ズブズブな関係~それぞれのFOCUS~

Kazunari Sakai

第三話 再契約(脚本)

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〇ネオン街
  浮気、二股、裏切り
  私には無縁の言葉だと思っていた
  だって
  私たちの愛に偽りはないと信じていたから
  でも
  ひとつ歯車が狂うと
  簡単に愛は憎しみに変わり
  女は悪女に変貌する
  ズブズブな関係
  ~それぞれのFOCUS~
  高力恵美 編 3
  ──第三話──
  再契約

〇シックなバー
  シ―クレット店内
間宮由紀「乾杯しましょうか」

〇ネオン街
  私の昇進が決まり
  成功祝いの名目で
  私は間宮さんとシ―クレットで会った

〇シックなバー
間宮由紀「どうでしたか?平野係長」
間宮由紀「いい働きをしてくれたでしょ」
高力恵美「これが間宮さんの筋書きだったのね」
間宮由紀「あなたにも感心したわ」
間宮由紀「平野係長とは男女の関係にならず」
間宮由紀「キスだけで目標を達成するとは・・・」
間宮由紀「思った以上にセンスがあるわよ高力さん」
高力恵美「(ため息)」
間宮由紀「あれ?」
間宮由紀「まさか目標を達成したのに」
間宮由紀「平野係長につまらぬ恋愛感情なんて抱いていないよね」
高力恵美「包容力もあるし素敵な男性だと思いましたけど・・・」
高力恵美「だからこのままお付き合いを重ねたとしても」
高力恵美「何も問題ないと思いますが」
間宮由紀「フフ・・・」
高力恵美「可笑しいですか?」
間宮由紀「・・・高力さん。世の中にはね」
間宮由紀「見た目と中身にギャップがある男なんて」
間宮由紀「ごまんといるわよ」
高力恵美「平野係長がそういう人間だと?」
間宮由紀「その判断はあなたの自由だけど」
間宮由紀「平野係長の賞味期限はもう終わり」
間宮由紀「もう利用価値もないわ」
高力恵美「なぜそう言い切れるのですか?」
間宮由紀「知りたいの?どうしようかなあ・・・」
高力恵美「本当は理由なんてないでしょ」
間宮由紀「高力さん。あなたは係長代理に昇進したけど」
間宮由紀「偶然そのポストが空いていたと思ってる?」
高力恵美「えっ?」
間宮由紀「物事には必ず理由があるの」
間宮由紀「まあ、そのうち分かるわ」
間宮由紀「だから私からの忠告。素直に受け入れるかは高力さん次第だけど」
間宮由紀「彼にはもう関わらないほうがいい」
高力恵美「そんな・・・」
間宮由紀「はい!平野係長の話はここまで」
間宮由紀「本題に入りましょう」
間宮由紀「高力さん。これでお試し期間は終了しますが」
間宮由紀「再契約はどうされますか?」
高力恵美「はい!宜しくお願いします」
間宮由紀「即答でしたね。分かりました」
間宮由紀「最初にお話した契約での約束事は必ず守って下さいね」
間宮由紀「本契約となりますので」
間宮由紀「これからもあなたの出世や職務上での危険回避など」
間宮由紀「必ずお役に立つようレクチャーしていきます」
間宮由紀「それと・・・」
間宮由紀「これからも無償でレクチャーするから」
間宮由紀「高力さんには私が描いたシナリオどおり行動して頂きますけど」
間宮由紀「それでも宜しいですか?」
高力恵美「どんなきついシナリオでも、素直に受け入れて行動しろって事ね」
間宮由紀「はい。それが再契約の条件です」
高力恵美「・・・」
高力恵美「分かったわ!それでOKよ」
間宮由紀「では・・・」
間宮由紀「改めて契約成立の乾杯をしましょう」
高力恵美「乾杯」
間宮由紀「乾杯。いい契約になりますよ」
間宮由紀「間もなく楽しみなイベント発表があるから」
高力恵美「えっ?」

〇ネオン街
  間宮との会話で出たイベントの件は
  後日、時期が来たら知らせするとだけ言われ
  その日は解散となった

〇空

〇高層ビル
  食品卸会社シバトヨ

〇学食
  シバトヨ社内食堂
高力恵美「・・・」
雨宮千夏「・・・」
高力恵美「ねぇ?」
高力恵美「何か怒ってるの?」
雨宮千夏「この前も聞いた事だけど」
雨宮千夏「本当に嘘はついてない?」
高力恵美「それって平野係長と私が親密な関係なのかって話?」
高力恵美「それとも私に誰か指南役がいるかって話?」
雨宮千夏「そのどちらもだけど」
高力恵美「千夏・・・言ったでしょ」
高力恵美「何もないって」
雨宮千夏「分かったわ・・・恵美がそこまで言うなら信じてあげる」
雨宮千夏「だけど」
雨宮千夏「友だちなんだから隠し事は無しだよ」
高力恵美「分かってるわよ」
  千夏に嘘をついているのは心苦しいが
  間宮さんとの約束だから
  絶対に教えられない
  ゴメンね千夏

