終活魔王のエンディングノート

大河内 りさ

P13・隔たり(脚本)

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大河内 りさ

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〇中世の街並み
  『魔王 代替わり』
  『貴族のサロンに魔王を名乗る魔族が出現』
  『魔界の新たな統治者は可憐な少女──』
ゲンティム「だっはっは!」
ゲンティム「可憐な少女だって──」
ゲンティム「うわちッ!?」
ゲンティム「おいっ、俺を巻き込むな!」

〇中世の街並み
ヴィエリゼ「帰るわよ、ゲンティム」
ゲンティム「また店だけか」
ゲンティム「剥製の製造や取り扱いをやめさせたいなら、街ごと潰さねえと見せしめにはならないぞ」
ヴィエリゼ「街ぐるみの事業になっているわけではないから、これでいいの」
ゲンティム「暴れ足りねえ〜。 あそこの教会の塔ぶっ壊していい?」
ヴィエリゼ「だめ」
ヴィエリゼ「余計なことしなくていいから。 はいこれ持って」
ゲンティム「何だこれ?」
ヴィエリゼ「剥製や漢方の材料にされそうになっていた子たちよ」
ヴィエリゼ「魔界で弔うわ」
ゲンティム「・・・そうか」
ゲンティム「そうだな、それがいい」
ゲンティム「・・・にしても、荷物持ちならフェゴール連れて来いよな」
ヴィエリゼ「ゲンティムの方が顔が怖いから、 威圧するには丁度いいでしょ」
ヴィエリゼ「さ、用は済んだわ。帰りましょう」

〇魔王城の部屋
「はぁ・・・」
ローレット「疲れた声だして、どしたの?」
ダーリナ「昨日、朝早くヴィエリゼ様が 屋敷にいらっしゃって・・・」
ダーリナ「寝ているところを魔法で起こされたうえ、なぜか動画を撮られたんです」
ローレット「何それウケる〜。あとで見せてもらお」
ダーリナ「やめてください」
ローレット「フェゴちんもエリゼに何かされたの?」
フェゴール「羽を毟られました」
「えっ!?」
フェゴール「どうも私の羽根を集めてダウンコートを 作りたかったらしいのですが」
フェゴール「換羽の羽根だけじゃ足りないから 直に寄越せと・・・」
ローレット「何それ通り魔じゃん」
フェゴール「先日のオークションの一件以来、 どうも様子がおかしいように思います」
ダーリナ「そうですね」
ダーリナ「なんだか『死ぬまでにしたい100のこと』をこなすのに躍起になっているような・・・」
フェゴール「人間界への査察もやけに増えておりますしね」
ローレット「まさかだけど・・・」
ローレット「本格的に終活始めた、とか?」
ダーリナ「変なこと言わないでください!」
ローレット「ご、ごめん」
ローレット「でもさ、こないだのこと、 やっぱりショックだったみたいだし・・・」
ダーリナ「ご自身が現魔王であると、 勇者に名乗ったことですか?」
ローレット「それもだけど、オークションも ひどい内容だったんでしょ?」
ローレット「もしかして引退とか考えてるんじゃ・・・」
ダーリナ「引退!?」
フェゴール「お二人とも落ち着いてください」
フェゴール「跡目がおられないのに 引退はさすがになさらないでしょう」
ダーリナ「跡目、ですか・・・」
フェゴール「ふむ」
フェゴール「これは婚活パーティーリベンジの 機会が訪れたようですね・・・!!」
ローレット「いや、婚活パーティーはもういいよ」
ゲンティム「戻ったぞ〜」
ローレット「あ、おかえり~」
ゲンティム「何話してたんだ?」
フェゴール「魔王様に跡目がおられないことを 憂慮しておりました」
ゲンティム「跡目ねぇ・・・」
ゲンティム「うちの長男と見合いさせるってのはどうだ!?」
ゲンティム「ゲイダルなら歳も近いし、 俺んちならお前らも文句ないだろ?」
ローレット「ダルちゃん長男だったんだ」
ゲンティム「背は高い、声も良い、そして堅実!!」
ゲンティム「なんならうちの息子全員かき集めて オーディションでもいいぞ!!」
ローレット「息子何人いんのよ・・・」
フェゴール「まぁ、ゲンティムさんの御家でしたら 家格は問題ありませんが──」
ローレット「ゲンティムが舅ってちょっとイヤ」
フェゴール「ですね」
ゲンティム「何でだよ!」
ゲンティム「おい、ダーリナはどう思う?」
ダーリナ「えっ!? 私ですか!?」
ダーリナ「ええと・・・」
ダーリナ「たしかにゲンティムさんが 舅になるのはちょっと──」
ゲンティム「そっちじゃねえよ!!」
ゲンティム「見合いの話だ」
ダーリナ「あっ、ああ~! そちらでしたか!」
ダーリナ「ええと、お見合いはあまり・・・」
ダーリナ「ヴィエリゼ様は勿論ですが、ゲイダルさんの意向も確認してからの方が、その・・・」
「・・・・・・・・・」
ローレット「ほ〜ん?」
フェゴール「ホホホ」
ゲンティム「ウフフ」
ダーリナ「なっ、なんですか!」
ダーリナ「気持ち悪い笑みを浮かべないでください!!」
ヴィエリゼ「ごめん、ゲンティムいる? ちょっと確認したいことが──」
ゲンティム「お、いいところに」
ヴィエリゼ「どうかしたの?」
ゲンティム「嬢ちゃん、見合いしてみないか?」
ヴィエリゼ「いいけど誰と?」
ゲンティム「うちの長男以外の息子全員・・・」
ゲンティム「──って、いいのか!?」
ヴィエリゼ「自分から言っといて何驚いてるのよ」
ゲンティム「いや、そうなんだが・・・」
ローレット「絶対だめっ!!」
ヴィエリゼ「でも、後継者は必要でしょ?」
ヴィエリゼ「魔王がいつまでも独り身じゃ、 格好がつかないわ」
ヴィエリゼ「あっ、なんなら養子縁組もアリ?」
ゲンティム「それなら孫も連れてくるか・・・?」
ローレット「だめだってば!!」
ヴィエリゼ「ローレット?」
ローレット「ねぇ、エリゼ」
ローレット「なんか自棄になってない?」
ヴィエリゼ「なってないよ。どうして?」
ローレット「だって、あのモブ顔のこと──」
ヴィエリゼ「何か言った?」
ローレット「・・・な、なんでもない」
ヴィエリゼ「そう」
ヴィエリゼ「ゲンティム」
ヴィエリゼ「後でいいから執務室まで来て」
ゲンティム「あ、ああ・・・」
ヴィエリゼ「じゃ、もう行くね」
ローレット「・・・っ」
ローレット「めっっちゃ怖かったんですけど!!」
ゲンティム「お前が怒らせるようなこと言うからだろ」
ローレット「モブ顔って言ったことに怒ったの!? それとも話題に出したことに怒ったの!?」
ローレット「てか、名前出してないのに 反応したってことは──」
ローレット「エリゼもあいつのこと モブ顔だって思ってるんじゃん!!」
ゲンティム「あいつ──」
ゲンティム「ルカードか・・・」

