MONSTER~王の進軍~

都民スペイシー

読切(脚本)

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〇渋谷駅前
  2145年、世界は”超人社会”となっていた
  22世紀に入り、猫型ロボットも漂流された小学生たちも現れなかったが、『超人』が生まれた

〇渋谷の雑踏
  『超人』とは人ならざる者ではない
  『超人』とは人の限界を超えた能力を持つ者をいう
  『超人』には100mを2秒で走る者、スパコンを要する計算を通学中に行う者、催眠術を完成させたと言われる者などがいる。

〇渋谷のスクランブル交差点
  しかし
  なぜそのような人間が生まれたのか
  成長をつづけた結果、限界をむかえてしまった人間達がそれを超えたいと願った”神の奇跡”か
  それとも
  私たちの秘められていた”力”か

〇教室
  窓の外を見ている悠乃
先生「鳥羽!」
鳥羽 悠乃「遅いですよ、先生」
先生「お前が早いんだよ!」
先生「ホント真面目だなー。その性格が知ららればモテモテなのに」
鳥羽 悠乃「そんなこともないと思いますよ。よく家族からは冷たいって言われるし」
先生「兄妹なんてそんなもんよ!」
  先生がとなりに来て外を見る
先生「まーな」
先生「あの妹さんとお兄さん持ってると居心地ちょっと悪いかもな」

〇グラウンドのトラック
  悠乃の妹・綾奈が女学生に囲まれている
女学生「新記録ですよ!!」
女学生「さすがね」
鳥羽 綾奈「ほんと!?やったー!」
鳥羽 綾奈「けどもう少し加速できたな〜」
女学生「いやいや!!十分早いですよ!」
女学生「さすがね」
鳥羽 綾奈「けど最近の大会は”シングル”じゃ勝てなくなってきてるから」
女学生「たしかに。能力複数持ちの”ダブル”が最近出てましたね」
女学生「けど綾奈先輩は後輩から見てもめちゃくちゃ練習してるので絶対勝てますよ!!」
鳥羽 綾奈「うん!ありがと!!」
女学生「さすがの肉体ね・・・」

〇教室
先生「うちの学校も誇らしいよ」
先生「こんな田舎に『超人』がいるなんて」
先生「お兄さんは今海外の大学だっけ。あの子も教え子の中でも能力すごかったなー」
鳥羽 悠乃「・・・」
先生「そうだそうだ!プリントと・・・はいこれ!」
先生「俺ここの運営やってるから今度妹さんとでも来てよ!」
先生「それじゃ!部活頑張れよ!!」
鳥羽 悠乃「あ!ありがとうございます・・・」
  チラシを持って教室を出る悠乃

〇美術室
  美術部の扉を開けると、知らない女がキャンバスに向かい座っていた
  女の後ろ姿は華奢ではあるが背筋がよく、なんていうか”堂に入っていた”
  俺はそれをとりあえず無視して自分の作業にとりかかろうとした
鳥羽 悠乃(こういうとこが冷たいのかな)
  女のほうを見てみる
鳥羽 悠乃「ちょっと!!え!?何やってんだよ!」
  女は俺の作品を上から塗り潰していた
  しかも色彩など眼中にないのか
  乱暴に混ぜた絵具でキャンバスを切り刻むように筆を動かしていた
  筆を持つ女の手をつかみ、キャンバスを奪い返す
  女は獲物をうばわれた蛇のように悠乃をにらむ
鳥羽 悠乃「これは、ひどいだろ。もう修復もできねえよ」
  ズタズタに汚されたキャンバス
鳥羽 悠乃「てかうちの部員じゃないだろ!制服もうちのじゃないし。誰なんだよ!」
  そうすると女は俺に握られた手をゆっくりと見つめ始めた
  カシャンッと筆を落とす
  すると女は俺の手の甲からなでまわし、何かを確かめるように細くて熱い手のひらを合わせてくる
  思わず唾を飲み込む
二階堂 京香「あなた様が・・・なるほど」
二階堂 京香「私は二階堂 京香です。本日は警告と確認をしに参りました」
二階堂 京香「まず鳥羽様の妹様、お兄様の安全を確保しなければいけません」
鳥羽 悠乃「な!なんだよ急に!?」
二階堂 京香「それが警告です。そして確認は・・・」
二階堂 京香「少し私が急ぎすぎましたね。では失礼します」
  京香が部屋から出ていく
鳥羽 悠乃「なんだったんだよ・・・」
  彼女が、京香が”何”だったのか
  俺はもう少し考えるべきだった

