14話 幻影の森(脚本)
〇けもの道
宿利ユウ「幻影の森・・・。 不思議なところですね」
アマデウス「夜にしか入れない森だ」
アマデウス「太陽の光が届かないこの森は、幻影の光によって命をつないでいる」
アマデウス「・・・そうなったのは100年ほど前だと、ヴィオが言っていた」
宿利ユウ「100年前に何かあったんですか?」
アマデウス「勇者召喚だ」
アマデウス「人間の国――イダルツ王国は、100年前にも異世界の人間を召喚した」
アマデウス「その勇者たちは、魔族の領地で猛威を振るったという」
アマデウス「そのときにこの森は、人間が活動する昼間は姿を消すようになったらしい」
魔族「これは、これは。魔王様ではありませんか」
魔族「こんな僻地の森に、何の御用で?」
アマデウス「幻影の森の主(あるじ)、トゥルカナに会いに来た」
魔族「おや、珍しい者をお連れのようですな」
アマデウス「これはゴースト族のユウという。 魔王軍の心強い味方だ」
宿利ユウ「初めまして。宿利ユウです」
魔族「そうでしたか。トゥルカナ様なら、この森のどこかにいらっしゃいます」
魔族「しかし、ここは別名迷いの森。あなた方にトゥルカナ様を見つけられるでしょうか」
魔族「特に、お連れの者。幻影に惑わされて迷子になれば、たちまち魔獣の餌食ですよ」
宿利ユウ「・・・!」
アマデウス「この森でかくれんぼをしようというわけか」
アマデウス「トゥルカナを見つけることができたら、話を聞いてくれるんだな?」
魔族「はい、もちろんでございます」
幻影の見える迷いの森か・・・。
トゥルカナって人を探すのは大変そうだな。
アマデウス「見つけた」
「え?」
アマデウス「トゥルカナはお前だ」
魔族「・・・ふふっ」
トゥルカナ「さすがは魔王アマデウス」
トゥルカナ「ボクのスキルを一瞬で見破るなんてね」
アマデウス「いや、お前の幻影は完ぺきだった」
アマデウス「ただ、トゥルカナなら、訪問者を真っ先に出迎えに来るだろうと思ってな」
トゥルカナ「・・・もう、かなわないなぁ」
トゥルカナ「それで、ボクに何の用なの? 数十年もボクのことを忘れていたキミが」
アマデウス「忘れていたわけではない。 人間族との関係が慌ただしくて──」
トゥルカナ「忘れてたんじゃないか」
アマデウス「すまない」
トゥルカナ「はぁ。いいよな、キミたちは。 太陽の下を自由に動き回れて」
アマデウス「そのことなんだ、トゥルカナ」
アマデウス「もし俺がこの森に光を供給できると言ったら、どうする?」
トゥルカナ「!!」
トゥルカナ「信じられない。 本当にそんなことができるの?」
〇滝つぼ
アマデウス「光の届かない洞窟の奥地で、植物が育っているのが見つかった」
アマデウス「その光の供給源は、魔石の魔獣だった可能性がある」
〇けもの道
アマデウス「それを見た証人を、ここに連れて来た」
宿利ユウ「はい。確かに見ました」
宿利ユウ「魔石もここにあります」
トゥルカナ「――キミが持ってるんだ」
トゥルカナ「なるほど。魔石があればボクは森を守る必要がなくなって、自由になれるってことか」
トゥルカナ「で?」
アマデウス「もし俺がこの森に光をもたらすことができたら、魔王軍に手を貸してほしい」
アマデウス「お前も知っていると思うが、イダルツ王国に異世界の勇者が召喚された」
アマデウス「このところ人間軍の動きが激しい。退けるには俺たち魔族が力を合わせる必要がある」
トゥルカナ「正式に同盟を組もうってわけか」
トゥルカナ「でも、一歩遅かったね」
宿利ユウ「うわっ!?」
跳ね返せない!?
2人ともどこに行ったんだ?
惑わされたってことか?
とにかく、アマデウスさんと合流しないと!
