恋におちたフェミニスト

冬木柊

エピソード1(脚本)

恋におちたフェミニスト

冬木柊

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〇水色(ディープ)
  子供の頃の記憶はあまりない
  ただ・・・
  子供の頃は楽しかった
  それは、性をまだ意識せずにすんでいた時期だったからかもしれない・・・

〇白いバスルーム
  中学生で初めて、メンスを経験し・・
  わたしはそれが重かったということから・・
  わたしの子供時代は離れていった・・

〇教室の教壇
  女という性の強い意識
  スカートを身に纏うことの違和感
  それはわたしの中で葛藤があった
  ちょうど自分より背が低かった男の子たちが自分の背を追い越して行くことも相まって
  もう、自分には子供時代にあった軽やかさはもう取り戻せないのかな
  そんな憂鬱な悩みの毎日に──。

〇教室の教壇
二見明日香「音楽が聞こえた」

〇学園内のベンチ
  二月 女子高のバレンタインデー

〇教室の教壇
菜緒「明日香ちゃん、今日バレンタインだね 楽しみー」
二見明日香「?・・・」
二見明日香「ここ女子高だから、渡す相手いないでしょ?」
菜緒「またー、明日香ちゃん、なに言ってるのー」
菜緒「もうすぐ大騒ぎだよ」
菜緒「ほら、来たみたいだよ!」

〇教室
美山亜里沙「一年のみんな、おはよう!」

〇教室の教壇
唯「美山先輩おはようございます!」
菜緒「美山先輩おはようございます!」

〇教室
美山亜里沙「今日はバレンタインデー、可愛いバレー部の後輩にチョコレートを持ってきた!」
美山亜里沙「二見!、受け取ってくれ!」

〇教室の教壇
二見明日香「あ・・ありがとうございます」

〇教室
美山亜里沙「・・・・・。」

〇教室の教壇
二見明日香「・・・・・。」
菜緒「明日香ちゃん! 美山先輩にお返ししなきゃ!」
二見明日香「お返し・・・?」
唯「嘘!、明日香用意してない!?️」

〇教室
美山亜里沙「バレンタインデーになにも用意してないか!」
美山亜里沙「二見らしいな!」
美山亜里沙「そういうところ、いいと思うよ」

〇教室の教壇
菜緒「美山先輩すみません!」
菜緒「これ、わたしのチョコレートなんですけど 明日香の代わりに受け取ってください!」
唯「美山先輩! わたしのチョコも受け取ってください!」

〇教室
美山亜里沙「ありがとう、嬉しいよ」
美山亜里沙「二見、それでも二見に渡せて良かったよ」
美山亜里沙「じゃ! 他にもよるところがあるから、これで!」

〇教室の教壇
「美山先輩ありがとうございました!」
唯「もー、明日香びっくりした!」
菜緒「ほんとだよ!、美山先輩にチョコレートもらえるだけでも凄いのに、お返し用意してないなんて・・、びっくり!」
唯「ま、それが明日香らしいといえば そうだけどね」
唯「はい! 明日香!」
二見明日香「これは?」
唯「明日香に用意したチョコだよ!」
菜緒「明日香ちゃん、わたしからも!」
二見明日香「ありがとう・・」
少女A「はい!、菜緒ちゃん みんなにチョコレート!」
菜緒「ありがとう!」
少女B「え?、もうお祭り開始!?️」
二見明日香「お祭り・・?」
唯「そうだよ明日香!」
菜緒「これはお祭り開始だよ!」

