〇銀閣寺
　　──修学旅行の再開の動きが見られる
　　ここ数年、感染対策の観点から
　　修学旅行が見送られてきていたが
　　今年は通常実施される予定となった。
　　児童・生徒達にとっては、
　　大変喜ばしいニュースとなったが、
　　引率教師にとっては
　　悲喜交々というところだろうか？

〇寂れた旅館
　　教師の監督責任が
　　「おはようからおやすみまで」
　　及ぶとなれば、休まるヒマもないだろう
　　ここにも、そんな大変な引率教師が、、、

〇古いアパートの廊下
引率教師「さて、消灯時間になったことだし、 生徒達には素直に寝てもらわないとな」

〇黒
引率教師「消灯だぞー！」

〇広い畳部屋
引率教師「電気消したから、もう寝ろ！」
生徒「はーい・・・」

〇古いアパートの廊下
引率教師「やっぱり起きていやがったか・・・」
引率教師「次、男子６人部屋か・・・」

〇黒
引率教師「消灯だぞー！」

〇広い畳部屋
引率教師「電気消したから、もう寝ろ！」
生徒「はーい・・・」

〇古いアパートの廊下
引率教師「あいつらも起きていたか・・・」
引率教師「最後が、男子の10人部屋だな・・・」

〇黒
引率教師「消灯だぞー！」

〇広い畳部屋
生徒「二十三、二十四、二十五、、、」
生徒「四十七、四十、、は、、、ち、、、、」
生徒「フン、サイドチェストー!!」
引率教師「お前ら、何やってるんだーー!!」
生徒「見てのとおり、筋トレですよ！」
生徒「ポージングなのは一目瞭然でしょう!!」
引率教師「んなことを聞いてない!!」
引率教師「もう寝る時間だぞ！ 電気消すから、さっさと寝ろ！」
生徒「はーい・・・」

〇黒

〇古いアパートの廊下
引率教師「何だったんだ、アレ・・・」
引率教師「アイツら、明日の夜は 大人しくなってるかな？」
引率教師「いや、大人しく寝るタマでもないか!?」
引率教師「とにかく、さっさと寝てもらわないと、 俺も休めないからな・・・」

〇寂れた旅館
　　──翌日

〇古いアパートの廊下
引率教師「今日はどの部屋の生徒も素直に寝ているな」
引率教師「流石に、旅の疲れが出てくる頃だしな」
引率教師「最後の10人部屋の連中も、 大人しく寝ていていればいいのだけど」
引率教師「さて、行ってみるか！」

〇黒
引率教師「消灯だぞー！」

〇広い畳部屋
生徒「せんせー、驚いてないで、 ピラミッドを撮影してよー!!」
生徒「先生が来るまで、10分間ずっと この状態なんだから！」
引率教師「・・・な、何なんだコレ？」
生徒「先生、早く撮って!! 俺、もう限界だからー!!」
生徒「見よ、俺の筋肉ー!!」
引率教師「わかった、すぐ撮ってやるから、 さっさと終わらせて寝ろよ！」
引率教師「はいはい、ちゃんと撮ったから、 もう終わりな・・・」
生徒「せんせ、、、あり、、がと、、」
引率教師「ほらほら、崩れてないで、 さっさと寝る仕度をしろ！」
引率教師「電気消すから、さっさと寝ろよ！」
生徒「はーい・・・」

〇黒

〇古いアパートの廊下
引率教師「何で組体操を、 しかもピラミッドなんかしてるんだ・・・」
引率教師「それを10分間続けて!?」
引率教師「あんなのをマトモに相手していたら、 俺も体力的に限界になるわ・・・」
引率教師「ともあれ、明日は最後の夜、 アイツらも疲れてもう無茶はできないだろ」
引率教師「今日のところは、俺も寝るとするか・・・」

〇寂れた旅館
　　──翌日

〇古いアパートの廊下
引率教師「さて、今日は修学旅行の最後の夜」
引率教師「生徒だけでなく、俺らも 体力的に限界を迎えているからな」
引率教師「あの10人部屋の連中も、 変なことする体力は残ってないだろ」
引率教師「さて、今日こそは大人しくしているのを 信じて、行ってみるか！」

〇黒
引率教師「消灯だぞー！」

〇広い畳部屋
引率教師「よし、今日は何もやってない！」
引率教師「筋トレもなければ、組体操もない！」
引率教師「何もなければ、誰もいない！」
引率教師「これで今日はゆっくり眠れるな・・・」
引率教師「さーて、部屋に戻るか・・・」
引率教師「んっ!?」
引率教師「誰もいないって、どういうことだー！」
引率教師「アイツら、どこ行ったー!!」