タワーディフェンス・レーヴァテイン dominate_ep8

R・グループ

第3話 性転の癖歴(トランス・ハラスメント)(脚本)

タワーディフェンス・レーヴァテイン dominate_ep8

R・グループ

今すぐ読む

タワーディフェンス・レーヴァテイン dominate_ep8
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇街中の階段
  鈴谷川(すすやがわ)沿いの通学路を下校する3人の女子高生と3人の男子高生。
  階段上を男歩きで上っている"彼"らは女子高生の身体の生徒。
  階段下から不安そうに女歩きで追尾する"彼女"ら男子高生の身体の生徒
  "彼女"らは、階段上の女子高生の身体を凝視していた。
月島海斗「正吾、お前パンツ見えてるぞ」
善通寺正吾「そーかー? 別にいいだろ、減るもんじゃねーし」
善通寺正吾「あーパンツのゴムが痒ぃー」
善通寺正吾「このスカートってヤツ 手を入れやすいから股を掻きやすいな──」
  善通寺正吾(ぜんつうじしょうご)は浅利朱莉(あさりあかり)のスカートを自ら捲って、わざと周囲にパンツを見せた。
九鬼雄太「ボク、なんだか身体が軽いよぉ!! 階段登るのがラク~」
月島海斗「雄太、街中で胸を揉むなよ・・・」
九鬼雄太「だって柔らかくて気持ちいいし──」
  九鬼雄太(くきゆうた)は岩城榛名(いわきはるな)の豊満な胸をずっと揉み続けている。
月島海斗「・・・」
  そういう月島海斗(つきしまかいと)も筑波神楽耶(つくばかぐや)のパンツを晒しながら歩いていた。
浅利朱莉「痴漢!! どこ触りながら歩いているのよ!」
岩城榛名「身体が重いです──」
筑波神楽耶「階段を登る時はスカートを気にしなさいよ! 下から丸見えじゃない!」
浅利朱莉「また、あたしの身体が変なとこ掻いてる──!!」
岩城榛名「階段がとてもきついわ・・・」
  "彼女"らは"彼"らの一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)に文句をつけている。
  しかし、階段下から女子高生のパンツを見ているのは"彼女"らだけ。
  第三者から見れば"彼女"らが不審者にみえる。
善通寺正吾「なぁー海斗、せっかくだからメシ食って帰ろうぜー」
九鬼雄太「ボクもお腹ペコペコだよぉー」
月島海斗「そうだな・・・ どこにする?」
九鬼雄太「せっかくだから お菓子のハーヴェストに行こうよ!」
善通寺正吾「おっ、いいね この身体なら恥ずかしくないしな!!」
月島海斗「わかった」
善通寺正吾「あー、パンツの股のゴムが食い込んで気になるぜ──」
九鬼雄太「ボクも正吾くんのマネー」
月島海斗「女はチン位置直さなくていいのな・・・」
  3人の女子高生の身体は自分のスカートを捲ってパンツの中に手を入れ、股間を弄(まさぐ)った。
「やめてー!!」
  後方にいる"彼女"らはその様子に卒倒しそうになる。

