鎖女の話をするな

鳥谷綾斗🎩🦉(たまに風花ユク❄️)

第9話/ラストバトル(脚本)

鎖女の話をするな

鳥谷綾斗🎩🦉(たまに風花ユク❄️)

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〇階段の踊り場
ユウナ「莉々子、いるの? 鎖女がそこにいるの!?」
莉々子「ユウナは見えてないのっ?」
ユウナ「う、うん。 なんか変な、嫌な気配はするけど、姿までは・・・」
×××「・・・やめろ・・・」
  鎖女がゆっくりと近づいてくる。
ユウナ「莉々子、逃げよう!」
  ユウナがあたしの手を引っ張って走り出す。
ユウナ「もしもし、柏木先輩ですか?」
ユウナ「鎖女が現れました、助けてください!」
莉々子「なんでユウナが柏木先輩の連絡先知ってるの!?」
ユウナ「今それどーでも良くない!? いい加減恋愛脳やめなよ!!」
柏木☎️「莉々子、無事だったのか!?」
ユウナ「通常営業って感じです! 今4階にいます! 助けてください!」
柏木☎️「すまない。こっちでも鎖女が出た!」
ユウナ「はあ!?」
柏木☎️「しかも複数だ、一体ずつ浄化しているが・・・」
莉々子「もしかしてあたしのツイートのせいで・・・?」
柏木☎️「5分後にはそちらに向かう。 それまで持ち堪えてくれ!」
ユウナ「そんな無茶な!!」
  ・・・ジャラッ!
  ジャラッ、ジャラッ!
  振り向かなくても、分かる。
  鎖女がすぐそこまで追いついている。
莉々子((もうダメ、呼吸が苦しい・・・))
ユウナ「・・・!」
莉々子「ユウナ、どうして立ち止まるの!?」
ユウナ「電話かけるの!」
莉々子「誰に──」
ユウナ「もしもし、みっこ先輩ですか! あの、ちょっとお話ししたいことが」
ユウナ「あの・・・」
ユウナ「鎖女っていう怪談、知ってます!?」

〇学校の廊下
莉々子「ユウナ、何言ってんの!?」
莉々子「鎖女の話をするなんて・・・スマホ貸して!」
ユウナ「あっ!」
莉々子「ユウナも鎖女に狙われるようになっちゃうんだよ!?」
ユウナ「だって莉々子を助けたいんだもん!!」
莉々子「!?」
ユウナ「鎖女の狙いを私に変えれば、 柏木先輩が来るまで時間稼ぎができる・・・!!」
莉々子「なんで・・・なんでそこまでするのよ!?」
ユウナ「だって莉々子はあたしの友達で恩人だもん!」
莉々子「恩人、って・・・」
ユウナ「莉々子は・・・ 私の夢をいつも応援してくれたじゃない」
ユウナ「他の人は笑うけど、 莉々子だけは『ユウナならできるよ』って言ってくれたじゃん・・・」
ユウナ「私ね、莉々子の応援に」
ユウナ「本当に救われていたんだよ・・・!!」
莉々子「そんなの・・・」
莉々子「違う」
莉々子「あたし、本当は心の中で否定してた そんなの叶うわけないって」
莉々子「ひどいやつなんだよ、あたし・・・!!」
ユウナ「・・・」
ユウナ「それでも・・・」
ユウナ「実際の言葉では、応援してくれたでしょ?」
莉々子「へ・・・?」
ユウナ「心の中ではどう思っていても、莉々子は『がんばれ』って言葉を選んでくれた」
ユウナ「それってさ、莉々子の・・・ 莉々子だけの優しさじゃん」
ユウナ「莉々子はさ 自分じゃ気づいてない素敵なところ、ちゃんとあるよ」
ユウナ「私が保証する!」
ユウナ「だから・・・」
ユウナ「自分には何もないって言って、 ヤケになるのやめてよ・・・!!」
莉々子「・・・ッ!!」
  ・・・あたし、
  大馬鹿者だ。
  鎖女が、真後ろにいた。
×××「・・・ハァ──・・・」
  鎖が巻きついた腕が、ゆっくりと、
  ユウナの方に向かう──
×××「来ないで、鎖女!!」
莉々子「狙うのはあたしだけにして!! ユウナは見逃して!!」
ユウナ「莉々子・・・」
???「──よく言った、莉々子」

