〇オフィスビル前の道

〇綺麗な会議室
吉良誠一郎「どうだい、再調査は順調かい？」
功刀絢花「嫌味かよ」
功刀絢花「一度は失敗してる調査だぜ・・・」
功刀絢花「順調もなにも」
吉良誠一郎「でも、今は頑張ってるじゃないか」
吉良誠一郎「面倒くさがりの絢花ちゃんがさ」
功刀絢花「そりゃあな」
功刀絢花「間違った報告して金をもらうんじゃ」
功刀絢花「探偵失格だからな」
吉良誠一郎「で、どうなの？」
功刀絢花「つまらない事件だと思ってたけど」
功刀絢花「だんだん面白くなってきたよ」
吉良誠一郎「人が亡くなってるんだから そんな言い方は・・・」
功刀絢花「しょうがないだろ」
功刀絢花「私は謎解きするために探偵をしてるんだ」
功刀絢花「刺激が欲しくてな」
吉良誠一郎「でもさ・・・」
功刀絢花「万引きとか、通り魔とか 犯罪に走るのは思いとどまって」
功刀絢花「探偵をやってるんだぜ」
功刀絢花「動機はどうあれ社会貢献してるんだ」
吉良誠一郎「そりゃあ、犯罪者になるよりいいけど」
功刀絢花「だろ？」
吉良誠一郎「それじゃあ、まるで 絢花ちゃんが危険人物じゃないか！」
功刀絢花「そうなんだよ 私は犯罪者予備軍」
功刀絢花「だからこそ こうして優秀な探偵でいられるんだ」
吉良誠一郎「それは他の探偵に失礼なんじゃない？」
功刀絢花「他は関係ねぇよ」
功刀絢花「私の場合は 犯罪者になりかねない自分の欲望を」
功刀絢花「探偵としての捜査にぶつけてるってだけ」
功刀絢花「おかげで犯罪者心理も分かるし」
功刀絢花「自分の中にある人間としての欠点が 探偵としての武器になってるってだけだ」
吉良誠一郎「そうだね・・・」
吉良誠一郎「それで、事件はどうなってるんだよ？」
功刀絢花「愛那さんの言ってたことが 正しいのかもしれない」
功刀絢花「それから、竜が見つかるかもしれない」
吉良誠一郎「ええっ、竜が!?」
功刀絢花「まだ可能性の段階だけどな」

〇綺麗な会議室
　　コンコンッ
功刀絢花「来た来た！」
功刀絢花「開いてるぞ、入って来いよ！」
宏斗「もー、何度も呼び出して」
宏斗「今度はなんだよ？」
功刀絢花「ごめんごめん」
功刀絢花「その代わり、学校の宿題は この誠一郎が手伝ってくれるから」
功刀絢花「いいだろ？」
宏斗「まぁ、それならいいけど」
吉良誠一郎「えっ、僕が彼の宿題をするの？」
功刀絢花「ああ、頼んだぜ！」
吉良誠一郎「そんなぁ・・・」
功刀絢花「これも捜査協力だ！」
宏斗「それで、何を聞きたいんだよ？」
功刀絢花「竜についてなんだけどさ・・・」
宏斗「また竜のこと？」
宏斗「探偵の姉ちゃんも大人なんだからさ」
宏斗「いいかげんに夢物語ばかり追わずに」
宏斗「現実を見ろよな 竜なんているはずないだろ？」
吉良誠一郎（子どもに説教されてる・・・）
功刀絢花「竜を見たって言ってたのはお前だろ！」
功刀絢花「それに、私はちゃんと現実を見てる！」
宏斗「竜探しよりも、ちゃんと仕事しろって 　　　　　　　　　　　　　（ボソッ）」
功刀絢花「これも仕事なんだよ」
功刀絢花「最初に依頼に来たときさ」
功刀絢花「少年は竜の声を聞いたって言ってたよな？」
宏斗「えっ、ああ、そうだっけ？」
功刀絢花「それってさ」
功刀絢花「こんな声じゃなかったか？」
宏斗「うん、それ！」
宏斗「その声だった!!」
功刀絢花「やっぱりそうか！」
宏斗「どうして竜の声が録音できたの？」
吉良誠一郎「そうだよ絢花ちゃん！」
吉良誠一郎「本当に竜を見つけたのかい？」
功刀絢花「いや、画面を見てみろよ」
吉良誠一郎「えっ、これって・・・」
吉良誠一郎「ドローン？」
功刀絢花「ああ、空撮につかうドローンだ！」
功刀絢花「聞こえる音は、プロペラの稼働音だな」