星売りのメテオシスター

オカリ

7.子飼いの私兵(脚本)

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〇病院の入口

〇病院の診察室
村上主治医「長岡花陽さんの転院ですが──」
村上主治医「転院先は『東能大附属病院』」
村上主治医「明日の正午には患者輸送車が 到着するでしょう」
村上主治医「私も搬送に立ち合います ご準備お願いしますね」
長岡茉莉「ありがとうございます!」
長岡茉莉「先生が側に居て下さるなら これほど心強いことは────」
長岡茉莉「TNテレビ・・・ トキ子さんから着信?」
長岡茉莉「今はムリだ、後で折り返そう」
村上主治医「花陽さんには転院後、いくつか 事前検査を受けて頂きます」
村上主治医「容態によって前後する可能性も ありますが・・」
村上主治医「ハナビさんの延命治療──」
村上主治医「もとい、補助人工心臓の取り付けは 11月11日予定です」
村上主治医「執刀には私も参加します 助手としてですが」
長岡茉莉「あれ?先生のご専門って 小児科ですよね?」
村上主治医「元々の専門は小児外科なんです 人工心臓の取り付けには 幾度となく駆り出されました」
村上主治医「海外で小児心臓手術の執刀経験も 積んでいます、ご安心ください」
長岡茉莉「ご安心も何も・・・今までずっと ハナビを診て下さったのは先生です」
長岡茉莉「どうか、よろしくお願いしま──・・」
長岡茉莉「え、また?」
長岡茉莉「いや、今度はショートメッセージ 入ってる・・・・・・」
長岡茉莉「・・・・・・オークション番組が、中止?」
村上主治医「どうかされましたか?」
長岡茉莉「先生、すみません 少し急用ができました」
長岡茉莉「明日またよろしくお願いします!!」

〇病院の入口
佐渡トキ子「・・・・・・」
長岡茉莉「トキ子さん、お待たせしました!」
佐渡トキ子「こっちですマツリちゃん!」
長岡茉莉「オークション番組中止って・・・ どういうことですかっ!?」
佐渡トキ子「詳しくは車の中で! 走りながら説明しますっ!」
長岡茉莉「うわ真っ赤・・すごっ・・・!?」
佐渡トキ子「どうしたの?早く乗って!」
長岡茉莉「はっ、はい!」
長岡茉莉「ひぇぇぇぇっ!?」
  第7話
  子飼いの私兵

〇高速道路
長岡茉莉「トキ子さん!?いまどこに 向かってるんですかっ!?」
長岡茉莉「あとスピード出しすぎじゃ ないですかっ!?」
佐渡トキ子「行き先は週刊芸秋の編集部ですっ! 電話じゃ埒が明かないから殴り込むわ!」
長岡茉莉「週刊芸秋・・? なんでそんなトコにっ──?」
佐渡トキ子「あんなくっっっっっだらない記事を 書いたからですねっ!!」
佐渡トキ子「はいコレッ!! 酔わないよう気をつけて!!」
長岡茉莉「うわわっ!?」
長岡茉莉「あ、私だ・・」
長岡茉莉「『正体は詐欺師か──・・』」
長岡茉莉「──なるほど、こう書かれたのか」
佐渡トキ子「それのせいでウチの編成局が 待ったをかけやがりました!!」
佐渡トキ子「『いくらネット番組とはいえ  局の名前を背負っているんだ』」
佐渡トキ子「『詐欺の片棒を担ぐなんてこと  あってはならないんだよ』」
佐渡トキ子「『受け入れなさい。お蔵入りなんて  よくあることだ、トキコちゃん』」
佐渡トキ子「な〜んて弱腰になってあのオヤジ! 上の指示をホイホイ受け入れてっ!」
佐渡トキ子「ソコを戦って通すのが アンタの役目でしょうがっ!」
長岡茉莉「誰の声マネなんだろ・・?」

