13話 魔王と人間(後編)(脚本)
〇巨大な城門
それからダンカンと仲良くなり、人間の国にも出入りするようになった。
〇中世の街並み
そこは魔族の領地では考えられないくらい、文明の発展した国だった。
ダンカン「アマデウスは貴族の子なのに、都会が珍しいんだね」
アマデウス「お前はたくさんものを知っているな」
ダンカン「お父さんが、お金をやりくりして本を買ってくれるんだ」
ダンカン「僕がたくさん勉強して、魔導学校に入れるようにって」
アマデウス「魔法を使うのに勉強がいるのか?」
ダンカン「当たり前じゃないか。僕らは魔物みたいにスキルを使えないんだから」
アマデウス「そ、そうだな」
アマデウス「この文字は何て読むんだ?」
ダンカン「貴族の子なのに、文字が読めないの!? 家庭教師に怒られない?」
アマデウス「かてーきょーしは嫌いなんだ」
アマデウス「でも、ダンカンが教えてくれたら、俺にも文字が読める気がする」
ダンカン「もう、仕方ないなぁ」
〇暖炉のある小屋
〇ファンタジーの学園
頑張り者のダンカンは、身分の壁を越えて学校に入り、さらに知識をつけていった。
〇噴水広場
ダンカン「アマデウス、聞いてくれ! 僕が魔導学校の特待生に選ばれたんだ!」
アマデウス「おめでとう。似合ってるじゃないか」
ダンカン「へへへ。成績に応じて国から奨学金がもらえる」
ダンカン「これでやっと、父さんに恩返しができるぞ」
アマデウス「さすがだな、ダンカン。 お前はたいした努力家だ」
ダンカン「君の方はどうなんだよ」
アマデウス「どう、とは?」
ダンカン「将来のこと、ちゃんと考えてるのか?」
アマデウス(将来か・・・。 俺は、魔王になりたい)
アマデウス「父上の跡を継ぐ。 そのための修行も続けている」
ダンカン「そうか、それならいいんだ」
ダンカン「・・・なぁ、アマデウス」
ダンカン「そろそろ、身分を明かしてくれてもいいんじゃないか?」
アマデウス「!?」
ダンカン「たとえお前が王族の子息だったとしても、僕は気後れなんかしないぞ」
ダンカン「いつか僕も、成り上がってみせるからな!」
アマデウス「――そうだな。いずれ話すさ」
ダンカンとなら、きっと種族を越えて分かり合えるだろう──
〇岩山
〇薄暗い谷底
ヴィオ「アマデウス様、どこへ行かれていたのですか!?」
ヴィオ「人間の国との緊張が高まっている大事な時ですぞ!」
アマデウス「――人間など、それほど恐ろしい種族ではないだろう」
ヴィオ「何ですと!? 人間の恐ろしさは、昔から散々語り聞かせてきたでしょう!」
アマデウス「その話はもう聞き飽きた」
ヴィオ「アマデウス様っ!」
〇荒地
だが、そのあと俺は、ヴィオの言う『人間の恐ろしさ』を思い知ることとなった。
アマデウス「いったいどれだけの数がいるというのだ!?」
ヴィオ「数万はいるでしょうな」
アマデウス「なぜ俺を狙ってくる!?」
ヴィオ「まさか、アマデウス様。人間に手を出されたのでは・・・」
アマデウス「違う! 俺は人間と争うつもりはない!」
ヴィオ「ならば、誤解があったのでしょうが──」
アマデウス「この群れは化け物か!?」
アマデウス「切りがない。 倒しても倒しても、湧いてくる――!」
〇黒
仲裁を頼める人間がいるとしたら、
あいつだけだ!