〇ケーキ屋
  3人は繁華街にある『ハーヴェスト』という人気スイーツ店に入った。
  ポップな字体のピンクの看板、外から見やすい大きなウィンドウ、店内も曲線を多用したデザイン。
  客は若い女性ばかり。そういう雰囲気の店である。
善通寺正吾「この店のケーキ うまいんだよなぁ」
九鬼雄太「うん ボクは大好きだよ!!」
月島海斗「男だと入りづらい店だよな」
九鬼雄太「飲み物は何にするー? せっかくだしボクはタピオカミルクティーが飲んでみたいな!」
善通寺正吾「オレはコーヒー、ブラックで」
月島海斗「俺はガラナで」
九鬼雄太「すいませーん スペシャルチョコレートパフェセット3つくださーい!!」
善通寺正吾「バニラ、マシマシでー」
月島海斗「ラーメンじゃないんだから・・・」
  3人は窓際の店外からよく見える席に案内されている。
  若いカップルや見映えする客を見やすい位置に配置して、雰囲気を良くして客を引くよくある経営手法だ。
  もっとも、3人とも股を開いて座っているので、位置によってはスカートの中が丸見えであった。
  ある意味で繁華街を往来する人々の注目をもの凄く集めている。
  そしてその様子を電柱の陰から苦々しく見る生徒会の3人がいた。
善通寺正吾「あいつら、四六時中見張っているつもりなのかねー」
  注文の待ち時間にスマホを取り出す。若者は少しの時間も無駄にしたくない。
  ただ、3人ともズボンのポケットから取り出そうとして、無いことに気づくまでスカートをまさぐり続けていたが。
月島海斗「あ、生徒会長からショートメッセきてる」
善通寺正吾「オレもだ」
  そこには『脚を閉じて!』と書かれている。他にもたくさんあったが読むのをやめた。
善通寺正吾「オレらが脚をどうやって座ろうがあいつらに関係ねーだろうが」
九鬼雄太「まぁ、ボク達男子だし 座り方は直るわけないよね」
月島海斗「ま、無理だな」
  海斗らがシオンベースから戻ると、善通寺正吾の身体は浅利朱莉に、九鬼雄太の身体城戸榛名になっていた。
  『女性から男性に戻ると精神がダメージを受ける』という目的の為に、生徒会の女子が犠牲になったわけである。
  生徒会室で"彼"らが身体検査していると、数分も経たずに“彼女”らが乗り込んできた。
  「見るな」「触るな」「変態」「痴漢」「エッチ」などという一通りの口撃が行われる。
  口論していると朝と同様に校内放送が掛かり、6人全員は校長室に呼び出された。
  そこには再び連邦政府の職員がいて、人類の存亡をかけた戦いだから協力する義務があると言い渡されたのであった。
  連邦政府の職員は、シオンベースのクルーには女の身体との入れ替わりの他に、金銭面の報酬もあると教えてくれた。
  彼らの量子マネーの残高を見ると、すでに高校生には想像もできない金額が振り込まれている。
月島海斗「2千万円・・・たった1日戦っただけで・・・」
九鬼雄太「これは賞与だけで月給も出るんだって!」
善通寺正吾「すげぇ・・・ これならバイク買うためやってたバイト、もう辞めていいな!」
九鬼雄太「美味しいもの好きなだけ食べれるね!」
月島海斗「俺のパソコンのグラボを最新にしよう」
  得られた金額はそんなレベルではないが、所詮は高校生の発想である。
善通寺正吾「しかしいくら金があっても男がなくなったんじゃなぁ・・・」
善通寺正吾「この身体じゃどうやって毎日ヌけばいいんだ・・・」
月島海斗「いや、この身体でも普通にやれるよ」
善通寺正吾「はぁ!? 〇〇〇勃たないのにどうやって!?」
月島海斗「ちょっと形が違うだけ。 しかも何回でもイけるし、余韻も長い」
善通寺正吾「マジかよ!?」
九鬼雄太「海斗くん、どうやるの? 教えて教えて!」
月島海斗「えっと、股の付け根にだな──」
  海斗は具体的に説明したが、その内容は女子高生がとても口にするような単語ではない。
月島海斗「──な風になるんだ」
善通寺正吾「マ、マジか!! そんな気持ちいいのかよ!!」
九鬼雄太「よさそう!」
月島海斗「ちなみにティッシュはいらないぞ」
善通寺正吾「やっべ! これからスッゲー楽しみだぜ!」
九鬼雄太「海斗くん、詳しいね!」
月島海斗「ま、まぁな──」
  海斗は今日の授業時間中ずっとトイレに籠って女体の研究をしていたとはさすがに言えなかった。
  そうこうしている間に美味しそうなスイーツがテーブルに所狭しと並べられる。
「いただきまーす」
  "彼"らは女の子ではないので、お菓子はただの甘い食べ物。コミュニケーションツールではない。
  出されたパフェを無言でひたすら食べる。会話は無い。
善通寺正吾「ふーウマかったぜー」
九鬼雄太「お替りお願いしまーす!」
善通寺正吾「食いすぎだろ・・・ それ5杯目じゃん」
九鬼雄太「この身体だととってもお腹が空くんだー」
月島海斗「いつもだろ・・・」
  3人は普段は頼めないようなカラフルなスイーツを何度も注文し、それを黙々と食べ続けた。
善通寺正吾「ふー食った食った」
九鬼雄太「とっても美味しかったねぇ」
月島海斗「そうだな」
九鬼雄太「まだ時間あるね。 次どこいくー?」
  窓の外を見ると生徒会の3人がまだ見張っている。
善通寺正吾「あいつらまだいんのかよ! しつこいなー」
  正吾はわざとらしく大股を開いて見せ、店外の3人にその姿を見せた。
  さらにパンツの中に手を入れて股間を掻く仕草をしてみせる。
  それを見ていた身体の前の持ち主、浅利朱莉は卒倒しそうになる。
月島海斗「正吾、煽りすぎだぞ・・・」
善通寺正吾「生徒会の奴らムカつくんだよ。 いつも上から目線でよぉ──」
  そういえば、生徒会には"彼"らが大切にしていたポスターを処分された恨みがあった。
  海斗も報復しようと、わざとらしく大股を開いて見せ、店外にその姿を見せる。
  そして正吾と同様にパンツの中に手を入れる仕草をしてみせた。
  やはり、それを見ていた身体の前の持ち主、筑波神楽耶は卒倒しそうになっている。
月島海斗「おもしろいなー」
善通寺正吾「じゃあさ、オレ。 行ってみたいところがあるんだよ」
月島海斗「どこに?」
善通寺正吾「そりゃ楽しいところだぜ」
  正吾はニヤけた薄笑いを浮かべた。
  たいてい悪いことを考えている時にする顔である。

