後は野となれ 花となれ

もと

食えるなら食え(脚本)

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〇暗い洞窟
ロゼ「(・・・こっちに、横道が)」
リュート「(待て、手当てを)」
ロゼ「(ダメです、今は逃げましょう・・・)」
  ・・・背にも鎧を着ていたか。
  出血は無さそうだが・・・。
  あの斬撃のような術ならば
  かすっただけでも骨の一、二本は
  折れているかも知れない。
  どういう女なのか。
  ただの人間の気配しか・・・ん?
リュート「・・・あの術師の気配が消えたな」
ロゼ「・・・はあ」
リュート「ワイズ、お前に癒す力はあるのか?」
ワイズ「む」
リュート「・・・無さそうだな あればとっくにやっているか」
ロゼ「すみません、私のせいで・・・」
リュート「歩けるのか? ならば外へ出よう」
ロゼ「・・・はい」

〇岩穴の出口
ワイズ「うんま」
リュート「ああ、いるな? 先回りされたか」
ワイズ「(むむ)」
リュート「(姿も気配も消したままだな?)」
ワイズ「(あむ)」
リュート「(ならばこのまま突破するぞ)」
ロゼ「(・・・すごいわ)」

〇洞窟の入口(看板無し)
術師「・・・あれ?」
術師「・・・コッチだと思ったんだけどな?」
「・・・」
「・・・」
術師「・・・あーあ、もう・・・ 無かった事にしちゃおっかな」
術師「うん、魔物が集まってただけって事に しちゃおう」
術師「気配が邪魔だから消しておきました、 これでイイじゃん」
術師「・・・んー・・・」
術師「えい!」
「・・・!」
「・・・!」
術師「よし! 上手に埋めた、帰ろ!」
「・・・」
「(・・・ひどい)」

〇森の中
ワイズ「・・・むう」
リュート「大丈夫だ、お前は良くやってくれた ・・・助かったぞ」
ワイズ「あう」
リュート「とりあえず怪我の具合を見てやりたい 回復の術か・・・発動した事も無いが」
ワイズ「ばあ」
リュート「なんだ?」
リュート「なるほど、川辺が近いか」
リュート「ありがとう、ワイズ 行くぞ」

〇山中の滝
リュート「もう下ろすぞ、重い これをこうして布団になると言ったか?」
リュート「こうか? 動くなよ、術も使うな、いいな?」
ワイズ「うば!」
リュート「さて・・・やるか」
ワイズ「んま」
リュート「・・・失敗だろうな」
ワイズ「んんま」
リュート「なんだ? 腹が減ったのか?」
ワイズ「んんんん」
リュート「おい? 寝返りが出来るのか? まさか今、出来る様になったのか? めでたいな」
リュート「いやいやいや、待て待て待て」
リュート「動くな、荷物に触るな、待て、 だから触るなと・・・凄いな? 赤子とはこんなに握る力が強い物なのか?」
リュート「ちょっと待て、本当に駄目だ、 危ないと言っているだろう! 触るな、刃物や剣が・・・」
リュート「・・・そうか!」
ワイズ「んば!」
リュート「そういえば買っておいたな お前は遊んでいたのに良く覚えていた」
リュート「これがあると教えていたのか ワイズがいなければ思い出すのに 後一時間はかかった」
ワイズ「んぱあ!」
リュート「少しは俺の力も増幅される ・・・と、思い込んでおこう」
リュート「・・・よし」
ワイズ「む」
リュート「・・・離せ、握るな、集中が・・・」
リュート「・・・いや、手伝ってくれ」
リュート「・・・どうだ?」
リュート「大丈夫か?」
ロゼ「・・・は、はい! すみません! お手間かけますましました!」
リュート「・・・まあ落ち着け そもそも俺が世話を頼んだからだ」
ロゼ「いいえ私、足が遅いと言われ育ちました! すみませんすみません!」
ワイズ「んまー!」
リュート「すまなかった 危険な位置に立たせてしまった」
ロゼ「いえいえそんな私が鈍いだけです! 足手まといにならないよう頑張ります!」
ワイズ「まー!」
ロゼ「はい! ワイズ君もありがとうございました!」
ワイズ「・・・む」
ロゼ「え?! なんでしょうか?! 私もう嫌われましたか?!」
リュート「いや、腹が減ったのかも知れない 下の世話も必要な頃か」
ロゼ「あ! そっか、はい! 私の出番ですね!」
リュート「・・・」
ロゼ「オシメを替えましょう! おりこうさんです・・・ね・・・」
ロゼ「お!」
ロゼ「女の子!」
リュート「・・・ああ いや咄嗟に男子だと鶏・・・宿屋に 嘘をついてしまっただけだ」
リュート「見知らぬ町で女の子供を連れて歩くのは その、良くない様な気がした」
ロゼ「なるほど」
リュート「すまな・・・」
ロゼ「じゃあワイズちゃんですねー! 仲良くしましょう!」
ワイズ「だあー!」
リュート「・・・」
リュート「・・・助かる ありがとう、ロゼ」
ロゼ「・・・うふふ、はい! 問題ありません!」
ロゼ「じゃあ次はご飯ですよー!」
ワイズ「まー!」
リュート「・・・み、見てくる、周囲を、 危険が無いか、有るか、 いや有ったら困るな・・・」
ロゼ「はい! お気を付けて!」
  ・・・忙しない女だな。
  俺が居ても遠慮なく諸肌を脱ぐか。
  参ったな。一番苦手な雰囲気だ。
  俺はただの盗賊、ワイズは拾っただけ。
  嘘をつき通すか否か。
  ・・・嘘をつく意味は?
  地下道にいた者達は逃げ延びただろうか?
  あの子供の術師は・・・。
  ・・・まあ良いか。
  このまま俺が姿を消してもいいぐらいだ。
  巻き込んだのは俺だが、
  俺も巻き込まれていると言えるだろう。
  ・・・。
  ・・・まあ、良くないか。
  それより地図も何も荷物の中じゃないか。
  手ぶらで歩いて何になる。
  適当に時間を潰して戻るしかないか。
  ・・・ん?

〇森の中の小屋
  ・・・ほう?
  猟師が使う小屋か。

〇屋敷の牢屋
ロゼ「(・・・誰かが来たら私が謝りますね)」
リュート「普通に話して大丈夫だ ワイズはちょっとやそっとでは起きない」
ロゼ「そうなんですか、では遠慮なく」
リュート「元気そうだが一応聞いておく 体は無事か?」
ロゼ「はい、お陰様で無事です 背負って助けて貰った上に、治して頂いて 本当にありがとうございます」
リュート「いや、術は・・・ワイズが使った」
ロゼ「まあ」
リュート「俺は術師としては底辺だ ワイズの魔力を借りた」
ロゼ「底辺も何もありません、 私を助けて下さいました」
ロゼ「ありがとうございます」
リュート「いや・・・ありがとう」
ロゼ「うふふ」
リュート「・・・今のうちに何か食べるか」
ロゼ「はい、お昼ごはんですね 煮炊きも出来そうです、準備しますね」
リュート「・・・助かる」

次のエピソード:行けるなら行け

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