〇学校の廊下
みう「明日香、菜緒、唯、おはよう!」
みう「はい!、チョコ!」
少女B「明日香ちゃん、菜緒ちゃん、唯ちゃん! はい!友チョコだよー!」
菜緒「みうちゃんたち はい!お返し!」
「ありがとー」
夕凪「明日香ちゃん、みうちゃん、わたしも徹夜で作ってきたの、受け取ってくれる?」
みう「ありがとう!」
二見明日香「みんな徹夜でチョコレート作ってるの?」
唯「だってクラス分全員のチョコ用意したらそうなっちゃうよ」
唯「あと部活動の先輩の分も!」
菜緒「そうだよ、もうみうちゃんや夕凪ちゃんのように、一個一個ちゃんと包装しているなんてこれはもうソンケーだよ」
夕凪「ありがとう、お母さんにも朝まで手伝ってもらったんだ」
みう「唯、穂村先輩のところにチョコ貰いに行こうよ!」
唯「そうだね!、行こう!」
みう「じゃ!、わたし先に行くね!」
菜緒「ほら!、明日香も一緒に行こ!」

〇大きい施設の階段
少女D「唯ちゃんおはよー!」
唯「おはよー!」
唯「もう二年生の所行ってきた?」
少女D「うん、もう二年生も盛り上がっているよ!」

〇教室の教壇
唯「穂村先輩おはようございます!」
唯「唯がチョコを貰いに来ましたよ!」
唯「あれ?、穂村先輩どこですか?」
唯「穂村先ぱーい!」
唯「先ぱーい、どこですかー!」
穂村佳穂「もー、なに!?️、その嫌がらせ!」
唯「穂村先輩!、おはようございます! 唯がきましたよ!」
唯「穂村先輩!チョコお願いします!」
穂村佳穂「わかったわよ、はい、あなたの友達にも」
唯「穂村先輩!今年はマーマレードなんですね! すごい!」
穂村佳穂「そーよー、大変だった」
唯「しかも、一個一個丁寧に包装している!」
唯「穂村先輩いいお嫁さんになりますよ!」

〇教室
山田先生「城石唯、はしゃぐのはそれくらいにしろ」
山田先生「もう授業中だ」
唯「あれ?、山田先生カッコつけてます?」
佐和「え?、そうなの?」
唯「はい、一年の教室じゃ、もっとチャラい感じなのに」
佐和「えー、山田先生って真面目かって思ってた!」
唯「先生、じゃ、唯が義理チョコあげますよ! 感謝してくださいよ、感謝!」
山田先生「城石、・・ありがとう」
佐和「あれ、先生照れてます?」
穂村佳穂「ほんとう!、先生照れてる!」
唯「でしょでしょ!?️ 山田先生カッコつけて! しかも義理チョコゲットできて!」
穂村佳穂「ほんとうね」
唯「山田先生、唯に感謝してくださいね!」
山田先生「・・いや、お前たち、今は授業中だぞ」

〇教室
美山亜里沙「穂村おはよう!」
美山亜里沙「お前のチョコレートもらいに来てやったぞ!」

〇教室の教壇
穂村佳穂「それが美山先輩・・」
穂村佳穂「どこかの生意気な後輩にマーマレードを取られて、もうないです・・」

〇教室
美山亜里沙「そうか、残念だな・・」

〇教室の教壇
二見明日香「それじゃ美山先輩 わたしがもらったものをどうぞ」
「えっ!?️」

〇教室
美山亜里沙「おい、二見! もらったものをすぐ渡すなんて・・ 穂村に失礼だろ?」

〇教室の教壇
二見明日香「あっ!」
二見明日香「穂村先輩すみません・・」
穂村佳穂「いーよ 二見さんかわいいから許してあげる」

〇教室
唯「もー 明日香ってほんと非常識ですよね、山田先生」
山田先生「城石唯、それはいいが」
山田先生「今は授業中で ここは2年生の教室だぞ」

〇体育館の中
  この大騒ぎは、一日中続き

〇学校沿いの道
  わたしも一日楽しく過ごすことができた。
  このことをきっかけに
  わたしは自分の性を女、男と考えず
  自分自身の性として
  愛したいと思うようになった

