幸せの結末

アシア

01 願いと代償(脚本)

幸せの結末

アシア

今すぐ読む

幸せの結末
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇教会の中
信子(あぁ、どうして・・・)
信子(どうしてあの場所に居るのが私じゃないんだろう・・・)
信子(佳純・・・)
信子(唐璃さん・・・)
信子(もしも・・・)
信子(もしも何かが違えば、あの場所に居るのは私だったのだろうか・・・)
信子(あぁ、本当に・・・)
信子「おめでとう」
信子(忌々しい)

〇ゆるやかな坂道
信子「はぁ・・・」
信子「・・・少し飲み過ぎたわね」
信子「早く帰りましょう・・・」
信子「ん?」
母「今日は結婚式だったのよね?」
母「どうだったの?」
母「貴方も早く良い相手を」
信子「──っ」
信子(あぁ、うるさい)
信子(何もかもが嫌だ)
信子(鐘の音も、幸せそうな笑い声も、何も理解してない親も)
信子(もう、いっそ全部・・・)
信子「──え?」

〇神社の石段
信子「・・・神社?」
信子(こんなところにあったかしら?)
信子「えと、天、──神社?」
信子(・・・ぼろっちいわね、文字かすれて読めないじゃない)
信子「こんなとこ誰が来るのよ・・・」
信子「・・・ま、帰るのも面倒だし」

〇神社の本殿
信子(・・・中は結構立派なのね)
信子「けど、どうせ対したご利益は・・・」
信子「──は?」
信子「願いが叶う?」
信子「代償は、その苦悩の原因?」
信子「・・・馬鹿じゃないの?」
信子「そんなの、意味が・・・」
信子「・・・」
信子「私の、願い・・・」
信子(願えば、私は幸せになれるのだろうか・・・)
信子(けど、何を?)
信子(なんと祈ればいい?)
信子(・・・今の私は不幸だ)
信子(だって、こんなにも辛いのだから・・・)
信子(──なんのせいで?)

〇教会の中

〇おしゃれなリビングダイニング

〇神社の本殿
信子「・・・あぁ、そうね」
信子(今こんなにも気分が悪いのは、あの結婚式のせいだ)
信子(あの結婚式さえなければ)
信子(──いや)
信子「そもそもあの2人が付き合わなければ良かったのに・・・」

〇神社の本殿

〇オフィスのフロア
唐瑠「えと、ごめんなさい」
唐瑠「むらさきにしきさん、でいいのかな?」
信子「──は!?」
唐瑠「あ、そうですよね、さすがにそんな訳・・・」
唐瑠「すいません・・・」
唐瑠「どうしても名字が読めなくて・・・」
信子「・・・」
唐瑠「出来れば読み方を・・・」
信子「──綿璃唐瑠(わたるとうり)、さん?」
唐瑠「あ、そうそう」
唐瑠「同期の綿璃唐瑠です」
唐瑠「凄いね、初日なのにもう覚えてるなんて」
唐瑠「僕なんてまだ・・・」
信子「初日?」
唐瑠「うん、さっき入社式終わったばかりじゃない」
唐瑠「新人はそれぞれ同期と部署に挨拶してこい、なんて放任すぎるよね」
信子「・・・え?」
信子(4月1日!?)
信子(──まさか!?)
唐瑠「・・・あ、あの?」
信子「・・・紫錦(しきん)、です」
信子「紫錦信子(のぶこ)、読みづらいですよね」
唐瑠「あぁ、紫錦さん!!」
唐瑠「確かに珍しいですね」
唐瑠「今日から宜しくお願いします!!」
信子「え、えぇ・・・」
唐瑠「では僕は他の部署に行ってきます」
唐瑠「よければ一緒に行きませんか?」
信子「えぇ、そうです・・・」
唐瑠「紫錦さん?」
信子「・・・いえ、ごめんなさい綿瑠さん」
信子「実は友人が一緒に入社しててね」
信子「その子と一緒に回るつもりなの」
唐瑠「あぁ、そうなんですね」
信子「初日から女子2人と仲良く一緒に回っていた、なんて噂は辞めておきたいでしょう?」
唐瑠「それは、確かにそうですね・・・」
信子「・・・えぇ、悪い噂なんてたたない方が良いものよ」
唐瑠「では、私はお先に」
信子「えぇ、また後で」
信子「これから宜しくね」
唐瑠「はい!!」
信子「・・・さて」
信子(何が起きた!?)
信子(私は佳純と唐璃さん2人の結婚式の帰りだったはず・・・)
信子(飲み過ぎた?)
信子(いつの間にか眠ってしまっていて夢を見ている?)
信子(いや、流石にそんな訳・・・)
信子「──ったぁ・・・」
信子(夢じゃない、みたいね・・・)
信子「なら・・・」
信子「確か、あの時は──」

