エターナル・ヘリックス

糸本もとい

第5話「享楽」(脚本)

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〇遊園地
児玉優美「富士ハイパーランドは初めてです」
遠野篤志「そうでしたか。私はレストランにいますので、三人で愉しんでください」
児玉優美「あ、はい」
高倉隼人「じゃあ、せっかくですから、愉しんじゃいましょう!」
児玉優美「うん! そうだね!」
高倉隼人「そうこなくっちゃ」

〇観覧車のゴンドラ
児玉優美「あっという間に夕方だよお」
北畠真弘「少しは発散できましたか?」
児玉優美「はい。少し気が晴れました」
高倉隼人「そりゃあ良かった」
児玉優美「ありがとね。付き合ってくれて」
高倉隼人「俺でよければ、いつでも付き合いますよ」
児玉優美「うん! ありがと」
児玉優美「はあ・・・このまま終わってくれないかなあ・・・」
児玉優美「実験とか分裂とか、ほんとに勘弁してほしいよ・・・」
北畠真弘「そうですね。しかし、憑坐という特異な存在となってしまった時点で」
北畠真弘「僕たちは、真の平穏から遠く離れてしまったのかもしれません」
児玉優美「そうですね・・・憑坐、か・・・」
北畠真弘「宮成さんのように自我を捨て身体を明け渡すのは極端な例としても」
北畠真弘「僕たちは神格霊に、大なり小なり影響を受けていますからね・・・」
児玉優美「いま、こうして愉しんだり悩んだりしている、わたしも・・・」
高倉隼人「児玉さんは、児玉さんですよ。神格霊の影響なんか関係なく、素敵な女性です」
児玉優美「ありがとう・・・」

〇遊園地
児玉優美「はあ・・・遊んだあ、楽しかったあ・・・」
高倉隼人「俺もです」
児玉優美「また来ようね」
高倉隼人「はい!」
安倍晴明「お楽しみのところ、失礼を」
児玉優美「萩原、さん・・・いえ、晴明、さん・・・」
高倉隼人「どこから現れやがった・・・」
安倍晴明「なに、そう警戒なさらず。お話しをしにきただけです」
児玉優美「どうして、ここに・・・?」
安倍晴明「この程度の距離ならば、感知するのは、私にとっては造作も無いことですよ」
北畠真弘「それで、お話しとは?」
安倍晴明「なに、大したことではないのです。児玉さんを、お誘いに伺っただけですので」
児玉優美「わたしを、誘いに・・・?」
安倍晴明「左様です。どうですか、この辺で手打ちとして、私どものところに来ませんか?」
安倍晴明「憑坐同士でいがみ合うこともないでしょう。数少ない仲間なのですから」
児玉優美「・・・お断りします。わたしは、実験動物になる気はありません」
児玉優美「それに、オジマンディアスは、ジェイクさんを傷つけました」
児玉優美「そしてなにより、北畠さんや高倉くんといたほうが、わたしは安心できます」
安倍晴明「おやおや、嫌われてしまったようですね」
安倍晴明「しかし、ご心配には及びませんよ」
安倍晴明「自我を明け渡してしまった宮成さんの役目は、終わろうとしています」
安倍晴明「オジマンディアスには派手に退場してもらう、と言ったほうがいいでしょうか」
児玉優美「退場・・・?」
安倍晴明「はい。ですから、ご安心ください。児玉さんは私が、お守りします」
児玉優美「・・・お断りします」
安倍晴明「左様ですか・・・残念です」
安倍晴明「力ずくというのも芸が無いですし、ひとまず今日のところは、これで失礼しましょう」
児玉優美「あっ・・・」
高倉隼人「つかみどころの無い男だな、まったく」
北畠真弘「退場という言葉の意味が気になりますね」
児玉優美「はい・・・」
高倉隼人「大丈夫ですよ。どんな事態になっても、俺と真弘さんが一緒にいますから」
児玉優美「うん。ありがとう」
北畠真弘「さて、せっかく気晴らしに来たんですから、食事でも愉しんでから帰りましょうか」
高倉隼人「そうしましょう、児玉さん」
児玉優美「うん。あ、それと、わたしのことは優美でいいよ。苗字あんまり好きじゃないし」
高倉隼人「え・・・あ、はい。分かりました」
高倉隼人「じゃあ、優美さん。行きましょうか」
児玉優美「うん!」

〇シックなバー
  翌日、夜。港区麻布十番
エドワード「ふう・・・やっと落ち着けるよ」
萩原泰智「愛煙家のエドにとって落ち着ける場所は、どんどん減っていますからね」
エドワード「ああ・・・つまらん時代に産まれたもんさ」
エドワード「ふう・・・この素晴らしい場所も、いつまで続くか・・・」
エドワード「煙草とジントニック。この組み合わせに勝るものは、なかなか見つからない」
萩原泰智「この国で、この時代を、エドには愉しんでもらわないと」
エドワード「ヤス、キミは実にいい男だ」
エドワード「私の退屈を理解してくれるヨリマシは、キミしかいない」
エドワード「今年のクリスマスは退屈せずにすみそうだ」
萩原泰智「ええ、エドには、冬の花火を愉しんでもらいます」
エドワード「冬の花火か・・・いい響きだ」
エドワード「本国の意向など関係なく、個人的に愉しむとしよう」

次のエピソード:第6話「退場」

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