魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

第5章 近づく足音(脚本)

魔道士は虹色の夢を見る

星月 光

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〇大広間
オペラ・フォン・ブラッドショット「みなさま 今宵はどうか楽しんでくださいませ」
ヴィオラ・コーディエ「すごい人の数だな」
ヴィオラ・コーディエ「どれから食べよっかなー」
ヴィオラ・コーディエ「・・・と その前に学園の人たちを探さなくちゃ」
ヴィオラ・コーディエ「あっちのほうかな・・・」
ヴィオラ・コーディエ「わっ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「シグバート!」
ヴィオラ・コーディエ「ありがとな! 転ぶとこだったよ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・・・・」
ヴィオラ・コーディエ「しょうがないだろ! ヒールなんか初めて履いたんだから」
ヴィオラ・コーディエ「それよりミモザは一緒じゃないのか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「婚約者だからといって常に行動をともにしなければいけないわけではない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「それに・・・」
オペラ・フォン・ブラッドショット「シグバート! こちらへいらっしゃい」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・オレと一緒だと母上に連れ回されるからな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・なるほどね」
シグバート・フォン・ブラッドショット「今回の情報収集はまかせたぞ」
ヴィオラ・コーディエ「まかせとけって!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(息が詰まる・・・ やっぱり、こういう場は苦手だわ)
ブラッドショットの貴族「シグバート殿下 以前にも増して精悍になられましたわ」
ブラッドショットの貴族「本当に お妃になる方も相応の姫君であってほしいものですけれど」
ブラッドショットの貴族「そうですわね いくら王家の血筋とはいえ、庶子では・・・ね」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(・・・ヴィオラ様のところに行こうかしら)
ミスルト・ブレイジャー「調査の結果、アポロオーラはクレーブス島にあると推測している」
ヴィオラ・コーディエ「クレーブス島?」

〇島
ミスルト・ブレイジャー「ブラッドショットの南東にある島だ」

〇火山の噴火
ミスルト・ブレイジャー「近年、リオ火山の活動が活性化している」
ミスルト・ブレイジャー「太陽の力を秘めたアポロオーラの影響だと思われる」

〇大広間
ヴィオラ・コーディエ「どうやって行けばいいんですか?」
ミスルト・ブレイジャー「アルマディンから海路で行くしかない だが、あまりにも危険だ」
ミスルト・ブレイジャー「わたしたちも一度だけ上陸したが・・・」
ミスルト・ブレイジャー「炎に遮られ 火山には近づくこともできないのだ」
ヴィオラ・コーディエ「学園長はなんて言ってたんですか?」
ミスルト・ブレイジャー「・・・学園長にはまだ報告していない」
ヴィオラ・コーディエ「どうして?」
ミスルト・ブレイジャー「報告すれば、現地調査を命じられるだろう」
ミスルト・ブレイジャー「学園長は神の遺物を熱心に求めておられる ・・・恐ろしいほどにな」
ミスルト・ブレイジャー「だがわたしは この捜査に人生を賭けるつもりはない」
ヴィオラ・コーディエ「・・・けど このままじゃ世界が滅びて・・・」
ミスルト・ブレイジャー「・・・本当にそうだろうか」
ヴィオラ・コーディエ「えっ?」
ミスルト・ブレイジャー「<虹>が失われてから1000年 世界が衰退し続けていることは間違いない」
ミスルト・ブレイジャー「しかし、盛大な祝祭や 豪華なパーティーを行う余裕もある」
ミスルト・ブレイジャー「こんなふうにな」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
ミスルト・ブレイジャー「いつか世界が滅びるとしても それは今ではない」
ミスルト・ブレイジャー「学園長に期待をかけられ 舞い上がる気持ちはわかるが」
ミスルト・ブレイジャー「きみもほどほどにするがいい では失礼」
ヴィオラ・コーディエ「あっ」
ヴィオラ・コーディエ「・・・・・・」
研究員「あーあ ディアマンテ調査隊に異動か」
研究員「あの噂ってほんとなのかな?」

〇雪山
研究員「氷の悪魔が現れて、村は永遠に溶けることのない雪と氷に閉ざされた・・・」
研究員「生きることも死ぬこともできない村民たちのうめき声が聞こえてくるって」