〇オフィスのフロア
  メ―ル音

〇高層ビル
  平野係長からのお誘いメ―ルは
  頻繁に届くようになったが
  間宮さんからの忠告が気になり
  その都度何かと理由をつけて
  お断りした

〇空
  そして数日後
  間宮さんが忠告した意味を
  知ることになる

〇高層ビル
  数ヶ月前依願退職した
  前係長代理、岡林 美奈子が
  パワハラで訴訟を起こしたのである
  その訴訟相手は会社と・・・
  平野係長
  証拠の録音などを突きつけられた会社と平野係長は
  その後訴訟内容を全て認め
  示談金を支払い和解
  平野係長は
  責任をとって会社を依願退職する事になるのである

〇ネオン街

〇シックなバー
高力恵美「パワハラ訴訟の件・・・事前に知っていたのですね」
高力恵美「それなら教えてくれても良かったのに」
間宮由紀「フフ・・・」
間宮由紀「だって高力さんが平野係長にご執心だったから」
間宮由紀「もしかしたらパワハラ訴訟の話を聞いても、平野係長を擁護する可能性があるかな?って思ってね」
高力恵美「・・・」
間宮由紀「その様子だと、その可能性はないようね」
間宮由紀「でも高力さん、これで分かった?」
間宮由紀「男は信用できない生き物だってこと」
高力恵美「・・・はい」
間宮由紀「訴訟の詳細は知ってる?私も聞いて驚いたけど・・・」
高力恵美「詳しい事までは聞いていないです」
間宮由紀「パワハラ訴訟を起こした岡林美奈子さんだけど」
間宮由紀「平野係長からの精神的な攻撃は毎日続き」
間宮由紀「頻繁に残業の強要や、私的な仕事を押しつける事もあったらしいわ」
間宮由紀「そして仕事が遅れると、ひどい恫喝を繰り返し行い」
間宮由紀「ついに彼女のメンタルは崩壊した」
高力恵美「・・・ひどい話ですね」
高力恵美「そんな人に見えなかったから残念です」
間宮由紀「高力さんにとってはプラス材料と考えましょうよ」
間宮由紀「何も知らずあんなゲス男と付き合っていたら」
間宮由紀「高力さんの価値を下げる要素になったけど」
間宮由紀「それも事前に防ぎ、そしてあなたの前からダメ上司の排除も出来たから」
高力恵美「人を見る目が無くて何か複雑な気持ちになります」
間宮由紀「だから言ったでしょ。この会社の誰も信用してはダメだと」
間宮由紀「でも、何事も経験」
間宮由紀「これからは足元をすくわれないように」
間宮由紀「細心の注意を心がけてね」
高力恵美「はい。勉強になりました」
間宮由紀「さて」
間宮由紀「この前お話したイベントの詳細をお知らせしようかな」
高力恵美「はい」
間宮由紀「シバトヨは100年以上続く老舗の会社だけど」
間宮由紀「これから一年後、創立以来初めて新しい部署を発足する予定よ」
高力恵美「新しい部署ですか?」
間宮由紀「そう、シバトヨの重要案件のみを扱う部署ね」
間宮由紀「そして新しく発足する部署は」
間宮由紀「シバトヨ社員の中から選ばれた優秀な社員のみで構成する予定。だから」
間宮由紀「そこに抜擢されれば、将来が約束されたも同然なの」
間宮由紀「それに年功序列も排除するらしいから、誰でも上に上がるチャンスがある」
間宮由紀「ここまでは全社員に間もなくアナウンスがあるわ」
間宮由紀「どう?夢があるプランでしょ」
高力恵美「はい」
間宮由紀「でもね・・・この新しい部署発足はあくまでもブラフ」
高力恵美「えっ?」
間宮由紀「シバトヨ暗黙の慣習排除が目的なの」
高力恵美「えっ?」

〇ネオン街
  間宮さんから聞いた話の続きはこうだ
  シバトヨは創業者柴田豊治が発足した会社
  それから三代に渡り歴史を重ね
  現在の社長、柴田義文に引き継がれる
  この男、実は創業者一族ではなく
  前社長のひとり娘、柴田澄子の婿養子として現社長に抜擢された
  間宮さんの話だと、ちょうど現社長が就任後シバトヨ暗黙の慣習が始まったという
  そして
  専務の村上修也
  常務の田島典子
  本部長の木下和秀
  部長の清水絵里奈
  これらの重鎮たちは全員現社長の派閥
  シバトヨ暗黙の慣習によってのしあがった奴らだという事

〇シックなバー
間宮由紀「新しい部署に抜擢されようと、また不正や裏切り行為をしてのしあがろうとする奴が出てくるはず」
間宮由紀「今回はそうした者をあぶり出し、排除する事がこのイベントの目的」
間宮由紀「これが依頼主から私に課せられた任務よ」
間宮由紀「シバトヨを正常な会社に戻すためのね」
間宮由紀「だから高力さん」
間宮由紀「このイベントであなたにお願いいたい事は・・・」
高力恵美「その依頼主が誰なのかは詮索しない。そして」
高力恵美「間宮さんが考えるシナリオのお手伝いをすればいいのですね」
間宮由紀「理解が早いね!このイベントでの目的を達成し」
間宮由紀「必ずあなたの出世にも貢献してあげるから」
間宮由紀「協力してね」
高力恵美「分かりました」

〇ネオン街
  真治の裏切り
  謎の女性、間宮さんとの出会い
  平野係長との短いお付き合い、そして
  係長代理への昇進
  真治と過ごした10年
  今ではそれが幻のように思える
  だって今は
  想像も出来ない時間を過ごしているから

〇空
  そして・・・

〇高層ビル
  新たなステージで成功する為
  わたしは悪女になる

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