パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

第七話 先っちょだけでいいから(脚本)

パンイチ冒険者ケンイチ

紅月桜

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〇炎
  第七話 先っちょだけでいいから
ケンイチ「このモンスターはニュクス抜きで倒す!!」
パンツくん「ニュクスを除いたら 全滅の確率百パーセントじゃ」
ケンイチ「トロールのときだって勝ったさ!」
オータ「あの時、グンマァの戦士、揃っていタ」
ニュクス「トロールとは比較にならない。 地形効果も加味すれば オータさえ一瞬で消し炭だ」
ケンイチ「避けなきゃ死ぬのはトロールも同じだった」
ニュクス「トロールほど鈍重じゃない。 炎による遠距離攻撃もある。 ケンイチでも炎撃は避けきれない」
ケンイチ「前にニュクスが炎を斬ってたし、 あれをオータが斧でやれば・・・」
ニュクス「僕はレベル七のとき初めて炎を斬れた。 オータのレベルを倍にしても足りない」
ニュクス「攻撃手段も問題だ。 魔炎に通常攻撃は通らない」
ニュクス「氷魔法は有効だが スノーの魔力量では焼け石に水だ」
ニュクス「向こうを見てくれ」
ニュクス「あの像がゲートだ。 そこから地上へ戻れる。 今むざむざ死ぬことはない」
ケンイチ「そうかもしれないけど・・・!!」
オータ「叶うナラ、バルログに実力を示したイ。 ヴォロドィームィル討つ、コノ斧に誓っタ」
スノー「私も負けっぱなしは嫌だよ」
ケンイチ「何か突破口さえあれば・・・」
ニュクス「話の途中だがワイバーンだ!」
ケンイチ「ニュクスに任せた! 俺達は作戦会議!」
ニュクス「僕は構わないが・・・ ──【跳躍】」
ケンイチ「作戦を考えてみた」
ケンイチ「・・・で・・・スノーは・・・の・・・に・・・して・・・」
スノー「そんなことするの!?」
ケンイチ「先っちょだけ! 先っちょだけでいいから!」
スノー「言い方・・・!」
ニュクス(一体どんな作戦を?)
ニュクス(僕抜きで勝ち目はない。 だがもしも・・・万が一 彼らだけで勝ったとしたら?)
ニュクス(そのときは―― 真の仲間になれるかもしれない)
ケンイチ「スノー、オータ、行くぞ!」
スノー「うん!」
オータ「グンマァ!」
ニュクス(溶岩の熱気とスノーの冷気、 温度差による光の屈折で 鏡像を生み出したのか)
ニュクス(耐久も回避も無理なら相手に外させる という発想は正しい。だが炎の向かう先が 鏡像か本体かは運次第・・・!)
ニュクス(斧の先っちょにだけ氷属性を付与した!)
オータ「グンマァ!」
ニュクス(攻撃は通った。 だが弱い)
ケンイチ「ひっ、股間がヒュンってなった!」
ニュクス(冷やしブリーフ!?)
ケンイチ「キンキンに冷えてやがるっ・・・! パンイチ・ヒップアタック!」
ニュクス(ダメだ弱すぎる。 しかも灼熱エリアで氷魔法を酷使した スノーはもう魔力切れだ)
「グンマァアアア!」
ケンイチ「【開門】!」
ニュクス「ゲートへ押し込んでバルログごと地上へ!?」
スノー「地形効果がないぶん地上のほうが有利だってケンイチさんが」
ニュクス「バカな、その程度でレベル差は覆らない!」
ニュクス「スノー!」
ニュクス「──【治癒】」
ニュクス「魔力切れのスノーに灼熱エリアは危険だ、 地上へ運ぼう」

