チャッピー2(脚本)
〇綺麗な港町
マリア「わぁー風が気持ちいいなぁ~・・・これが海かぁ~」
チャッピー「にゃ~」
マリア「チャッピー見て・・・あれが地平線って言うんだよ・・・」
チャッピー「にゃ~ん・・・」
私たちは港町に来ていた・・・この街を訪れたのは本の知識で得た海を見たかったのと・・・
私の出生の秘密を知る人物がこの地に居るからだ・・・チャッピーの能力は万能で私の出生の記録さえも出すことができた・・・
私が知りたかったのは一度も見たことが無い人物・・・母親の事だった・・・
記録によると母親は私を生んで直ぐに亡くなっている・・・生きていればこれまでの人生は違ったものになっていたのだろうか?
町人1「パパ~ママ~」
町人3「こらぁ、走っちゃ駄目よ・・・」
町人2「ハハハ・・・待ちなさい・・・」
町人1「ワハハハ・・・」
マリア「・・・・・・・・・」
チャッピー「・・・・・・・・・」
仲睦まじい家族の姿を私の瞳はどこまでも追いかけていた・・・
そんな私の様子をジッと見つめるチャッピーは何かを語りたげだった・・・
〇レンガ造りの家
マリア「あのぉ~すみません・・・」
町人4「何だね?お嬢ちゃん・・・」
マリア「ここにベゼルブという人が居ると聞いたんですが・・・?」
チャッピー「にゃ~ん・・・」
町人4「ああ、あの婆さんなら市場へ買い出しに出かけてるよ・・・」
マリア「ここで待たせて貰って良いですか?」
町人4「ああ、構わないさ・・・」
チャッピー「にゃー・・・」
ベゼルブという女性は私の主産時に立ち会った使用人である・・・母が亡くなった後の僅かな期間に乳母を務めていた・・・
その後、使用人を辞めてこの街で暮らしていた・・・
ベゼルブ「あっ!!」
ベゼルブ「うわーー-------------ん!!」
彼女は私を見るなり大声で泣き崩れた・・・私が誰だか直ぐにわかった様だった・・・
チャッピー「にゃ~・・・」
マリア「どうされました・・・?」
ベゼルブ「お嬢様・・・申し訳ありませんでした・・・」
そして・・・ここへ来た理由も察している様だった・・・
ベゼルブ「お嬢様には話しておかなければならない事と渡したいものがございます・・・」
〇英国風の部屋
ベゼルブ「こんなに大きくなられていたのですね・・・」
私の事を懐かしく思う様子は慈愛に満ちていた・・・母親代わりに乳母を務めたからこその感情なのだろうか?
ベゼルブ「お嬢様がここに来たという事は粗方の事情はわかっての事だと思います・・・」
ベゼルブ「私が追放される際、お屋敷での出来事は一切口留めされていますが真実を話しましょう・・・」
チャッピー「にゃ~」
ベゼルブ「まずはお父様の事です・・・」
マリア「・・・・・・・・・」
ベゼルブ「ベルマンは貴方の本当のお父様ではありません・・・」
驚きはあったがどこかしっくりしていた・・・ベルマンの話を聞いてから私には納得できない部分が多々あった・・・
マリア「では私の本当のお父様は誰なのですか・・・?」
ベゼルブ「それは私にはわかりません・・・お母さまはそれを告げることなくお亡くなりになりました・・・」
結局、お父様が誰かはわからないという事・・・?
お母さまはベルマンの眼を盗んで逢引きでもしていたのか?
ベゼルブ「ですが奥様がお屋敷に連れてこられた時には、お嬢様をすでに身籠っておられました・・・」
マリア「えっ? 連れてこられたって・・・?」
ベゼルブ「奥様はベルマン家の嫁として囚われの身で連れられてきたのです・・・」
チャッピー「キシャー!!」
身籠だったお母さまを捕えて連れてきた?
何処から?
何の為に?
