ズブズブな関係~それぞれのFOCUS~

Kazunari Sakai

第一話 謎の女性(脚本)

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〇白いアパート
  浮気、二股、裏切り
  私には無縁の言葉だと思っていた
  だって
  私たちの愛に偽りはないと信じていたから
  でも
  ひとつ歯車が狂うと
  簡単に愛は憎しみに変わり
  女は悪女に変貌する
  ズブズブな関係
  ~それぞれのFOCUS~
  高力恵美 編 1
  ──第一話──
  謎の女性

〇マンションの共用廊下

〇部屋のベッド
土田真治「そろそろベッドに行く?」
高力恵美「うん」
  私は高力恵美
  老舗の食品卸会社に勤める28歳
  そしてこの男性
  土屋真治
  同い年の私の彼氏
  彼は高校時代のクラスメイト
  卒業と同時に付き合いが始まり
  あれから10年の月日が流れた
  お互い今でもラブラブで
  休日は彼のアパートで一夜を共にする
  そして

〇空

〇高層ビル
  食品卸会社シバトヨ

〇オフィスのフロア
  オフィス
土田真治「高力さん。○○会社に納品請求お願い」
高力恵美「了解」
  真治とは同じ会社に就職
  同じフロアーで働いている
林真理子「あなた達今度の人事通達が楽しみね。 主任の最有力候補と噂されてるよ」
  彼女は主任の林真理子
  私と真治の直属上司
  有能で尊敬する私の姉貴分
高力恵美「先輩の指導がいいからですよ」
土田真治「期待に応えるよう頑張ります」
  仕事も恋愛も
  順風満帆の人生を歩んでいると思っていた
  その日までは

〇学食
  シバトヨ社内食堂
雨宮千夏「ねぇ?」
雨宮千夏「最近土田君との関係は良好?」
高力恵美「(小声で)大きな声で聞かないで!」
高力恵美「その事はあなたと真理子先輩しか知らないんだから」
  彼女は同期入社の雨宮千夏
  入社してから親しくなり
  プライベートでも交流がある私の友人
高力恵美「良好な関係ですからご心配なく」
高力恵美「何よ?」
雨宮千夏「怒らないで聞いてね」
雨宮千夏「最近の土田君明らかに様子が変よ」
高力恵美「はぁ?どんな事が?」
雨宮千夏「スマホでメ―ルしてる時の表情がね」
雨宮千夏「別の女の影を感じるの」
雨宮千夏「もしかしてだけど?二股とかされてない?」
高力恵美「そんなわけないでしょ!」
雨宮千夏「恵美が土田君のアパートに泊まるのは休日だけよね?」
高力恵美「うん」
雨宮千夏「平日の行動は把握してないわけだ」
高力恵美「それが何?」
雨宮千夏「それなら提案だけど」
雨宮千夏「今日彼には何も伝えず」
雨宮千夏「抜き打ちで訪問してみるのは?」

〇郊外の道路
  千夏の提案は無視するつもりだった

〇白いアパート
  だけど気持ちとは裏腹に
  私の体は彼のアパートに向かっていた

〇マンションの共用廊下
高力恵美(やっぱり疑うのはよくない)
高力恵美(このまま帰ろう)
  そう思ったのに
  突然何とも言えない胸騒ぎが
  次の行動を誘発した
  合い鍵

〇部屋のベッド

〇部屋のベッド
高力恵美「嘘でしょ?」
高力恵美「何よこれ?」
土田真治「恵美・・・」
高力恵美「真理子先輩どうして?」
高力恵美「いつから隠してたの?」
林真理子「真治。バレたら仕方ないよ。教えてあげたら」
高力恵美「えっ?」
林真理子「恵美に悪いと思ってないよ。だって・・・」
林真理子「あなた達結婚してるわけでもないから」
林真理子「恋愛は自由でしょ」
林真理子「私は真治が嫌がるから黙っていただけ」
林真理子「でも良かった・・・」
林真理子「これで隠す必要もないね」
高力恵美「開き直り?」
土田真治「恵美、外で話そう。今着替えるから」
  頬を引っぱ叩く音
高力恵美「ふざけるな!」

