9話 最下層の戦い(脚本)
〇岩の洞窟
ヴィオと引き離された・・・!
状況は──
HPは大丈夫だが、MPは心もとない。
できる限りスキルは節約しないと。
レベル10になったことで、ステータスが二宮さんに追いついた。
人の10倍努力して、やっと人並みか・・・。
でも、これが僕の能力のすべてだ。今はこの能力を駆使して生き残るしかない。
どうやら最下層に飛ばされたらしい。
あの魔物の転移魔法は、直接的な攻撃じゃないから跳ね返せなかったのか。
迂闊だった。蜘蛛の巣にかかったことで、その弱点はわかっていたはずなのに・・・。
とにかく、ヴィオと合流しなければ。
〇岩の洞窟
どこにも明かりがない。ゴーストの僕でもよく見えないくらいだ。
音や気配には細心の注意を払わないと。
ヴィオと一緒にいたときには、甘えてたんだな・・・。
この世界に来て最初に見た魔獣だ。
でも、この威圧感は何だろう?
宿利ユウ「ぐっ──」
返し切れない・・・!?
一応相手にも傷を負わせたが、倒せるほどじゃない。
この魔獣は強いんだ。
今まで倒してきた敵よりもずっと。
出血でHPが減っていく。
こいつを倒すか、逃げ切るかしなければ、僕は死ぬ。
攻撃が来る。
・・・でも、遅いよな。ヴィオに比べて。
直撃すれば返し切れない。
だったら、かする程度に攻撃を受ければ・・・
できるか・・・?
――決まった!
魔獣の攻撃力が高い分、スキルを決めれば一撃で倒せる。
耐久力の高い相手よりは、まだ対処がしやすい。
でも、この傷では──
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『反撃のスキルレベルが上がりました』
こんなに、一気に!?
HPの最大値が増えた分、回復してる。
でも、次に襲われたらひとたまりもない。
どこか、身を隠せるところで休まないと・・・
〇黒背景
この岩陰で自動回復を待とう。
・・・傷が痛む。
でも、疲労感はない。
ゴーストの体だからだろうか。
ゴーストになってから、空腹を感じたことはない。
いつも夜は眠れずに、人間だったころの習慣でベッドに体を横たえている。
誰かに攻撃されたり、事故に遭ったりしない限り、死ぬことはないのだろう。
この状況で、水も食料も明かりも、睡眠さえ心配しなくていいのはありがたい。
・・・
そういえば、レベルと一緒にスキルレベルも上がった。
スキルが上がると何が変わるのだろう。
ステータス画面から確認できるか?
スキルレベルの履歴・・・!?
『Lv 1 物理攻撃を反射』
『Lv 2 魔法攻撃を反射』
『Lv 3 射程距離延長』
『Lv 4 方向指定獲得』
『 Lv 5 被ダメージ減少』
・・・そうか。最初にヴィオと戦ったとき、スキルレベルは3だった。
魔法攻撃に対応していて、射程距離が延びていたから、スキルが発動したんだ。
もしレベルが足りなかったら、危なかった。
それにしても、ますますゲームみたいだな。
異世界とはいえ、こんなシステムが最初から世界にあるものか?
誰かが作った?
・・・そういう可能性もある。
もし、世界の理(ことわり)となるシステムを作った者がいるのだとしたら──
それは、『神』とよばれる存在なのだろうか。
〇岩の洞窟
よし、HPもMPも完全に回復してる。
早く出口を探そう。
こいつ、移動が静かで気づかなかった。
さっきのとは色が違う。
こいつも強い魔獣なのか?
しかも、反撃で倒せない厄介な相手だ。
もし攻撃を跳ね返せなければ、毒で一方的にダメージを受けることになる。
――逃げよう。
ここで負ければ、死んでしまうのだから。
〇岩の洞窟
〇岩の洞窟
逃げ切れない!?
あいつ、這うように移動しているのに、そんなに速いのか?
・・・違う。僕のステータスが低すぎるんだ!
挟まれた!?
またさっきみたいに、敵の攻撃を利用できるか?
・・・いや、ダメだ。
あいつの攻撃は重すぎる。
逆に、あの毒の攻撃なら、おそらく威力自体はたいしたことがないだろう。
悩んでいる時間はない。
もう逃げるな。立ち止まれ!
よし、効いてる!
苦し紛れの攻撃なら──
やった・・・!
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
危ないところだった。
でも、すごい成長率だ。
ただ、連戦になったら耐えられない。
もう敵に出会わないようにしないと。
〇岩の洞窟
あった。階段だ。
ダンジョンの最下層に飛ばされたみたいだから、上を目指せば帰れるよな。
〇岩の洞窟
うわっ、なんだ?
この階だけ、異様に暑い。
・・・食ってる!?
あいつは・・・ヤバイ!!
今までは努力の仕方が間違ってたのでしょうか?
どんどんレベルアップしていくユウに
もっともっと上がれと応援しちゃいます!
いつもギリギリの戦いをして手に汗にぎるなか
強キャラがでてきて、次はどう戦うか気になりますね🫣
ギリギリの戦いに勝ちながらレベルがあがってくのゲームやってるみたいで好きです😆
面白い❗
もしも高度に発達したAIが宗教の概念を抱くまでになったらプログラマーを神と呼ぶのか? それは私達に対しても言える事で……
それはさて置き、ガンガンレベルアップしていく😆 更にヤベェ敵の登場に…… さてさて? 楽しみです。