いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

10話 地底湖に眠る(脚本)

いじめられっこ、魔王軍に転生する

坂井とーが

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〇岩の洞窟
  あいつは・・・ヤバイ!!
  今までの奴とはケタ違いだ。
  見つかる前に戻ろう。
  そういえばヴィオが・・・

〇坑道
ヴィオ「ふぅ。やけに暑いな」

〇岩の洞窟
  僕はゴーストだから、多少の暑さや寒さは感じない。
  だから気が付かなかったんだ。
  あんな奴がいたなんて。
  まさかあいつが、ダンジョンの異変の原因なのか?
  まずいな。あいつのいる通路を通らないと、上の階に行けない。
  どうする? 今までのような小細工が通用する相手じゃないぞ。
  あいつがいなくなるのを待つか?
  でも、もし降りてきたら、逃げ場のない袋小路に追い詰められてしまう。
  ・・・そうだ! 毒なら効くかもしれない。

〇岩の洞窟
  ・・・ダメだ。

〇岩の洞窟
  走って通り抜けても、どうせ追いつかれる。
  これ以上作戦なんて思いつかない。僕はもともと頭脳派じゃないんだから。
  飲まず食わずで生きていけるゴースト。
  このままダンジョンの最下層に隠れて生涯を終えるか?
  ・・・
  ――嫌だ!
  考えろ。何か、僕にできることを。
  反撃で勝ち目がないなら、ほかにできることは・・・マップくらいか。
  他の出口は、どこにもないよな・・・。
  あ、洞窟の奥に湖がある。
  あの魔獣は炎をまとってた。なら、水を使って何か対策できないだろうか?
  とにかく行ってみよう。

〇滝つぼ
  こんな洞窟の中でも、植物が育ってる。
  真っ暗なのに。
  ん? 水が流れ込んでるのに、あふれてないってことは──
  どこかに繋がってる可能性がある!?
  もし水の中に別ルートがあるなら、あいつと正面からやり合うよりずっといい。
  ・・・ゴーストだから、呼吸も必要ないんだよな。

〇暗い洞窟
  ・・・大丈夫。息は苦しくならない。
  あ、マップが更新されてる。
  思ったより広くて深い。地底湖か。
  あ、魚?
  ――いや、見たことがない生き物だ。異世界だけあって、変な生き物がいるんだな。
  これ、巨大生物とかがいて丸のみにされたらどうしよう。
宿利ユウ「あっ!」

〇骸骨
  沈んでるのって・・・全部人骨!?
  これだけの人間がここにきたのか?
  あの不気味な魔獣に飛ばされて?
  ――それとも、何かを求めて?
  ・・・冒険者だったのかな。
宿利ユウ「南無阿弥陀仏・・・」
  この世界の作法とは違うのだろうけど・・・
  この人たちの魂は、どこに行くのだろう?
宿利ユウ「イタッ!?」
  なんだ!?

〇暗い洞窟
  人面魚!?
  でも話は通じなさそうだから、魔獣か!
人面魚「ギャッ」
  倒しきれなかった・・・。
  あいつの攻撃力、低いんだな。
  でも、逃げてくれるならそれで──
宿利ユウ「ん?」
  群れか!?
「ギャッ」
  数が多すぎる。これではMPが切れるのも時間の問題だ。
  深いところに引きずり込むつもりか!?

〇骸骨
  この白骨たちも、こうして殺されたのか・・・。
  くっ。さばききれない・・・!
  あれは・・・ここに沈んでいる誰かの!?
宿利ユウ「少しだけ貸してください!」
  倒せた!
  こいつら、一体一体は強くないんだ。
  だけど数が多いから、呼吸を必要とする人間相手には負けないのだろう。
  でも、僕はあいにく人間じゃない。
  よし。早く、脱出を──

〇洞窟の深部
宿利ユウ「お前がボスか」
  しまった!
  血が止まらない・・・。
  早くこいつを倒して浮上しないと。
  ・・・襲ってこない。
  僕が弱るのを待っているのか?
宿利ユウ「くっ・・・」
  僕もここに沈む骨のひとつになるのか・・・?
  ――いや、まだだ。

〇魔法陣2
  本当なら僕は、あの日死んだはずだった。
  だけど生き返り、生き延びてきたのは──
  あいつを倒すためなんだ!

〇洞窟の深部
  こんなところで死んでたまるか!
  武器は捨てたと思わせるんだ。
  無防備に見せかけて、反撃を決める!
  来る・・・!
宿利ユウ「え?」
  すごい。人面魚の群れが氷に巻き込まれていく。
宿利ユウ「僕を助けてくれたの?」
  ・・・そうか。きっとこの人も僕と同じ。
  死にたくなんか、なかったんだ。
  速い・・・。
  僕の動きは遅くて、骸骨は泳げない。
  素早いあいつを倒すためには──
宿利ユウ「おい、僕はここだ! こっちに来い!」
宿利ユウ「捕まえたッ──」
宿利ユウ「うっ」
宿利ユウ「今だ! 僕ごと切ってくれ!」
  当たった!
  『レベルが上がりました』
宿利ユウ「・・・ありがとう」
  この人たちもきっと、故郷に帰りたいだろう。
宿利ユウ「僕が生きてここを出られたら、いつか骨を拾いに来るよ」
宿利ユウ「もう少し、待ってて──」
骸骨「・・・」

〇滝つぼ
  水の中で魔獣に襲われるリスクはよくわかった。安易にもぐるのは危険だ。
宿利ユウ「ん・・・?」

〇滝つぼ
  なんで水があふれてくるんだ!?
  さっきまでは大丈夫だったのに!
  もしかして、氷の塊がどこかに詰まって、水の流れがせき止められたのか?
  あ、そうだ!
  この水の流れに乗って、炎の魔獣がいる部屋を突破できないだろうか。

〇岩の洞窟
  水を避けてどこかに行ってくれれば・・・
  え!? まさか・・・
  あの化け物、水が平気なのかよ!?
  怒ってるのか・・・?
  じゃあ、もぐって見つからないように横を通り過ぎれば・・・
宿利ユウ「あつっ!」
  ヤバイ、見つかった!!

次のエピソード:11話 炎の魔獣

コメント

  • まさか自分に攻撃させて、その力を人面魚に流すなんて!
    バトルセンスは超S級ですね!
    ユウ、カッコイイです!

  • 水の中から逃げようとしたけどダメで結局あいつに見つかるんかい😱チキショー💦www
    水の中の戦い、白熱しました😆骸骨いいやつだから絶対俺も骨を拾いにいきます❗w

  • さて、高レベル帯の敵を倒すには…… むむむ…… 宿利君に任せましょう。

    そしてさり気なくアノマロカリスが出てきたと思ったら最後に解説。
    ( ̄ー ̄)ニヤリ 私も好きです❤

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