#9. それぞれの道へ、後編(脚本)
〇中世の街並み
時はさかのぼり、
ルカとサラが別れたばかりの頃
サラ「どうかビラを 受け取ってください」
サラ「差別の無い世界を目指しませんか? ほんのささいな事でいいのです」
サラ「家族や隣人を思いやるように 今一度自分の言動を振り返ってみませんか?」
国民「バカバカしい」
国民「そんなの綺麗事だ・・・」
サラ(最初から上手く行くなんて思っては いないけど・・・)
国民「邪魔だよっ!! まったく暇なお嬢ちゃんだねぇ」
サラ「ごめんなさい」
いく日か経つうちに、
シオン「大丈夫ですか?」
サラ「はい、 ありがとうございます」
シオン「まったく、 発展的なお嬢さんですね こんな事をする方は 今までに見た方が無い」
サラ「あはは・・・ 無謀でしょうかね?」
シオン「いいえ」
シオン「深く 感銘を受けました」
サラ「!!」
一人ずつ、
ほんの少しずつ、
サラの活動を応援する者も現れた
国民「邪魔だ」
国民「いい加減やめろ」
卵や、
トマトが投げつけられる
シオン「サラさん 大丈夫ですか!?」
サラ「ええ・・・」
サラ「国民の皆さん・・・!!」
サラ「食べ物は 大切にしましょう!!」
マルス「アハハハハ 傑作だわ!!」
サラ「えっ!?」
マルス「そっちなのね? 大丈夫? (ドロドロだけど・・・)」
マルス「アタシはマルス 新聞社に勤めているわ」
マルス「アナタの噂は聞いてるわ」
サラ「!!」
マルス「どうかしら? アナタの恋のお話を 掲載出来ないかしらね?」
サラ「私の話を」
マルス「そう。 ヴァンパイアとの、 恋の話よ」
サラ「!!」
〇市場
マルス「大丈夫よ、 そんなに警戒しないで 私はあなた達を応援しているのよ」
マルス「ヴァンパイアの青年との道ならぬ恋なんて 素敵じゃない」
マルス「それに今時 ヴァンパイアを差別するなんて 時代遅れもいいところよ」
マルス「これは あなたの目指す道への近道かも しれないわよ?」
マルス「私もアナタの考えには 賛成よ」
マルス「性差別だって ナンセンスだわ」
サラ「私も同感です」
サラ「夢物語と言われますが、 それぞれが自由に自分らしく生きて行ける世の中であるべきだと思うのです」
マルス「ますます気に入ったわ! サラ、 うちであなたの物語を書いてちょうだい!」
サラ「私に、 書けるのかしら・・・」
マルス「文章を見させてもらったわ 修正点はあるけれど きっと出来る」
マルス「大丈夫よ! 一緒に時代を作るのよ」
サラ「!!」
〇上官の部屋
サラ「うーん、 物語、物語・・・」
サラ「何とか形にしてみないと・・・」
〇英国風の部屋
サラ「書いてみましたが、 どうでしょう?」
マルス「うん、悪くない。 文章も構成もそれなりに」
マルス「でもそれなりなのよ・・・ 伝わるものが薄いというか」
マルス「私が求めているのは 綺麗にまとまった文章では無いの」
マルス「エモーショナルよ!!」
サラ「!!」
マルス「誰かと同じ綺麗な文章じゃなくて、 あなたの感じた事や想いをもっと伝えて」
マルス「街頭で伝えようとしていた事を思い出して」
マルス「あなたになら 誰かの心を動かす事が出来るわ」
サラ「分かりました」
サラ「書き直してみます」
〇上官の部屋
サラ「とは言ったものの、 一体何から書いていいのやら・・・」
〇宇宙空間
サラ「出会った時の事、」
サラ「あなたに惹かれ始めた事・・・」
サラ「ヴァンパイアは、 皆が思っているような人々では無く」
サラ「人と同じ心を持っているということ」
サラ「会えなくても、 いつもあなたを想っていること・・・」
〇英国風の部屋
サラ「マルスさん、 今度はどうでしょう・・・?」
マルス「うーん・・・」
マルス「いいわね! 細かい修正点はあるけど」
サラ「!」
マルス「出会いの瞬間にときめいちゃったわ」
マルス「連載第一話は これで決まりね」
サラ「ありがとうございます!!」
〇上官の部屋
サラ(そして私は 彼との物語を綴る)
サラ(物語を描いていると 今も彼と一緒にいる気がしていた・・・)
〇英国風の部屋
マルス「サラ!! 大変よ!!」
サラ「どうしたんですか!? マルスさん・・・」
マルス「あなたの物語が話題を呼んでいるわ 手紙も届いて 大反響よ!!」
手紙の山が
デスクに積み重ねられる
サラ「ええっ こんなに!?」
マルス「安全上の決まりだから 私が内容を確認させてもらったわ」
マルス「応援の声がほとんどよ 素敵な恋にときめいたって・・・」
サラ「本当?」
マルス「書籍化も視野に入れて 続きを仕上げましょう」
サラ「はい」
マルス「あなたの彼達の 『狂犬病』の研究結果も大きな話題になってるし」
マルス「相乗効果もあるみたいね 本当に大したものだわ」
マルス「『ヴァンパイア病』とずっと呼ばれていたものが 実は動物から感染したものだったなんて・・・」
マルス「その研究結果のおかげで 国の皆は野生動物に注意するようになったし 劇的に病気も減ったわ」
マルス「そんな知性のある美男子なんて 付き合ってみたいわぁ・・・」
マルス「ってそれ、 アタシじゃなくて読者の感想よっ (もちろん羨ましいけどっ)」
サラ「分かってるわ」
マルス「まあねぇ・・・ ほんの一部だけど、 気になる内容もあったんだけどね」
サラ「どんな内容ですか!?」
マルス「爆破予告・・・」
マルス「単なる脅しだと思うけど気をつけなきゃね」
サラ「爆破予告!?」