君とキスがしたい

咲良綾

ep9:君と繋ぐ未来(脚本)

君とキスがしたい

咲良綾

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〇女の子の一人部屋
  ピコン
  『今日は急に不機嫌になってごめんね。
  怖かったよね。大丈夫?』
  『大丈夫。わたしこそ考えなしでごめんね。
  また明日』
川波静音「・・・・・・」
  明日のわたしは絶対逃げない。

〇教室
須崎秋夜「おはよー」
加藤皐月「秋夜、どうした!?」
須崎秋夜「皐月・・・ 男ってどうしてこう、よこしまなんだろうな」
加藤皐月「いや、まあ、そりゃあ・・・本能?」
須崎秋夜「絶対、怖がらせた・・・」
加藤皐月「なになになになに?なに? なーにやったのかな秋夜くん!」
須崎秋夜「だってさ・・・川波さんが、舐めるから」
加藤皐月「んなっ・・・!!! そ、それは、大丈夫なのか? 教室でしていい話か?」
須崎秋夜「・・・あー。あんまり良くないかも」
加藤皐月「ええーっ!!」
田処清花「どうしたの?」
加藤皐月「いや、その・・・ どうも、2人の間に健全でない展開が」
田処清花「えーっ!! だるまさんが転んだ、そんなに効果あるの!?」
加藤皐月「あるのかな、え、俺たちにもご利益ある?」
田処清花「何よ、ご利益って」
須崎秋夜「はぁー。 怖がられたくないなぁ・・・」
加藤皐月「無理やり、やっちゃったのか?」
田処清花「それはないよね?未遂だよね?」
須崎秋夜「はぁー」
加藤皐月「どうなんだよ!」
須崎秋夜「ひじって自分では舐められないよね・・・」
加藤皐月「何の話だよ」
川波静音「おはよう」
「わー!!!」
川波静音「えっ、なに?」
田処清花「静音ちゃん、大丈夫?」
川波静音「ん?うん」
川波静音「おはよう、秋夜くん」
須崎秋夜「お、おはよう」
川波静音「昨日の怪我、大丈夫?」
須崎秋夜「うん、平気」
川波静音「今日は放課後、図書室だよね」
須崎秋夜「うん・・・」
田処清花「どう思う? 静音ちゃん、案外普通じゃない?」
加藤皐月「いや、妙にキリッとしてないか? 何か覚悟を決めてるのかも・・・」
田処清花「覚悟って?」
加藤皐月「さあ・・・」
田処清花「・・・・・・」
加藤皐月「・・・・・・」
田処清花「行く?図書室」
加藤皐月「だな」

〇図書館
田処清花「どう?あの2人」
加藤皐月「普通~に勉強してるよ」
田処清花「じゃあ、須崎くんの思い過ごしで なんでもなかったってことじゃない?」
加藤皐月「でもさ。川波さんが秋夜のこと、 舐めたって言ってたんだよな・・・」
田処清花「舐めっ・・・!? 見くびるって意味ではなく、物理的に?」
加藤皐月「多分」
田処清花「どこを!?」
加藤皐月「し、知らねぇよ!」