〇大広間
研究員「やめろよ! ますます行きたくなくなるだろ!」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ(話を訊きたかったのだけど・・・ それどころではなさそうね)
ミモザ・クラリティ「あ・・・」
ミモザ・クラリティ(ノエル様? ・・・どこへ行くのかしら)

〇城壁
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・ああ 貴方でしたか」
ミモザ・クラリティ「ノエル様がこちらへ向かうのを見かけたものですから」
ノエル・エンジェライト「少し、疲れてしまって 休める場所を探していました」
ミモザ・クラリティ「そうでしたか・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「・・・お邪魔でしょうか?」
ノエル・エンジェライト「いえ 今朝ぼくが言ったことが気になっているのでしょう」
ミモザ・クラリティ「・・・はい」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様が誘拐されたのはわたしのせいでもあると ノエル様はおっしゃいました」
ミモザ・クラリティ「教えてください あれはどういう意味だったのですか?」
ノエル・エンジェライト「・・・忘れてください あれはぼくの失言でした」
ミモザ・クラリティ「ノエル様、お願いします 二度とヴィオラ様を危険にさらしたくないのです!」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ノエル・エンジェライト「ヴィオラさんとミモザさんを間違えてさらった彼らの目的は身代金だった・・・」
ノエル・エンジェライト「それが真実なら、ヴィオラさんは・・・ シグバートさんの婚約者と勘違いされたのではないでしょうか」
ミモザ・クラリティ「・・・!」
ノエル・エンジェライト「・・・すみません 貴方を傷つけるようなことを言うべきではなかった」
ミモザ・クラリティ「・・・いえ ごめんなさい、言いづらいことを言わせてしまって」
ノエル・エンジェライト「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「ノエル様・・・ 少し、わたしの話を聞いていただけますか?」

〇大広間
ヴィオラ・コーディエ「うーん・・・」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・なにをしている?」
ヴィオラ・コーディエ「ミモザとノエルが見当たらないんだ」
シグバート・フォン・ブラッドショット「これだけ人がいるんだ 見つからなくても不思議じゃない」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ところでなにか情報は得られたのか?」
ヴィオラ・コーディエ「うん 実はさ・・・」
ヴィオラ・コーディエ「・・・ん?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「ダンスの時間だな」
ヴィオラ・コーディエ「ダンスかぁ あんま得意じゃないな」
ヴィオラ・コーディエ「あたし、ふたりを探してくるよ じゃあな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「待て」
シグバート・フォン・ブラッドショット「・・・ひとりでフラフラしていると ダンスに誘われるぞ」
ヴィオラ・コーディエ「なんで?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「女性をエスコートするのは 男性の務めだからな」
シグバート・フォン・ブラッドショット「オレと1回踊って、気分が悪くなったとでも言って退室しろ それなら怪しまれない」
ヴィオラ・コーディエ「えっ・・・ シグバートと踊るのか?」
シグバート・フォン・ブラッドショット「足を踏んでも寛大な心で許してやる」
ヴィオラ・コーディエ「踏まないよ!」
ヴィオラ・コーディエ(・・・たぶん)

〇城壁
ミモザ・クラリティ「わたしがスペサルト王家に迎え入れられたのは2年前のことです」
ミモザ・クラリティ「父はデアネイ様を嫁がせたくなかったのです」
ミモザ・クラリティ「母とわたしを捨てた父に引き取られたくなかったのですが・・・」
ミモザ・クラリティ「母上の病気は年々悪化し、わたしだけではどうしようもなかった」
ノエル・エンジェライト「それでデアネイ王女の代わりにシグバートさんの婚約者となったのですか」
ミモザ・クラリティ「・・・はい」
ノエル・エンジェライト「・・・なるほど それならシグバートさんに不満があるのも無理はありません」
ミモザ・クラリティ「ち、違います!」
ミモザ・クラリティ「シグバート様はわたしにはもったいない方です 不満だなんて・・・」
ノエル・エンジェライト「・・・でしたら なぜそのように気を張っているのですか」
ノエル・エンジェライト「端から見て、シグバートさんは貴方を婚約者として扱っています」
ノエル・エンジェライト「ですが貴方は、婚約者というより従者のように振る舞っているふうに見えます」
ミモザ・クラリティ「・・・っ」

