10面 絵と言葉(脚本)
〇線路沿いの道
後ろから秋原さんが
自転車で来てるのがわかる。
俺は帰りで、秋原さんは仕事のおつかいで
店に向かってるんだろう。
車道横断するところで止まって、
もうすぐ後ろにいるはずだけど
声かけてこない。気付いてないのかな、
後ろ振り向こうか──
でもちょっと距離をとろう、秋原さんとは。
そして珠未さんとは
近くなりたいと思ってる。
秋原さんのこと嫌いじゃ
もちろんないんだけど。
〇花火倉庫
寝ていてその人にいくのは・・・
昔、倉庫でエドワードが──
何?
ムンクとキリコ合わさったような
絵の奥の建物の壁にそっている人。
名取がエドワードでエドワードは俺、
とか思いたいのかね。
(縁あって名前が江藤だからってな)
〇勉強机のある部屋
(オオトリだよっ)メイク4
大切にしたいんだ 時間
会えないかな?
──ぶっきらぼうなメール。
誰?名前も書いとらん。
江藤鉱(メイク4・・・フォーユーってな)
江藤鉱(そっかじゃあもう少し寝ておかないと、 起きちゃ終わっちゃう、控えよう)
江藤鉱(俺のメアドどこで調べたかしらん 来週?もう我慢できないって)
江藤鉱(折中さん、クリに決まってる)
〇未来の店
九宝優梨「ねーっ?」
江藤鉱「はい、3レジは折中さんにやってほしいです」
九宝優梨「あ、いーなー」
折中さんにだけ言うと何だから
「九宝さんは2レジで」とか言っといた方が
いいのかな?まぁそれはともかく、
折中珠未さんが何か怖がっちゃって、
折中珠未「うちはいいー」
ってレジから逃げるていをとるので
九宝さんが、
九宝優梨「何ちょっと待ってよ」
と追おうとするところ、俺が折中さんに
スリーパー後ろから、かけて
っていっても力入れないで、で捕まえる。
こんな親しいやり方して
いいのかわからんけど。
しかし2人とも小さいな、
俺より頭1つ分くらい低く見える。
折中さん、ネイビーのフェルトコート着て、
2人ともオリジナル。
江藤鉱(じゃあコピーいるのか?)
(各1人ずつそっくりがいて計4人の感じ)
折中さん風邪かしらん体調崩して
弱りきってるんだ。
でも、逃げてほしくないな。
江藤鉱(・・・どうも意識しちゃうと駄目だな、 スリーパーかけようとかさ)
江藤鉱(それじゃ普通に関われなくなる。 せっかく「江藤くん、江藤くーん」って、 声かけてくれるんだしな)
〇諜報機関
江藤鉱「折中さん、あのバレンタインデーのところ、 あれ、俺のですよ」
江藤鉱「ぐじゃぐじゃぐじゃーって。 俺も折中さんのこと考えてました」
折中珠未「ほんとーっ?」
江藤鉱「ほんとです」
折中珠未「なんだーっ、もーっ、 近すぎて遠すぎたってことかーっ」
折中珠未「この画面のぐじゅぐじゅぐじゅーっ としたところ、ここは」
折中珠未「バレンタインデーのことを考えすぎて こうなってます」
折中珠未「ていうか、あたしなんですけど。 江藤くんのこと考えて」
って、どさくさに言ってくれちゃう。
折中珠未「きゃーっ、言っちゃったどうしよう」
ってなって・・・
猿の妖精みたいだな、珠未さん。
でもよかった、こんな幸せない。
・・・・・・
──俺は返事しないでゲーム続けて。
江藤鉱(ワープできるから マップのどこにでもいけるんだぜ)
1匹でチョー強い伝承系のヤオアニ。
上下左右同時に攻撃できるから、
敵の首都に飛び込んじゃうか、
両サイド攻撃兼ねて。
したらライフが最大ゲージ2、3ポイント
増えて、制圧になるのか。
もうちょっと戦ってからの方がよかったかな
損したかなーとか思ったりして。
──でも終わりにはならない。
したら敵もワープして画面左端見切れに
飛び込んで同じことをする。
山森飛び込みターザンか。一進一退だな。
〇諜報機関
折中さんが2、3メートル離れたところで
へたっと座り込んでる。
江藤鉱(返事しよう)
江藤鉱「折中さん」
と、肩抱いてこっち向かせて、
肩が出てる服装だから、素肌に触れて。
江藤鉱(しかし安心しちゃったな)
江藤鉱(これからはちゃんと顔見れるな 美化することもなく)
ベクタスキャンみたいなあんな画面で
心読まれたかと思ったら、
気があそこで乱れて滞ってたんだってな。
しかしよかった。
珠未がアイドルユニットに入ったりして
それで人気出て、振られたりしても
そんときゃそんときだ