misfits~ハミダシモノタチ~

ハデス

1話 良ければ見ていかないかい?(脚本)

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〇渋谷のスクランブル交差点
百目鬼 蒼真「そこのお嬢ちゃん!よければ見ていかないかい?」
女子高生A「んー?なになにー、これが俗に言うナンパ??」
女子高生B「2人でいる時に、1人で声かけることあるのかなぁ」
女子高生A「確かに!それは言えてるかも!それでー、おにーさん何してるの」
百目鬼 蒼真「まあまあ、そんなに身構えないで、すこーしだけお時間くださいな」
  そんな軽口を言いながら手を持ち上げると
  空中から唐突に、1枚のカードがでてくる。
女子高生A「え!まって!!どこからでてきたの!?」
女子高生B「私も見えなかった・・・」
百目鬼 蒼真「おぉ、そんなに驚いてくれるなんて、おにーさん嬉しいなぁ。さっ、ところでー、お2人はトランプって遊んだことある?」
女子高生A「あ、バカにしてるの? 流石にあるよー!」
百目鬼 蒼真「もう1人のお嬢ちゃんはー?」
女子高生B「私もありますけど」
百目鬼 蒼真「お、いいねいいね!じゃー、マーク何があるか知ってるかな?たとえばー、黒かったり赤かったりー」
  と、その空中から取り出したカードを裏向きで持ちながら、大きく手を動かす。
百目鬼 蒼真「そっちのお嬢ちゃんは、なんのマークが好きかな?」
女子高生A「うーん、やっぱりハートかな!」
百目鬼 蒼真「お! いいねいいね、トランプって1、2、3、4って続いて13まであるんだけどね、4つのマークそれぞれに意味があるんだよ」
百目鬼 蒼真「それでハートってのは、よく愛情を表すって言われるんだ。優しそうなお嬢ちゃんにぴったりだね!」
女子高生A「あ、やっぱりナンパー?」
百目鬼 蒼真「残念ながらー、違うんだなぁ。っと、そっちのお嬢ちゃんに1つ」
女子高生B「私?」
百目鬼 蒼真「そーそー!1、2、3、4って続いて13まであるトランプの中でどの数字が好きとかある?」
女子高生B「好きなのは特にないかな」
百目鬼 蒼真「まぁ、だよねぇ、じゃあ1つ選ぶとすると?」
女子高生B「んー、じゃあ、4で」
百目鬼 蒼真「ありがと! 二人ほんとに仲良いんだねぇ」
女子高生A「え! どーゆーことー?」
百目鬼 蒼真「ほら、このカード」
  と、言いながら先程、空中から取り出したカードをそっと表に向ける。
女子高生A「あ! ハートの4!」
女子高生B「え、入れ替えたりした・・・?」
百目鬼 蒼真「なわけー、ずっと見てたでしょー」
女子高生A「おぉ、おにーさん、なかなかすごい人?」
百目鬼 蒼真「いやいや、大したことないんだなぁ、残念ながらね」
  ここまで言って、さらに言葉を続けようとすると、どこからか音楽が聞こえ始める。
女子高生B「おにーさん、電話じゃない?」
百目鬼 蒼真「あーあ、いいところなのにねぇ」
百目鬼 蒼真「さ、おにーさんはお仕事の電話が入ってしまったのでぇ、今日はここまで!」
女子高生A「えー!もっと見たかったよー、ねえ?」
女子高生B「うん、私もー」
百目鬼 蒼真「ははは、じゃあ、また機会があればねぇ」
女子高生A「おにーさん、名前教えてよ!」
百目鬼 蒼真「名前? んー、じゃーおにーさんの名刺をあげよー!」
女子高生A「なんて読むの? ひゃくめおにそうま?」
百目鬼 蒼真「百目鬼って書いて、どうめきって読むんだー。 蒼真は正解!」
女子高生A「変な名前ぇー! 絶対偽名でしょ!」
百目鬼 蒼真「本名だよー」
女子高生A「うっそだぁ!」
百目鬼 蒼真「じゃあ、偽名ってことでいいよー! 変な名前のおにーさんで覚えといてね! お二人さんありがとね」
女子高生A「バイバイー!」
女子高生B「面白かったです」
  女子高生2人に手を振りながら、やっと電話に耳を傾ける。

〇黒
  この世は嘘に塗れている。
  一生で誰しもが、必ずと言っていい程には嘘をつく。
  しかし、面白い事に殆どの人が、嘘は悪だと認知する。嘘をついてはいけないと、幼少期から教えられる。
  ただ、ある職業は、その悪を無条件で肯定される。暗黙の了解で。その職業とは――。

〇渋谷のスクランブル交差点
百目鬼 蒼真「はいはいー、お待たせしましたー」
???「いつもの暇つぶしかい?」
  中性的な、透き通る声が電話越しに聞こえてくる。
百目鬼 蒼真「まあ、そんなところですかねぇ」
???「それは結構、っと、蒼真、お仕事だよ」
百目鬼 蒼真「うげぇ、それはぁ、面倒臭い仕事だったりしますー?」
???「そうだなぁ、比較的楽な部類かな。とりあえずプロット渡すからこっち来れるかい?」
百目鬼 蒼真「はぁ、まあ、はい、割と近いんでいいすよー、二魂さん」
二魂「そんな丁寧な呼び方じゃなくていいって何度も言ってるだろうに」
百目鬼 蒼真「一応、二魂さんの方が年上だからー」
二魂「はぁ。まぁ、いいよ、うん」
百目鬼 蒼真「ごめんってぇ、たまさん、とりあえずそっち行くねえ」
二魂「あぁ、待ってるよ」