〇おしゃれなリビングダイニング
鳥羽 悠乃「ただいま」
鳥羽 綾奈「・・・」
  テレビを見たま笑っている綾奈
鳥羽 悠乃「あのさ」
鳥羽 悠乃「これ貰ってきたんだけどいく?」
  チラシを机の上に置く
鳥羽 綾奈「んー」
鳥羽 綾奈「なにそれ」
鳥羽 悠乃「花火大会があって、なんかうちの先生が運営してるんだって」
鳥羽 綾奈「ふーん」
  自分の部屋に行くために階段を登る
  両親がいなくなり、兄が出て行った後からだ。犬猿の仲とまでは言わないが、思春期特有のきまづい空気がながれる
鳥羽 綾奈「いいよ。行こうよ」
鳥羽 悠乃「えっ?」
鳥羽 綾奈「行かないの?」
鳥羽 悠乃「いや、そういうわけじゃないけど」
鳥羽 悠乃「うん、行こうか」
  再びテレビを身始める綾奈。
  俺はそれを横目に夕飯の支度をしようと、冷蔵庫の中身を見る。今日は仕送りのお金も入ったし、少し豪勢にしよう
  いつもと違う日になった
  しかし、そういう時にこそ予期せぬことは連続して起こる
  忘れていた、あれは紛れもなく警告であったのだ

〇祈祷場
  正装を着ているガタイのいい男が目の前にいつも立っている。蝋燭が等間隔で円形になり置かれている
  その中心に俺がいる
  外の風が強かった
幼少期の悠乃「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
  額を地面につけて唱えている
  謝っているというより、前を見たくなかった
???「我々は子々孫々これを繋いできたのだ」
???「悠乃、お前の番だ」
???「お前は今日から─」
  意識がブラックアウトする。ここでいつも終わってしまう

〇おしゃれなリビングダイニング
  花火大会の当日。ソファーで待っている悠乃
  外は近所の花火大会ということもあり賑わっている
鳥羽 悠乃(そういえば、いつもこうやって綾奈の準備を父さんと待ってたっけ)
  綾奈が降りてくる
鳥羽 綾奈「お待たせ」
  不意に浴衣で来た綾奈に言葉が詰まる
鳥羽 綾奈「あれ、浴衣持ってなかったっけ?」
鳥羽 綾奈「私だけちゃんとしてんじゃん」
鳥羽 悠乃「え?いや」
鳥羽 悠乃「ごめん」
鳥羽 綾奈「謝ることではないでしょ」
鳥羽 綾奈「お待たせしました!行こ行こ」
鳥羽 悠乃(そんなに楽しみにしてたのか・・・)
鳥羽 悠乃(俺も髪のセットくらいした方がよかったのかな)

〇通学路
  花火大会へ向かう二人
鳥羽 綾奈「あのさ」
鳥羽 綾奈「学校楽しい?」
鳥羽 悠乃「部活はまぁ楽しいかな。お前みたいに能力持ちじゃないから苦労するけど」
鳥羽 綾奈「別に私だって大変だけどねっ」
鳥羽 悠乃「それよりお前香水なんかつけてんの?なんかすごい匂うけど」
鳥羽 綾奈「匂うも失礼でしょ!」
  唐突な質問だったが、話を振ってくれるのが嬉しかった。会場までお互いの近況の話をしていた

〇花火
鳥羽 綾奈「間に合って良かった!すごい綺麗じゃん」
  途中にコンビニに寄ったり、猫がいるだの言われたりして時間がかかってしまった
  先生が予約してくれた席に二人で座る
鳥羽 悠乃「来てみるもんだな」
鳥羽 綾奈「誘ったのそっちなのに・・・そんなに行く気はなかったの?」
鳥羽 悠乃「そうかもな」
鳥羽 悠乃「お前が来るとは始め思わなかったからだよ」
鳥羽 綾奈「確かに、そうかもね」
鳥羽 綾奈「まぁ最近はね、もう少し仲良くもしてみるもんかなって」
鳥羽 綾奈「お兄ちゃん友達少ないみたいだし」
鳥羽 綾奈「天国のママとパパも心配するでしょ!!」
鳥羽 悠乃「そうだな」
  少し泣きそうになったがそれを堪えて上を向く。花火が綺麗でちょうど良かった
  お互いそう思っていたと思う
鳥羽 綾奈「あっ!!」
鳥羽 悠乃「どうした?」
鳥羽 綾奈「なんか痛いなーと思ってたら足の爪割れてた・・・」
鳥羽 悠乃「それ痛そうだな」
鳥羽 悠乃「もう終盤だし混む前に帰るか」
鳥羽 綾奈「うん」
  綾奈が立ち上がり帰ろうと荷物をまとめる
  綾奈の香水の匂いが少し強くなった気がした

