君の瞳は100万ポンド

結丸

真実(脚本)

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結丸

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〇怪しいロッジ
氷見 怜士(とりあえず、しばらくはここで過ごすしか ないか・・・)
  氷見はソファーに寝転がった。
氷見 怜士「あー、昨日は色々あり過ぎた・・・」
氷見 怜士(えっ・・・天音の番号?)
氷見 怜士「・・・もしもし」

〇海岸線の道路
  怪我?
  天音が?
  はい・・・
  自分で、目を──
氷見 怜士「・・・っ」

〇大きい病院の廊下
西園寺 密「・・・・・・」
西園寺 密「あっ──」
氷見 怜士「天音は!?」
西園寺 密「この病室です」
  氷見は病室のドアを開けようとして、
  密に視線を向けた。
氷見 怜士「君は西園寺家の人間だよな。 どうして俺に連絡をくれたんだ?」
氷見 怜士「あんたらにとっちゃ俺は邪魔な存在だろ?」
西園寺 密「・・・今となっては関係ないです」
氷見 怜士「“鍵”を失ったからか?」
西園寺 密「違う!」
西園寺 密「天音・・・ ずっとあんたの名前を呼んでるんだ」
氷見 怜士「えっ──」
西園寺 密「オレじゃないんです。 オレじゃ・・・ダメなんです・・・」
氷見 怜士「・・・そうか」

〇病室のベッド
  目元に包帯を巻いた天音がベッドに
  横たわっている。
氷見 怜士「あ・・・」
西園寺 天音「・・・さん・・・」
西園寺 天音「ひ・・・さん・・・ 氷見・・・」
氷見 怜士「天音、俺だ。 俺はここにいる」
  氷見は天音の手を握った。
氷見 怜士「なんで、こんな・・・ こんなことを・・・」
氷見 怜士「ごめんな、天音・・・」
西園寺 天音「・・・氷見、さん?」
氷見 怜士「! ・・・ああ、そうだ」
西園寺 天音「氷見さんは・・・ 私のお兄ちゃんなんだってね」
氷見 怜士「・・・・・・」
西園寺 天音「ごめんね、こんな妹で・・・」
氷見 怜士「何言ってんだよ。 それを言うなら俺のほうが──」
氷見 怜士「ろくでもない── 兄貴、だろ」
西園寺 天音「ううん、違うの。 私がダメな妹なの」
西園寺 天音「だって、氷見さんのこと── お兄ちゃんのこと、好きになっちゃったから」
氷見 怜士「・・・え?」
西園寺 天音「兄妹なのに、私・・・ ごめんなさい」
氷見 怜士(俺だって──)
氷見 怜士(お前のこと、妹として守んなきゃって 思ってたはずなのにな・・・)

〇公園の砂場
怜士「〜♪」
氷見 鋭児「なぁ怜士、そろそろ帰ろうぜ? 寒くなってきたしさぁ」
怜士「いやだ」
氷見 鋭児「ワガママ言うなって」
怜士「お父さんが先に帰ればいーじゃん」
氷見 鋭児「そんなわけにはいかねぇだろ。 ほら──」
  怜士は鋭児の手を払い除け、
  砂場から飛び出した。
氷見 鋭児「お、おい!」
  ──ドスンッ。
怜士「いてて・・・」
西園寺 慎「ごめんね、大丈夫?」
怜士「・・・うん」
氷見 鋭児「うんじゃねーだろ! すみません、ウチのバカ息子が・・・」
西園寺 慎「いえ、私のほうこそボーッとしていたので」
西園寺 慎「ぶつかってごめんね」
怜士「ん・・・ 僕も、ごめんなさい」
西園寺 慎「えらいね。 君、いくつ?」
怜士「10歳」
西園寺 慎「そっか、10歳か・・・」
怜士「?」
西園寺 慎「おじさんね、娘がいるんだけど・・・ お母さんが死んじゃってね」
西園寺 慎「君みたいなお兄ちゃんがいれば、 寂しくないだろうなって──」
怜士「おじさん・・・」
西園寺 慎「ごめんね、変なこと言ったね」
氷見 鋭児「・・・・・・」
怜士「ねぇ、おじさんの子供ってどんな子?」
西園寺 慎「うん? ああ、写真見る?」
怜士「へえ・・・」
西園寺 慎「可愛いだろう? 天音っていうんだ」
怜士「あまね、かぁ」
怜士「じゃあ僕、あまねの兄ちゃんになってあげる」
西園寺 慎「あ──」
西園寺 慎「・・・ありがとう」

〇病室のベッド
氷見 怜士(あのとき、なんでおじさんが泣き出したのか不思議だったけど・・・)
氷見 怜士(今思えば、自分の身に危険が迫ってたのを 感じてたんだろうな。 娘を残して、この世を去ることに なるって──)
  天音は心地良い寝息を立てている。
氷見 怜士「やっと眠れたみたいだな」
氷見 怜士「・・・・・・」
氷見 怜士「恥ずかしいけど・・・ 俺の初恋は、お前だったんだぜ」
氷見 怜士「おじさんに写真見せてもらったときに・・・ まぁ、一目惚れってやつだ」
氷見 怜士「でも、お前と俺じゃ住む世界が違うだろ。 ・・・俺んちの稼業のこともあるし」
氷見 怜士「だから── 妹って思うことにしたんだ」

〇貴族の応接間
  一方、その頃──
西園寺 禮「とにかく名医と言われる奴には全て当たれ。 いいな?」
西園寺 密「・・・・・・」
西園寺 禮「お、帰ってきたな。 どうだ、天音は」
西園寺 密「・・・特に変わりはないよ」
西園寺 禮「そうか・・・ 全く、とんでもないことになった」
西園寺 禮「アレにもしものことがあっては 西園寺家の財宝は──」
西園寺 密「父さん」
西園寺 禮「と・・・父さん? なんだお前、いつもは親父殿って・・・」
西園寺 密「天音はモノじゃない。 アレとか言うのはやめてくれ」
西園寺 禮「はあ? 何を言うかと思えば・・・」
西園寺 禮「だいたいお前がグズグズしてるのが悪いんだ」
西園寺 密「・・・・・・」
西園寺 禮「所詮は女なんだから、さっさと抱いておけば 言うことも聞いたろうに」
西園寺 禮「やはり先に手頃な女をあてがって、 童貞を──」
西園寺 密「ごめん」
西園寺 禮「・・・っは・・・」
西園寺 密「はぁ・・・はぁ・・・」
西園寺 密「これで・・・ これで、いいんだ・・・」

〇病院の待合室
氷見 怜士「・・・・・・」
謎の医師「あのー」
謎の医師「もう終わりなんすけどー」
謎の医師「・・・マジかよ、ガチ寝?」
氷見 怜士「すんません、起きてました」
謎の医師「!!」
氷見 怜士「ちょっと疲れちゃって。 とりあえず朝まで休ませてもらおうと・・・ ダメですかね?」
謎の医師「いやダメでしょ。 何言ってんの?」
氷見 怜士「ですよね・・・」
謎の医師「・・・まぁ、ここじゃなきゃいいよ」
氷見 怜士「えっ?」
謎の医師「ついてきな」

次のエピソード:もう一つの◯◯

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