チャッピー1(脚本)
〇牢獄
物心ついた時から私はこの牢獄の中で過ごしていた・・・外の世界がどんなものかなどわからない・・・
知ってるのは壁と鉄柵で仕切られた小さな空間のみだ・・・ここを出たとしても何も知らない私は生きる術がない・・・
ベルマン「食べろ・・・」
この男は教育係のベルマンと言った・・・定期的に餌を与えに現れたりする・・・
教育だと言って酷い仕打ちをしたりもする・・・この男が何者なのか本当の所はわからない・・・
私は希望など見えない闇の中をさまよい続けていた・・・
マリア「な、なぁに!?」
「いたぞー!!」
「早く開けろ!! 連れ出すぞー!!」
スコール「助けに参りました!!」
男の言葉の意味が分からなかった・・・が外が大騒ぎになっているのは理解できた・・・
ここを離れてどう生きて行けば良いのだろうか?しかし、もう以前と同じには出来ないだろう・・・
マリア「は・・・い・・・」
不安を抱きながらも男の言葉に従う以外無かった・・・
〇荒廃した街
初めて見る外の景色は煌びやかなものではなかった・・・あちらこちらで悲惨な光景が映し出されている・・・
兵士1「居たぞぉー!!」
スコール「チッ!!」
兵士1「打て~!!」
スコール「うわぁっ!!」
兵士1「娘も逃がすな!! そのまま打ち続けろー!!」
私を連れ出した男はやられた・・・一人で逃げる以外、選択は無かった・・・兵士たちは私を生かすつもりは無い・・・
マリア「はぁはぁ・・・」
戦火の中をどのくらいさまよったのだろうか・・・?必死に逃げてはいるが先には絶望しか見えなかった・・・
チャッピー「にゃ~ん」
現れたのは1匹の猫だった・・・食べるものがなく餌でも求めているのだろうか?
マリア「ごめんね・・・何も持ってないの・・・」
チャッピー「にゃ~!!(スリスリ・・・)」
人に慣れているのか猫はすり寄ってきた・・・私にできるのは頭を撫でる事ぐらいだった・・・
マリア「いい子だねぇ~」
チャッピー「ふぅー!!」
兵士1「見つけたぞぉ!!」
兵士1「ギャン!!」
猫は兵士を追い払ってくれた・・・私は猫の事をチャッピーと呼ぶことにした・・・
私はチャッピーを連れて戦火の中をさまよい続けた・・・
〇荒廃したセンター街
マリア「ここまで来たら大丈夫かな・・・?」
チャッピー「にゃ~ん・・・」
マリア「でも、これからどうしようか・・・」
チャッピーは何も言わなかった・・・ポリポリと首を掻いている・・・
マリア「お腹すいたなぁ・・・」
チャッピー「にゃ~っ・・・」
目の前にいきなり食事が現れた・・・しかも見たことも無い食事だった・・・
マリア「チャッピーが出したの・・・?」
マリア「飲み物が欲しい・・・」
チャッピー「にゃ~っ!!」
どうやらチャッピーには不思議な力があるようだった・・・ほんの少しだが希望が見えた気がした・・・
〇貴族の応接間
チャッピーの能力はかなりの優れものだった・・・私はこの能力を利用して生き残る術を模索した・・・
奴隷だった私は知識を身に着ける事から始めた・・・そしてチャッピーの出してくれた本で、ある程度の教養は身に付いた・・・
敵に追われる中で対峙する術も身に着けた・・・チャッピーの出す武器はことごとく敵を退けた・・・
そして生きる為には資金も必要だと悟り商売も始めた・・・争いごとの最中に武器はいくらあっても足りなかった・・・
マリア「いらっしゃいませ・・・今日はどういったものをお探しで?」
リザルド「帝国に対抗できる武器が欲しい・・・最新鋭の兵器には今までの武器では歯が立たない・・・」
マリア「それではこの様なものは如何ですか?」
マリア「高性能でレーザーを打ち込みます・・・」
リザルド「レーザー?どんな仕組みだ?」
マリア「一度、ロックオンすると狙った相手を追撃します・・・命中するまでですレーザーが追いかけます・・・」
リザルド「ほお・・・それは凄い・・・100丁貰おうか・・・」
マリア「ありがとうございます・・・それではここにサインを・・・」
今の私には奴隷だった面影はない・・・影の支配者と言われ恐れられている・・・
そして武器商人の商売はしているが帝国側の人間には売る気は無かった・・・機が熟せば私自身の手で帝国を滅ぼそうと思っている
チャッピー「にゃ~ん・・・」
私はチャッピーに出逢えた偶然が神の思し召しではないかと思えていた・・・
不遇な生い立ちを見かねて力を貸してくれたのではないかと・・・
〇貴族の応接間
執事1「マリア様・・・お客様がお見えです・・・」
マリア「客・・・? 今日の予定は他に無いわよ・・・!?」
執事1「帝国のベルマンというお方ですが如何しますか?」
マリア「ベルマン!?」
ベルマンがここを突き止めた・・・?