〇銭湯の脱衣所
善通寺正吾「くっくっく ここならあの五月蠅(うるさい)い女どもも追って来られまい!」
九鬼雄太「女湯だからね!」
月島海斗「い、いいのだろうか・・・」
  3人はスパ『テルマエ』の前を通ると、店内へ一気に駆け込んだ。
  生徒会の3人は慌てて追うが、時すでに遅し。
  ここは男は永遠に入れない女性だけの聖域。
  “彼”らは、その禁断の領域へと合法的な侵入に成功したのである。
月島海斗「風呂なら家にもあるだろうに・・・」
善通寺正吾「男がひと仕事をしたら、メシの後はフロと決まってるんだよ!」
善通寺正吾「それに女湯に入るからいいんじゃねーか!」
九鬼雄太「ボク、女湯に来るの初めてー」
月島海斗「経験ある奴がいたら逆に怖いよ・・・」
  一応、条例では6歳までは可能となっている。
九鬼雄太「このスパ、前にパパと一緒に来たことあるけど男湯と女湯じゃ綺麗さが全然違うね」
月島海斗「いい匂いがするな・・・」
善通寺正吾「クックック・・・よーし、脱ぐぞー 脱がすぞー」
九鬼雄太「りょうかーい!」
月島海斗「お、おう・・・」
  女子高生3人の身体は新しい所有者の男の欲望のまま何の抵抗もできずに衣服を次々と剥がされた。
  たちまち下着だけの姿にされてしまう。
月島海斗「こ、これは刺激が強すぎる・・・」
善通寺正吾「スカートを捲ってみるのとはまたエラく違うな・・・」
九鬼雄太「おっぱいって服の上から揉むより直接触るともっと柔らかくて気持ちいいねー」
  これから風呂に入るのである。
  女子高生3人の身体は下着までで済まされるわけもなく──
  攻略が難しいと予想されたブラジャーでさえ、互いに協力することで簡単に外されてしまった。
  あっという間に彼女たちのプライベートな情報は全て公開させられてしまう。
「・・・」
  "彼"らはお互いの身体を獲物を狙う獣のような視線で見ている。
  そして互いの身体を見せ合うのに何の抵抗も恥じらいもない。
月島海斗「こ、このまま裸で立ってても話が先に進まないな・・・」
善通寺正吾「とりあえず中へ入るか・・・」
九鬼雄太「そうだね・・・」
「いざ!!」
  "彼"らは丸裸で元気に浴室内へと突入していった。
  まるでテーマパークで、はしゃぐ小学生のようである。
  大浴場、ジェットバス、サウナ、泡風呂、水風呂・・・美容温泉と美白の湯以外は全て回った。
  一応、男の身体の時にもスパ施設に来た経験はあるが、女の身体で来るそれは格別に新鮮である。
  乳房や股間などはもちろん、肌の柔らかさ、美しさ、透明感なども男とは全然違った。
  "彼"らはこれ以上風呂に留まるのが限界になるまで十二分に楽しんだ。
「ぜぇぜぇぜぇ・・・」
「ぷはーっ!!」
月島海斗「フロ上りのガラナは最高だ!」
  ジュースを飲み干す3人。
  それだけなら普通だが、腰に手を当て、仰け反るように飲んでいる。
  さらに、脱衣場の長椅子にガニ股開きで腰かけた。
  一応、バスタオルは巻いているが、あそこは丸見えである。
九鬼雄太「お風呂でおっぱいが浮くの面白かったなー」
善通寺正吾「やっぱ岩城が一番巨乳だったな! オレの予想通りの順だ」
月島海斗「うむ・・・」
  男の下賤な性癖で女子生徒の胸のサイズを予想しあっていた。
  よくあることである。
  だが、今の状態の"彼"らはその先を行く。
善通寺正吾「よーし、それじゃあ お互いのおっぱいサイズを測って比べようぜ──」
九鬼雄太「じゃあメジャーを持ってくるよー」
月島海斗「どうせならスリーサイズ全部測ろう」
善通寺正吾「いいね!!」
  あらゆる個人情報の暴露が脱衣場でも続く。
善通寺正吾「ふーっ 満足だぜ!」
月島海斗「うむ・・・」
  男の欲望が尽き果て、やっと女子高生の身体は衣服をつけてもらえるようになった。
九鬼雄太「あれー、このパンツどっちが前?」
善通寺正吾「ブラジャーつけられねぇ! 後ろ留めてくれ!」
九鬼雄太「このスカートどっちが前?」
月島海斗「ポケットがない! 財布とスマホはどこにしまうんだ?」
  "彼"らが脱いだ女物の服は、脱ぐときは簡単に脱げたが、着る時は困難が伴った。

