魔法少女ハルノの挑戦

武智城太郎

第十話 魔法決戦(5)真の姿(脚本)

魔法少女ハルノの挑戦

武智城太郎

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〇養護施設の庭
天羽春乃「ギャー!! ヘビ嫌い!!」
ラック「ヘビじゃない、ドラゴンだ」
ディアナ(ドラゴン形態)「ギャオーン!!」
天羽春乃「ヒイィィッッ!!」
天羽春乃「コナイデーーッ!!」
ラック「・・・なんだかドラゴンのわりには火も吹かないし、迫力ないな」
ラック「さっきから春乃を追い回してるだけだし、よく見たらサイズもせいぜいアナコンダくらいだ」
ラック「こりゃ、魔女ディアナの実力の底も見えたな」
  そのときドラゴンの鱗の隙間から、キラッと光るものが落ちる。
ラック「今のなんだ?」
ラック「頑張れ、春乃! 敵のほうもだいぶバテてるぞ」
  ラックの言葉通り、ドラゴンはへたりこんで動かなくなる。
ディアナ(ドラゴン形態)「〝ドラコ、ドラコ、サタン汝に憂さを送れり〟」
ディアナ(ドラゴン形態)「〝われ、今こそドラコが形なれどすぐさま女の形とならん〟」
  ディアナは人間の姿にもどっても、消耗しきっていて動けない。
天羽春乃「た、助かったあ・・・!!」
天羽春乃「あたしもヘトヘトだよ」
ラック「ちょっと待ってろ。気になることがある」
  ラックはベンチがあるほうに駆け去ってしまう
天羽春乃「はあ・・・あたしどうなっちゃうんだろ?」
天羽春乃「ディアナさんに食べられちゃうのかな?」
天羽春乃「そしたら『ララミット』の最終回が見れなくなっちゃう」
天羽春乃「そうだ! 魔法で今すぐ見れないかな?」
天羽春乃「パーリル マクテク ポーナパルト♡ 『ララミット』の最終回を見せて!」
天羽春乃「やったー! 成功だ!!」
天羽春乃「あ、OPが始まった♪」
天羽春乃「ララ、ララ、ララ、ララ、ララミット~♪」

〇荒廃した街
  『天使の魔法少女ララミット』最終回。
  先週から引き続き、ラスボスである魔王との苦闘が続いている。
魔王「世界が憎しみの闇に覆われるのも時間の問題のようだな、ククッ・・・」
ケット「ララミット! 魔力の強さがすべてではないポヨ!!」
  ケットが敗北寸前のララミットに命懸けで訴えかける。
ケット「魔法少女の信念を思い出すポヨ!」
ケット「〝森羅万象、清濁併せ呑み、宇宙にあまねくすべての存在を愛せよ!〟」
ララミット「ケット!! 思い出させてくれてありがとう!!」
ララミット「見せてあげる!! 魔法少女の愛の力を!!」

〇美しい草原
魔王「まるで・・・長い悪夢を見ていたような・・・」
魔王「ありがとう・・・魔法少女ララミットよ・・・」

〇女の子の一人部屋
ララミット「うそ!? また寝坊しちゃった!!」
ララミット「遅刻しちゃう!! お母さん、どうして起こしてくれなかったの!」
ケット「やれやれ、平和が戻ったと思ったら、またこれだ・・・」

〇養護施設の庭
天羽春乃「あたしはまちがってた! こんな争いは何も生まない!」
天羽春乃「魔法少女に大切なのは愛の力なのに!!」
ラック「春乃、腕輪が見つかったぞ!!」
天羽春乃「あ・・・」
ラック「あの魔女、用心のために奪った腕輪を自分で持ってたんだ」
ラック「これさえあればこっちのもんだ!」
ラック「さあ、早く腕につけて〝正義の鉄槌〟を発動しろ!!」
ディアナ「引き裂いてやる! ションベン臭い小娘が!!」
  ディアナは疲労で動けないまま、ヒステリックに罵倒を浴びせかけてくる。
ディアナ「死よりも恐ろしい拷問にかけてやる!! おまえの家族も皆殺しにしてやる!!」
ラック「おい、何してる!? 早く腕輪を付けるんだ!!」
ラック「今なら確実に魔女を倒せるぞ!! 千載一遇のチャンスだ!!」
ラック「ためらってると、こっちがやられちまうぞ!!」
ラック「天使だって、魔女には容赦するなと──」
天羽春乃「ううん、天使様もまちがってる!!」
天羽春乃「魔法少女ハルノは、敵の心の中から邪悪さだけを消滅させる!!」
天羽春乃「ララミットがやったみたいに!!」
ラック「アニメはご都合主義の塊だ。フィクションにすぎん」
ラック「おまえは、まだまだ町内レベルの──」
ラック「なんだ!? 春乃の中に凄まじい魔法のエネルギーを感じるぞ・・・!!」
ラック「こんな春乃は今まで見たことがない・・・!!」
ラック(たしか天界の授業で天使が──)