〇噴水広場
ダンカン「アマデウス、どうしたんだ!? 酷い怪我じゃないか!」
アマデウス「ダンカン、助けてくれ・・・!」
アマデウス「人間軍と衝突した」
アマデウス「だが、何か誤解があるはずなんだ。 魔族は人間の敵ではない!」
ダンカン「アマデウス、何を言っている・・・?」
アマデウス「俺はネアンデル族のアマデウス。 これが、俺の本性だ」
ダンカン「魔王の一族、だと・・・!?」
アマデウス「ああ。だが、人間族と争うつもりはない。 お前ならわかって──」
ダンカン「僕を騙していたのか、魔物め!」
アマデウス「ダンカン──」
ダンカン「気安く名を呼ぶな! 親友だと信じていたのに!」
ダンカン「貴様は僕を騙して、人間族の情報を得ていたんだな!?」
アマデウス「違う! 俺は今でもお前の親友だ!」
ダンカン「黙れ! 僕は絶対に許さない! 魔物は皆、母さんの仇(かたき)なんだー!!」
アマデウス「ぐっ」
ダンカン「殺す! 絶対に!」
アマデウス「ダンカン。友よ・・・」
俺たちが語り合った時間よりも、種族の隔たりの方が大きいというのか。
種族が違っても友達だと思っていた。
どうやらそれは、俺だけだったらしい。
ダンカン「ぼ、防御──」
ダンカン「・・・!」
〇空
あのとき助けてくれたのは、俺のことを人間だと思ったからなのだな。
ああ、種族に関わりなく、手を取り合うことができたら。
そんな世界を、作りたい──
もし俺がこの争いを終わらせたら、もう一度お前に会いに行くよ。
人間の国が俺の思いを認めたときには、また友達になってくれるだろう?
〇雲の上
宿利ユウ「そんなことが・・・」
アマデウス「ああ。だから俺は、人間と魔族の隔たりがない世界を作りたいんだ」
宿利ユウ「異世界から来た僕たちを助けてくれたのは、そういう理由からだったんですね」
その、ダンカンって人に感謝しないと。
アマデウス「だが、人間の寿命は短い。のんびりしていたら、あいつが寿命で死んでしまう」
アマデウス「それまでに、なんとか・・・」
宿利ユウ「あの、それって何年前のことなんですか?」
アマデウス「俺が17のときだったから、だいたい40年くらいになるだろうか」
アマデウス「まさか、あいつはもう寿命で死んでいるなどということは・・・」
宿利ユウ「いえ、人間は何事もなければ80年くらい生きます」
アマデウス「そうか」
アマデウス「・・・お前は何となく、あいつに似ている気がするよ」
宿利ユウ「僕が?」
アマデウス「あいつも、努力家だった。才能より、努力だけで成り上がっていった奴だった」
〇宇宙空間
ダンカン。
今ごろ、どうしているのだろうな・・・
〇西洋の城
賢者「空が荒れているな・・・」
白崎蓮「賢者、こんな夜中に何をしている」
賢者「私は空の様子を見に・・・ 勇者様こそ、どうなさったのですか!?」
白崎蓮「気にするな。ただの夜遊びだ」
賢者「そうですか・・・」
賢者「勇者様、北の空をご覧ください。 あれは雷と呼ばれるものです」
白崎蓮「それがどうした?」
賢者「すでにご存知でしたか。あれは我らが宿敵、魔王アマデウスのスキルなのです」
白崎蓮「へぇ?」
賢者「魔王は雷霆(らいてい)というスキルによって雨雲を呼び、各地に雷を落とします」
賢者「その攻撃は無差別で、何の罪もない民衆が、落雷によって命を落とすのです」
賢者「私の母もそのひとり・・・。 魔王め、なんと許しがたい――!」
賢者「ですから勇者様、憎むべき魔王を一刻も早く──」
白崎蓮「ハハハハ」
賢者「ゆ、勇者様!?」
白崎蓮「この世のすべての雷が魔王の仕業か。 異世界人の考えることはおもしろい」
賢者「あの、どういうことでしょう・・・?」
白崎蓮「頭を使ってみろ、賢者ダンカン。 お前たちに、まともな知性があるならな」
賢者「勇者様、それはいったい・・・?」
〇アマゾンの森
アマデウス「着いたぞ」
アマデウス「ここは幻影の森。 別名、迷いの森と呼ばれる場所だ──」
雷を魔王のせいだと思っていたのかダンカン😱💦
賢者ならその誤解をすぐに解く知力くらいあるはずだ❗頑張れ🤣w
って、何かダンカンにコメントしてるみたいになっちゃいました~😂💨
改めてですが、かつての原始人類の生き残り競争がモチーフ…!?彼らがどうやって生き残り、または滅んでいったのか振り返ってみると何か分かりそう…?(笑)
ダンカン😭今も対立する立場とは何とも悲しい😭
面白かったのでスルスルと読めてしまいました。
魔王様かっこよすぎて涎が出ます🤤
ホモサピエンスの史実と併せて繋がっていくこの物語の行末が気になりますので、次回も楽しみにしております👍