〇昔ながらの銭湯
善通寺正吾「や、やばかったな・・・」
九鬼雄太「すごく興奮したねー」
月島海斗「ああ・・・」
  "彼"らは入ったのが女湯であったことを思い出し、再び高揚してくる。
善通寺正吾「風呂場でいくら興奮しても股間に勃つモンがねーのは面白いよな──」
九鬼雄太「見た目はなにも変わらないよね」
善通寺正吾「浴室内で歩き回っても股にプラプラする感じがしねーしよ」
月島海斗「股に水流があたるジェットバスが超気持ち良かった・・・」
善通寺正吾「この身体じゃ潜望鏡ごっこはできねーな!」
九鬼雄太「どのお風呂に入ってもおっぱいが浮遊感があってさー」
  おおよそ女子高生が女湯に入った時の感想としてありえない会話が繰り広げられている。
月島海斗「さすがに生徒会の連中はもういないな」
善通寺正吾「女湯まで監視に来たら変質者で逮捕だぜ」
  後で判明した事であるが、男子高生の身体の“彼女”らは、“彼”らを追って男性用の浴室に入った。
  しかし、男性の裸、そして自分の男の股間を見て、文字通り泡を吹いて倒れてしまう。
  だが“彼女”らはみんな学力優秀なのに、男風呂に入っても女風呂の様子は伺えない事に、どうして気が付かなかったのだろうか。
月島海斗「よし、じゃあ帰るか」
九鬼雄太「そうだね。 じゃあまた明日!」
善通寺正吾「おう!」
  "彼"らは自分の自宅に帰る。
  連邦政府の連絡で自分の精神の家に帰るように伝えられていた。
  他にも正式なシオンベースのクルーとして採用されたので様々な面で公的な保護があるという。
  海斗も自宅の月島家へと向かう。

〇アパートのダイニング
月島海斗「ただいま・・・」
海斗の父「あ、ああ 海斗か。 おかえり・・・」
海斗の母「おかえりなさい海斗くん 連邦政府の方がみえているわよ」
月島海斗「えっ・・・」
マキア・ローザリア「こんばんは、海斗くん 戦果を聞いたよ。 今日の戦いは大活躍だったそうじゃないか」
マキア・ローザリア「君のご家族に君の活躍と『精神入れ替わり特別措置法』の説明をさせていだいたところだよ」
  自宅の机の上には、法的ルールが記載された様々な書類が並んでいる。
海斗の父「海斗が世界を救う仕事に就くなんてなぁ・・・ お父さんは嬉しいぞ」
海斗の母「海斗くん、がんばってね。 お母さんも応援しているわ」
月島海斗「父さん、母さん・・・」
月島海斗「俺の身体違ってるし・・・ シオンベースのクルーは危険な仕事なんだよ!」
月島海斗「なんでそんな簡単に・・・」
海斗の父「・・・海斗」
海斗の父「軍人、警察官、消防士、他にもいろいろ危険な仕事はある。 だけど社会の為に必要な大切な仕事だよね」
月島海斗「うん・・・」
海斗の父「そういう仕事を子が自ら選んだ時、親はどう思うと思う?」
月島海斗「わからないよ・・・」
海斗の父「『自分で道を決めてくれて嬉しい』 だよ」
海斗の父「海斗は自分でその道を選んだんだろう?」
月島海斗「うん・・・」
海斗の父「なら、お父さんもお母さんもそれを応援するだけさ」
月島海斗「身体は・・・別人だし・・・」
海斗の母「海斗くんの身体は筑波さんが使っているんでしょう?」
海斗の母「お父さんとお母さんは、海斗くんの身体も健康で無事であればそれでいいのよ」
月島海斗「俺が使っていなくても・・・?」
海斗の母「ええ、何も心配していないわよ」
月島海斗「そういうもんなのかな・・・」
マキア・ローザリア「海斗くん 子供が社会に役立ち、責任ある仕事を選んで喜ばない親はいない」
マキア・ローザリア「君は自分の事をもっと誇りに思っていいんだ」
月島海斗「・・・」
マキア・ローザリア「それじゃあ、法律に基づく説明や、所持品の交換は終えたので私は戻ることにするよ」
マキア・ローザリア「次の作戦準備までの間、地球で休養をとっていて欲しい」
マキア・ローザリア「もちろん、CShで基礎練習は続けて欲しいけどね」
月島海斗「あ、あの・・・来週、札幌で大会があるんですけど・・・この身体でも出られるんですか?」
マキア・ローザリア「もちろんさ、君の生活に何も不便は与えない。 海斗君の活躍を期待しているよ」
海斗の父「大会頑張れよ 海斗」
海斗の母「応援しているわ」

