特異地蔵譚

わらやま

募集 番外編 恋のお守り地蔵(脚本)

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〇大会議室
メタモルフォーゼ地蔵「・・・」
軍荼利明王地蔵「ねぇ・・・ メタモルフォーゼ地蔵・・・よね?」
メタモルフォーゼ地蔵「ああ、軍荼利明王地蔵、どうかしましたか?」
軍荼利明王地蔵「あなたって明日一日オフよね・・・?」
メタモルフォーゼ地蔵「ええ、まぁ、そうですけど」
軍荼利明王地蔵「私に・・・付き合ってほしいの・・・」
メタモルフォーゼ地蔵(嫌な予感がします・・・)
メタモルフォーゼ地蔵「またよくわからない映像制作の協力ですか!?」
軍荼利明王地蔵「違うわ」
軍荼利明王地蔵「ほら、地蔵文書の特異地蔵でも・・・危険性が無いと判断された地蔵は・・・捜査もしないで放置されるじゃない・・・?」
メタモルフォーゼ地蔵「そうですね」
軍荼利明王地蔵「その中のひとつ・・・拝むと恋が叶うっていう・・・」
軍荼利明王地蔵「”恋のお守り地蔵”探索に協力してほしいの」
メタモルフォーゼ地蔵「・・・私に頼むってことは辺鄙なところにありそうなんですか!?」
軍荼利明王地蔵「レミラーマ地蔵に確認してもらったら・・・」

〇岩山
軍荼利明王地蔵「8000m峰・・・」
軍荼利明王地蔵「『K2』の頂上付近にあるらしいの・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「よりによってK2ですか・・・」

〇大会議室
メタモルフォーゼ地蔵「最難関の山じゃないですか・・・」
軍荼利明王地蔵「そう・・・だから私1人じゃ厳しいから・・・手伝って」
メタモルフォーゼ地蔵「まぁいいですけど、私も軍荼利明王地蔵も明日しかオフはないですよね?」
軍荼利明王地蔵「そうよ・・・だから今から行くの・・・40秒で支度して・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「一泊二日でK2登頂・・・ 間違いなく前人未到・・・いや、前地蔵未到ですね」
軍荼利明王地蔵「あなたたちはお留守番ね・・・変温動物に雪山は無理だわ・・・」
軍荼利明王地蔵「ていうか・・・今更だけど、その姿なんなの?」
メタモルフォーゼ地蔵「ああ、これですか・・・ なんででしょうね。特に意識しないで人間形態になると、このおじいさんの姿になるんですよ」
軍荼利明王地蔵「そうなんだ・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「理由はよく分からないんですが・・・ まぁ、それはさておき準備してきます」
メタモルフォーゼ地蔵「とりあえず超音速機形態でK2まで移動ですね」

〇宇宙戦艦の甲板
メタモルフォーゼ地蔵「ヘリの形態ではこの高度が限界です! 一旦降りて、ここからは歩きましょう!」
軍荼利明王地蔵「そうね・・・行きましょう・・・」

〇雪山
メタモルフォーゼ地蔵「しかし、よりによってなんで東壁ルートなんですか!?」
軍荼利明王地蔵「だって日本から直線で最短コースだったら、このルートでしょ・・・」
メタモルフォーゼ地蔵(このルートは最難関なんですが・・・)
軍荼利明王地蔵「恋と一緒・・・まっすぐ最短をよ・・・」
軍荼利明王地蔵「それに・・・障害が高いほど燃えるわ・・・」
メタモルフォーゼ地蔵(恋のお守り地蔵の力を頼るのは最短なのでしょうか?)
軍荼利明王地蔵「さぁ、あと3時間で頂上までいくわよ・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「雪庇に気をつけてくださいね」

〇雪山
メタモルフォーゼ地蔵「一つ・・・聞いていいですか?」
軍荼利明王地蔵「なに・・・?」
メタモルフォーゼ地蔵「あなたはどうしてそこまで不動明王地蔵のことを・・・?」
軍荼利明王地蔵「珍しいわね・・・あなたがそんな踏み入ったことを聞いてくるの・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「まぁ、K2登頂に付き合っていますからね」
メタモルフォーゼ地蔵「それくらい聞く権利はあるかと」
軍荼利明王地蔵「・・・あれは」
軍荼利明王地蔵「まだ私が特異地蔵対策課に入ったばかりの頃・・・」