〇貴族の応接間
ミモザ・クラリティ「父上・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「よいかミモザ おまえを娘として扱うのは、王妃の務めを果たしてからだ」
ナギット・フォン・スペサルト「もしシグバート王子の不興を買い、婚約が白紙になれば・・・」
ナギット・フォン・スペサルト「アケーシャの療養費やこれまでの生活費、すべて支払ってもらおう」
ミモザ・クラリティ「そ、そんな大金、お支払いできません!」
ナギット・フォン・スペサルト「案ずるな 王妃となり、シグバート王子の子を産めばすむ話だ」
ミモザ・クラリティ「・・・っ」
ミモザ・クラリティ「・・・はい、陛下」

〇城壁
ミモザ・クラリティ(そんなこと、ノエル様に言えるわけない)
ヴィオラ・コーディエ「あ、いたいた!」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ様?」
ヴィオラ・コーディエ「アポロオーラの在処がわかったんだ!」
ミモザ・クラリティ「本当ですか!?」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートにはまだ教えてないけど ふたりに知らせたくてさ」
ノエル・エンジェライト「どこにあるのですか」
ヴィオラ・コーディエ「クレーブス島だって」
ノエル・エンジェライト「火山活動が活発化しているのはアポロオーラの影響でしょうか」
ヴィオラ・コーディエ「たぶんね」
ミモザ・クラリティ「どうやって近づいたらいいのかしら・・・」
「・・・・・・」
ミモザ・クラリティ「どうかなさいましたか?」
ヴィオラ・コーディエ「いや・・・ ミモザが敬語じゃないの、初めて聞いたなーって」
ミモザ・クラリティ「あっ・・・!」
ノエル・エンジェライト「・・・ミモザさんは王女として気負うのをやめ、貴方ともっと打ち解けたいそうです」
ミモザ・クラリティ「ノエル様っ!?」
ヴィオラ・コーディエ「そうなんだ?」
ノエル・エンジェライト「・・・ぼくはもう行きます アポロオーラのこと、シグバートさんにも知らせます」
ヴィオラ・コーディエ「うん、よろしく!」
ミモザ・クラリティ「・・・あの、ヴィオラ様!」
ヴィオラ・コーディエ「うん?」
ミモザ・クラリティ「わ・・・ わたしとお友だちになってくださいませんか!?」
ヴィオラ・コーディエ「・・・いや、友だちだろ?」
ミモザ・クラリティ「あ・・・ そ、そうですね」
ヴィオラ・コーディエ「前に言ってたじゃん 王女としての振る舞いを身につけるまで気を抜けないんだって」
ヴィオラ・コーディエ「町で暮らしてたのに、突然王女になるなんて大変だよな あたしには無理だ」
ヴィオラ・コーディエ「それはわかってたけど 距離を感じるときがあって、ちょっとさみしかったからさ」
ミモザ・クラリティ「ヴィオラ・・・さん」
ヴィオラ・コーディエ「うんうん、いい感じ!」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートとノエルとも仲よくなれるといいな」
ミモザ・クラリティ「そう、ですね・・・」
ヴィオラ・コーディエ「そうだ、クレーブス島のことだけど あたしに考えがあるんだ」
ヴィオラ・コーディエ「シグバートとノエルの力が必要だから ミモザからもシグバートに頼んでくれない?」
ヴィオラ・コーディエ「あいつ、ミモザの頼みならたぶん聞くからさ」
ミモザ・クラリティ「そうでしょうか・・・?」
ヴィオラ・コーディエ「そうだって さ、そろそろ戻ろうぜ」
ミモザ・クラリティ「はい ・・・ヴィオラさん」

〇海辺
研究員「お、おのれ・・・っ」
仮面の戦士「・・・・・・」
研究員「学園長・・・に 報告・・・を・・・」
仮面の戦士「・・・・・・」
仮面の戦士「虹のきざはしの復活などさせない」
仮面の戦士「・・・この命に代えても」

次のエピソード:第6章 アポロオーラ

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