第11話 再会(脚本)
〇青(ダーク)
マスター・マザー「よちよち・・・・・・」
マスター・マザー「もう泣かなくて良いの・・・・・・」
マスター・マザー「何もしなくて良いの・・・・・・」
マスター・マザー「全部ママがやってあげますからね・・・・・・」
マスター・マザー「勉強もしなくて良い。働かなくても良い・・・・・・」
マスター・マザー「責任なんて感じる必要はないの・・・・・・」
マスター・マザー「義務なんてないの・・・・・・」
マスター・マザー「嫌になったら、全部止めてしまえば良い・・・・・・」
マスター・マザー「誰だって同じよ? 恥ずかしくなんてない・・・・・・」
マスター・マザー「みんな、ママの子供ですからね・・・・・・」
マスター・マザー「さあ、もうねんねしましょうね・・・・・・」
幼児退行の被害が拡大していた。
病院はどこもパンクしており、患者がたらい回しにされている。
重篤者の中には、知能の低下、身体機能の麻痺なども起きていた。
原因は未だに不明。医療関係者は悲鳴を上げていた。
インフラは機能不全、経済は麻痺。
未曾有の危機に人類は為す術もなかった。
〇車内
アメタ「頂きます」
ウリコ「はい。めしあがれ」
きっちり一日三回、食事を取るのが僕とウリコの習慣になっていた。
問題は味だった。
不味いのではない。寧ろ美味いから困るのだ。
アメタ「もうプロ級だな」
アメタ「将来はフードデザイナーかな?」
ウリコ「うへへへ・・・・・・」
決して派手な料理ではない。素材の味を活かした素朴なものだ。
しかしどこか懐かしさを思い出させる。そんな味。
全然飽きないから、僕の胃袋はすっかり配給品では満足出来なくなってしまった。
ウリコ「ままに、おそわったの」
所謂、お袋の味ってやつか。
僕にとっては未経験の味。
いや幼い頃にあっただろうか。
尤も、あの母さんだから料理なんて破廉恥な真似をする筈もない。
記憶にないのはそのせいだろう。
アメタ「ウカの味か・・・・・・」
昔ウカが言っていた。
食は文化になりうる、と。
親から子へと受け継がれていくもの。
遺伝子ではなく模倣子。
今ならわかる気がする。
食事は生存の為に仕方なく行うものではなく、心を豊かにするものだと。
アメタ「ご馳走様でした」
ウリコ「おそまつさまでした」
要するに僕は今、幸せを感じている。
こんな家族ごっこがいつまでも続くとは思えないが、それでも今だけは。
それともウカが快復したら、ごっこではない本物の家族になれるだろうか。
ウリコ「ちゃんとはみがきもして!」
アメタ「あ・・・・・・ はい・・・・・・」
ウリコ「おひげもそって!」
アメタ「はいはい・・・・・・」
実に良く出来た娘だ。
〇空港のエントランス(人物なし)
ムルア「デートって・・・・・・ 子連れで、か?」
ARFのムルア・サテネ。
今回の仕事には適任の人材だ。
アメタ「得意だろ? 子供のお守り」
ムルア「どういう事だ?」
アメタ「メールで知らせた通りだ」
ウリコ「アメタおじさんの、およめさん?」
アメタ「・・・・・・違う」
ムルア「おじさんって・・・・・・ お前の子供じゃないのか?」
アメタ「・・・・・・? 言わなかったっけ?」
アメタ「知り合いの子だ」
ムルア「そっか・・・・・・ そうか。そうか・・・・・・」
ムルア「宜しくな〜 ウリコちゃん」
ウリコ「うん」
〇空港のエントランス
中国と言えば食。食と言えば中国。
食糧危機は大国の経済にも文化にも壊滅的な打撃を与えていた。
格差は益々広がり、富裕層が構成する当局によって、ほぼ完璧な独裁が実現していた。
全人口は20億弱と言われているが、これは定かではない。
産児制限策、所謂一人っ子政策で、罰金を避ける為に出生届を出さない者が続出したからだ。
特に労働力を必要とする農村部に目立ち、戸籍がないが故に当然受けられる筈の社会福祉も受けられない。
働き口を求めて、闇社会や周辺諸国への不法入国など、社会問題も起きていた。
だからなのか。真っ先に人口を管理し、コントロールしようなどと考えたのは。
日本以上の、極端な管理社会だ。
それにしても素晴らしい体型の持ち主が多い。
間違いなく富裕層だろう。
中国では戸籍によって住む地区や、職業が区別される。
都市部の城鎮戸籍と、農村部の農業戸籍だ。
ホワイトカラーとブルーカラーと言った方がわかりやすいだろうか。
農業戸籍を持つ者が都市部で就職しようとすれば、田畑の権利を手放さなければならない。逆も然り。
当然リスクが高くつくから、この格差をなくすのは難しい。
昔ながらの世襲制は未だに根強く残っている。
ウリコ「みんな、おっきいねぇ」
アメタ「そうだな・・・・・・」
間違ってもハングリストなんていないだろう。
世界中を席巻しつつある飢渇至上主義も、この国では超アウェーだ。
ムルア「で? どうして中国なんだ?」
アメタ「メールで説明した通りだ。例の幼児退行現象の調査だよ」
ムルア「幼児退行? 何の話だ?」
アメタ「・・・・・・え?」
〇田園風景
〇停車した車内
食糧をしこたま買い込み、レンタルした車に揺られ、僕らは一路チベットはラサ方面へと向かう。
ムルア「成程。そんな事が起きていたのか」
アメタ「ニュースくらい見ろよ。世界中で騒がれてるぞ」
ムルア「自分とは関係ない情報なんて、意味がないじゃないか」
アメタ「アラムスタンでは幼児化はない?」
ムルア「少なくとも私の周りでは見られないな」
ムルアの周りって事はつまりARFだ。
元々子供だから幼児化しないって事なのか?
じゃあ何歳からなら大人と言えるのか。
幼児化の条件とは無関係なのか。
或いは、人工肉を食べていないから?
ムルア「空港にいた連中だって、何ともなかったじゃないか」
アメタ「・・・・・・確かに」
やはり個人差があるのか?
人口が多いので、単純に無事な者が多いのか。
いや、それなら発症者の比率だって高い筈だ。
まあ、それもハイヌヴェレ博士に会って話せば、はっきりするだろう。
〇荒地
アメタ「熱源!?」
アメタ「ウリコッ! 怪我はないかっ!?」
ウリコ「・・・・・・だいじょうぶ」
ムルア「どこも痛くない?」
ウリコ「うん」
アメタ「この爆発・・・・・・ RPGか?」
うまく躱したというより、わざと外した様な撃ち方だった。でなければこの程度の被害では済まない。
ムルア「威嚇か?」
ARコンタクト、索敵モード。
ムルア「子供!?」
アメタ「黒孩子(ヘイハイズ)・・・・・・」
少年兵~!!😆
……いえ、お子様たちの幸せは心から願ってますよ!願っていますけど!くっ、右目が疼く……
ムルアちゃんはもしかして、アメタのこと?
ウリコちゃんが可愛いですね!手料理食べたいです💕
マザーって存在感が不思議なんですよね。実在するのかなぁ
ムルア再登場よき🤤
冒頭のマザーも不穏だし幼児化しない地域も気になるところ
幼児退行が起きてない国があるんですね💦どういうことなんでしょう😫また危険な地域に来てしまいました😱いや、こっちの方が安全なんでしょうか💦
とにもかくにもウリコちゃんを我が家に嫁に下さい🙇