オーロラ姫よりオラオラ姫を選んだ王子の結論

ふゆ

9.もうひとつの鍵(脚本)

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〇要塞の回廊
  ヴァランタンとの戦いにより
  ヴァランタンは死に
  ヴィクトルは
  魔力を使い果たした
アンドレ「ああ、なんて素敵な瞬間♪」
アンドレ「スパイクレット襲ってみて本当良かったあ♪」
アンドレ「ヴィクトルはさ、あそこ襲ったら、」
アンドレ「病み兄さんのところに真っ先に行くって 僕思ったんだよね」
アンドレ「『お兄ちゃーん、まさかあなたが  そんなことするなんてー』ってさ」
アンドレ「いやあ、面白いように当たっちゃった♪」
アンドレ「ん、なになに、その顔」
アンドレ「魔力ゼロっ。魔力ゼロっ、ははは♪」
アンドレ「ほら、そこ、ちゃんと頭を床に押さえて」
アンドレ「王族だからって遠慮しない♪」
アンドレ「ははは、ははははははははははははは!」
アンドレ「どこぞの女から生まれたお前がさ」
アンドレ「王宮にいること自体おかしいって思わない?」
アンドレ「貴族連中も、魔術師協会も、」
アンドレ「みんなみんなみーんなそう思ってる」
アンドレ「お前の味方なんか、一人もいなかったよ」
アンドレ「うお、ヴァランタンの使い魔!」
アンドレ「こいつのせいで、 ヴィクトルの処刑ができないんだっけ」
アンドレ「困ったな、竜じゃないか」
アンドレ「ん?」
マレフィセント国王「アンドレよ」
アンドレ「やあ、父さん。決着つきましたよ♪」
アンドレ「僕が勝ちました!」
マレフィセント国王「・・・・・・」
マレフィセント国王「やれやれだ・・・」
アンドレ「嫌そうですね?」
マレフィセント国王「ああ」
マレフィセント国王「お前は、ワシとよく似ている」
マレフィセント国王「しかし」
マレフィセント国王「勝利なき者に民衆は導けん。敗北なんぞ論外」
マレフィセント国王「ヴィクトルよ」
マレフィセント国王「資質はあっても、運がなかったな」
マレフィセント国王「この世から消えるがいい!」
アンドレ「ふふ!」
アンドレ「ああ、やっと」
アンドレ「やっとストレスなく生きられる♪」
アンドレ「お前が馬鹿みたいに動くせいで」
アンドレ「どいつもこいつも・・・」
アンドレ「才能努力お前も戦え、うるさくってさ」
アンドレ「ふとした時によぎるんだよ」
アンドレ「お前の顔が・・・」
アンドレ「どうして僕に『執着』なんてさせるんだ?」
アンドレ「お前はっ」
ヴィクトル「・・・・・・」
アンドレ「さって、結婚結婚 ♪」
アンドレ「オラオラちゃん気に入ったんだけど、」
アンドレ「男じゃ王妃になれないんだよね?」
マレフィセント国王「統合国の象徴である」
マレフィセント国王「世継ぎの子が産めないなどと、論外」
アンドレ「じゃ、オーロラちゃんか。あははっ」
アンドレ「オラオラちゃんは愛人だっ」
アンドレ「あー、姉妹ハーレム、めっちゃ楽しみ!」
アンドレ「なんだよ。その目。立場わかってる?」
アンドレ「おお、回復した。本当に死ねないんだな」
アンドレ「でもさ、これじゃ拷問し放題じゃん」
アンドレ「病み兄さんも酷いことするよね」
アンドレ「ははははははははははっ」
アンドレ「そろそろ月がでる時間か」
アンドレ「ヴィクトルの魔力回復しちゃうじゃん」
アンドレ「そうだ」
アンドレ「月光の届かない塔の中に閉じ込めよう♪」
アンドレ「窓もドアも埋めてさ」
アンドレ「食事もやれなくなるけど、仕方ないよね?」
アンドレ「使い魔が死ぬまで10年くらいかな?頑張れ」
ヴィクトル「・・・・・・」
ヴィクトル「父さん、アンドレも」
ヴィクトル「兄さんが死んだのに、何を喋ってるんだ?」
ヴィクトル「俺は、ずっと父さんを信じて、戦ってきた」
ヴィクトル「その結果がこれか?」
ヴィクトル「他国の王女まで巻き込んで・・・」
ヴィクトル「これが人間のすることなのか?」
ヴィクトル「あんたに認めてもらうために・・・」
ヴィクトル「俺が頑張ってきた意味は、全くなかった!」
マレフィセント国王「・・・・・・」
マレフィセント国王「魔力を宿した動物を魔物というのなら」
マレフィセント国王「我が一族は、確かに魔物の巣窟かもしれんな」
マレフィセント国王「だがそれがどうした?」
ヴィクトル「どうした、だって?」
マレフィセント国王「王家の争いに犠牲はつきもの」
マレフィセント国王「ヴァランタンも、オーラ姫も、運がなかったのだ」
ヴィクトル「・・・・・・っ」
アンドレ「本当だよ」
アンドレ「文句があるなら勝てば良かったんだ」
アンドレ「二人が犠牲になったのはお前が負けたせいだ」
ヴィクトル「・・・・・・!」
アンドレ「さあ、そろそろ終の住まいに行こうか」
アンドレ「連れていけ」
「殿下ぁ!」

