そして私たちは大海に漕ぎ出す

光章生

第1話(脚本)

そして私たちは大海に漕ぎ出す

光章生

今すぐ読む

そして私たちは大海に漕ぎ出す
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇テーブル席
志保見優香「先週の合コン、全員医者って話だったのに蓋を開けたらほぼフリーター 詐欺だよ本当」
立花香里「うわーそりゃないわ 時間無駄にしたね 会計は?」
志保見優香「勿論全額払ってもらった 詐欺ってたんだから当たり前っしょ」
立花香里「ま、だよねー」
志保見優香「香里はデートだったんでしょ? いいなぁ、実業家の彼氏なんて私の理想だよ」
立花香里「実業家だったのはたまたまで私は将君が何の仕事してても好きになってたから・・・」
志保見優香「うおーい、惚気やがってこんやろー 羨ましいな、おい」
立花香里「そんな、惚気だなんて・・・ しずくはどうなの?」
愛城しずく「え? わ、私?」
立花香里「フリーなのは知ってるけどもう結構長いでしょ? 気になる人とかいないの?」
志保見優香「お、私も気になるなー しずくから恋愛話って聞いたことないから」
愛城しずく「え、えっと・・・今はいないかな、気になる人は」
志保見優香「学生の頃はいたんでしょ? どんな人だったの?」
愛城しずく「それは・・・」

〇おしゃれな大学
  8年前
長谷川百花「かえろ! しずく」
愛城しずく「うん!」
長谷川百花「今日の晩御飯なに?」
愛城しずく「今日はビーフシチューだよ 百花好きでしょ?」
長谷川百花「うん、大好き! しずくと同じくらい!」
愛城しずく「えー、私への気持ち食べ物と同じくらいなのー」
長谷川百花「同じって言ってもビーフシチュー100個分だもん!」
愛城しずく「えー何それー」

〇テーブル席
愛城しずく(い、言えない でもここは何とか乗り切らないと)
愛城しずく「どこか抜けてるっていうか、とぼけてる感じの人だったな」
志保見優香「へー、しずくってそうゆうタイプの人と付き合うんだ」
立花香里「意外かも でも、しずくしっかり者だから相性がいいのかもね」
愛城しずく「うん、本当に変な子でね」
愛城しずく「料理下手だから私が毎日料理してたんだけど、私をどのくらい好きかを食べ物で例えてきてそれがカワイイんだけど──」
愛城しずく(あ、私気づいたら百花のことこんなに話して しかも二人は彼氏だと思ってるのにカワイイだなんて・・・)
立花香里「しずく・・・」
愛城しずく「あ、えっとカワイイって言うのは例えと言うかその──」
立花香里「わかるー!」
愛城しずく「え?」
志保見優香「男子ってそうゆう子供っぽいところがカワイイって思えるんだよねー」
立花香里「うん、この歳だと流石にキツイかもだけど学生の頃だったら全然カワイイよね」
愛城しずく「あ、だ、だよねー」
愛城しずく(あ、そっか 男でも普通にカワイイって思うことあるんだ)
立花香里「しずくは大好きだったんだねー その彼氏さん」
志保見優香「うん、いつも全然違って表情輝いてるから分かりやすすぎるわー」
立花香里「でもどうして別れたの?」
愛城しずく「えっと、それは・・・」

〇女の子の二人部屋
  7年前
愛城しずく「出ていくって・・・なんで? そんな急に」
長谷川百花「お父さんとお母さんにしずくのこと話したの 恋人だって」
長谷川百花「そしたらお母さん、泣き崩れちゃって お父さんは私を怒って」
愛城しずく「そんな・・・」
長谷川百花「私が悪いの 受け入れてくれるって勝手に思ってたから」
長谷川百花「でも、お父さんもお母さんも違う人間なんだから、考え方が違うのは当たり前だよね 私、二人を傷つけちゃった」
長谷川百花「だから・・・だから、ごめん しずくのことは本当に大好きなの・・・だけど」
愛城しずく「百花は悪くない お父さんとお母さんを大事にできるなんてとっても優しいよ」
長谷川百花「ごめん、しずく・・・ごめん」
愛城しずく「いいの、百花も誰も悪くない・・・謝らないで」

〇テーブル席
愛城しずく(い、言えるわけない 同性愛だったからなんて)
愛城しずく(あんな想いをするなら、私は二度と恋なんて・・・)
志保見優香「しずく?」
???「いやー、こんなに美人なのにどうして恋人いないの愛川さん?」
立花香里「うわ、あれって・・・」

〇テーブル席
野々原「そんなに美人なら引く手あまたでしょ」
愛川菜々美「いえ、そんなことは・・・」
姫野「うそー!? 今の若いのは見る目がないな それとも草食系っていうのばっかりでアタックできないのかな」
野々原「いやー、だったら愛川さんから仕掛けたほうがいいよ 君だったら選び放題じゃない」

〇テーブル席
立花香里「あれって人事部の愛川さんじゃない?」
志保見優香「早く結婚しろって、あれ完全にマリハラじゃん」
愛城しずく「た、大変だよね愛川さん 部署で女性一人だから」
志保見優香「本当だよ しかもこんな公共の場で白昼堂々あんなハラスメントしてるなんて」
立花香里「モラルのかけらもないよね」
愛城しずく「ゆ、優香ちゃん 助けてあげたほうが・・・」
志保見優香「いやぁ、他部署とはいえ一応あの二人立場上だから・・・」
立花香里「だよね・・・愛川さんには悪いけど目の敵にされたくないし」
愛城しずく「う、うん だよね」

〇テーブル席
姫野「どんな人がタイプなのよ おじさんみたいな中年でもあり?」
愛川菜々美「いえ、その・・・人を好きになったことがなくてそのような感覚はあまり分からないので・・・」
野々原「なーにその冗談! 姫野さんは範囲外ならハッキリ言っていいんだよ どう見ても不釣り合いなのは分かってるから」
姫野「酷いなー野々原さんはー」
愛川菜々美「いえ、本当に恋とかそうゆうものには縁遠くて・・・」
野々原「え・・・」
姫野「え・・・」
愛川菜々美「おかしい・・・でしょうか?」
野々原「そりゃ、だって30過ぎでしょ? 愛川さん」
姫野「そんな発言許されるのは小学生までだよ いい人紹介しようか?」
愛川菜々美「い、いえ 大丈夫です」
野々原「いやいや紹介してもらったほうがいいって」

〇テーブル席
志保見優香「いやーマリハラから逃げたいからってあれは」
立花香里「逆効果っていうか・・・ないよね」
愛城しずく「本当だ」
志保見優香「え?」
愛城しずく(あの愛川さんの目は嘘を吐いてない ずっと恋を遠ざけてきた私と同じ目をしているから)
志保見優香「あ、ちょっとしずく!?」

〇テーブル席
姫野「ほら、この人なんかどう? 愛川さんと年齢も近いし悪くないと思うよ」
愛川菜々美「いえ、私は大丈夫ですから」
???「ちょっといいですか?」
姫野「な、誰だ君は?」

次のエピソード:第2話

コメント

  • 同性愛者なのをカミングアウトしづらい空気感、そしてオッサンからのマリハラ、とてもリアルな描写で身近なことのように思えました。ここからの物語展開が楽しみです!

成分キーワード

ページTOPへ