転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

セーイチ

第九話(脚本)

転生したら不倫して私を殺した元夫の娘になってた

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〇本棚のある部屋
京華「ふふふ・・・」
京華「凄いわね、その妄想は八千流が一人で考えたの?」
八千流「妄想・・・ね」
京華「お父さんは確かに心にもろい面があった」
京華「でも、それだけでお母さんがお父さんを支配してるって飛躍しすぎでしょ?」
八千流「そうかな?」
京華「そもそも、その手紙の信憑性は?優が死ぬつもりだったのはナゼ?」
京華「そして誤って瑠衣さんを死なせてしまったなら、ナゼその事を黙ったままにしていたの?」
京華「死ぬ覚悟があったなら、瑠衣さんの後を追う事も出来たんじゃない?」
八千流「明石瑠衣の実家、遠野工業があったからだよ」
京華「!!」
八千流「遠野工業の前社長が亡くなって、お母さんは次期社長の遠野道哉に目を付けた」
八千流「人が良すぎる道哉社長なら、自分に都合の良い様に出来るってね」
八千流「そして、その為には瑠衣が邪魔だった」
八千流「その時既に、お父さんを精神的に支配していたアナタは、瑠衣を殺すように仕向けた」
京華「「お母さん」が、「アナタ」になっちゃったわね」
八千流「でも、お父さんに瑠衣は殺せなかった」
八千流「ただ、アナタに逆らう事も出来なかった」
八千流「だからお父さんは・・・」

〇湖畔
  自分の救命胴衣に細工をして事故死に見せかけ、アナタから逃げるつもりだった
  なのに、実際にその救命胴衣を使っていたのは瑠衣
  アナタが細工したのか、誰かにさせたのか
  それに気が付いた時は、お父さんも助けようとしたかも知れない
  でも聞いた話だと、救命胴衣は溺れる事を防ぐ為の物だから、泳ぐには適していないんだって
  だから間に合わず、瑠衣は死んでしまった・・・

〇本棚のある部屋
八千流「ひょっとしたら、お父さんも後追いを考えたかもしれない」
八千流「でも、自分が死んだら残った遠野工業はアナタの思うがままにされてしまう」
八千流「だから生きる選択をした」
八千流「瑠衣の実家を守る為に」
京華「守る?」
京華「結局アノ人は横領に加担してたんでしょ?」
京華「いったい何を守っていたのかしら?」
八千流「・・・確かに不正なお金のやり取りが有り、その一部をお父さんが受け取っていた」
八千流「でもね、お父さんはそのお金を殆ど遠野工業に戻してたんだよ」
八千流「自社からの卸値分と合わせてね」
八千流「アナタに疑われないように、私物を売って中古の釣具やセール品の安いワインを買ってたみたい」
八千流「お金を受け取っているように見せ掛ける為にね」
京華「・・・」

〇一軒家の庭
八千流「でも、思ったより少ないな」
八千流「独身時代からの趣味だから、もっと大量にあるかと思ってたのに」
八千流「っと言うか、よく考えると八千流になってから優が釣りしてるトコ見た事ない」

〇本棚のある部屋
八千流「因みに、卸値の増額を会社に直訴したのもお父さんだった」
八千流「その増額分と返金分で、遠野工業は何とか成り立っていた」
八千流「知らなかったでしょ?」
京華「・・・なるほどね」
京華「通りでいくら探しても、アノ人の受け取ったお金が見付からないはずだわ」
八千流「・・・認めるんだね」
京華「・・・」
京華「・・・近々海外に移住するつもりだったの」
京華「もう充分にお金は手に入れたし」
京華「だけど残していくものに懸念があった」
京華「岡島や桐谷や・・・そしてアノ人も」
京華「私が完璧に動いても、周りのせいで私にまで被害が及ぶ可能性がある」
京華「関係を悟られない様、わざわざ転職までしたのに・・・」
京華「だから身綺麗にしてから、八千流と二人で海外に行こうと思ってた」
八千流「じゃあ遠野社長を襲ったのは・・・」
京華「目的は桐谷よ」
京華「遠野社長は、まぁ・・・巻き添えってヤツかしら?」
八千流「・・・」
京華「それなのに、寄りにもよってアナタに知られるなんてね・・・」
八千流「・・・強硬手段って事?」
京華「ほんと、察しが良いわね」
京華「でも、どんなに賢い八千流でも、裏で動いていたお金の動きを調べる事は不可能」
京華「当然、協力者がいるのよね」
京華「それも、その道のプロが」
八千流「・・・」
京華「そうなると、八千流の口を塞げば終わりって話じゃないし」
京華「時間を掛けていられないの」
京華「ごめんね、八千流」
八千流「そうやって、お父さん達を・・・」
京華「あら、誤解しないでね」
京華「私は今まで誰かに直接危害を加えた事なんてないから」
京華「ただ、この世にはお金さえ払えば何でもやってくれる人達がいるのよ」
京華「岡島の事も頼んでたんだけど、警察に捕まる方が早そうね」
京華「返金請求しないと」
八千流「つまり、反社と関わっていたのは、お父さんじゃなくてね、アナタだった訳ね・・・」

〇モヤモヤ
  何なの?
  なぜ笑えるの?
  あの時の涙はウソだったの?
  私は、こんな人に全てを奪われたの?