〇空

〇中世の街並み
ルカード「・・・・・・」
キオル「おい、何ボサッとしてんだ」
ルカード「あ、キオル・・・」
キオル「ま、病み上がりだし あんま無理はさせらんねーけど」
ルカード「ありがとう」
ルカード「火事はキオルの魔法ですぐ消火できたし」
ルカード「怪我人も、この店の関係者しかいなかったんだろ?」
キオル「ああ。足なり腕なり折れてっけど、命に別状はないから回復魔法はかけてないぜ」
ルカード「これで十二件目か」
ルカード「全部、魔族や魔獣を商業利用していた 悪質な業者の関係する場所だね」
キオル「ああ、ギルドの取締り対象になってる」
ルカード「だけど、少なからず 街や一般市民にも被害が出てる・・・」
ルカード「近いうちに国から命令が下るだろうな」
ルカード「魔王の、討伐命令が──」
キオル「・・・いいのか?」
ルカード「何が?」
キオル「何が、ってお前──」
キオル「チッ」
キオル「中身までモブ化してんじゃねえよバーカ!!」
ルカード「ええ・・・」
ミア「ちょっと、何ボサッとしてるの!」
キオル「んだよ、俺らの仕事は終わったろ」
ミア「ギルドから召集がかかったわ」
ミア「全冒険者は最寄りのギルトに 至急向かうように、とのことよ」
キオル「噂をすれば・・・ってやつか」
ルカード「分かった。行こう──」
「・・・・・・・・・」
ルカード(エリゼは先々代の頽廃的な魔王とは違う)
ルカード(自分が攫われた時も、オークションの時も)
ルカード(一番気に掛けていたのは同族のことだった)
ルカード(魔族が傷付けられたことで激高はしても、享楽で人間を殺すようなことは絶対にしない)
ルカード(彼女は決して、人間界を 破滅に導きたいわけじゃない)
ルカード(それが分かっていながら、 俺は彼女に剣を向けてしまった)
ルカード(真実を見極めるだの、人間界の歪みを 正すだの偉そうなこと言っておいて)
ルカード「何やってんだろ、俺・・・」

次のエピソード:P14・来訪者

コメント

  • お見合いあっさり承諾は本心の裏返し😭
    全冒険者ギルド召集…全面戦争になりそう…?😨
    勇者の手にかかる願いが叶ってしまうかも…😭

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