〇車内
粟島研究員「うわ、なんだあの車!?」
粟島研究員「すげぇ速度で対向車線 突っ切ったな・・」
粟島研究員「元暴走族かなんかか?」

〇雑誌編集部
  『週刊芸秋』
  総合編集部
湯沢デスク「ご機嫌だねぇ〜〜妙高クン!」
妙高新太「ど〜〜も湯沢デスク! お席借りてますよ〜〜!」
湯沢デスク「はっはっは! フリーのクセに我が物顔だ!」
湯沢デスク「だが、ソコがいい! 図太い記者は貴重だからねぇ!」
妙高新太「お褒めに預かり光栄でっす!」
湯沢デスク「よし!コイツは餞別だ!」
妙高新太「こっ・・コレはっ!?」
湯沢デスク「──妙高クンが書いた記事 うなぎ上りで拡散しててねぇ」
湯沢デスク「アクセスランキングは第一位! というワケでご祝儀だぁ!」
湯沢デスク「もちろん現金なまなま現ナマよぉ!」
妙高新太「フゥッ!ありがとうございまっす!」
編集補助スタッフ「あの〜ご歓談中に失礼します・・」
編集補助スタッフ「長岡茉莉さん?とそのお連れの方が いらっしゃいまして・・・」
編集補助スタッフ「特にお連れの方が『妙高新太』という 記者に会わせろと繰り返しており・・」
編集補助スタッフ「ど、どうしましょう? 追い返しますか?」
湯沢デスク「──きたな」
妙高新太「きましたねぇ」
湯沢デスク「長岡茉莉ご本人登場か 十中八九、クレームだろうが・・・」
湯沢デスク「ラッキーだな、もう一本書けるぞ?」
妙高新太「独占インタビューもできますねぇ!」
妙高新太「すぐに行きましょう! 下の会議ブースまでご案内を!」

〇綺麗な会議室
佐渡トキ子「──いい?マツリちゃん」
佐渡トキ子「相手はロクでもない週刊誌記者です アナタは不慣れでしょうから・・」
佐渡トキ子「同じマスメディアの私に任せて! きっと訂正させるわ!」
佐渡トキ子「最低でも「詐欺師」は撤回してもらう そうなれば番組企画も通るはず・・」
佐渡トキ子「大船に乗ったつもりで 見ててくださいね!」
長岡茉莉「あ、ありがとうございます!」
佐渡トキ子「きたわね、妙高新太・・!」