〇郊外の道路
  真治のアパートを飛び出した後
  何を考え
  どうやって帰ったのか
  全く覚えていない
  ただ
  涙が枯れるまで泣いた
  それだけが脳裏に焼き付いている

〇空
  翌日は雨
  まるで私の心を見透かすように

〇高層ビル
  そしてその日を境に会社では
  針のむしろ状態に陥る

〇空
  容赦なく時間は流れ

〇オフィスのフロア
  真治との会話は無くなり
  仕事以外は目も合わさなくなった
  そしてこの女とも
  ギクシャクした関係になり
  あからさまな嫌がらせを受けている
  二股をしたのは真治
  私ではない
  それなのに
  まるで私が悪者かのように
  肩身が狭い思いをしている
  そして毎日毎日
  あの2人の笑顔
  じゃれあう姿を見せられると
  虚しさだけが
  心をかすめる

〇学食
雨宮千夏「顔色が悪いけど大丈夫?」
雨宮千夏「辛かったら転職も有りだと思うよ」
高力恵美「うん」
雨宮千夏「どこに行っても私は恵美を応援するから」
高力恵美「ありがと」
雨宮千夏「元カレの悪口は言いたくないけど」
雨宮千夏「二股をしたあげく」
雨宮千夏「公然と林主任が彼女だと公表するなんて」
雨宮千夏「土田君は理性のかけらもないダメ男」
雨宮千夏「別れて正解よ」

〇空
  千夏から慰めの言葉を聞いても
  全く気力がわかない

〇中規模マンション
  まるで決まった時間移動するロボットのように
  会社と自宅を往復するだけの日々
  そして休日

〇女の子の一人部屋
  いつもなら真治のアパートで宿泊だったのに
  私は今日も家にいる
高力恵美(なぜ私だけがこんな思いを)
高力恵美(真治にも同じ苦しみを味わわせてやりたい)
  そんな復讐心が芽生えた時だった
  非通知の着信
高力恵美「もしもし」
  高力恵美さんね(女性の声)
高力恵美「誰?」
  あなたの敵ではないわね
高力恵美「いたずら電話ですか?それなら切りますよ」
  なぜあなたの彼氏が二股をして林真理子を選んだか知りたくない?
高力恵美「えっ?」
  突然の電話
  この時はまだこれが
  私のタ―ニングポイントになるとは
  思いもよらなかった

〇中規模マンション
  その女性から待ち合わせ場所を指定され
  その場所に向かう

〇ネオン街
  そこは繁華街の
  カウンターバ―
  店名「シ―クレット」

〇シックなバー
  シ―クレット店内
間宮由紀「初めまして高力さん」
間宮由紀「間宮由紀と申します」
高力恵美「電話の相手ですね。なぜ私を知ってるの?」
間宮由紀「何でも知っていますよ」
間宮由紀「あなたが勤める会社の事なら何もかも」
間宮由紀「そして会社の内部情報も全て」
間宮由紀「勿論あなたが一番知りたい」
間宮由紀「彼氏が二股をして林真理子を選んだ理由もね」
高力恵美「(唾を飲む音)」
間宮由紀「隣に座ってもいい?」
高力恵美「単刀直入に聞きます。彼氏が二股をした理由って何?」
間宮由紀「フフ・・・慌てないで」
間宮由紀「順序立てて説明するから」
間宮由紀「あなたが勤める会社の話も兼ねて」
高力恵美「会社?」
間宮由紀「そう」
間宮由紀「創業100年の老舗会社シバトヨの話」
間宮由紀「この会社の裏事情も知るべきだから」
高力恵美「彼氏の二股に関係あるとは思えませんが」