〇男の子の一人部屋
  海斗は自分の部屋に入ると、使い慣れている自分のゲーミングチェアに座りPCを立ち上げた。
  だが、座っているのは筑波神楽耶の身体である。
  微妙に違和感があった。
  海斗はカーテンを開けて夜空を眺(なが)める。
  都会の薄明るい星空でも、地平線付近に赤く輝く星“グリーゼ710”がハッキリと見える。
月島海斗「あれが凶星アアル・・・ 俺たちの"敵"・・・」
  あの星に"敵"がいて、昨日と今日、太陽系の果てでその"敵"と戦ってきた。
月島海斗「昨日の夜はあんなに悩んでいたのになぁ・・・」
月島海斗「俺がシオンベースのクルーになったこと・・・ みんな応援してくれている・・・」
  父が言ったように、危険はあるが社会への責任ある仕事というのはいくつも存在する。
  そういう仕事を子供が自ら選んだ時、喜ばない親はいないのだという。
  家族も社会も自分を応援してくれている。
  自分の将来が決まった安心感がある。
月島海斗「あっ、メテオ君のメッセ来てる」
  海斗はいつものようにSNSで情報を集める。
  メテオ君からのDMは『これからインターンで一か月仕事(TдT)』であった。
月島海斗「メテオ君も大変そうだなぁ・・・」
  一通り検索を終えると、今度は連邦職員が置いていったパンフレットを開いてみる。
  表紙には『精神入れ替わり特措法』(通称TS法)と記載されている。
  連邦政府の法律のようだ。
月島海斗「入れ替わりの法律ねぇ・・・」
  TS法第2条3項
  被服、靴、装飾品、その他その身体に着用して使用することを前提とする財産に関しては、その身体の所有者の財産とする。
月島海斗「これってつまり 生徒会長の服は俺の物ってこと?」
  服は身体に合わないと着れない。
  よって、身体が入れ替わった場合、所持しいる服は全部交換するというルールらしい。
  部屋をよく見ると、海斗の洋服ダンスの他に衣装ケースが置かれている。
  その中にはギッシリと女物の服が入れられているのがわかる。
月島海斗「もうすでに俺の服は生徒会長の家に行って、生徒会長の服は俺のところにきているのか・・・」
月島海斗「生徒会長の服は俺の洋服ダンスに入りきらなかったんだな」
  海斗は興味を持ち、かつて自分の衣服が入っていたタンスを見てみることにした。
  そこには以前と比較にならないほどの数の衣類がハンガーに掛けられて、整然と並べられていた。
月島海斗「生徒会長、いっぱい服もってるんだなー まぁ女の子だし当然か」
  今度は海斗のパンツが入っていた一番下の引き出しを開けてみる。
月島海斗「うはっ!?」
  そこはまるでお花畑のようにカラフルな女性物下着が敷き詰められていた。
  海斗は下着フェチではないが、異様な興奮が襲ってくる。
月島海斗「こ、この下着・・・パンツもブラジャーも・・・全部俺の物・・・」
  海斗はとりあえず、違う色のパンツを穿いてみることにした。
月島海斗「た、ただパンツを穿き替えただけなのに異様に興奮する・・・」
月島海斗「ふぅ・・・」
月島海斗「な、なんか下着フェチに目覚めそうだ・・・」
月島海斗「よし、別のパンツを穿いてみるか!」
  ただ、脱いで穿くだけ
  それだけの行為を意味もなく繰り返す。
  神楽耶のパンツを脱がせて穿かせているという倒錯感も要因としては大きいだろう。
月島海斗「こりゃハマるわ──」
月島海斗「ふぅ・・・」
  それを何回か繰り返すと今度は別の服も着たくなってくる。
月島海斗「よし、次はとりあえず制服から着替えるか・・・」
  海斗は部屋着を選ぼうとする。
  だが、どれが部屋着かわからない。
月島海斗「と、とりあえず何か着てみるか・・・」
  まるで試着室の様に楽しむ海斗
  ただし、よく考えると海斗は試着室を使用したことが一度も無い。
月島海斗「おおーこれがタイトスカートとタイツかー」
月島海斗「男の服とは違うタイツの密着感がなんとも・・・」
月島海斗「ふぅ・・・」
月島海斗「でも、さすがに真夏には暑いな・・・」
  海斗の家にクーラーはない。特に珍しい事ではなく、豊原市でクーラーを持つ家はほぼ無かった。
月島海斗「おっ、巫女装束があるぞ!?」
月島海斗「へーっ、これが巫女服かぁ・・・ 生徒会長、すごく似合うじゃん!」
月島海斗「生徒会長の家は内地の有名な巫女の家系と聞いたことがあるなぁ・・・」
月島海斗「ふぅ・・・」
月島海斗「この服は涼しそうだな・・・」
月島海斗「一番部屋着でラクな気がする」
月島海斗「ふぅ・・・」
  海斗の快感を遮るように、スマホからメールの着信メッセージ音がする。
月島海斗「正吾からだ なんだろう?」
  海斗がメールを開けると『風紀委員長でーす』というメッセージと共に画像が添付されていた。
  そこには下着姿でガニ股になり、アヘ顔Wピースのポーズをとる浅利朱莉の姿があった。
月島海斗「あいつ、こんなくだらないメール送ってきて・・・」
  海斗は正吾のメールを無視して独りコーディネートの続きを愉しむ。
月島海斗「おっ!? これは俺がエリスに着せてる服と似てね?」
月島海斗「へーっ、こりゃいいや」
月島海斗「ふぅ・・・」
  神楽耶の服をいろいろと着替えて楽しんでいると、海斗は女子がなぜ服が好きなのかわかった気がした。
  自分の身体が"かわいい"のでいろいろ着せて彩るのが楽しいである。
  海斗も着替えて楽しむ姿はそういう普通の女子となんら変わらないのかもしれない。
  ひとつ違うのは、着替える度(たび)にその姿をオカズにして男性的な性的欲求を発散させていることだった。
月島海斗「あーガラナがうまいー」