〇大会議室
軍荼利明王地蔵「・・・」
不動 明夫「やぁ!君が軍荼利明王地蔵だね」
不動 明夫「僕は不動明王地蔵!!同じ明王地蔵としてよろしく!!」
軍荼利明王地蔵「・・・あなたは、疑問には思わないの?」
軍荼利明王地蔵「私達は明王として、偶像として、みんなを見守ってただけなのに・・・」
軍荼利明王地蔵「突然特異地蔵として目覚めて・・・」
軍荼利明王地蔵「わけがわからないうちに特異地蔵対策課に入れとか言われて・・・」
不動 明夫「ああ、そっか!! その気持ち忘れてたよ、混乱するよね!?」
軍荼利明王地蔵「私は正直・・・今何を目標にして過ごせばいいか、わからないの・・・」
不動 明夫「目標かぁ・・・」
不動 明夫「じゃあ軍荼利明王地蔵の目標探し、僕も手伝うよ!!」
軍荼利明王地蔵「えっ・・・!?」
不動 明夫「軍荼利明王地蔵は明王として人のために頑張ってきたんだから、もっと自分のために生きてみればいいんだよ!!」
不動 明夫「せっかく特異地蔵になったんだからさ!!」
軍荼利明王地蔵「自分のため・・・」
不動 明夫「うん!!」
不動 明夫「僕は目標見つかってるからさ!!」
不動 明夫「100%達成困難な目標なんだけど・・・」
不動 明夫「達成に向けて全力を尽くすことは」
不動 明夫「明王として鎮座しているよりずっと充実してるよ!!」
軍荼利明王地蔵「そんなの・・・考えたこともなかった・・・」
軍荼利明王地蔵(そっか・・・自分らしく・・・)
軍荼利明王地蔵(目標・・・)
軍荼利明王地蔵(なんなの・・・この感情は・・・?)
軍荼利明王地蔵(そうか・・・これが・・・)
軍荼利明王地蔵「ありがとう・・・不動君・・・ でも、いいの・・・」
軍荼利明王地蔵「私の目標・・・見つかったから・・・」
不動 明夫「え?」
不動 明夫「早くない?」

〇雪山
メタモルフォーゼ地蔵「そんなやりとりがあったんですね」
軍荼利明王地蔵「私は・・・私の地蔵生は・・・」
軍荼利明王地蔵「不動君のためにあるの・・・」
軍荼利明王地蔵「だからこの恋は・・・絶対に失敗したくない・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「それはいい目標ですね」
メタモルフォーゼ地蔵「そろそろ頂上付近です」

〇岩山
軍荼利明王地蔵「ここが頂上・・・?」
メタモルフォーゼ地蔵「標高8611m・・・ デスゾーンと呼ばれ、地上の三分の一ほどの酸素濃度しかありません」
メタモルフォーゼ地蔵「特異地蔵でもないと、こんな場所で地蔵を探すなんて出来ないですね」
軍荼利明王地蔵「あれは・・・!?」
メタモルフォーゼ地蔵「ありましたね・・・」
軍荼利明王地蔵「いよいよね・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「さぁ、軍荼利明王地蔵、拝みましょう」
メタモルフォーゼ地蔵「そうすれば、あなたの恋は”100%”成就しますよ」
軍荼利明王地蔵「100%・・・・・・」

〇大会議室
不動 明夫「100%達成困難な目標なんだけど・・・」
不動 明夫「達成に向けて全力を尽くすことは」
不動 明夫「明王として鎮座しているよりずっと充実してるよ!!」

〇岩山
軍荼利明王地蔵「・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「どうしました?」
軍荼利明王地蔵「私やっぱり拝まないで帰る・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「え・・・!?」
軍荼利明王地蔵「普通の人間ならともかく・・・私たち特異地蔵は・・・自分の手で夢を掴むべき・・・」
軍荼利明王地蔵「恋のお守り地蔵には・・・頼らないわ!!」
軍荼利明王地蔵「私には・・・不動君の言葉が・・・存在が・・・」
軍荼利明王地蔵「何よりのお守りだから・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「・・・」
軍荼利明王地蔵「迷いをたち切るためにも・・・恋のお守り地蔵は破壊しておいて・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「はぁ・・・ まぁ、過酷な登山で悟りを開いたり考えがかわったりってのはよくありますからねぇ」
メタモルフォーゼ地蔵「・・・」
メタモルフォーゼ地蔵「私のオフ・・・」

〇大会議室
軍荼利明王地蔵「あの・・・不動君・・・」
不動 明夫「どうしたの!?軍荼利明王地蔵!?」
軍荼利明王地蔵「コレあげる」
不動 明夫「これは・・・」
軍荼利明王地蔵「この前・・・K2登頂したから・・・そのお土産・・・」
軍荼利明王地蔵「お守りにでもして持っていて・・・」
不動 明夫「あ、ありがと・・・」
不動 明夫「K2って登頂最難関と呼ばれている8000m峰だよね」
不動 明夫「そんな所にわざわざ行って僕にこれを・・・!?」
不動 明夫「ま、まさか!?」
不動 明夫「だいぶ前に言ってた目標って”8000m峰 14座制覇”だったのかな!!」
識者(軍荼利明王地蔵・・・)
識者(コイツにはストレートに伝えるしか無いと思うぞ・・・)

次のエピソード:募集 うんち地蔵 オムニバス

コメント

  • 2話連続でお爺さんが出ないのを避けてくださってありがとうございます😭
    メタモルフォーゼ地蔵、ナイスビジュアルです🤣

    そして、まさかの展開😂
    誰もが予想しなかったでしょう!

  • 恋のお守り地蔵編がまさかこんなお話になるとは🤣
    メタモルフォーゼ地蔵、便利だから酷使されすぎですね(笑)

  • オフあるんだ!地蔵たちの職場が思ったよりクリーンで意外です(笑)
    恋する地蔵…イイですね!軍荼利明王地蔵の恋路を応援したくなりました

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