〇ネオン街

〇シックなバー
間宮由紀「高力さん」
間宮由紀「もうすぐ人事通達の時期ね」
高力恵美「そんな事まで知ってるの?」
間宮由紀「このままだとあなたに勝目は無いわよ」
高力恵美「えっ?」
間宮由紀「元カレが主任で決まり」
間宮由紀「何故だか分かる?」
高力恵美「いいえ」
間宮由紀「林真理子が元カレをサポートするからよ」
高力恵美「何よそれ?」
間宮由紀「主任の役職を獲得するには」
間宮由紀「直属上司の推薦が大きく影響するの」
間宮由紀「つまり、林真理子の権限が大きなウェ―トを占める訳・・・それだから」
間宮由紀「それを知った元カレも林真理子の誘惑に負けたのよ」
間宮由紀「あなたより先に、主任の地位を確立したいがためにね」
間宮由紀「それが二股をした理由」
間宮由紀「まあ、それでもあなたを裏切ったわけだから」
間宮由紀「最低野郎だけど」
高力恵美「(唾を飲む音)」
間宮由紀「シバトヨの話をするね」
間宮由紀「この会社は最近暗黙の慣習があるの」
間宮由紀「それは会社で上を目指すなら、不正、妨害、 横取り、何でもあり」
間宮由紀「そして二股、不倫、浮気も、それが上に上がる手段なら遠慮はいらない」
間宮由紀「今の役員、管理職の連中は」
間宮由紀「そうやってライバルを蹴落としのしあがった奴ら」
間宮由紀「これがシバトヨの悪しき慣習」
間宮由紀「理解した?」
高力恵美「そんなの信じられないですけど」
高力恵美「でも?なぜその話を私に」
間宮由紀「あなたの本意を確かめたくてね」
間宮由紀「今から質問する2択に答えて」
高力恵美「えっ?」
間宮由紀「あなたはこれからまた新しい恋人をみつけ」
間宮由紀「デ―トを重ね愛し合い」
間宮由紀「その人と結婚。そして温かい家庭を作りたいのか、それとも・・・」
間宮由紀「この会社でのしあがり、ライバルや元カレを蹴落とし出世を望むのか?」
間宮由紀「もし前者がご希望なら」
間宮由紀「こんな会社すぐにお辞めなさい」
間宮由紀「今の状態でここに残ったとしても」
間宮由紀「あなたは人間関係に苦しみながら、どんどん卑屈な性格になり」
間宮由紀「やがて恋愛感情も消えていく」
間宮由紀「だけど後者がご希望なら、私があなたを救済し望みをかなえてあげる。無償でね」
間宮由紀「どちらを選びますか?」
高力恵美「どうして私に親切なの?」
間宮由紀「後者を選んでくれたら私にもメリットがあるからよ」

〇空
  間宮さんと会った週明けの出勤日
  その時はまだ迷いがあった

〇高層ビル
  あの時
  とりあえず連絡先の交換だけを済まし
  返事は保留したのだが

〇オフィスのフロア
  会社に出社し2人の顔を見た時
  そして
林真理子「高力さんちょっといい」
高力恵美「はい」

〇非常階段
林真理子「いつまでここに居座るつもり?」
高力恵美「えっ?」
林真理子「ここにいても真治は二度とあなたに戻らないし」
林真理子「私がいる限り会社での居場所もそのうちなくなるよ」
林真理子「頼むから早く辞めて!分かった?」
  この心無い言葉で
  私の考えは固まった

〇非常階段
高力恵美「例の件」
高力恵美「あなたの実力を見定めたいから、お試し契約でもいいですか?」
  構いませんよ
  あなたのご要望がかなうようレクチャーします
  でも、約束ごとがあります
  私が何者なのかという事を絶対詮索しない事
  そして私の存在を誰にも口外しない事
  約束が守れなかったと発覚した時点で
  この契約は無効です
高力恵美「分かったわ」

〇オフィスのフロア
  予報では終日雨だったのに

〇オフィスのフロア
  突然オフィスに日が差し込む
  まるで私の出した答えを
  後押しするかのように
  そして私の心に
  復讐心が芽生え
  愛という魔物からの決別
  そして悪女になる事を誓った

次のエピソード:第ニ話 目には目を、歯には歯を

コメント

  • こんばんは!正に復讐劇!というわくわくな展開と間宮さんが何者なのかという謎、とても楽しめました!これからどんなふうにの仕上がっていくのか楽しみですね!

  • 謎の女性の出現から、ストーリーが一気にミステリアスな雰囲気でとても興味深かったです。私だったら、もうすでに辞職してこの2人の顔を見ないでいいようにしたと思いますが、当事者でないとわからない気持ちってありますよね。これからどう悪女に変身していくのか楽しみです。

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