〇雲の上
天使「たしかに、魔法をうまく使えるようになるには、コツコツと経験を積むほかありません」
天使「ですがそれは、あくまで技術に関する話です」
天使「魔法少女の魔力の源は、見返りを求めない〝愛〟にあります」
天使「愛のエネルギーは無尽蔵・・・」
天使「その想いが爆発したとき、彼女たちは、ふだんからは想像もできないほどの力を発揮します」

〇養護施設の庭
ラック(なんてことを言ってたが、まさか・・・!)
天羽春乃「見せてあげる! 魔法少女の愛の力を!!」
天羽春乃「マジカル・リリカル・トランス・フォー!」
天羽春乃「可愛いコスチュームにチェーンジ!!」
天羽春乃「シャララーーーンッ☆☆」
ラック「なんだ!? 今どうやって変身したんだ!?」
天羽春乃「そして・・・」
天羽春乃「パーリル マクテク ポーナパルト♡ ディアナさんを浄化してーーっ!!」
ディアナ「いったい何を・・・!?」

〇花模様
ディアナ「なによ、この空間はっ!?」

〇養護施設の庭
  ディアナの体内から、闇そのもののような不気味な塊が吹き出していく。
ディアナ「ほえ~ん・・・」
ディアナ「へほ~ん・・・」
天羽春乃「あれ? ディアナさん・・・?」
ラック「浄化魔法がうまくいったんじゃないのか?」
ラック「この女から邪悪さを消し去ったら、あとは何も残らん」
ラック「心の中が空っぽになったんだろう」
天羽春乃「え~と、ディアナさん?」
ディアナ「な~に~?」
天羽春乃「あのぉ、いろいろ反省してくれましたか?」
ディアナ「どうでもいい~~」
天羽春乃「警察に通報しますけどいいですか?」
ディアナ「いいわよ~~」
天羽春乃「老後、タイヘンになるかもしれませんよ?」
ディアナ「なるようになる~~」
天羽春乃「よ、よかった。改心してくれたみたい」
天羽春乃「そうだ、弥生ちゃんと千尋ちゃん!」

〇養護施設の庭
  弥生と千尋は石のテーブルの上で、まだ意識のないまま横たわっている。
天羽春乃「弥生ちゃん!! 千尋ちゃん!!」
岩崎弥生「あれ? わたし、寝ちゃって・・・」
岩崎弥生「千尋! だいじょうぶ!?」
岩崎千尋「・・・おねえちゃん、このお庭どこ?」
天羽春乃「よかった。無事みたい♪」
岩崎弥生「天羽さん! 犯人の人たちは!?」
天羽春乃「もう心配ないよ。二人とも、お家に帰れるから」
岩崎弥生「う、うう・・・」
岩崎弥生「よかった・・・!!」
  弥生は安堵のあまり、むせび泣く。
岩崎弥生「天羽さん、あなたはいったい・・・」
天羽春乃「魔法少女ハルノだよ!!」
岩崎弥生「魔法・・・」
  弥生は、春乃に対して感謝よりも畏れの態度を見せている。
天羽春乃「なにあれ? 花壇のほう!!」

〇華やかな広場

〇黒
  つづく
  次回予告
  
  第十一話(最終話) 魔法少女の矜持
  またみてね!

次のエピソード:第十一話(最終話)魔法少女の矜持

コメント

  • ハルノちゃん、愛の力で改心させる事が出来ましたね。
    次回最終回。全力待機します!

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