〇綺麗な会議室
妙高新太「いや〜長岡さん! どうもお待たせしました!」
妙高新太「本日はどういったご用件で──おやぁ?」
佐渡トキ子「こんにちわ〜 TNテレビの佐渡トキ子です〜〜」
佐渡トキ子「先週末の隕石落下現場で ご一緒させて頂きました〜」
妙高新太「なんとビックリ! いつもテレビで拝見してますよ!」
妙高新太「道理で見覚えあるお顔だと・・ いや〜ナマで見るとよりお綺麗だ!」
佐渡トキ子「ありがとうございます〜 よく言われます♡」
佐渡トキ子「・・なんちゃって〜」
妙高新太「ハッハッハ! コレは失礼しました!」
長岡茉莉「・・・・・・」
長岡茉莉「なにこれ・・・怖い」
  楽しそうに喋ってるのに・・
  2人とも目が・・
  目が全然笑ってない──!
佐渡トキ子「で、本題なんですが・・ 先日の記事、拝読いたしました」
佐渡トキ子「非常に興味深かったです 私も近々、長岡さんに関する 特集を組む予定だったので──」
佐渡トキ子「ずいぶんと思い切った内容でしたが かなり想像も入っていませんでした?」
妙高新太「読んで頂きましたか! それは嬉しいですねぇ!」
妙高新太「ですがご安心を! あくまで事実の範囲内で 書きましたので・・」
佐渡トキ子「「詐欺師か」とありましたが ──それも事実だと?」
妙高新太「断言はしておりませんよ!」
妙高新太「私はただ・・ 『詐欺師の懸念もある』と仰った 識者コメントを載せただけです」
佐渡トキ子「──あまりにも無責任ですね」
佐渡トキ子「長岡さんはアナタの記事のせいで いわれのない誹謗中傷を受けてます」
佐渡トキ子「なかには言葉にできないような 内容も・・ヒドい・・・!」
長岡茉莉「えっ!?そうなの? 私、叩かれてたの?」
長岡茉莉「あ・・・違う トキ子さんのアドリブか」
佐渡トキ子「一度でも取材した相手は もはや他人ではありません」
佐渡トキ子「この度は1人の女性として 友人として・・抗議しに来ました」
佐渡トキ子「──記事の訂正を求めます」
妙高新太「う〜ん、困りましたねぇ」
妙高新太「そう言われましても、コチラはコチラで 事実をまとめたまででして」
妙高新太「長岡さんの妹さんの難病は『事実』 治療費として大金が必要なのも『事実』」
妙高新太「隕石が小さすぎるのも『事実』 研究機関への提供拒否も『事実』・・」
妙高新太「ネット上での疑問視も、詐欺師疑惑が 噴出したコトも『事実』なんですよぉ」
妙高新太「いかがですか長岡マツリさん 何か事実に反しているコトは?」
長岡茉莉「・・・ネットの声とか、隕石の 大きさがどうとかは知りません」
長岡茉莉「けど、妹の病気と治療費の箇所は 間違っていませんでした」
佐渡トキ子「マツリちゃんっ!?」
妙高新太「ほら、いかがです? 訂正の余地なんてないでしょう?」
長岡茉莉「いえ、これだけは言わせて下さい」
長岡茉莉「隕石はホンモノです 私は詐欺師なんかじゃない」
長岡茉莉「現に家が吹っ飛び クレーターができました」
長岡茉莉「なのに・・なぜニセモノと 言われるのか、理解できません」
妙高新太「ええ!ええ! 心中お察しします!」
妙高新太「あと、勘違いされてるようですが・・ 私はあくまで客観的な立場ですよ」
妙高新太「記事の訂正はできませんが・・」
妙高新太「もし、隕石である決定的な 証拠があるならばっ!!」
妙高新太「その時は大々的に記事にさせて 頂きますよぉ♪」
長岡茉莉「決定的な証拠って言っても・・」
妙高新太「わかりますよ? 確か以前、こう仰ってましたね?」

〇ビジネスホテル
  一昨日、病院の提携ホテル
妙高新太「にも関わらず!研究機関での調査を 拒否してるそうじゃないですか!」
長岡茉莉「・・価値を落としたくないだけです 一度調べたら高く売れないかもしれない」

〇綺麗な会議室
妙高新太「あの時は納得できました ですが──」
妙高新太「コトここに至っては そうも言ってられないのでは?」
妙高新太「隕石である決定的な証拠とは 専門家による鑑定がイチバンッ!」
妙高新太「もしっ!隕石である第三者の 証明が手に入ったのなら!」
妙高新太「その時は・・ 喜んで記事にいたしますよぉ?」
長岡茉莉「・・いけしゃあしゃあとよく言う!」
長岡茉莉「でも、彼の記事のおかげで 私の動機は自然に広まった・・ハズ」
長岡茉莉「価値をできるだけ高めたかったけど」
長岡茉莉「ニセモノ疑惑で何もできなくなる くらいなら──・・」
長岡茉莉「いっそ隕石を調査に出すのも手か・・!?」
妙高新太「──もしアテがないならお任せください」
妙高新太「専門の調査機関を手配しましょう 記事を書いた責任もありますしね」
妙高新太「実はわたくし、北米の方に ツテがありまして──」
佐渡トキ子「い〜え結構ですっ!! 勝手に話を進めないで下さいね!」
佐渡トキ子「訂正の意思がないことは よぉっく分かりました!」
佐渡トキ子「──行きましょう、マツリちゃん」
長岡茉莉「あっ・・・ハイ」
妙高新太「・・・・・・」
妙高新太「・・・ふぅん」
妙高新太「さすがに乗ってこないか 少し欲を出しすぎたかな」
妙高新太「リポーター女が出しゃばらなければ あるいは・・」
妙高新太「──いや、いいか 指示の8割は完了できた」
妙高新太「アー、ハロー? Prof.ウィラメット?」
妙高新太「例の隕石・・ そろそろ落ちますよ〜♪」

