パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

エピソード3(脚本)

パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

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〇大学病院

〇病室
伊吹勤「新たにリンパ節への癌の転移が見つかりました」
山本清吉「・・・・・・」
伊吹勤「これ以上ステージが進む前に一刻も早く手術を受けましょう」
山本清吉「必要ない」
伊吹勤「助かる命が助からなくなりますよ」
山本清吉「俺はもう・・・生きていく理由がないんだ」
伊吹勤「またそれですか」
伊吹勤「山本さん。よく考えてください」
山本清吉「もう、いいんだ」

〇大きい病院の廊下
  聞き耳を立てている小走。
小走駿太郎「・・・・・・」

〇停車した車内
只野太「え! 山本さんの養子になる!?︎」
小走駿太郎「ああ、そうだ」
只野太「いくらなんでもそれは無理だって」
小走駿太郎「いや、勝算はある」
小走駿太郎「山本の爺ちゃん、あの様子じゃ手術受けないからもってあと半年」
小走駿太郎「あの1億は俺がいただくぜ」
只野太「そもそも、遺産目当てで養子になるなんてどうかしてるよ」
小走駿太郎「そうか?」
小走駿太郎「爺ちゃんだって一人で寂しくあの世に行くより、俺に看取ってもらう方が幸せに決まってる」
只野太「でも、あのお金は山本さんのじゃないって本人が言ってたんでしょ?」
小走駿太郎「ああ」
只野太「じゃあ、通帳に書いてあった吉永麻衣って人の?」
小走駿太郎「だからそれを確かめにいくんじゃねーか」
只野太「で、なんで武井さんの家に?」
小走駿太郎「まあ、俺に任せとけって」
只野太「ん? その写真何?」
小走駿太郎「へへ。いーんだよ」
  写真をポケットにしまう小走。

〇高級一戸建て
  ピーンポーン♪
只野太「誰もいないみたいだね」
小走駿太郎「あの女、どこ行きやがった」
小走駿太郎「ねえ、おばちゃん」
小走駿太郎「ここのうちのお嬢ちゃん、どこに行ったか知らない?」
主婦「・・・・・・」
只野太「あ、すみません。 私ども、武井さん宅のエアコン修理を頼まれておりまして」
小走駿太郎「そうそう」

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