魔族「待て、ユウ! 戻れ!」
魔族「行かせないよ、アマデウス」
トゥルカナ「ふふっ。素直な子だね」
アマデウス「何のつもりだ!?」
トゥルカナ「遅かったんだよ。キミの知らない間に、ボクは人間と手を組んだ」
アマデウス「何だと!?」
〇けもの道
トゥルカナ「同盟を組めば、人間軍はもうこの森を襲わないんだって」
トゥルカナ「そうなったら、ボクたちは夜の檻から出て、自由になれるんだ」
トゥルカナ「そして、同盟の証に彼らが求めてきたのは──」
〇けもの道
アマデウス「俺の首か?」
トゥルカナ「うん。それと、『宿利ユウ』という人間の捜索だよ」
アマデウス「何!?」
トゥルカナ「魔族の領地にいるかもとは言ってたけど、まさかキミがかくまってたとはね」
アマデウス「なぜだ!? イダルツ王国が、なぜ俺だけではなくユウまで欲しがる!?」
トゥルカナ「異世界人が元の世界に帰るために、もう一度『生贄』が必要なんだって」
トゥルカナ「勇者サマの目的は、それだけじゃないみたいだけどね──」
アマデウス「お前は人間側に付いて、俺たちの敵に回るつもりか?」
トゥルカナ「まさか。アマデウスと敵対なんてするもんか」
トゥルカナ「ボクのスキル『幻惑』なら、キミの影武者を創り出すこともできる」
トゥルカナ「死んだことにしてあげるよ、アマデウス」
トゥルカナ「そして勇者サマたちには、元の世界に帰ってもらおう」
アマデウス「そのためにユウを犠牲にしろというのか!?」
トゥルカナ「アマデウス。また同じ過ちを繰り返すの?」
トゥルカナ「キミが人間にほだされなければ、先代魔王は死なずに済んだかもしれないのに」
アマデウス「ッ──」
アマデウス「それでも、俺は・・・」
アマデウス「トゥルカナ!?」
トゥルカナ「いつまでも青いね、アマデウス」
トゥルカナ「そんなんじゃ、人間族最強の男――シラサキレンにやられちゃうよ」
アマデウス「シラサキ、レン・・・。 異世界人たちが恐れている者の名か」
トゥルカナ「キミはボクの幻影を見破れないんだったね。どう? 宿利ユウを諦めてくれる?」
アマデウス「ユウは、必ず見つけ出す」
トゥルカナ「・・・妬けちゃうな」
トゥルカナ「いいよ。キミがどう言おうが、ボクは勝手にやる」
アマデウス「くっ」
〇アマゾンの森
アマデウス「ユウの気配はどこだ?」
〇けもの道
アマデウス「まさか、空を飛んでも出られないのか!?」
アマデウス「ユウ、どこだ!?」
〇けもの道
宿利ユウ「アマデウスさーん! トゥルカナさーん!」
ダメだ。完全にはぐれてしまった・・・。
今のところ、魔獣が襲ってくる気配はないけど。
宿利ユウ「誰!?」
アマデウス「ああ、やっと見つけた、ユウ」
宿利ユウ「アマデウスさん!」
宿利ユウ「トゥルカナとの話し合いはどうなったんですか?」
アマデウス「何とかまとまったよ。 だからこうしてユウを見つけられた」
アマデウス「さぁ、帰ろう」
宿利ユウ「・・・」
アマデウス「どうした、ユウ?」
宿利ユウ「トゥルカナはどこですか? 一緒にいると思ったんですけど」
アマデウス「なぜ?」
宿利ユウ「仲がよさそうでしたから。見送りにも来ないなんて、変だなって──」
アマデウス「・・・ふふっ」
トゥルカナ「気づかなければいいものを」
またまた魅力的な新キャラ登場ですね✨でもすでにあっち側か……どうなっちゃうんでしょうl😱
とにかく、ここのところ魔王様がたくさん出てきて嬉しいです😍すでに私の中では彼のボイスが出来上がってます❗知識がなくてとーがさんにお伝えできないのが悔しい。脳内ではこんなにハッキリ喋ってるのに😢