〇超高層ビル
佐渡トキ子「ハァ・・・ ゴメンなさい、マツリちゃん」
佐渡トキ子「アナタの判断も待たずに 勝手に切り上げちゃって・・」
佐渡トキ子「大見得を切っといてこのザマ 立つ瀬がないですね、私」
長岡茉莉「いえ──むしろ感謝してます 私も冷静じゃなかったので」
佐渡トキ子「ホント? なら良かったです」
佐渡トキ子「でも・・・そうね あのクズ野郎の言ったことも 全部が全部間違いじゃない」
長岡茉莉「ホンモノの隕石である証明・・ですね」
佐渡トキ子「私は現場を見た人間だから 全部本物だと確信してるケド・・」
佐渡トキ子「このままだと上の連中は タマの小さいイモ引き野郎のまま」
佐渡トキ子「オトす材料が何か欲しいわね・・!」
長岡茉莉「さっきから気になってたけど トキ子さん・・」
長岡茉莉「喋り方、意外とアウトローだな・・」
佐渡トキ子「・・マツリちゃん? どうかしましたか?」
長岡茉莉「いえっ!大丈夫です!」
佐渡トキ子「隕石の鑑定、残念ながら私には 思い当たるコネがないですね・・・」
長岡茉莉「そうですね、私も──」

〇病室の前

〇超高層ビル
長岡茉莉「──あ、居た」
佐渡トキ子「え・・? まさか心当たりがっ!?」
長岡茉莉「どうなんでしょう・・ ストーカーっぽい人でしたけど」
長岡茉莉「名刺が財布の中に・・」
佐渡トキ子「日本地惑研究開発機構? ──あぁ、ジェプラですか」
佐渡トキ子「何度かニュースになってますよ 怪しい組織ではないハズです」
長岡茉莉「やけに隕石を調べたがってました 協力は頼める・・・と思います」
佐渡トキ子「それは僥倖ッ!」
佐渡トキ子「いや、時間的にはまだ厳しいか・・」
長岡茉莉「時間・・・ですか?」
佐渡トキ子「放送枠自体は再来週・・ 11月10日を押さえています」
佐渡トキ子「ですが正式決定はその前週、 11月1日の編成会議こそデッドライン!!」
長岡茉莉「あと1週間もないですね」
佐渡トキ子「クソ記事撤回が最短距離だったけど ・・やむを得ないわ」
佐渡トキ子「私は『予定通り』オークション番組を 放送させる・・」
佐渡トキ子「その覚悟で準備を続けますっ!!」
佐渡トキ子「上司の制止があるだろうけど なんとか説き伏せるわ」
佐渡トキ子「だから、マツリちゃんは──」
長岡茉莉「はい、私は隕石の鑑定と証明・・ トキ子さん風に言い替えると──」
長岡茉莉「『イモ引き連中をオトす材料』 ・・その調達、ですね!」
佐渡トキ子「あらっ!!?そんなコト言ってました!?」
佐渡トキ子「でも、あってますね スミマセン口が悪くて・・」
長岡茉莉「──トキ子さん」
長岡茉莉「オークションの準備・・・ どうか、よろしくお願いします!!」
佐渡トキ子「お任せください! マツリちゃんも頼みますよっ!!」

〇病院の入口

〇大きい施設の階段

〇病室の前
長岡花陽「は〜い!どうぞーっ!!」

〇病室のベッド
長岡花陽「ねえちゃおかえ──」
長岡花陽「ありゃっ!? ねえちゃじゃない!」
長岡花陽「えへ・・間違えちゃった!」
長岡花陽「こんにちはっ!」
長岡花陽「えーっと・・・」
粟島研究員「やぁ、こんにちは ハナビちゃん」
粟島研究員「直接は初めてかな 少しだけオジちゃんと・・」
粟島研究員「おしゃべり、しよっか」

次のエピソード:8.少女の夢

コメント

  • トキコさんアウトロー!
    隕石の正体が気になる

  • 妙高記者、あの第1話冒頭の科学者と繋がっていた!?
    陰謀の影が濃くなってきました😆

    急発車のタイヤの音にモンスターの鳴き声5はなるほどと思いました🤣

  • なんとも怪しい奴が多い…。上手くいくイメージが出来なくてハラハラします。

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