2話 ゲームの内容は戦争にしようか(脚本)
〇オフィスビル
百目鬼 蒼真「この辺りだと思うんだけどぉ、このビルか?」
数日後、蒼真は代打ちの為に、刃振組へと足を運んでいた。
百目鬼 蒼真「おー、ちょーどいいところにぽい人いるじゃんっ」
百目鬼 蒼真「おにーさん、おにーさん、ここのビルの人?」
暴力団員「あ"ぁ"!? なんだごるぁぁ!! ここは中坊が来るとこじゃねぇぞぉ?!」
百目鬼 蒼真「あははは、本物っぽいねっ 早めに見つけられてよかったよ」
暴力団員「な、何笑ってんだ!?」
百目鬼 蒼真「いやね、刃振組に用事あるんだよ とりあえずー、入れてもらってもいい?」
〇豪華な社長室
一刀「すんませんでした!!! うちの若いもんには焼き入れときますんで!どうかここは許してくれやせんか!」
刃振組の”かずと”と名乗るその人物が声を荒らげながら頭を下げる。
その様子を見て、周りの組員も一斉に頭を下げる。
百目鬼 蒼真「いやいや、気にしないで大丈夫だよ? おにーさんのおかげで、早めにこの場所分かったし」
一刀「そう言っていただけると、ありがたいです」
百目鬼 蒼真「そうそう、そんな事よりもさ、勝負についてなんだけど」
一刀「はい、どうされましたか?」
百目鬼 蒼真「この勝負って、結局、全部賭けての代理戦争な訳でしょ?」
一刀「えぇ、端的に言ってしまえばそうなりますが」
百目鬼 蒼真「だよねぇ、んじゃあさ、ポーカーとかちまちま賭けるのめんどっちいし、1回で終わるカードゲームに変えない?」
一刀「あの、それは私の一存で決められることでないので」
百目鬼 蒼真「大丈夫大丈夫」
百目鬼 蒼真「カード配って、中立を保つべきディーラーさんが、相手さん側なんだから、こっちの提案のひとつくらい軽く飲んでくれるって」
一刀「え、そ、そうなんすか! 待ってください、それじゃあ勝ち目なんてないんじゃ」
百目鬼 蒼真「ん? 勝つよ? てか、それまで織り込んで、君の組長は僕に頼んだんでしょ それとも、僕だと役不足?」
一刀「い、いえ! すんません!」
百目鬼 蒼真「あはは、いいよいいよ」
百目鬼 蒼真「んじゃあ、ゲームの内容は戦争にしようか、向こうに伝えて貰える?」
一刀「戦争ですか、わかりました すぐに伝えてきます!」
一刀は数分もせずに戻ってきた。
ただ、その顔からは焦りがみえた。
一刀「すんません! 粘ってみたんですが・・・」
百目鬼 蒼真「あ、そういうの要らないから 結論から言ってもらっていい?」
一刀「はい、向こうが言うには──」
〇豪華な社長室
扉のノック音が、部屋に静かに響く。
馬場「どうぞ」
一刀「馬場さん、失礼します」
馬場「おぉ、刃振んとこのガキか、どうした? 儂の相手が逃げおったか?」
一刀「いえ、実は、うちの組の代打ちから、勝負内容を替えようと言う提案がありまして」
馬場「ほぉ、面白い、して、内容はなんじゃ」
一刀「戦争です」
馬場「はぁ、戦争か、うむ、なるほど その代打ち、馬鹿ではないようだな」
一刀「で、では!」
馬場「いや、ダメじゃ 戦争は運の要素が強すぎる。しかし、どうしてもというのなら」
馬場「戦争では本来、裏向きの札を順に使っていく」
馬場「それじゃと、駆け引きも何も無いだろう。そこでじゃ、上の2枚を見て、どちらかを選ぶという形にしようではないか」
一刀「なるほど、本来は完全に運に任せる所を2択とすることで駆け引きを作るわけですね、わかりました」
馬場「あぁ、じゃがそれじゃと、わざわざ内容を変えてやる利点が、儂にはないじゃろ」
馬場「だから、カードを見ていいのは儂だけ、この条件を飲むなら、内容を変えてやってもいい」
一刀「!?」
一刀「それだと、圧倒的にうちが不利じゃないですか。せめてそちらのめくるカードを3枚にするとか、ほかに」
馬場「だめじゃ それが飲めないなら、内容は変えん」
馬場「もともと、ポーカーをするためにここに来たんじゃぞ? 譲歩してやってると思うがの」
一刀「・・・うちの代打ちに確認とってきます」
〇豪華な社長室
一刀「と、言う訳でして」
百目鬼 蒼真「いいよ」
一刀「ぇ、いまなんと」
百目鬼 蒼真「だから、いいよ その条件でいい、早速遊ぼっか!」
百目鬼 蒼真「ほらほら、待ちきれないよぉ 早くやろっ!」
一刀の重苦しい雰囲気を他所に、蒼真のやけに明るい声が部屋に響く。