〇大きな木のある校舎

〇教室
  <キーンコーンカーンコーン>
  翌朝、登校するといきなりクラス替えが行われ、アサルトゲーム部の3人や生徒会の3人は全員同じクラスにされてしまう。
  その他にも、校長や担任は『身体が入れ替わっても今まで通りお友達でいてください』など生徒に訓示をしていた。
  他の生徒たちがどう思っているかはわからないが、海斗たちはこのまま日常生活を送れるらしい。
善通寺正吾「ホント、いつまでたってもやめられない止まらない、何回やっても終わりがねーんだ・・・」
九鬼雄太「余韻が気持ち良すぎてほんと最高だったよ!」
月島海斗「そうだな・・・ 俺もやりすぎてさすがに疲れた・・・」
  当事者3人は海斗の周囲に集まりゲームのしすぎの時と同じ会話をしていた。
  だが今朝の疲労はゲームが原因ではないようだ。
筑波神楽耶「ちょっと! なんでメッセみないのよ!」
浅利朱莉「あたしの身体でエッチなことしなかったでしょうね!」
筑波神楽耶「髪の毛ボサボサじゃない! ちゃんとドライヤーで乾かしたの?」
岩城榛名「しくしく・・・」
  "彼女"ら生徒会の3人による怒号が教室中に響く。
浅利朱莉「股を閉じて座れって言ってるでしょ! 何度言えばわかるの! このバカッ!」
筑波神楽耶「ほんと気持ち悪いわ! 不潔よ!」
岩城榛名「私の下着を見せないでください・・・」
善通寺正吾「あーうるせーんだよ! お前らは!」
  海斗と雄太は言われっぱなしで我慢するタイプだが、正吾は違う。
善通寺正吾「もうこの身体はオレ達のモンだ。 何をしようがオレ達の勝手なんだよ!」
善通寺正吾「けっ、昨日はパンチラどころか身体の隅々まで全部みせてもらったっつーの!!」
善通寺正吾「ついでに何発もヌいて感度も試させてもらったぜ」
善通寺正吾「この身体をオカズにしてサイコーだったぜ!!」
岩城榛名「きゃあっ! エッチ!」
筑波神楽耶「な、なんですって!!」
浅利朱莉「ゆ、許せない! あたしの身体を穢すなんて!!」
筑波神楽耶「サイテー!」
浅利朱莉「この身体で全裸になって校庭を走ってやるんだから!」
筑波神楽耶「あなた達も恥ずかしいことされたら嫌でしょう!」
善通寺正吾「あーやれやれ 別にオレは構わないぜ?」
月島海斗「俺も別にいいけど・・・」
九鬼雄太「男女入れ替わりの漫画でそういうことを言う女性キャラいたよね」
善通寺正吾「男と女じゃ身体の価値が違うんだよ」
善通寺正吾「お前ら女だって男と女の身体の価値を対等だと思ってなんかいねーくせに!」
「きぃーっ!!」
善通寺正吾「そんなヒス起こしても男は誰も助けてくれねーよ?」
月島海斗「まぁ・・・もう仕方がないことだよ。 諦めて欲しい」
月島海斗「この身体で俺たちは頑張るから、生徒会長たちはその身体で頑張ってくれ」
浅利朱莉「そ、そんな・・・こんな身体イヤッ!」
岩城榛名「臭いし・・・」
筑波神楽耶「気持ち悪い・・・」
  生徒会の3人はクラスにいる女子に助けを求める。
浅利朱莉「ねー聞いてよ! この男子たちったら酷いのよ!」
筑波神楽耶「みんな! 私たちの身体が変なことをしないかどうか見張っていてくれない?」
岩城榛名「あたし達、お友達でしょう!!」
  だが、"彼女"たちが考えたのとは逆に、対応は冷ややかだった。
「・・・」
クラスの女子「うん・・・ 確かに友達なんだけど・・・」
クラスの女子「正直、神楽耶たち 静かにしてくれない?」
クラスの女子「月島くん達も困ってるじゃない」
浅利朱莉「そ、そんな・・・みんな、こんな痴漢や変態どもの肩を持つの?」
筑波神楽耶「ひどいわっ!」
岩城榛名「助けてよぉ~」
クラスの女子「ごめん! 榛名、そんなに近寄らないでくれる? 気持ち悪いから」
クラスの女子「身体が変わって困るのはお互い様じゃない。 変態なんて言うのは失礼だわ」
クラスの女子「私たちは月島くんたちの方も応援したいわね」
「えっ・・・」
「・・・はぁ!?」
  クラスの女の子たちによる海斗たちの擁護。
  男になった女よりも女になった男の方を庇い始めたのである。
  さらにクラスの女子は海斗たちに接近する。
クラスの女子「ねーねー 月島くん達、なにか困ったことがあったら相談して!」
クラスの女子「私たち、なんでも力になるから!」
クラスの女子「大丈夫? 悩みがあったら相談してね!」
浅利朱莉「な、なんなの・・・ 私たち・・・もう女の子として扱ってもらえないの・・・」
筑波神楽耶「自分の悩みは自分で解決しろってこと・・・?」
岩城榛名「みんな共感してくれないの・・・?」
  "彼女"らはクラスの女の子たちから相談にのってもらえず相当ショックを受けている。
  さらにクラスの女子たちは海斗たち囲んで会話を始める。
  オタクの"彼"らは事務的な会話以外で女子と話をしたことはない。
クラスの女子「ねーねー月島くん、コスメとか興味ない?」
クラスの女子「絶対似合うよ!」
クラスの女子「わかるー!」
月島海斗「なんか会話の端々で妙に触ってくるな・・・」
善通寺正吾「これが女のスキンシップってやつか」
九鬼雄太「女の子同士で触れ合っているとなんか楽しい気分になってくるね!」
月島海斗「女は肌を触れ合うとオキシトシンっていう共感ホルモンがでる。 それで幸福に感じるんだよ」
善通寺正吾「へーっ、じゃあ俺たちもスキンシップしようぜ!」
九鬼雄太「わーい! 海斗くんと正吾くんにボディタッチー!」
月島海斗「胸を揉むのはボディタッチ・・・か?」
善通寺正吾「オレもおっぱいにボディタッチー!」
「もみもみ」