〇レトロ喫茶
  ものの数分で待ち合わせのお店に到着する。
  人通りの多い通りから、少し横に逸れて、裏通りへ。知る人ぞ知るというような、シックな外観の喫茶店である。
新堂 恭也「蒼真君。いらっしゃい」
百目鬼 蒼真「店長ー!いつもすみませんー、溜まり場見たいになっちゃって」
新堂 恭也「いや、気にする事はないよ。二魂君はいつものテーブルにいるよ。後で紅茶を持っていこう」
百目鬼 蒼真「ありがとうございますー!」
  そう言いながら、いつものテーブルへと近ずく。
百目鬼 蒼真「たまさーん、おまたせー」
二魂「来てもらって早々で悪いけど、プロット見てもらってもいいかな?」
百目鬼 蒼真「いいよー、んで、なんのお仕事?」
二魂「ある暴力団の代打ちって所かな」
百目鬼 蒼真「はぁ、やっぱり面倒臭い仕事かぁ」
二魂「まあそう言わないで、仕事の内容自体は蒼真にとっては大した事じゃないだろう?」
二魂「それに、代打ちの報酬以外に蒼真が求める情報も掴めるかもしれない」
百目鬼 蒼真「たまさんがそう言うってことは、プロットにそこも書き込まれてるってことかぁ、まあ、負けたら死ぬだろうしその位はないとねー」
百目鬼 蒼真「んで、どこの組?」
  二魂が話を進めようとした所で、紅茶が運ばれてくる。
新堂 恭也「二魂くん、おそらく、刃振組ではないかな」
二魂「さすが、新堂さん。正解です」
百目鬼 蒼真「おぉ、店長さすがぁ、っても刃振組か、あそこなぁ、雰囲気怖いんだよなぁ」
新堂 恭也「はは、蒼真くんはさすがいい目をしてるね。あそこに仕事をしに行くんだったら、仕事を終えてから1週間は気を抜かないようにね」
百目鬼 蒼真「え、店長なんかあった感じ?」
新堂 恭也「いや昔すこしね、まあ、二魂くんのプロットがあるなら万が一でも大丈夫だとは思うがね」
百目鬼 蒼真「だといいんですがねぇ」
新堂 恭也「仲間を信じてあげたま、紅茶のおかわりが欲しい時は声をかけて」
二魂「もう新堂さんがプロット書けばいいのではと、何度も思うよ」
百目鬼 蒼真「店長不思議な人だからなぁ、まあ、いいや、続き教えてー」
二魂「あぁ、それで、僕のプロットの3分の2はもう終わっていてね。最後の仕上げを蒼真に頼みたいと思っているのだが」
百目鬼 蒼真「おっけおっけ、いつも通り、仕込みは済んでるってことね」
二魂「あぁ、まず初めに、賭けの内容はまだ決まってないらしい。ただ、トランプを使うことは間違いない」
二魂「そこで、いつものデックはもう搬入されて使用されている」
二魂「当日には店の全てのデックが蒼真のお気に入りのに切り替わってるはずなんだが、変わってなかったら上手いことやってくれ」
二魂「ここまでで質問は?」
百目鬼 蒼真「デックの仕込みをしたのはだれー?」
二魂「優希と葛城さんが上手くやってくれたよ」
百目鬼 蒼真「うん、なら信用できる」
二魂「じゃあ続けるよ。あとは当日、蒼真が勝ってお仕事的には万々歳」
二魂「蒼真的にはこの後が大事かな、刃振組組長は来ない予定だけど、僕のプロットだと勝負が終わった後で、蒼真に挨拶に来ると思うよ」
二魂「蒼真がするべきなのはいつも通りの対応、そしたら、銃声1発の後にいいことがある」
二魂「あぁ、あともう1つ、スマホはマナーモードを解除して電源をつけておいて」
百目鬼 蒼真「いつも通りで、スマホを音鳴るようにしとくと、おっけえ」
二魂「終わったあと、特に面白いことはないかな、あ、一応、葛城さんが迎えに行くって言ってたからそれだけ覚えといて」
二魂「ほか細かいことと依頼の内容は、この紙に書いておいたから読んでおいて」
百目鬼 蒼真「りょーかい、んじゃあ店長に紅茶もう一杯頼んでこよーっと」
  面倒臭いと言いながらも、男の顔には、子供が玩具を手に入れたような無邪気な笑みが、静かに描かれていた。

次のエピソード:2話 ゲームの内容は戦争にしようか

コメント

  • 主人公が魅力的で、物語も興味がそそられますので、この話の続きの展開が気になります。同じ設定の長編作品を読んでみたいですね。

  • 主人公が何故代打をするようになったのか等登場人物のバックグラウンドが気になります。さらに今後の展開もとても気になりました!!

  • なるほど!こういうバトル物!いいですね!
    イカサマ師みたいな感じなのですかね?
    色々な組と色々なゲームをして…長編でも読みたいです!

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