この初恋に命を捧ぐ

彩京みゆき

#10. あなたと生きてゆきたい、前編(脚本)

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彩京みゆき

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〇ヨーロッパの街並み
  それから
  時は過ぎ・・・

〇英国風の部屋
マルス「サラ、 嬉しいニュースよ」
マルス「ついに、 あなたの本の出版が決まったわ」
サラ「本当ですか!?」
サラ「すごい!! 夢のようだわ」
マルス「現実よ」
  何度か来た
  爆破予告が気になっていたものの、
  厳重警戒の上、
  出版されることが決まった

〇市場
サラ「マルスさん、 あの・・・」
サラ「サイン会なんて私、 ほんとに大丈夫なんでしょうか!?」
マルス「大丈夫よ あの行列を見てごらんなさいよ」
シオン「サラさん、 出版おめでとうございます」
  手を振るシオン
サラ「シオンさんっ!!」
マルス「みんなが あなたに会いに来ているのよ」
「なんだって? 出版記念サイン会だとはな・・・」
ニコラ「ずいぶんと 偉くなったもんだな、サラ」
サラ「ニコラさん!?」
ニコラ「久しぶりだな、 サラ」
サラ「お久しぶりです、 ニコラさん」
ニコラ「まあ、そんな警戒する事は無い、 旧友として挨拶に来たまでの事」
サラ「ありがとうございます」
ニコラ「嘘ではないぞ。 まあ私が疑われるのも 無理はないが」
ニコラ「我が婚約者が 君のファンでな」
ニコラ「マリーだ」
マリー「サラさま、 お目にかかれて光栄です!!」
サラ「まあ」
サラ「なんて可愛らしい姫君かしら」
ニコラ「この姫がなぜか 私にゾッコンでな・・・」
マリー「ニコラさまったら!!」
ニコラ「あははは・・・」
ニコラ「警備は厳重に手配しておいた」
ニコラ「安心するがよいぞ」
サラ「・・・!!」
サラ「ありがとう」
サラ(幸せの余裕かしら?)
サラ(人って変わるものなのね (なぜか悔しいわっ))
  爆破予告は
  厳重警戒が功を奏したのか
  単なるイタズラだったのか
  何事も無く
  イベントは無事終了することとなった

〇英国風の部屋
サラ「えっ!?」
サラ「ルカが この街に来るですって!?」
マルス「そう。 狂犬病は減って来たと言えども やはり専門医師の力が必要らしいの」
マルス「追い出しておいて また呼び戻すなんて、 都合のいい話よね」
サラ「・・・!!」
サラ「専門医師、 私も同意だわ・・・」
サラ(ルカが・・・ 戻って来る!?)
マルス「その左耳のピアスを触る癖・・・ もしかして彼氏から貰った大事な物!?」
サラ「え!?え!? そんなことっ・・・!?」
マルス「やだぁ、分かりやすいっ! いいのよ、いいのよぉ」

〇空
ルカ「久しぶりだな・・・」

〇ヨーロッパの街並み
ルカ「この国に足を 踏み入れるのは・・・」
  ルカたちは
  馬車で街を走る
ジョバンニ「まったく、 追い出して呼び戻して、 勝手なものよのう・・・」
ジョバンニ「それだけ我が研究成果が 偉大だと言う事だがな・・・」
ルカ「その通りです」
ミレー「わたしもナースとして 立派に成長したしね」
  ジョバンニやルカたちが
  作り出した
  ワクチンが広がりつつあった
  だかこの国では
  まだ効果を疑問視する声も多いようだ
アンジェロ「情報によると サラの本はこの国始まって以来の ベストセラー」
アンジェロ「彼女の本の影響で 若者達を中心に ヴァンパイアへの差別意識は 無くなって来ているとか・・・」
アンジェロ「やるじゃないか、 サラ」
ルカ「ああ、 彼女なら当然なはずだ・・・」
アンジェロ「ノロケかっ」
ルカ(相変わらずアンジェロの情報収集源は 女性だなっ・・・)
ルカ(サラ・・・)
ルカ(会えない間、 お互いがお互いの道を 成し得てきたようだ)
ルカ(君には、 どんな苦難や喜びがあった?)

〇空
ルカ(今、 君は幸せかい・・・?)

〇中世の街並み
サラ「どうかビラを 受け取ってください」
サラ「差別の無い世界を目指しませんか? ほんのささいな事でいいのです」
娘「まあ、サラさんっ!!」
サラ「えっ!? はい」
娘「私サラさんのファンなんです!」
サラ「まあ、 ありがとう」
娘「私の彼氏がヴァンパイアなんです」
サラ「えっ!?」
娘「相談する相手なんて周りにいなくて・・・ だからサラさんの本だけが 私の支えでした」
サラ「そんな・・・」
サラ「お手本になるような事なんて 何もなくて・・・」
娘「いいえ、 同じ思いをしている人がいてくれた」
娘「それだけで救われました」
サラ「・・・!!」
娘「ヴァンパイアのお医者さまと また会えるといいですねっ!!」
娘「今度は 私が応援してますっ!!」
娘「サラさんありがとうっ!!」
サラ「!!」
サラ「こちらこそ、 ありがとう」
サラ(お礼を言うのは、 こちらの方だわ・・・)
シオン「とてもいい子でしたね」
サラ「ええ」
サラ(ルカ・・・)
  馬車の
  蹄と車輪の音が聞こえる
「サラ・・・?」
サラ「ルカ・・・!?」
  ルカはサラに駆け寄り
  思わず
  抱き寄せる