〇学校の廊下
柏木「浄化の水を食らえ!」
莉々子「先輩!」
  鎖女が霧となって消える──けれど
ユウナ「せせ先輩! あっちにも鎖女が!」
  鎖女は、もう一体じゃなかった。
×××「・・・ハァ──」
×××「ハァ────」
×××「ハァ────・・・!!」
  うそ、でしょ?
莉々子((こんなの・・・無理すぎる!!))
柏木「莉々子、消せ!」
莉々子「えっ、な、何を?」
柏木「SNSのアカウントだ。 莉々子の投稿が多くの目に晒されている」
柏木「おそらくそれが増殖の原因だ!」
莉々子「で、でも・・・でも──」
ユウナ「莉々子!」
  ユウナが手をつよくつよく握ってきた。
莉々子「分かった!」
  【SNSを退会しますか?
   すべての投稿が削除されます】
  警告文を最後まで読まず、
  あたしは『はい』を押した──
  【アカウントを削除しました】
柏木「──あとは任せろ」
柏木「今度こそ」
柏木「眠れるといいな、鎖女──」
莉々子((先輩の目・・・))
莉々子((すごく悲しそうで、・・・優しい))

〇学校の廊下
柏木「ひとまず、これでひと段落ついたな」
柏木「二人とも、怪我はないか?」
莉々子「は、はい。 あの・・・先輩」
莉々子「本当にすみませんでした、あたし・・・」
柏木「・・・」
柏木「もう二度と、鎖女の話はしない」
柏木「今度こそ、誓えるか?」
莉々子「・・・!!」
莉々子「はい・・・!!」
柏木「そうか」
柏木「なら、もういい」
莉々子「先輩・・・」
莉々子「ありがとうございます・・・!!」
  優しい。
  あたしの周りの人たちは、みんな優しい。
莉々子「ごめんなさい・・・」
莉々子((涙が止まらないよ・・・))
柏木「ほら、これで拭け」
柏木「落ち着いたら、聞いてほしい話がある。 鎖女の正体についてだ」
莉々子「正体?」
柏木「ああ。 立ち話もなんだし、 どこか座れるところに行こう」
ユウナ「まだ購買が開いてます!」
ユウナ「莉々子にジュースおごってもらいましょ! メーワク料ってことで!」
莉々子「え!?」
柏木「はは、そいつは良い」
莉々子((先輩まで・・・))
莉々子「はい、承知しました!」
  先輩とユウナが歩き出す。
  あたしは、鎖女がいた場所を振り返った。
莉々子((ごめんなさい、鎖女・・・さん))
莉々子((何度も何度も、アナタは話をするなと言っていたのに))
莉々子((あたしは自分のことばっかりで、  聞き入れなかった))
莉々子((本当にごめんなさい))
莉々子((もう二度と))
莉々子((アナタの話はしないよ、鎖女さん──))
  あたしは、ふたりの恩人の後を追って、駆け出した。
  ──鎖女の話をするな 了──

〇学校の廊下

〇赤(ダーク)
  あなたは、
  ホラー作品に、
  どんな結末を求めますか?
  もしも、ハッピーエンドがお望みなら、
  ここでお別れしましょう。
  ですが、
  もし、
  おぞましい結末をお望みなら──

〇学校の廊下
ユウナ「・・・あれっ?」
ユウナ「あのぅ、柏木先輩・・・」
柏木「どうした?」
ユウナ「莉々子は?」

次のエピソード:第10話/鎖女の話をするな

コメント

  • 周囲の優しさに気付いた莉々子ちゃん、鎖女との対峙を通じて人間として成長し、ハッピーエンド、、、、とはいかないのでしょうかね?物語が綺麗に着地したと思いきや、気になる展開ですね!

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