インシュリンの女

下假 貴子

第二話…ハーレイクインなマゾヒスト達〜前編〜(脚本)

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〇西洋の城
ベル「貴方に会えて良かった」
オル「時間だわ。さよなら」

〇警察署の入口

〇警察署の入口
中浜アナウンサー「こんばわ 警察署前です 数々の女性や男性に被害を及ぼした加害者達の刑罰が出ました」
中浜アナウンサー「3年の懲役刑罰となります 以上、警察署からでした」

〇たこ焼き屋の店内
八百屋のおじちゃん「いやあ、本当に物騒な世の中になったもんたあ」
ハル「この事件の真相聞きたいですか?高くつきますよ」
八百屋のおじちゃん「はっ・・・高く付くか 守ってくれるってか?片付いた事件なのに」
西園寺 優「俺も聞きたいです。 なっ・・・夏美!!」
山中 夏美「・・・」
ハル「話すね」

〇大きい病院の廊下
赤井 士気「はぁ、だりぃ」
赤井 士気「風呂入りてえ」
紺野 近「──」
紺野 近「士気君、待って」
赤井 士気「何だ!」
紺野 近「よかったコレ。差し入れ。クッキー何だけど」
赤井 士気「ありがとう」
紺野 近「いつもいい匂いするよね」
紺野 近「かわいい。 また、遊んでね」
赤井 士気「ぞわっ ああ」
紺野 近「じゃあ」

〇開けた交差点
華川 多喜「ああ知らなかった 7000万で200万残る。6800万で元に戻る」
  凄いよな秀才。私たちとは違うよ
  ぷ〜ん
  ただ、彼女、凄い、強烈な香り。いや匂いが、することが
華川 多喜「あと、その、彼氏、私の物になるから、覚えていて。 ぷ〜〜ん」
一般人「はい。 (ぼへぇ〜〜)」
一般人「貴女はいつもいい香りがするわ~」
  他人の香りを自分の物にすることもしばしば。したたかな女である

〇広い公園
五十嵐 辰「あはははははは・・・あはははは」
五十嵐 辰「もう、この世は、終わりだ──。 俺の周りは終わってる俺は。俺は。俺は」
河合 香菜「はあ・・・。 辰君、今日もかっこいい はい、お弁当」
五十嵐 辰「おわってる──」
中島 愛加「愛加、信じてるよ 分かってるから」
五十嵐 辰「あはははははははははは」
五十嵐 辰「わらう、わらうぞ どうして、分からない。この世は終わってる・・・ 皆頭がおかしい。この二人はそんなに可愛くないぞ」
五十嵐 辰「このふたりの正体が見えない何て余程、巻き込まれてるんだな。 何も知らないっていいな」
五十嵐 辰「はあああ、酸素が吸いたい。 産まれた時からこうだ。 目が良すぎるばかりに、五感がすぐれてるばかりに」
五十嵐 辰「あぁ、味が分かるとほんとがみえてくる」
五十嵐 辰「あ、おい。 そこの────」
山中 夏美「はい」
五十嵐 辰「お前、巻き込まれてるぞ・・・前は、もっと、シャキッとしてたのに 大丈夫か?」
山中 夏美「大丈夫!? 今から病院で。 耳鼻科に行くの。メニエール病だって。死ぬこともあるみたい」
五十嵐 辰「ふっ。 おい、大丈夫か」
山中 夏美「ダメだね泣いちゃ こんな、不細工、相手にもしてくれないのに」
五十嵐 辰「お前は不細工じゃないぞ。 キレイだよ! 全てはこの、ウソの世界が悪いんだよ」
五十嵐 辰「お前みたいのは水をいっぱい飲め。 一杯じゃないぞ。沢山、飲まなきゃいけないんだよ。被害者、沢山、いるんだ」
五十嵐 辰「メニエール病って幻覚も見えて幻聴も聞こえて五感が可笑しくなって、脳に司令がいかなくなる感覚もないらしい」
五十嵐 辰「可笑しいのに、それが分からなくて日常を過ごすんだ」
五十嵐 辰「だから、そうなると、どうなる?五感もおかしくなって、三半規管も可笑しくなると」
山中 夏美「気持ち悪くなる?平行感覚がおかしくなる」
五十嵐 辰「だけど何も気付かないで過ごす人が多いんだよ。けどそうやって元気なくなってウツだと思うのにお前は気づいた」
五十嵐 辰「じ──っ。 キレイなのにな。成れの果てだよ・・・」
山中 夏美「・・・」
山中 夏美「私、綺麗じゃないのに何いってるの」
五十嵐 辰「とにかく水を飲め。 いや、まてよ。 ちらっ」
五十嵐 辰「・・・悪かった。 お茶だ・・・」
か「頭悪そう・・・」
河合 香菜「うちのが頭いい・・・」
五十嵐 辰「いらつくだろ この、世界、お茶が一番だ。 千利休もいってる。 何かを成し遂げようとしている人は毎日、熱いお茶を呑めと──」
五十嵐 辰「まあ、でも、極上のお茶を一杯飲むと、すぐに治るかもな」
か「金粉のお茶最高──」
河合 香菜「やはり、かおりのあるお茶かしら」
五十嵐 辰「ちゃんと煎れたお茶を淹れてもらえ。それが一番だ・・・。人に淹れて貰えたお茶は心が休まる最高だぞ。 じゃあな──」

