パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

エピソード2(脚本)

パシリ屋小走駿太郎

芹川サンキュー

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パシリ屋小走駿太郎
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〇平屋の一戸建て
  庭に『便利屋パシリー』の軽バンが停まる。
小走駿太郎「金のにおいが全くしないな」
只野太「聞こえるよ」

〇ボロい家の玄関
  ピーンポーン♪
山本清吉「誰だ?」
小走駿太郎「ども!」
小走駿太郎「大掃除から赤子の世話まで、便利屋パシリーです!」
山本清吉「・・・・・・」
只野太「あ、あの、すいません。 不用品回収を頼まれてた便利屋です」
山本清吉「・・・上がれ」
「・・・・・・」
小走駿太郎「なんだ? あのくたばりぞこないは」
只野太「聞こえるってば」

〇散らかった居間
「・・・・・・」
小走駿太郎「この家の荷物全部?」
山本清吉「そうだ」
小走駿太郎「ってか、これじゃあ、どれがゴミでどれが不用品かわかんないよ」
只野太「ちょっと駿ちゃん。失礼だよ」
山本清吉「つべこべうるさい!」
山本清吉「ここにあるもん、全部いらないから持っていってくれ!」

〇古い畳部屋
小走駿太郎「あのジジイ、死ぬのかな」
小走駿太郎「顔色わりーし、これどうみても身辺整理だろ」
只野太「縁起でもないこと言わないの」
只野太「ここを引き払ってマンションにでも引っ越すんだよきっと」
小走駿太郎「こんなボロ屋敷じゃ大した金にならねーぞ」
小走駿太郎「あんな見てくれじゃ嫁や子どももいねーだろうし、悲しい人生だな」
只野太「駿ちゃん! ちょっとこれ見て!」
小走駿太郎「なんだ?」
只野太「これ・・・」
只野太「山本さん、絶対ただ者じゃないよ」
小走駿太郎「吉永麻衣? 誰だ?」
只野太「知らないよ」
只野太「それより、中!」
  通帳を開く小走。
小走駿太郎「い、1億!?︎」
只野太「うん」
小走駿太郎「なんだこの大金?」
只野太「わからない。でも、変なんだ」
小走駿太郎「何が?」
只野太「ほら、毎月、綺麗に20万円ずつ振り込まれてるでしょ」
小走駿太郎「こりゃぁ、いけねー金を移動してるな」
只野太「まさか」
小走駿太郎「ん?」
小走駿太郎「でも、10年前に振り込みが止まってるな」
  通帳をパラパラとめくると、写真がひらりと落ちる。
小走駿太郎「お? なんだ?」
  写真を拾おうとする小走。
只野太「あ、駿ちゃん!」
  只野が慌てて顎で後ろを指す。
小走駿太郎「あ?」

〇平屋の一戸建て

〇広い畳部屋
小走駿太郎「いやー、ほんっと今日は暑いですね!」
山本清吉「・・・そうだな」
小走駿太郎「おーい太」
小走駿太郎「麦茶持ってこい! 山本さんが暑がってるぞ」
「冷蔵庫さっき片しちゃったでしょ」
小走駿太郎「バカヤロー! だったら自販機で買ってこい!」
「こっちは手が離せないよ。 駿ちゃんが買いに行けばいいじゃん」
小走駿太郎「ったく」
小走駿太郎「気が利かなくてすいませんねーあいつ」
山本清吉「・・・・・・」
小走駿太郎「ところで、山本さんのお子さんは何をされてらっしゃるんですか?」
小走駿太郎「さぞご立派なんでしょうねー」
山本清吉「いない」
小走駿太郎「あらま!」
小走駿太郎「じゃあ、奥さんと二人でここに?」
山本清吉「いない」
小走駿太郎「あらまあらま!」
小走駿太郎「山本さんこんなにダンディなのに。 寂しかったりしませんか?」
小走駿太郎「よかったら俺が毎日・・・」
山本清吉「いらない」
小走駿太郎「でもね。ほら。 お金は天国に持っていけませんし」
  ジロリと小走を睨みつける山本。
山本清吉「この金は誰にもやらん」
小走駿太郎「ちぇ! ケチだなー」
小走駿太郎「爺ちゃんいい歳なんだし、どうせなら未来ある若者に分け与えるべきだよ」
山本清吉「これは俺の金じゃない」
小走駿太郎「吉永麻衣さんって人の金ですか?」
山本清吉「・・・・・・」
小走駿太郎「その写真の人ですか?」
小走駿太郎「誰なんですかその人?」
  ひょいと写真を手に取る小走。
山本清吉「おい! 貴様!」
  山本が写真を奪い返そうとするが、小走はひょいと避ける。
小走駿太郎「あらあら。熱くなっちゃって。 もしかして初恋の人とか?」
小走駿太郎「なんなら、俺が見つけてきてあげよっか? お安くしとくよ?」
小走駿太郎「あれ? この人・・・」
山本清吉「返せ! うっ・・・」
  胸を押さえて苦しみだす山本。
小走駿太郎「またまたー」
小走駿太郎「そんな手に引っかからないよ」
小走駿太郎「え、おい、爺ちゃん? 大丈夫?」
山本清吉「隅田・・・病院に・・・」

次のエピソード:エピソード3

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