私は過去の記憶がフラッシュバックし恐怖が蘇っていた・・・
マリア「わかりました・・・逢いましょう・・・」
ベルマン「マリア・・・やはりお前が反乱軍側に武器を流していた首謀者か・・・」
マリア「な、何をおっしゃっておられるのかしら・・・?」
ベルマン「長い間、調べたのだ誤魔化せんぞ!! 私のもとを逃げ出したお前が首謀者だとはな・・・」
マリア「奴隷に寝首を掻かれるのは如何かしら・・・?」
ベルマン「奴隷だと・・・お前は私の娘だ!!」
マリア「なっ!!」
馬鹿げた話だった・・・自分の娘を奴隷の様に牢獄に監禁する親が何処にいるだろうか?
ベルマン「私たちは恐れていたのだよ・・・お前の精霊を操る力を・・・」
ベルマン「お前の精霊を使って何でも出せる能力はこの世界に無いものまで出せる・・・」
ベルマン「それは国を亡ぼす恐れすらあった・・・お前は厳重に隔離する必要があったんだよ!!」
チャッピーの能力は実は私の能力で、チャッピーは精霊だったという事?
そういえばこの世界ではあり得ない物を出した事がある
ベルマン「言う事を聞きなさい・・・大人しく捕まるんだ・・・」
マリア「いやよ!私はあなたにされた仕打ちは忘れないわ・・・!!チャッピー!!」
チャッピー「キシャー!!」
ベルマン「うわーっ!!」
〇荒廃した街
ベルマンが父親だという意外な真実にも憎しみが消える事は無かった・・・
仕方がないという口ぶりだったが、やり様は幾らでもあったと思われるし、結局は国を1番に考えていた・・・
それよりもチャッピーが精霊だと言う事に驚きを隠せない・・・私が気が付かなかっただけでずっと傍にいてくれたのだろうか?
マリア「チャッピー!お前はずっと私の傍にいてくれたの?」
チャッピー「にゃ~ん(スリスリ・・・)」
それは・・・今までずっと1人だと思っていた私に心強さを与えてくれた・・・
いつも一緒に居てくれる・・・なんて勇気を与えてくれる言葉だろう・・・!!
マリア「チャッピー・・・もう一度、私に力を貸してくれる?」
チャッピー「にゃ~ん(ゴロゴロ・・・)」
〇荒廃した街
マリア「戦況は?」
リザルド「帝国軍は、ほぼ壊滅・・・首都は全制圧です!!」
帝国は滅亡した・・・
王族は捕まり処刑にかけられた・・・がベルマンの姿を見たものは何処にもいなかった・・・
〇けもの道
戦いが終わり私たちは旅に出た・・・行方を失ったベルマンの事は気がかりだったが私にはチャッピーがいる・・・
2人でいればどんな困難も乗り越えていける自信があった・・・
マリア「良いお天気だね~チャッピー」
チャッピー「にゃ~ん・・・」
もしかするとチャッピーは私に気遣ってずっと姿を現さなかったのではないだろうか?
自分と一緒にいる姿を見られると私が迫害される恐れがある・・・あんな出来事が起こり本当のピンチになった為、姿を現した・・・
チャッピーは何も言わないがそんな気がしてならない・・・語らずとも頼りにできる心強い味方・・・
尻尾を立てて付いて来いと先導する姿は立派なナイトだった・・・その姿は誇らしさを感じる・・・
マリア「競争だよぉ~チャッピー!!」
チャッピー「にゃ~ん!!」
END
こんばんは!チャッピーとても、可愛かったです😄争いの世の中でも動物は癒やしですね!
少女が不遇の境地にあることと、どうして牢屋にいるの?がとても悲しかったです。でも、チャッピーと一緒にいられるからハッピーだね。
愛猫家の私にとって、チャッピーが精霊という設定にとても好感もてました。彼女の内面を解放させ、本来の姿へと導いたすばらしい存在、それに素直に導かれた彼女もすごいです。