〇通学路
  綾奈の右腕を肩に回して支えながら歩く
鳥羽 悠乃「結構痛いのか?」
鳥羽 綾奈「うん。大会近いんだけど大丈夫かなぁ」
鳥羽 悠乃「治るって」
鳥羽 悠乃「なんてったって”超人”じゃねえか!」
鳥羽 綾奈「うぅ。ちょっとうざいけど」
  この前とは比べられないくらいよく話すようになった。本当に良かったと思う
  だから気づかなかったのか
  しかし既に遅かったのか
  また、もう逃れられなかったのか
鳥羽 綾奈「あれ?」
鳥羽 綾奈「前にいる人もおんなじかな?」
  うずくまっている影だけが見える。ライトでうまく見えない
鳥羽 悠乃「どうしたんだろ」
  ゆっくりとゆっくりと近づく
  これから目にするものを知っているかのように
鳥羽 悠乃「な・・・・・・!!!?」
  関節が太く大きくせりあがり、一つ一つが凶器のようにになっている” 人ならざる姿”
  動きは一つ一つが乱暴で、全てを壊そうとしているのか
  化け物だ
鳥羽 悠乃「これ・・・!!どういう・・・・・・!!」
鳥羽 綾奈「あっ」
  綾奈は化け物の下を指差す
  ダランッと力なく塀によりかかる人がみえる
  大きく膨れて、先の尖った鉄の爪が何をしたのかは直ぐに分かった
  すると化け物は二人がいたことを気づいていたのか、ゆっくりと振り返り
???「(ガダンッ)」
  化け物は10mほどあるかと思える距離を一歩で詰めて
  二人の目の前に立つ
鳥羽 悠乃(どうする!!いや、そもそもなんだこれは!綾奈は─)
  綾奈はへたり込んでしまっている。自分がいつ肩に回していた手を離してしまったか覚えてない
???「やっぱ来てくれてんじゃん!あー、待っとけば良かったんだー」
  驚いたのが化け物がラフな口調で喋ってくることではない、その声
鳥羽 悠乃「先・・・生・・・??」
「流石にわかっちゃうか」
先生「ちょっと待っててね」
  口元と髪の毛に着いた血や肉を拭き始める。見慣れたハンカチを使って
先生「何で早く帰っちゃったんだよー」
先生「こっちはずっと待ってたのに」
鳥羽 悠乃「先生、何ものなん、いや、どういうこと」
先生「どもりすぎ!!こういうとこがモテない理由かーなるほどねー」
  いつもの先生の姿に安心してしまう。そんなチグハグな状況に吐き気をもよおす
先生「とりあえず説明しようか」
先生「私たちはこの超人社会のずっと前から存在している」
先生「超人が生まれた理由は勉強したよね?」
鳥羽 悠乃「あぁ」
鳥羽 悠乃「シンギュラリティが起こったことで、人間は再び適応するための進化を遂げつつある」
鳥羽 悠乃「その中で生まれたのが『超人』だ」
鳥羽 悠乃「AIは人の脳の代わりを果たすソフトウェア、それに伴いハードウェアである肉体が進化した、だろ?」
先生「よく勉強してる。そうそれがメジャーな意見だよね」
先生「しかしそれは違うんだ」
先生「我々のような”人ならざる者”は存在してきた」
先生「その力の根源はここ、脳だよ。我々も『超人』も元は同じだ」
  先生はいつもの教鞭をとっているように話す
先生「想像の力だ。我々の力は人の想像力にある」
先生「しかし、科学の進歩で人は未知の力を想像し、夢を見なくなってしまった。それからは力を失い日陰でコソコソするだけだった─」
先生「だがここ100年、人は現実に見切りをつけ始めた!!再び幻想が現実を支配する世界が到来しつつあるのだよ!!!!」
先生「そして最近新しいことを学んだ」
鳥羽 綾奈「あ」
  綾奈を鉄の爪が襲う
鳥羽 悠乃「あ、あや・・・!!」
鳥羽 綾奈「痛い・・・痛い・・・痛い・・・!!!!」
先生「『超人』の力は奪えるんだと!」
先生「よもや何百年の間でここまで人が成長を遂げるとは!!」
「何者か、その質問に答えてなかったね」
???「我々は『怪人』だ」
???「古くは『妖怪』とか呼ばれてたな」
???「既に『怪人』は社会に溶け込んでいるのだ!!」
???「そして────」
???「!?」
  大きく、しかし鋭利な日本刀を携えた京香が化け物を切り刻んだ
二階堂 京香「おい」
二階堂 京香「くそ無礼、ばか種族、死ね」
二階堂 京香「お迎えに上がりました」
二階堂 京香「では確認します」
二階堂 京香「我ら『鬼』を率いて怪人の王座におつきください」
二階堂 京香「そして──」
  スカートで刀を吹き、悠乃の足元に跪く
二階堂 京香「『超人』たちをぶっ殺しましょう!」
鳥羽 悠乃「は!?ありがとう、助かったよ、けど俺は──」
  京香が自分の右手と悠乃の右手を合わせる。そしてメガネを外し、キスをした
二階堂 京香「これがあなたです。我らが王」
  進むも地獄、退くも地獄。この世界は既に地獄であった

コメント

  • 悠乃が繰り返し見る夢や綾奈の香水の匂いなど、丁寧なディティールの描写があることで物語全体の説得力が増しますね。登場人物の数が少ないにもかかわらず、時空を超えた壮大な世界観と入り組んだ伏線が回収されてラストシーンに収斂していく展開、とても読み応えありました。

  • 緊迫した状況が手に取るようにわかって、読んでいてゾクゾクしました!
    そして展開が様変わりするところもすごくよかったです!
    まさか先生が…。

  • ごめんなさいごめんなさい・・と唱えていた彼が怪人の要素があったとは驚きました。未来はこうしてごく普通の人間が使者を通じて転身していくのでしょうね。

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