〇本棚のある部屋
京華「このスタンガン結構強力だから安心して」
京華「気絶してからなら、何も苦しくないから・・・」
八千流「・・・二度も殺されて」
八千流「たまるか!」
京華「待ちなさい!!」

〇飾りの多い玄関
八千流「扉が開かない!?」
京華「無駄よ」
八千流「くっそぉ!」
  私は玄関に有る物を、手当たり次第に投げつけた
京華「無駄な抵抗を・・・」
  その時・・・
  夢中で投げた中の一つ、京華の傘が彼女の目の前で開いた
京華「きゃあ!?」
  一瞬で京華の視界が塞がれる
八千流「チャンス!」
  私は身をかがめ、京華の脇を潜り抜けた

〇おしゃれなリビングダイニング
八千流「窓から逃げ・・・」
八千流「がっ!?」
  後頭部に衝撃が走り、私はその場に崩れ落ちた
八千流「くっ・・・」
  倒れ込んだ私の隣に、砕け散った黒い物体が散らばっている
八千流「ひ、一人娘の後頭部に・・・花瓶投げつけるとか・・・」
京華「ごめんね、逃すわけにいかないの」
八千流「ぐっ!!」
  京華は倒れた私の上に座り込み、身動きを封じた
京華「もう一度だけ聞くわ」
京華「アナタは何者なの?」
八千流「・・・」
八千流「・・・瑠衣だよ」
京華「・・・は?」
八千流「優の前妻・・・明石瑠衣だよ」
京華「・・・」
京華「不思議ね」
京華「荒唐無稽な話のはずなのに」
京華「私は、やっぱりって思ってる」
京華「そう、アナタは瑠衣さんだったんだ」
京華「何となく納得出来た」
京華「恨みを晴らしに蘇って来たの?」
京華「私の娘になって」
八千流「知るもんですか」
八千流「私だって、望んでアナタ達の娘に転生した訳じゃない」
八千流「何所か遠い場所で生まれていたら、中途半端に前世を思い出さなかったら」
八千流「きっとアナタ達を恨む事も無かった・・・」
  不意に、涙が溢れて来た
八千流「私は、アナタの事も嫌いじゃなかった」
八千流「前世で不倫されたと知った時も、相手がアナタなら仕方ないかもって思った」
八千流「ずっと職場で優を支えてくれた人だったから」
八千流「そう、思ってたから・・・」
京華「・・・」
京華「私も、瑠衣さんの事は嫌いじゃなかった」
京華「好意すら抱いてた」
京華「見た目はおっとりしてるのに、芯が有って、強くて、他人の為に戦える人」
京華「優が惹かれるのも理解できた」
京華「同時にアナタ達の関係が、羨ましくもあった」
八千流「それで、私達の仲を壊そうと思った訳?」
京華「違う」
京華「初めは、ただ彼を支えようとしただけ」
京華「二人の仲に割って入る気なんて無かった」
八千流「だったら、何で・・・」
京華「そうね・・・」
京華「私は目的の為なら、他人の死もいとわない人間だって言えば理解して貰える?」
京華「優や瑠衣さんが憎いからやったんじゃない」
京華「それ以上に優先したい事が有った・・・ただそれだけ」
八千流「そう」
八千流「理解は出来ないけど、納得は出来た」
京華「・・・」
京華「ねぇ瑠衣さん」
京華「私と組まない?」
八千流「は?」
京華「世間には女ってだけで気を許す人間が居る」
京華「それが子供なら尚更」
京華「私と瑠衣さんなら、もっと大きなお金だって・・・」
八千流「・・・」
八千流「京華さん、アナタは私に好意すら持ってたんでしょ?」
京華「ええ」
八千流「なら、私がどう答えるかもわかるよね?」
京華「・・・」
八千流「寝言は寝て言いなさい!」
八千流「優を死に追いやった事!道哉を傷付けた事!実家を食い物にしようとした事!」
八千流「私は絶対に許さない!」
京華「・・・」
京華「・・・そう」
京華「残念」
京華「安心して、殺すつもりはないわ」
京華「アナタの体は、アノ人の大切な忘れ形見なんだから・・・」
八千流「・・・」
八千流「ふふ・・・」
京華「何笑ってるの?」
八千流「感謝してるの」
八千流「長々と昔話をしてくれて、どうもありがとう」
京華「・・・何の話?」
八千流「アナタ自分で言ってたじゃない」
八千流「「時間を掛けていられない」って」

〇飾りの多い玄関
「明石さん!いらっしゃいますか!」

〇おしゃれなリビングダイニング
京華「あの声は・・・」
八千流「そう、その道のプロの人だよ」
京華「くっ!!」
  京華は立ち上がろうと腰を浮かした
  その瞬間を狙い、私は京華の足にしがみ付く
京華「は、離しなさい!!」
八千流「逃がさないよ」
八千流「前世の私は、アナタを恨んでなかった」
八千流「でも今は違う」
八千流「アナタは、殺しただけじゃ飽き足らない・・・」
八千流「全てを白日の下に晒し、アナタは一生日陰者として生きて行きなさい!!」
京華「う、うるさい!!」
八千流「うっ!!」
  視界がブラックアウトして、意識を失う直前
田辺「八千流君!!」
  刑事さんの声が聞こえた気がした・・・

〇黒背景

〇病室
田辺「それで先生、彼女の容態は?」
医師「首筋の火傷、そして後頭部の打撲と裂傷、後は転倒した際に両膝を打撲」
医師「どれも軽度なので、数日で退院出来るでしょう」
田辺「軽度ですか」
医師「あくまで体の傷は・・・ですが」
田辺「・・・」
医師「ひとまず入院させますので、ご親戚へ連絡をお願いします」
田辺「わかりました」

〇病室
「・・・」
「やっと」
「やっと、ココまで来たんだね」
・・・「明石瑠衣さん」

次のエピソード:第十話

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