ベゼルブ「マリア様・・・貴方には精霊を操る力が宿っておりますね?それは奥さまの血を受け継いだものだと思います・・・」
マリア「???」
ベゼルブ「奥様は妖精種・・・ベルマン・・・いや帝国はその力を得る為に奥様を連れてきたのでしょう・・・」
ベゼルブ「しかし思いもよらなかった事態が3つありました・・・」
ベゼルブ「奥様が身籠だった事・・・ マリア様を産んで直ぐにお亡くなりになってしまった事・・・」
ベゼルブ「そしてマリア様の力が思った以上に強大で操ることができなかった事・・・」
ベゼルブ「帝国は私を追放しお嬢様は捕えられてしまいました・・・」
私の中の疑問は次々と解けていた・・・しかし新たな疑問も生まれている・・・
マリア「お母さまは何処から連れてこられたのですか?」
ベゼルブ「捕えられた経緯は私にはわかりません・・・しかし奥様は元々エルフの里の出身だと申されておりました・・・」
お母さまの事を詳しく知るにはそこへ行く必要がある・・・そしてそこにはお父様の手掛かりもあるだろう・・・
マリア「お母さまは幸せでしたか・・・?」
ベゼルブ「お屋敷に連れてこられた時には毎日の様に泣き崩れていました・・・」
ベゼルブ「しかし、お嬢様をお産みになった際はとても幸せそうでしたよ・・・」
その言葉は何よりの救いだった・・・
ベゼルブ「あっ・・・お嬢様に渡すものが・・・」
ベゼルブ「奥様から託されたものです・・・」
いっけん何の変哲もない首飾りの様だが得体の知れない強い力が込められていた・・・
ベゼルブ「お嬢様がピンチの時に渡してくれと・・・きっと力になるはずだと・・・」
何かの時に私を守ってくれるアイテムに違いない・・・
ベゼルブ「ずっと渡さなくてはと思っていたのですが・・・渡せずに申し訳ございません・・・」
チャッピー「にゃ~・・・」
マリア「いいえ・・・ありがとう・・・あなたも人知れず私を守っていてくれたのね・・・」
その日はベゼルブの家に泊まっていく事となった・・・
〇レンガ造りの家
マリア「ありがとうございました・・・」
チャッピー「にゃ~ん」
ベゼルブ「何かあったらいつでも頼って下さいね・・・私はお嬢様の味方です・・・」
一晩のうちに色々な話が聞けた・・・私たちの経緯も話すことができた・・・
ベゼルブは追放になり私を守れなかった事を酷く後悔していた・・・お母さまとの約束を果たせなかった事を・・・
私はチャッピーにずっと見守られていた事・・・それにより希望を見出すことができた事・・・
乳母である貴方が追放になるまで私を守ろうとした事は同じくらい私に希望を与えていると話した・・・
マリア「また参ります・・・今度はお父様の話を土産に・・・」
ベゼルブはいつまでも手を振っていた・・・
〇綺麗な港町
ベゼルブの話で気になった事が一つあった・・・ベルマンには私より3つ上の娘がいた・・・
正真正銘のベルマンの娘で私との血のつながりは無い・・・母が来る前の前妻との子供らしい・・・
血の繋がりもなく一度も会った事のない人間を姉と呼べるのかはわからないが気になっていた・・・
マリア「これにはどんな力があるんだろう・・・?」
チャッピー「にゃ~ん(着けてみたら?)・・・」
マリア「???」
頭の中で声が聞こえた気がした・・・
チャッピー「にゃ~(どうしたんだい?)」
マリア「・・・!! チャッピー!?」
チャッピー「にゃっ・・・(何だい?ビックリするよ・・・)」
マリア「私、あなたの声が聞こえてるよ!!」
チャッピー「にゃん(何だって!?)」
どうやら・・・チャッピーの声だけという訳ではなさそうだ・・・その辺に居る鳥の声も聞こえてくる・・・
マリア「このペンダントを付けると生き物の声を聴くことができるみたい・・・」
チャッピー「にゃ!!(それは凄い!!)」
動物の声がきけるこのペンダントにはどんな意味があるのだろうか・・・?
ピンチの時に力になる・・・ベゼルブのその言葉がひっかかった・・・
〇けもの道
マリア「エルフの里はまだまだ先かなぁ?」
チャッピー「にゃん・・・(私はエルフの里は行った事が無いからわからないよ・・・)」
マリア「そっかぁ・・・でも可笑しな感じだね・・・チャッピーと話してるって・・・」
チャッピー「にゃ~ごぉ(私も変な感じだよ・・・マリアが答えてくれるって・・・)」
マリア「ハハハ・・・じゃあ、次の街まで競争だよぉ~ チャッピー!!」
チャッピー「にゃ~ん!!(あっ、また・・・!!)」
END