1.胡蝶蘭散る(脚本)
〇オフィスのフロア
とある深夜のオフィスに
PCのキーボードを叩く音が聞こえる
古蝶 藍(こちょう らん)(ふう・・・ 疲れた・・・ 今、何時かしら?)
ふと、壁にかかっている
時計を見る彼女
古蝶 藍(こちょう らん)「あ、あーっ! い、いけない! 今日は21時までに帰るって 約束してたのに!」
〇電車の座席
急いで荷物をまとめ
駅へダッシュで向かう
彼女
古蝶 藍(こちょう らん)(ふー危ない! 最終列車を乗り過ごすとこだった!)
彼女は目を閉じ
しばしの休息をとる・・・
〇電車の座席
ウトウトと夢見心地な彼女
彼女の名前は
古蝶 藍(こちょう らん)
IT系サラリーマン28歳
〇オフィスのフロア
真面目で男勝り
竹を割ったような性格
〇オフィスのフロア
責任感が強く
仕事が出来る子であり
周囲からは姉さんと呼ばれ
親しまれている存在
〇綺麗なダイニング
6年同棲生活を共にした彼氏から
プロポーズを受け
幸せの絶頂期を迎えていた彼女
〇綺麗なダイニング
そんな彼女も今日は誕生日であり
愛する彼氏の待つ、アパートへ
帰宅する途中だ
〇改札口前
彼女は慌てて走っていく
〇川に架かる橋
愛する彼氏の元へ
〇アパートの玄関前
古蝶 藍(こちょう らん)「ハアハア・・・」
〇飾りの多い玄関
古蝶 藍(こちょう らん)「た、ただいまー! ご、ごめん遅くちゃって・・・」
彼女は玄関にて
違和感を覚える
古蝶 藍(こちょう らん)(え・・・? この女性ものの靴 一体誰の?)
〇豪華なベッドルーム
彼女は急いで寝室に向かう!
向 葵(むかい あおい)「キャー!」
古蝶 藍(こちょう らん)「えっ・・・?」
古蝶 藍(こちょう らん)「ちょっと! これどーゆーこと!」
刈園 鋏(かりぞの つるぎ) 「い、いや・・・ これには深いわけが・・・」
向 葵(むかい あおい)「ご、ごめんね藍・・・ じ、実は・・・」
そう、驚いた事に
彼氏は不倫をしていたのだった
しかも相手は親友の向 葵(むかい あおい)
〇綺麗なダイニング
これは数年前の出来事・・・
刈園 鋏(かりぞの つるぎ) 「ねえ、向さん 藍が遅くしか帰ってこないけど なんかいい方法ないかな?」
向 葵(むかい あおい)「え・・・ まあ、藍は責任感強い子だから そうですね・・・」
親友の向葵は彼氏から
仕事で忙しく中々帰宅しない藍の
相談に乗っていたところ
愛情が沸いてしまい
肉体関係を持ってしまう事に・・・
〇豪華なベッドルーム
古蝶 藍(こちょう らん)「・・・」
古蝶 藍(こちょう らん)「う・・・」
古蝶 藍(こちょう らん)「うわーん!」
刈園 鋏(かりぞの つるぎ) 「あ・・・」
古蝶 藍は脱兎の如く
寝室から飛び出していく
〇綺麗なダイニング
古蝶 藍(こちょう らん)「う・・・うっ」
〇綺麗なダイニング
走馬灯のように蘇る
彼氏との楽しかった思い出・・・
〇飾りの多い玄関
〇川に架かる橋
古蝶 藍(こちょう らん)「うっうっ・・・」
雨は降りそそぐ・・・
彼女の悲しい悲しい感情と共に
涙と共に・・・
〇川に架かる橋
古蝶 藍(こちょう らん)「あ・・・ あ・・・ あー・・・」
彼女の嗚咽をかき消すように
無慈悲にも雨は降りそそいでいく・・・
刈園 鋏(かりぞの つるぎ) 「ハアハア・・・」
向 葵(むかい あおい)「はあはあ・・・ ま、待って藍・・・」
〇川に架かる橋
古蝶 藍(こちょう らん)「・・・」
向 葵(むかい あおい)「は、話を聞いて欲しいの・・・」
〇オープンカー
その時だった・・・
不幸は重なって起きるもの・・・
「え・・・?」
〇川に架かる橋
翌日・・・
アナウンサー「昨夜0時頃・・・ 〇〇アパート付近の道路で ひき逃げ事件が発生し・・・」
アナウンサー「現場には数名の血痕が残っている ものの、遺体は消息不明・・・ 現在・・・」
〇川に架かる橋
第1話 胡蝶蘭散る 完
幸い体験したことないけど、こういう三角関係ってなさそうでありふれた話かもしれませんね。でも、なんとなくこの二人の不貞にはそれなりの理由があるような予感がするのですが。3人とも消息不明、とっても気になります。