〇更衣室
善通寺正吾「くっくっく、午後は合同体育! 女子更衣室だぜ!」
九鬼雄太「ここも男子禁制の場所だよね!」
月島海斗「着替えか・・・ まぁ今さらだけどな」
善通寺正吾「他に若い女がいるからいいんだろ!」
善通寺正吾「銭湯は俺たち以外知らない客だけだったし 若い女もいなかった」
九鬼雄太「仕事帰りのOLさんを若い女性から外したら怒られるよ・・・」
善通寺正吾「若さっていうのは相対的。オレ達なら同学年かそれ以下にだけ許される言葉なんだよ!」
月島海斗「なるほど・・・一理あるな」
善通寺正吾「さーて、女子の着替えを合法的に覗くかー」
クラスの女子「月島くん達、まだ着替えてないの?」
クラスの女子「ふふふ・・・ もしかして着替え覗こうと思ってた?」
クラスの女子「残念でした!」
九鬼雄太「みんな着替えるの早いね!」
善通寺正吾「まったく見えなかったぞ・・・ 1フレームもない」
月島海斗「まぁ、ブルマはスカートの上から穿けばいいからパンツが見えないのは分かるが・・・」
善通寺正吾「仕方がねぇ・・・ お互いの着替えをみて楽しむか・・・」
九鬼雄太「そうだね!」
善通寺正吾「よく考えたら、全部脱いでから着替える必要なくないか?」
月島海斗「いや、俺は全部脱いでから全部着る主義だ」
九鬼雄太「ボクもだよー」
善通寺正吾「そ、そうか・・・」
  今から136万前、H属サピエンス一種類しか人間種のいなかった化石文明と呼ばれる時代。
  当時の人類は『黒の石板』という特殊な記録媒体にその史跡を残した。
  この学校の体操着はその記録にあった服を再現したものである。
月島海斗「この女用の体操着の感覚も新鮮だな・・・」
善通寺正吾「動き易そうだ 脚を上げてもパンツ見えないし」
九鬼雄太「おっぱいが揉み易いよー!」

