〇広い公園
オジマンディアス「余の具現を一撃で破るかっ・・・！」
源為朝「次で終わりだ」
オジマンディアス「連発できるとでも言う気か・・・！」
源為朝「この地の霊脈から供給を受けられない貴様では無理だろうがな」
オジマンディアス「おのれ・・・！」
オジマンディアス「止むを得ん・・・余の具現によって消滅する栄誉をくれてやる・・・！」
オジマンディアス「刮目せよっ！」
オジマンディアス「ストラトス・ヴァスィリャス！」
平将門「いかぬっ！　為朝殿！　我の影へ！」
平将門「東国の守護！」

〇広い公園

〇広い公園
平将門「どうやら保ってくれたようだ」
源為朝「さすがは、この土地に於いて最強の盾」
平将門「さて、次なるは、ふたたびの最強の弓」
源為朝「この土地で俺たちと相まみえたこと、神格の御座に戻って後悔するといい」
オジマンディアス「おのれ・・・！」
安倍晴明「頃合いですね」
オジマンディアス「・・・！　どこから現れた・・・！　幻術の類いか・・・？」
安倍晴明「お初にお目もじ致します。晴明と申します」
オジマンディアス「はるあきら・・・貴様が機関の・・・？　そうか・・・」
安倍晴明「陛下は、このような場所で消えられてはなりません」
オジマンディアス「余に退けと申すか・・・」
安倍晴明「左様です。今宵は矛を収めくださいますよう・・・次の機会は私どもが用意致します」
オジマンディアス「・・・良かろう」
安倍晴明「では、将門公、為朝殿。この場は失礼をば」
平将門「晴明殿が出張ってきたか・・・」
源為朝「・・・感知できない、か・・・敵に背を向けるとは口ほどにもない」
平将門「・・・今宵はここまで。躯を戻すとしよう」
源為朝「・・・御意」

〇広い公園
千葉雅文「どうやら機関は、予想以上に分裂しているようですね」
東郷雄太「晴明、いや、萩原さんが向こうにつくと厄介かと・・・」
千葉雅文「そうですね・・・彼は元来、読めない男でしたが、こうなると・・・」
千葉雅文「お、派手にやってしまいましたからね。通報されたようですね」
瀧上正臣「後のことは、俺が」
千葉雅文「瀧上さん、でしたか・・・では、お任せします」
瀧上正臣「なんなら、お送りしますが？」
千葉雅文「いえ、それには及びません」
瀧上正臣「そうですか・・・」
千葉雅文「しかし、危険な現場に自ら出向かれるとは、少し意外です」
瀧上正臣「この目で見ないと納得しない質でして」
千葉雅文「いかがでしたか？　憑坐同士の対立を目の当たりにしてみて」
瀧上正臣「俺が理解できる範疇を、軽く超えてますな」
千葉雅文「それでも、ご自分の目で確認なさいますか？　今後も」
瀧上正臣「ええ、足を突っ込んだ以上、見ないという選択肢は俺の中にないので」
千葉雅文「なかなかの気概をお持ちですね。それは警察官としての気概ですか？」
瀧上正臣「・・・ええ」
千葉雅文「そうですか。では、この場はお任せして、私たちは失礼するとしましょう」
瀧上正臣「千葉さん。一つだけ伺ってもよろしいですか」
千葉雅文「なんでしょう？」
瀧上正臣「あなたに憑依している将門公は、この地に住む人々を守る側で間違いありませんか？」
千葉雅文「そうですよ。将門公には怨霊のイメージが付いて回りますからね。不安ですか？」
瀧上正臣「・・・いえ」
千葉雅文「将門公に怨霊のイメージが付いたのは、近年のフィクション作品によるものです」
千葉雅文「ご安心を。将門公はこの地の守護神に他なりません」
瀧上正臣「それを聞いて安心しました」
千葉雅文「では、私たちは失礼します」
瀧上正臣「東国の守護神、か・・・」

〇ダブルベッドの部屋
　　翌日、正午過ぎ
　　優美はルームサービスで昼食を済ませた
児玉優美「わたしたち、いつまでここにいるんでしょうか・・・」
北畠真弘「そう悲しい顔をなさらずに・・・」
児玉優美「すみません」
児玉優美「わたしよりも二人の方が・・・」
北畠真弘「僕たちのことは気になさらずとも大丈夫ですよ」
高倉隼人「ですです。気にしなくていいです」
児玉優美「・・・ありがとうございます」
北畠真弘「遠野さんが来たようですね」
児玉優美「はーい」
遠野篤志「連日、同じ部屋にいては息が詰まるでしょう。少し外出しませんか」
児玉優美「え、いいんですか？」
遠野篤志「はい。四人でドライブでも。お話ししたいこともありますので」
児玉優美「はい。おねがいします」

〇車内
遠野篤志「少し遠出しましょうか」
児玉優美「はい」
遠野篤志「どこか、ご希望はありますか？」
児玉優美「出来れば、屋外施設で明るいところがいいかも、です」
遠野篤志「分かりました。では、遊園地にでも」
児玉優美「はい！　おねがいします」
児玉優美「それで、お話しというのは・・・」
遠野篤志「昨夜、千葉さんと東郷さんが、オジマンディアスと接触し、戦闘となりました」
児玉優美「今朝ニュースで見ました。代々木公園での謎の爆発事故、ですね・・・」
遠野篤志「はい。戦闘は、萩原さんの介入により中断され・・・」
児玉優美「え？　萩原さんが？」
遠野篤志「そうです。現在、オジマンディアスは萩原さんと行動を共にしています」
児玉優美「そんな・・・萩原さんが・・・」
遠野篤志「今や、螺旋機関の極東支部は分裂状態にあります」
遠野篤志「大まかに言えば、漸進的な保守派と、急進的な革新派。その二つに分裂しています」
遠野篤志「米国、とりわけ在日米軍を主体とした急進派が、主だって事態を動かしています」
遠野篤志「彼らは、オジマンディアスを貴重な実験体として捉えています」
児玉優美「実験、ですか・・・？」
遠野篤志「螺旋機関という組織が持つ、最も強い動機は好奇心です」
児玉優美「好奇心・・・」
遠野篤志「萩原さんは、好奇心を優先する急進派の意向に沿うことを決めたようです」
児玉優美「そう、ですか・・・萩原さんが・・・」
児玉優美「わたしは、どうすればいいんでしょうか？」
遠野篤志「当面、我々とともに行動していただくと、ありがたいのですが」
遠野篤志「よろしいですか？」
児玉優美「はい。分かりました。お願いします」