エピソード5(脚本)
〇アパートのダイニング
東街エリ子「アンリ...最近元気ないようだけど大丈夫?嫌な事があったらいつでも相談にのるよ」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「私は大丈夫、色々あったけど」
アンリ・デルタ「ただ...」
〇未来の都会
去年、×国でクーデターが成功して新しい大統領が誕生した話は前にしたよね。
昔の大統領は貧困対策せずに税金で女神の像を1000体庭に飾ってる本当にろくでなしだったから
今の大統領の仕事ぶりには文句はないよ...ただ、
現大統領の派閥内にいる軍人や裁判官などの権力者が気に入らない表現のある作品を消し去ろうとしているんだ
〇アパートのダイニング
東街エリ子「何それ!?コワイ!!」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「それで私の仕事やクリエイター仲間にも影響が出始めてる...」
アンリ・デルタ「『この色は敵国の国旗を連想するから使うな』とか『もっと大統領を讃えるような描写のキャッチコピーをつくれ』とか」
アンリ・デルタ「あいつらマジで意味わかんないよね!! Piss ●ff!!」
〇アパートのダイニング
東街エリ子(アンリがスラング使っているという事は相当苛立っているんだろうね...話題変えた方がいいかな)
東街エリ子「そうだったんだね... 話変わるけど実は」
東街エリ子「小説家を目指す為に最近出版社に作品を持ち込みしたり、賞に投稿してるんだよ」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「えっ、エリ子が本格的な小説を書いたの!?読みたいから見せて!!」
アンリ・デルタ「じっくり読んだら感想送るね!」
〇アパートのダイニング
数日後
東街エリ子「うわぁ、アンリの感想文だ!...もはや論文レベル」
長いので感想文をまとめると
.本格的なミステリーは最高だった
.これは評価されないといけない作品
という内容だった
東街エリ子「アンリ、過大評価しすぎだよ...」
東街エリ子「編集部に持ち込みに行ったら「私は嫌いではない文章だし、構成力もあるけどありきたりすぎる」って言われちゃったんだよね...」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「何それ!編集者の評価、意味わかんない」
アンリ・デルタ「まぁ、たしかにありきたりすぎるって意見はミステリーを何百回も読んでる人ならそう感じるかもしれないかな...」
アンリ・デルタ「私だったら殺人事件で使われたアイテムをピアノ線じゃなくて」
アンリ・デルタ「工業用のポリエチレン繊維を使って最初から散らかっている近所の工場の作業場に捨てるかな...」
アンリ・デルタ「仕事が終わると片付けないといけないから証拠も減るだろうし」
〇アパートのダイニング
東街エリ子「アンリ、凄い!! 私じゃそんな事思いつかなかった!」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「たまたま思いついただけだよ」
〇アパートのダイニング
東街エリ子「ねえ、もしよかったらアンリと合作で作品作らない?上手くいけばアンリにとっては日本デビューだよ!」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「いや、それはちょっとなぁ」
〇アパートのダイニング
東街エリ子「そうだよね、変なこと言ってごめんね」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「・・・」
アンリ・デルタ「・・・」
アンリ・デルタ「やっぱりエリ子と合作してもいいかな?」
アンリ・デルタ「ただし、条件として私の名前は一切出さない事」
〇アパートのダイニング
東街エリ子「え、名前を出さない事が条件なの?つまり ゴーストライターになるって事?」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「厳密には私がアイディアを出してエリ子が物語を作って文章にするから完全なゴーストライターではない気がするけど」
アンリ・デルタ「まぁ、似たようなものかな」
アンリ・デルタ「そう、私はゴーストライターになる事に決めたんだ。もう自由に作品を作る事ができないのは懲り懲り」
アンリ・デルタ「でも、エリ子が万が一×国の連中に暗殺でもされたら嫌だから名前は隠す事にしたい」
〇アパートのダイニング
東街エリ子(暗殺なんて大袈裟だと思ったけど...アンリの目は本気だ。多分×国の表現規制主義者は本当に手段を選ばない人達なんだ)
東街エリ子「わかったよ、ならアンリの名前は表に出さないからね」
〇女性の部屋
アンリ・デルタ「決まったな!なら新作として良いアイディアを提供するから覚悟してねエリ子!!」
〇アパートのダイニング
東街エリ子「わかったよ!私も良い作品を作れる様に頑張るね!!」
〇高級マンションの一室
東街エリ子(それでアンリと合作して作った作品がヒットして今では人気作家になったからアンリには頭が上がらないよ...)
東街エリ子(もちろん私も作家として勉強してきたからアンリがいないと話が作れないわけでは無い...でも)
東街エリ子(やっぱり寂しいよ、アンリ)
〇貴族の応接間
一方その頃のアンリ・デルタは
アンリ・デルタ「離せって言ってるでしょ!!」
兵士 リベルテ「黙れ、アンリ・デルタ!!身の程を弁えろ」
大統領「リベルテ、離してあげなさい」
兵士 リベルテ「ハッ!承知いたしました」
アンリ・デルタ(だ、大統領!?どうして)
大統領「私はアンリさんとお話がしたいから外に出てくれ」
兵士 リベルテ「...わかりました」
大統領「まぁ、お茶でも飲みながらゆっくり話そうか」
アンリ・デルタ「何が目的ですか?」
大統領「確かに、急に手荒な真似をしたのは申し訳なかった。ピンイン達にはくれぐれも言いつけておくよ」
そしてアンリ・デルタは人生で初めてのピンチを経験するのであった