〇オフィスのフロア
信子「そう、入社式の日は私と唐璃さんが2人で挨拶廻りを始めた」
信子「その後、私を探していた佳純が合流した」
信子「三人で廻っていたせいで、唐璃さんは先輩達から「初日から女2人捕まえたのか」とからかわれることになった」
信子「けど、逆にそのせいで私達はむしろよく飲みに行くようになった」
信子「だから・・・」

〇オフィスのフロア
信子「・・・だから、この日なの?」
信子(・・・2人の結婚式を無かったことにする)
信子(その為には、そもそも二人が仲良くならなければいい)
信子(──だったら)

〇オフィスの廊下
信子「──あぁ、良かった」
信子「やっと見つけたわよ、佳純」
佳純「信子!?」
佳純「良かったぁ」
佳純「そっちに行こうか迷ってたんだ」
佳純「1人だと心細くって・・・」
信子「私も」
信子「まったく、普通初日からこんなことさせるかしら?」
信子「だから一緒に回りましょ?」
佳純「うん!!」
信子「あ、そういえば佳純」
信子「貴方のとこ、同僚はどんな人だった?」
佳純「え?」
佳純「んー」
佳純「まだ挨拶位しかしてないけど、別に悪い人達じゃ無さそうだったよ」
信子「そうなの」
信子「良かったわね」
佳純「信子のとこは?」
信子「もう最悪」
信子「初対面からナンパしてくるような奴だったわ」
信子「・・・綿瑠唐璃って言うんだけどね」
佳純「うわ~・・・」
佳純「信子、災難だったね・・・」
信子「えぇ、本当に」
信子「佳純、貴方も気を付けなさいよ?」
信子「・・・貴方、素直過ぎて騙されやすいんだから」

〇神社の本殿
信子「──!?」
信子「今のは・・・?」
信子「・・・戻って、来たの?」
信子「・・・無くなってる」
信子(結婚式の写真も、母親からのメッセージも、何も無い・・・)
信子「──まさか、本当に?」

〇オフィスのフロア
信子「おはよう、佳純」
佳純「信子?」
佳純「どうしたの、こっちの部署まで?」
信子「いえ、今日のランチ一緒どうかしら、と思ってね」
佳純「え?」
佳純「何言ってるの、信子?」
信子「・・・え?」
佳純「毎日一緒に食べてるじゃない」
信子「──!?」
佳純「もう、大丈夫?」
佳純「それとも、何かあったの?」
信子「・・・いいえ」
信子「なんだか今日は貴方を誰かに取られるような気がしただけ」
佳純「なにそれ」
佳純「お互い独り身で悲しいね、って何時も話してるじゃない」
信子「・・・えぇ、そうね」
信子「・・・佳純は誰か気になる人とか居ないの?」
佳純「居ないよ~・・・」
佳純「同期の人も恋人いるみたいだしさぁ・・・」
信子「そうなの」
信子「けど、佳純ならきっと良い人が現れるわよ」
佳純「本当かなぁ~・・・」
佳純「・・・信子の方は誰か居ないの、良い人?」
信子「居ないわねぇ」
佳純「あー、そっか」
佳純「信子の同期の人はあの人だったね・・・」
信子「?」
佳純「信子も災難だよねぇ、いきなり職場でナンパしてくる人とか・・・」
佳純「綿瑠唐璃さん、だっけ?」
佳純「この間話した感じ、悪い人じゃ無さそうだったけど・・・」
佳純「まさかそんな事する人なんてなぁ・・・」
佳純「信子、それから大丈夫なの?」
佳純「しつこく声かけられたりしてない?」
佳純「その綿瑠唐璃さんに」

〇オフィスの廊下
信子(本当に結婚式が無くなってる!!)
信子(凄い!!)
信子(あの神社は本当だった!!)
信子(あれを利用すれば私の好きなようにできる!!)
信子(これで、私も!!)
信子「・・・あれ、でも」
信子「私、どうして、佳純の結婚式が無かった事になれば良いと思ったんだっけ・・・?」
信子(・・・まぁ、なんでもいいか)
信子(あの神社を利用すれば、私は幸せに──)
唐瑠「──あぁ、良かった」
唐瑠「紫錦さん、ここに居たんだ」
信子「──え!?」
唐瑠「探してたんだ」
唐瑠「先輩から割り振られた仕事の事なんだけど・・・」
唐瑠「紫錦さん?」
唐瑠「どうかした?」
信子「あの──」
信子「──誰、ですっけ?」

次のエピソード:02 希望とたどり着いた先

コメント

  • おっとこれは面白い展開❗️過去を改変したことで彼女へ降りかかる影響、楽しみにしております☺️

  • こんにちは!
    結婚の阻止はできましたが最後の一文がきになります…!
    願い事のだいしょうも

  • 結婚を妨害したら自分が幸せになるのかと思いきや、代償がとんでもなさそうですね!
    あの神社を利用することで、果たしてどんな「幸せ」にたどり着くのか……。続きが気になります!

成分キーワード

ページTOPへ