〇幻想空間
ルカ「サラ、 会いたかった・・・」
サラ「ルカ・・・」
サラ「私も・・・」

〇中世の街並み
ルカ「あっ、 ごめんサラ」
ルカ「つい嬉しくて・・・」
サラ「ううん」
サラ「私も 会えてとっても嬉しいわ」
ルカ「!」
サラ(ルカ、 驚いた)
サラ(何ひとつ変わらないのね)
サラ(別れた時の あの時の姿のままみたいに・・・)
アンジェロ「オホン オホンっ・・・」
アンジェロ「気持ちは分かるけど 公衆の面前でだな・・・」
サラ「きゃーーーっ!!」
ミレー(あの人が、 サラさん・・・)
シオン(あの方が ヴァンパイア・・・)
「・・・・・・!!」

〇市場
シオン「サラさん、 さっきのがヴァンパイアの医師の方ですね・・・」
サラ「ええ・・・」
シオン「思ったより 随分お若い」
シオン「まるで サラさんより年下のように見えますね・・・」
サラ「そうね・・・」
サラ「私も ずいぶん会っていないのに 全然変わってなくて驚いたわ」
シオン「きっと時の流れが違うのでしょう 『人間と違って』・・・」
シオン「分かり合えない事だって あるでしょう」
シオン「サラさん、 私はあなたが心配だ・・・」
サラ「・・・」
サラ「大丈夫だわ、 シオンさん ご心配ありがとう」
サラ「あなたは とても優しい人だわ・・・」
サラ「いつも、ありがとう」
シオン「・・・」
シオン「!!」

〇空

〇レンガ造りの家
ルカ(とうとう サラのいるこの国に戻って来られた)
ルカ(だがどうしたことか この胸のザワめき・・・)
ルカ(彼女は何ひとつ 変わってなどいなかったのに)
ルカ(そばにいられなかった 時間のせいか?)

〇中世の街並み
ルカ(それとも・・・?)

〇レンガ造りの家
ミレー「どうしたの?ルカ・・・」
ルカ「ミレー」
ミレー「眠れないの?」
ミレー「一人で物思いに ふけり過ぎるのは悪い癖ね」
ミレー「時には話すことも必要だわ」
ルカ「ありがとう、ミレー」
ミレー「あの人の事ね・・・」
ミレー「人間の命なんて儚いものよ 結局は理解し合えないもの・・・」
ミレー「ルカには 私たち仲間がいるわ・・・ 本当に理解し合える」
ミレー「人間は、いつか裏切るものよ」
ミレー「ルカも、 さんざん見てきたはずだわ」
ミレー「人間なんて、 やめるべきだわ・・・」
ルカ「ミレー」

〇草原の一軒家
ルカ「それでも」
ルカ「信じてくれる 優しい人達に出会った」
ルカ「君も 覚えているだろう?」

〇レンガ造りの家
ミレー「・・・」
ミレー「そうだったわね・・・」
ミレー「でも、 疲れたり傷ついたりしたら、 いつでも戻って来ていいのよ」
ルカ「ありがとう、 ミレー」
ミレー「・・・」
ミレー(まったく・・・)
ミレー(鈍感なんだか 上手く交わされてるんだか・・・)

〇レンガ造りの家
母親「朝早くから すみませんっ」
ルカ「どうかされましたか?」
母親「狂犬病研究で有名な お医者様でいらっしゃいますか!?」
母親「この子が野犬に噛まれまして」
母親「捕まった野犬は 狂犬病で殺処分されて・・・」
母親「どうかこの子を助けてくださいっ!!」
男の子「母ちゃん、 俺は何でも無い 大丈夫だよ」
ルカ「狂犬病というのは 潜伏期間ががあります」
ルカ「今発症していなくても 一刻も早く処置せねばなりません」
母親「どうか、助けてください」
ルカ「全力を尽くします」
ルカ「ただ、この国ではまだ使用されていない ワクチンを接種する事になります」
母親「まだ使用されて無いなんて!?」
母親「そんな恐ろしいもの!!」
ルカ「時間がありません 一刻も早くのご決断を・・・」
母親「実験台になれと言うのですか!?」
母親「そんなこと・・・」
「私が受けます」
ルカ「サラ!?」
サラ「そのワクチン、 私がまず受けてみます」
サラ「実験台というなら」
サラ「私がまず適任でしょう?」
ルカ「サラ!?」
サラ「大丈夫、 あなた達を信頼しているわ」
ルカ「!!」

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