人が、被害者の多聞さんと一緒に入って 殺害後にひとりで出る方法なら」
菊梁善意「音楽堂の密室は成立しないんじゃ ないですか?」
桐山利博「菊梁様、おひとかた お忘れになられていらっしゃいますね」
菊梁善意「あ! 広目さん・・」
天上美月「そう。広目さんの遺体があった理由が 説明できない」
菊梁善意「いや、待ってくださいよ。 多聞さんと広目さんが殺し合ったなら」
高天神吉祥子「そんなこと、思いたくありません!」
菊梁善意「すいません」
天上美月「ピアノに突っ伏した状態で 刺殺されていた多聞さん」
天上美月「そして「墜落死」していた広目さん」
天上美月「可能性としてはありえても 二人の遺体の状況は説明がつかないわ」
菊梁善意(広目さんが、すっげ~高くジャンプして ピアノに突っ伏してた多聞さんに)
菊梁善意(日本刀を投げつけて、そのあと落っこちて 「墜落死」・・・は無理か)
天上美月(ちょっと、笑わせないでよ! マズイでしょ、ここで爆笑したら)
天上美月「真相については、さらに調べる必要が ありそうですね」
高天神吉祥子「よろしくお願いします」
天上美月(なんとか、こらえたけど、危なかった)
次は広目さんについて、お尋ねします
彼はずっと
お屋敷にお住まいだったのですか?
高天神吉祥子「数年前までは都内に住んでおりました」
高天神持国「芸能人のマネごとをしてたのさ。 鳴かず飛ばずだったけどな」
高天神持国「結局、芽が出ないまま金欠になっちまって 実家に舞い戻ったのさ」
天上美月「以後はずっと、こちらに?」
高天神持国「ああ。ずっと、プー太郎だよ」
高天神真知子「広目さんは梨香子さんと 馬が合ったみたいで」
高天神真知子「いつも仲良くしてらっしゃいました」
高天神持国「案外それが犯行の動機かもな。 痴情のもつれで、兄貴と争って」
高天神吉祥子「持国兄さん、憶測で多聞兄さんと広目の ことを悪く言うのはやめてください!」
高天神持国「おっと! ただの可能性の話さ。 カッカするなよ、吉祥子」
〇貴族の応接間
広目さんは昨夜はどうされていましたか?
新発田みずほ「夕食にはいらっしゃいませんでした」
天上美月「あなたは?」
新発田みずほ「申し遅れました」
新発田みずほ「夫とふたりで料理人を務めております 新発田《しばた》みずほ、と申します」
天上美月「よろしくお願いします、みずほさん」
新発田信雄「広目様はいつも午後3時過ぎに 遅い昼食を召し上がられます」
新発田信雄「みずほの夫で、同じく料理人の 新発田信雄です」
天上美月「よろしくです」
新発田みずほ「広目様はそのあといつも 木の上の練習場に向かわれていました」
天上美月「梨香子さんが作ったという サーカスの練習設備ですね?」
新発田信雄「さようでございます。 たぶん昨日も」
桐山利博「夕方以降は、広目様のお姿は 目撃されていないようでございます」
天上美月「わかりました」
続いて美月は、昨夜の行動について
全員から聞き取りを行った
持国は仕事で、都内におり不在
妻の真知子と子どもたち(優子と護国)
は、新館2階の居室で22時前に就寝
ちなみに屋敷は、旧館、本館、新館、別館
の4つの建物から構成されており
音楽堂に近い順に、別館、新館、本館、
旧館という位置関係にあった
繰り返しになるが
吉祥子も昨夜は都内におり
大門も、これを証言した
執事の桐山は23時まで執務ののち
0時に旧館の自室で就寝
深夜1時半過ぎに別館へ
鷹王の様子に見に出向いた
が、鷹王はおらず
そのときに音楽堂の様子が気になり
事件に遭遇したのだという
家政婦長の外浦と、家政婦見習いの堀川は
別館の木島の部屋で、鷹王に付き添い
寝付くのを確認して20時半に本館に戻り、
使用人の食堂で夕飯を摂ったあと
旧館のそれぞれの部屋に戻って
23時までには就寝した
新発田夫妻は16時以降、夕食の支度、
配膳、片付け、仕込みで22時まで勤務
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