〇図書館
  テスト前なだけあって、
  図書室で勉強する人は多かった。
  黙々とテスト範囲をノートにまとめながら、
  時を待つ。
須崎秋夜「・・・何時までやる?」
川波静音「もう少し・・・秋夜くん、何か用事ある?」
須崎秋夜「ないけど。 あの、人が少なくなってきたから・・・」
須崎秋夜「2人になるとまた、怖がらせるかも」
川波静音「怖くないよ」
須崎秋夜「え?」
川波静音「怖くないから、大丈夫」
  秋夜くんは怪訝そうな顔をして、うつむいた。
須崎秋夜「・・・川波さん、多分わかってない」
川波静音「そうだね。わかんないよ」
川波静音「秋夜くんの考えてることとか、 男の子の事情とか、 わたしは何もわかってないよ」
川波静音「でも、わかってることもあるんだよ」
須崎秋夜「わかってることって?」
川波静音「・・・・・・」
女子生徒1「あー、疲れた。そろそろ帰ろっか」
女子生徒2「ね、勉強頑張った分糖分補給しない? ドーナツかアイスクリーム!」
女子生徒1「いいねー、ドーナツ行こ!」
  残っていた生徒が出ていき、
  図書室にはわたしたち2人が残された。
川波静音「秋夜くん。 わかってることっていうのはね」
  ドキドキする。
  でも逃げない。
川波静音「わたしは、秋夜くんが好きだってこと。 1人で妄想してたときより、ずっとずっと」
須崎秋夜「えっ・・・」
川波静音「そして秋夜くんが、わたしのこと、 大事にしてくれてること」
川波静音「だって秋夜くん、 わたしが嫌がることはしない。 嫌がったら二度としないもん」
川波静音「名前だって、困ったらもう呼ばない。 触らないでって言ったら、触らない」
川波静音「わたしの気持ちを考えて、 わたしがなるべく無理しないように・・・」
川波静音「そんな人が、 わたしにひどいことするわけない」
川波静音「だから怖くない」
川波静音「もう、触ったらダメとか言わないから」
川波静音「全部受け入れられるわけじゃないけど、 わがままは言って欲しい」
川波静音「わたしも秋夜くんのこと、大事にしたい」
須崎秋夜「いいの?」
川波静音「うん」
須崎秋夜「・・・じゃあ、わがまま言うよ?」
川波静音「うん」
須崎秋夜「静音って呼びたい」
川波静音「うん」
須崎秋夜「手を繋ぎたい」
川波静音「うん」
  秋夜くんは、椅子から立ち上がってわたしの側に歩いてくると、両手を持って引き起こした。
  わたしたちは両手を繋いで、
  向かい合わせに立つ。
須崎秋夜「・・・静音とキスがしたい」
川波静音「・・・・・・・・・うん」
  覚悟を決めて、目を閉じる。
  目の前に影がさしかかり、
  息の近づく気配が・・・
  息が・・・秋夜くんの、息・・・っ
川波静音「ちょっとターイム!!!!!」
須崎秋夜「ええっ!?」
川波静音「ごめんなさ、やっぱりちょっと、あの、 された途端に鼻血吹きそうで」
須崎秋夜「何それ!」
須崎秋夜「・・・・・・」
須崎秋夜「じゃあ、わかった」
  秋夜くんはハンカチを取り出して
  わたしの鼻を抑え、
  ほっぺにキスをした。
川波静音「!!!!!!!」
須崎秋夜「鼻血、出てないね。 これなら大丈夫?」
川波静音「・・・は、はひ・・・」
  うなずくと、にっこり笑った秋夜くんは
  そのままの距離で囁いた。
須崎秋夜「好きだよ、静音」
川波静音「・・・っ、鼻血出たー!!」
須崎秋夜「わー!!」
「わー!!」
須崎秋夜「お前ら!?」
川波静音「ええええええ!?!?」
加藤皐月「だって、心配で・・・」
田処清花「えへへへへ」
川波静音「あ、あ、あ・・・」
川波静音「さすがにこれは無理ーーー!!!」
須崎秋夜「ちょ、待ってよ、静音!!」
須崎秋夜「お前ら!覚えてろよ!!」
田処清花「はーい」
加藤皐月「ゴメンナサーイ」

〇学校の廊下
  足りないものはまだたくさんあるけど
  ゆっくりでいいから近づいて行こう。
  もっと 君を知って、
  もっと 君を好きになって、
  もっと 君を大事にして、
  もっと 君に寄り添って、
  もっと 絆を深めるように、

〇ソーダ
  君とキスがしたい。
  ─ 完 ─

コメント

  • 表紙ー! スチルー!
    ああああめっちゃかわいいぃぃぃ💕
    完結おめでとう! でもさみしぃ😂
    加藤くんのスピンオフとかお待ちしています!w

  • 良かった!! 静音ちゃん頑張った!! そして成長した!! ブラーヴォ!!(スタンディングオベーション)

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