〇おしゃれな大学
  わたしは女子大に進学
  美久という友達ができた

〇海沿いの街
  卒業旅行に二人で東欧旅行を楽しんだ
  この旅行で日本と違う海外の常識
  海岸の価値観を体感した
美久「みんな人生を楽しんでいるって感じね」
二見明日香「子育てをしている男の人が多い気がするね」
美久「この国は育休を男性に義務付けているかららしいよ」
  美久とは、イギリスの女性首相
  ドイツの女性首相の大学卒業後の
  キャリアについてよく話した

〇おしゃれな食堂
  美久は地方上級公務員試験に合格し
  故郷の県庁に勤めるらしい
明日香「美久、あなたは政治志向があるのに 官僚にならないの?」
美久「明日香、 だってまだわたしたちの時代は 官僚は男中心の世界だからね」

〇綺麗な港町
  「わたしたちの時代は男中心の世界」
  それは悲しいあきらめなのか
  利口に立ち回る算段なのか
  わたしにはわからなかった
  でも旅行の最後の日
  港町の夕陽を眺めながら彼女は言った
美久「素敵な景色よね」
美久「わたしはこの世界を愛したいの!」

〇綺麗な港町
  「世界を愛したい」
  実はこの言葉を聞いたのは二回目だった

〇ビジネス街
  就職活動の最終面接の日のことだった

〇大会議室
  最終面接は4人二組
  合計8人が最終面接を受け、4人が合格する

〇個人の仕事部屋
面接官「それでは皆さん、学生時代は勉強以外に なにをしていたかお話しいただけますか?」

〇大会議室
涼子「わたしは秘書検定一級の取得他 資格の勉強をしていました」
二見明日香「わたしは女子大の友人と 災害ボランティアの活動を行なっていました」
翔太「僕は大学の剣道部くらいですね」
玲奈「わたしは大学の外で女性の地位向上の活動を」

〇個人の仕事部屋
役員「女性の地位向上?、フェミニスト的な?」

〇大会議室
玲奈「フェミニスト的ではなく女性の地位向上です」
玲奈「そしてわたしは信条としてフェミニストです 学校外でフェミニズムを学んでいました」

〇個人の仕事部屋
面接官「高見沢玲奈さん それではあなたが思うフェミニストとは? 一言で答えることは難しいですか?」

〇大会議室
玲奈「いえ、わたしはフェミニストは 多様性を認め合う学問だと思っています だからわたしは世界のすべてを愛したいです」

〇個人の仕事部屋
面接官「世界を愛したい 高見沢玲奈さん、ありがとうございます」
面接官「デリケートな質問を堂々と、素晴らしい」
面接官「二見明日香さんは女子高、 女子大のご出身ですよね? フェミニズムについてお勉強は?」

〇大会議室
二見明日香「いえ、わたしの学校では一通りの フェミニズムの勉強しか」
二見明日香「ただわたしは男の子に背の高さを抜かれ スカートを義務化される現実に悩み 一時は自分自身の性を疑いました」
二見明日香「でも、女子高で仲の良い友人に囲まれて 楽しい学生時代を過ごし」
二見明日香「わたしは自分の性を、 女、男と考えなくなりました」
二見明日香「自分自身の性として 愛したいと思うようになったのです」
玲奈「二見さん」
二見明日香「なんでしょう?」
玲奈「・・・・・。」
玲奈「あなたもフェミニストなのよ!」
二見明日香「フェミニスト!?️」

次のエピソード:エピソード2

コメント

  • 私はフェミニストではないけど、得意不得意は性によりさまざまなので適合する方が、仕事でも活動の場を広げればと思っています。考えの違う人へのリスペクトがあれば、なおいいですね。

  • 表紙とスチルの挿絵レベルが高くて凄いです。
    作中も制服を揃えて多数のキャラが出てるので、女子校感が凄い。いつもジャージの人がいるのもリアルですね。これからどんな話になっていくのか楽しみです。

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