〇学校の体育館
善通寺正吾「女子は体育館 男子は校庭かー」
体育教師「はーい、じゃあ2人組でペアを作って準備運動と柔軟体操をして──」
  よく考えると、海斗は昨日さんざん神楽耶の身体を弄(もてあそ)んだが、柔軟体操はしたことがない。
クラスの女子「じゃあ、月島くん、背中押すよー」
月島海斗「お、おう!」
月島海斗「・・・」
月島海斗「お、おっぱいが揺さぶられて・・・」
クラスの女子「次は腹筋だよー」
月島海斗「・・・」
月島海斗「お、おっぱいが揺さぶられて・・・」
クラスの女子「次は開脚だよー」
月島海斗「お、おっぱいが揺さぶられて・・・」
  とにかく、女の身体はどんな運動をしても乳房が揺さぶられる。
  もっとも男の身体なら、どんな運動をしても股間の棒や玉が揺さぶられるので同じことだろうか。
善通寺正吾「この身体 超やわらかいんだぜー」
  正吾は浅利朱莉の身体で、ブリッジをしてみせた。
九鬼雄太「風紀委員長は新体操部だからねぇ・・・」
善通寺正吾「なんと! 自分で自分のあそこがみえるんだ」
九鬼雄太「そういうことに身体の柔らかさを使う女子はいないと思うよ・・・」
善通寺正吾「秘技! I字バランス!」
九鬼雄太「そのポーズ、男には無理だね!」
善通寺正吾「よーし、じゃあ柔軟いくぜ! 雄太!」
九鬼雄太「よしっ! こいっ!」
善通寺正吾「くらえ! 腕挫十字固め!」
九鬼雄太「いたた! それはプロレス技だよっ!」
善通寺正吾「続いて電気アンマだ!」
九鬼雄太「ああああああーっ!」
  2人の小学生のような行動に周囲の女子はドン引きである。
体育教師「それじゃあ1組と2組でチームに分かれてドッジボールで対戦しまーす。 ケガをしないようにねー」
月島海斗「ドッヂか! 小学校以来だな・・・」
九鬼雄太「男子だと体育では普通やらないよね」
月島海斗「危険だからな・・・」
善通寺正吾「投げると言えばオレの出番だ。 よっしゃ! いっちょやってやるぜー!」
  こうして女子の体育が始まり、海斗たちは気合十分だったが、どうも他の女子はそうでもないようだ。
クラスの女子「えーい」
クラスの女子「はーい!」
クラスの女子「そーれっ!」
月島海斗「女子のドッヂは・・・ 勝敗に本気じゃないのか?」
九鬼雄太「ケガしないようにしているんだと思うよ」
善通寺正吾「ええい! 俺が本物の剛速球を見せてやるぜ!」
九鬼雄太「正吾くんは中学までずっと野球部だったもんね!」
善通寺正吾「オレの拳が熱く唸る! 一球入魂!!」
善通寺正吾「喰らえっ! 必殺ドライブショット!!」
  正吾は元野球部として、正しいフォームに沿った渾身の一球を投げた。
  だが、正吾がイメージしたような威力は無く体育館の端にも届かない。
善通寺正吾「あ、あれ!? 肩に力が入らねぇ・・・」
月島海斗「・・・」
九鬼雄太「おっぱいが邪魔で投げ難い・・・」
月島海斗「勝つための戦術とか練ったりしないのか?」
体育教師「はーい、それじゃあ終了ね。 ケガはないわね? 各自、整理運動して水分補給して解散よ」
  時間が来ると体育教師が終了を宣言する。
  人数が多く残っている方が勝ちなどの勝敗は特に決めないようだ。

〇学校のトイレ
  3人は体育館脇の"男子トイレ"に入った。
  幸い体育館を使っていたのは女子だけなので、今の時間は他に誰もいない。
  TS法では"彼"らは女子トイレを使うことになっている。
  今回はいつもの習慣なので忘れてしまっただけだ。
  "彼"らは股を探って小便用ホースを探すところまでやって、ようやくできない事に気が付いた。
善通寺正吾「オレたち立ションのポーズだけとってもこの身体じゃ何もできてなくないか?」
月島海斗「いつもの作戦会議の習慣だし仕方がない・・・」

このエピソードを読むには
会員登録/ログインが必要です!
会員登録する(無料)

すでに登録済みの方はログイン

次のエピソード:第4話 進撃の惑星(アタックオン・プラネット)

コメント

  • 很好看,作者加油

  • 風呂上がりはやっぱりガラナ!

成分キーワード

ページTOPへ