笑顔(脚本)
〇一人部屋
会川貴教「美沙ちゃん、大丈夫?」
白石美沙(しらいしみさ)「どうしよう・・・わたし・・・」
白石美沙(しらいしみさ)「お母さんからだ! もしもし・・・」
美沙、どこにいるの?
今、警察が来て美沙に話を聞きたいって!
白石美沙(しらいしみさ)「えっ?」
美沙、何があったの?
ニュースに美沙に似た人の絵が映ってるわよ!
事件に関係あるって・・・
白石美沙(しらいしみさ)「お母さん・・・ 今、知り合いの家にいるの 誤解なの! 明日、自分で警察に行って説明するわ!」
そう・・・大丈夫なのね?
白石美沙(しらいしみさ)「うん、大丈夫だよ、心配かけてごめんね・・・」
会川貴教「美沙ちゃん・・・ 今、警察に行くのはまずいと思う」
白石美沙(しらいしみさ)「えっ どうしてですか?」
会川貴教「事件の手がかりはあの似顔絵しかないんだよ! 警察は厳しく追及してくるよきっと」
白石美沙(しらいしみさ)「でも・・・」
会川貴教「それに、あの夢の事がある! 美沙ちゃん、自分に不安がある今の状態で警察に詰め寄られてもちゃんと否定できる自信ある?」
白石美沙(しらいしみさ)「それは・・・」
会川貴教「少なくとも、美沙ちゃんは犯人じゃないという証拠を手にしてからでもいいんじゃないか」
白石美沙(しらいしみさ)(それはそうだわ! 会川さんの言う通り、今の私は自分をちゃんと信じられていない・・・)
会川貴教「とりあえず、外をうろつくのは危険だ! しばらく、ここに身を隠してはどうだろうか?」
白石美沙(しらいしみさ)「しばらく・・・」
会川貴教「そう、せめて何か進展があるまで・・・」
白石美沙(しらいしみさ)「そうね、私も会川さんの言うことが正しいと思う‥ でも、迷惑じゃないでしょうか?」
会川貴教「いや、大丈夫! なんたって俺は探偵だからね」
白石美沙(しらいしみさ)「はい」
会川貴教「探偵小説だってたくさん読んだし」
白石美沙(しらいしみさ)「・・・会川さん ひとつ聞いていいですか? 今までどんな事件を解決してきたのですか?」
会川貴教「現実の事件はこれが初めてだね」
白石美沙(しらいしみさ)「やっぱり!!」
会川貴教「だけど、脳内で沢山の事件を解決に導いた!」
白石美沙(しらいしみさ)「探偵って嘘だったんですか?」
会川貴教「何言ってるんだ、本当だよ! だけど、探偵になる資格とかもいらないし、書類出すだけで探偵になれるからね」
白石美沙(しらいしみさ)「もう!! 頼りにしてたのに! ただの推理小説マニアだったなんて」
会川貴教「事件を解決に導くのに一番必要なのは推理力だから心配しなくても大丈夫 俺にまかせとけ!」
白石美沙(しらいしみさ)「任せられない・・・」
会川貴教「この前映画化された名探偵ポポロだって、犯人もトリックも当てたし」
白石美沙(しらいしみさ)「ポアロです!」
会川貴教「体は大人心は子供」
白石美沙(しらいしみさ)「最悪じゃないですか!!」
会川貴教「あはは」
白石美沙(しらいしみさ)「・・・ぷっ うふふ もう!!」
会川貴教「美沙ちゃん、やっと笑ったね その調子」
白石美沙(しらいしみさ)「会川さん・・・」
会川貴教「取り合えず、お腹いっぱい食べて寝よう! あんまり思いつめないことだよ」
白石美沙(しらいしみさ)「ありがとうございます しばらくお世話になります」
会川貴教「うん お母さんには・・・」
白石美沙(しらいしみさ)「テレビ局も来るだろうし、しばらくは友達の家にいるとか言ってごまかしておきます」
会川貴教「そうだね、無駄に心配かけることないよ」
白石美沙(しらいしみさ)「ありがとうございます!」
会川貴教「とりあえず俺の部屋で寝て 俺はこのソファーで寝るよ」
白石美沙(しらいしみさ)「何から何まですいません」
会川貴教「もし、夢遊病の症状が表れたら俺が止められるしね」
白石美沙(しらいしみさ)「あっ、確かに!」
会川貴教「俺って天才」
白石美沙(しらいしみさ)「いや、そこまでは・・・」
会川貴教「じゃあ、おやすみ」
白石美沙(しらいしみさ)「おやすみなさい」
〇一人部屋
白石美沙(しらいしみさ)(う~ん 寝すぎた・・・ 今何時?)
白石美沙(しらいしみさ)(もう8時 例の夢も見なかったし、久しぶりにぐっすり眠れたかも・・・ あれ?会川さんいない どこ行ったんだろう?)
白石美沙(しらいしみさ)「テレビ、怖いけど見なきゃ」
昨夜、倫敦市の空き地で血の付いた刃渡り15センチの血痕のついたナイフを犬の散歩をしていた60代の男性が見つけ警察に・・・
警察によりますと、そのナイフに付着していた血痕は連続殺人事件の被害者のものだということがわかり・・・
白石美沙(しらいしみさ)(やっぱり、被害者のものだったんだ)
白石美沙(しらいしみさ)(じゃあ、会川さんの言っていた通り、私は犯行現場に言ってた可能性が高いのね)
白石美沙(しらいしみさ)(・・・なんだか、のど乾いちゃったな)
〇アパートの台所
白石美沙(しらいしみさ)「飲み物は冷蔵庫かな」
白石美沙(しらいしみさ)「あれ?何か落ちてる?」
白石美沙(しらいしみさ)「えっ? これ・・・睡眠薬?」
奈々子(ナナ)「美沙!!」
白石美沙(しらいしみさ)「えっ!ナナ? びっくりした!」
奈々子(ナナ)「美沙!急いでここを出ましょう」
白石美沙(しらいしみさ)「どうしたのナナ?急に!」
奈々子(ナナ)「訳は後で話すから、一刻を争うの! とりあえず一秒でも早くここから出なきゃ」
白石美沙(しらいしみさ)「ちょっと、ナナ待って」
〇タクシーの後部座席
白石美沙(しらいしみさ)「ナナ、何があったの?説明して お世話になった会川さんに何も言わずに・・・」
奈々子(ナナ)「美沙、よく聞いて! この一連の事件の犯人は貴教・・・会川貴教なのよ!」
白石美沙(しらいしみさ)「えっ! どういうこと?」