〇要塞の回廊
?「すみません!」
レオポルド「お待たせしました、殿下!」
ヴィクトル「魔物・・・?」
オーロラ姫「殿下! この人、ローストくんよ!」
ヴィクトル「は? なんでオーロラが、オーラ姫まで・・・」
ヴィクトル「って、え!?」
ヴィクトル「ローストって・・・」
ヴィクトル「あれが・・・・・・!?」
ヴィクトル「これ・・・・・・!?」
レオポルド「真・ワシです」
レオポルド「レオポルドとお呼びください」
レオポルド「二人を守れ、というご命令でしたので」
レオポルド「ならば一緒に来てもらえばいいかと」
マレフィセント国王「レオポルド・・・だと?」
レオポルド「あ、この姿ではお初ですね」
レオポルド「マレフィセント国王、アシル殿」
マレフィセント国王「まさか──お前は」
ヴィクトル「・・・父さんの知り合いなのか?」
レオポルド「ただの魔物ですよ」
レオポルド「アシルに殺された、元人間のね」
レオポルド「人間も動物ですからね」
レオポルド「魔物にも成り果て堕ちる者もいます・・・」

〇魔界
  ワシは自分が不甲斐なくて不甲斐なくて
  冥界で毎日八つ当たりのように
  
  魔物を倒していたら、

〇月夜
レオポルド「ある日なんと、孤独に戦う一人の坊やが」
レオポルド「『最強の魔物を召喚したい』と」
レオパルド「よりによって、アシルの息子がワシを・・・」

〇要塞の回廊
レオポルド「寿命五年の、魔物の身ですがね 十分でしょう」
レオポルド「坊やがアシルと戦う覚悟をもつまでには はははっ」
マレフィセント国王「・・・・・・っ!」
ヴィクトル「そ・・・」
ヴィクトル「それならどうして、小鳥の姿を?」
ヴィクトル「俺は自分の術が未熟だからとばかり」
レオポルド「ふふ」
レオポルド「殿下は王となるには子供すぎました」
レオポルド「ワシは自分に変異魔法をかけたのです」
レオポルド「『あなたが本気で戦う覚悟を持ったら解ける』と鍵をかけて」
レオポルド「おかげで真の力と姿を取り戻しましたぞ」
「・・・・・・・・・・・・!!」
ヴィクトル(一瞬で・・・!)
アンドレ「ずるいぞ! そんな奴、僕たちの戦いに関係ないじゃないか!」
レオポルド「ん? 関係ない?」
レオポルド「ワシは、殿下が命を削って呼んだ使い魔ですぞ?」
レオポルド「あなただって、魔術師協会の人間に召喚させた使い魔たちで、」
レオポルド「城を襲っていたじゃあないですか?」
アンドレ「・・・・・・!」
ヴィクトル「あ・・・」
ヴィクトル「あなたは一体・・・誰なんだ」
レオポルド「ワシはかつての王位継承者」
レオポルド「アシルの兄、第一王子レオポルド!」
アンドレ「え、ってことは、おじさん!?」
ヴィクトル「父さんが王位を奪うために殺された兄弟?」
マレフィセント国王「レオポルド・・・」
マレフィセント国王「この・・・敗者の亡霊めが・・・!」
ヴィクトル「本当なんだ・・・」
ヴィクトル(復讐のために、魔物に堕ちるなんて)
ヴィクトル(どこまで、呪われてるんだ・・・)

〇英国風の図書館
  どんな思いで、お前は俺のそばにいて、
  笑ったり叱ったりしていたんだ

〇要塞の回廊
アンドレ「父さん、もう継承争いの範疇じゃない!」
アンドレ「援護を呼ぼう!」
レオポルド「さあ、ヴィクトル殿下、今のうちに」
レオポルド「ワシに、父親と次男を殺すご命令を」
ヴィクトル「こ・・・」
ヴィクトル「この王家は、存続させるべきか、分からないんだ」
ヴィクトル「オーラ姫だって、巻き込んだままで!」
レオポルド「オーラ姫のことは残念でしたが・・・」
レオポルド「ではあいつらに、国と──」
レオポルド「スパイクレットの王女たちを任せられると?」
ヴィクトル「・・・・・・!」
ヴィクトル「それは・・・」
  つづく

次のエピソード:10.王子の結論

コメント

  • オーロラ姫ってばこんなすごいやつにローストくんなんて名前をつけちゃってたのね!

  • 使い魔が使い魔という名前で何でだろうと思ってた謎がやっと、解けた!情が湧くから、だけでは無かったのですね!一つ前の世代まで戻って王位の争いとは……
    ヴィクトルの出す結論がどうなるのか、ハラハラしながら次も読ませていただきます!

  • おおおお、血肉湧き上がるすごい展開になってきましたね!
    ローストくんがまさかあああ!

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