〇大きい病院の廊下
丸井 丸男「いやぁ、情けない・・・ メニエール病で。こんなに、太りましたよ」
久川 楓「いやあ、貴方もですか?私もなんですよ」
丸井 丸男「ご飯は、そんなに、食べてないんですけどね」
久川 楓「私もですよ」
家無 兼有「ご飯は大事だ!? 俺は農業してる─。 砂糖をまいて米を作ってる・・・」
丸井 丸男「贅沢ですね・・・」
家無 兼有「お陰でうまれつきメニエール病だ。 農家の息子なのにな・・・矛盾してる」
丸井 丸男「お茶の味が分かる人は全ての味が分かるというのに・・・。お米が嫌いなんて失格者ですね。だから、メニエール病になったんですよ」
久川 楓「目に見えーる病気・・・。 だからメニエール。 私の教え子達もメニエール病なんですよ」
久川 楓「最近まではイジメのあったクラスだったけどクラスの一人の言葉で変わったんです。聞きたいですか?」
丸井 丸男「はい。是非」

〇教室
  起立、礼
久川 楓「では、皆さん、礼儀を忘れずに挨拶しましょう」
生田 育「はーい」
生田 育「あんた、やるじゃん・・・凄いよ」
下坂 花梨「ありがとう でも、私は負けないから、そんな言葉で我利我利君はあげないから」
下坂 花梨「はあ・・・。 我利我利君」
  下坂さんは知らなかった・・・。
  生田育が凄いモテる事を・・・・・・。到底。敵わない相手だったことを。
  皆は生田育をこう呼ぶ。
  女版スパイダーマンだと・・・。
  手に入れられないものは何ひとつない。
  下坂はそれを30代になるまで知る由もなかった。
市成 一成「大丈夫・・・。 僕、この前、君を傷付けたから」
下坂 花梨「大丈夫 わたしのがわるいから」
下坂 花梨「悪い私を許して下さい」
下坂 花梨「バットでぐるぐるしてころんだのを市成君が笑って見てたやつでしょう?あの後わたし怒ってしまって傷付けた」
下坂 花梨「貴方の顔を見ると笑ってしまう。だから、私は貴方をイケメンだと思わない・・・それほどまでだと思ってしまってごめんなさい」
下坂 花梨「って・・・。でも、貴方はそんな私をゆるしてくれた。たった今。懺悔に懺悔して、ごめんなさい」
市成 一成「大丈夫・・・気にしてないよ。 にこっ」
下坂 花梨「うぇ──。 やはり気持ち悪い。凄い良い人なのに頭いいのに」
下坂 花梨「私は心が汚いよ」
市成 一成「気にしてねえ──。 俺は将来カッコよくなる」
市成 一成「みてて・・・」
生田 育「ムードメーカーだよな」
鮫島 大輔「僕、君には負けないよ」

〇大きい病院の廊下
丸井 丸男「仲良くなったんですね」
家無 兼有「でもよ、それの、どこがメニエール病なんだ?」
久川 楓「分かりません? 仲悪かったのが少ししたことで仲良くなった」
丸井 丸男「だから?」
久川 楓「原因は確かにそれだったけど。喧嘩になるようになった作りにされたんです。ホントはその子とはイジメあってないのに」
久川 楓「何故、イジメが起こったか。メニエール病だからです。被害の方のね。仲直りしたでしょう?皆プラスの方に向かったでしょう?」
久川 楓「その仲直りした時の顔は可愛いもんでした。でも、いかんせん、スタイルが良くない。太ってたり痩せてたり・・・」
久川 楓「ある子がふざけたことを言って逃げました。するとそこに別な子が偶然きて・・・。バツが悪そうな顔をしました。分かりますか?」
丸井 丸男「なるほど」
家無 兼有「じゃあメニエール病恥じゃないんだな?」
久川 楓「・・実は赤ちゃんの時からメニエール病あるんですおたまじゃくしの時から。その時は一杯頑張ったらいい」
久川 楓「お玉じゃくしの時から可愛がったら本当に立派な赤ちゃんが産まれますよ」
久川 楓「それから産まれた理由を知ってる子は本能で世界を理解してます。普通の子と違って泣き方が違うんです」
久川 楓「だからといってすがりついたらいけません。その子はその人を理解してるんです。自分すがりつきすぎてると嫌われますよ」
久川 楓「逆も然りですが余程しっかりしてるか。騙すだけの為に産まれた子。自分だけの世界に生きる子になりますね」
久川 楓「普通に解読力のある人はやせてますけどない人は太ってます。けどそこにもっと凄い・・・」
久川 楓「他人をプラスに変える100%変えられる人なんかは普通に一緒に過ごしている人より太ってます」
久川 楓「まあ見えすぎてストレスになっているって事です」
久川 楓「また並大抵じゃない物を持ってる人は周りを巻き込んで周りが太ります」
久川 楓「ストレス。その人の悪にストレス感じて、その人の正義にうんざりしてストライキレス」
久川 楓「ストレスを感じるんです」
家無 兼有「俺の周り悪だけど痩せてる──。俺は太ってる。正義感強いって事だな、俺」
久川 楓「あはは。 面白い」
丸井 丸男「あ、ほら、また患者さんが・・・」
山中 夏美「ふぅ・・・」

〇大きい病院の廊下
  つづく・・・

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