〇城門の下(ログスポットあり)
ケンイチ「鏡像はもうない! 氷付与が残ってるうちに決着をつける!」
ヒカリン「お、ケンイチ君やないか! なんやごっついモンスター連れてきたなぁ」
ケンイチ「ヒカリン!?」
ヒカリン「助太刀するで? ワイはいつだって弱いもんの味方や」
ケンイチ(いやヒカリンってFランクだよな? 瞬殺されるじゃん!)
ケンイチ「ありがとう、でも手は出さないでくれ。 こいつは俺とオータが倒す!」
ヒカリン「ほな離れたとこから応援しとるで」
ヒカリン(どう見ても負け確やん こっそり手伝ったろ)
ヒカリン(ケンイチ君は耳がええからな、 無詠唱で、と)
「グンマァッ!!」
ケンイチ「いける! 敵はもう死に体だ!」
パンツくん「バルログを倒した!」
ケンイチ「やった! 地形外しが思いのほか効いたんだ!」
オータ「・・・・・・」
ケンイチ「あれ? レベルアップは?」
パンツくん「ふむ・・・今回はおあずけじゃな」
ケンイチ「えー、強敵だったのにー」
ヒカリン(ちと弱らせ過ぎたか)
ケンイチ「でもニュクス抜きで大勝利! これならヴォロえもんとも戦える!」
パンツくん「さてケンイチよ、儂の役目はここまでじゃ」
ケンイチ「へっ?」
パンツくん「今後は自動応答機能がオフになる」
ケンイチ「え!?なんでっ!?」
パンツくん「もともと初心者向けの案内機能じゃ 四階層到達ともなればもはや一流冒険者」
パンツくん「レベル二の時点で初心者ではなかったが あまりにも成長が早いんで タイミングを逃してしまった」
ケンイチ「待ってよパンツくん! そんないきなり・・・」
パンツくん「心配せんでも永遠の別れではない」
パンツくん「パンツを三回叩いて 「教えてパンツくん!」 と叫べば質問には答えるぞい」
ケンイチ「叫ばなきゃダメ・・・?」
パンツくん「ではしばしの暇を ──さらばじゃ」
ケンイチ「パンツくん・・・」
ケンイチ「そうだ、スノーとニュクスは?」
スノー「ケンイチさん! バルログに勝ったんですね!」
ケンイチ「うん、スノーは大丈夫?」
スノー「魔力切れでフラフラです」
ニュクス「君のしわざか」
ヒカリン「ワイは弱いもんの味方やからな」
ニュクス「心にもないことを」
ヒカリン「うわ、傷つくわー キミん中でワイってどんなキャラやねん」
ヒカリン「で、どやった? ケンイチ君は」
ニュクス「どうとは?」
ヒカリン「最初はこう思うたんやろ? 自分の最短記録を塗り替えたなら、 三天に加われるほどの逸材かもしれんって」
ニュクス「・・・・・・」
ヒカリン「で、直に確かめた結果はこうや。 「悪くはないが、たいして良くもない」 やろ?」
ヒカリン「ニュクス君とケンイチ君は「違う」。 サメとメダカほどの差や」
ヒカリン「メダカとして生まれたもんに サメ並みに強くなれっちゅうのは 期待を通り越して虐待や」
ニュクス「・・・・・・」

〇野球のグラウンド
十七夜月シン「どうして・・・」
十七夜月シン「どうしてこうなるんだ」
十七夜月シン「僕が間違っていたのか・・・?」

〇城門の下(ログスポットあり)
ニュクス「・・・・・・」
ニュクス「・・・ああ、わかってるさ」

〇古いアパート

〇古いアパートの部屋
朝日ケンイチ「いってきまーす」

〇市街地の交差点
朝日ケンイチ「月曜の登校はいつも憂鬱だったけど、 今朝はなんだか身が軽いぜ」
朝日ケンイチ「ようやく俺も一流冒険者の自覚が わいてきたって感じかな」

〇教室
「!?」
「・・・!!」
男子A「ケンイチのやつ パンイチじゃねぇか!」
朝日ケンイチ「・・・は?」
朝日ケンイチ「・・・・・・」
朝日ケンイチ「しまったぁあああ!! ゲームのクセでパンイチで 登校してしまったぁああああっ!」
(パンイチの・・・ケンイチ!?)

次のエピソード:第八話 大人になってからそういう趣味に目覚めるよりも

コメント

  • 「教えてパンツくーん!」🤣
    これ、リアルで問うのでしょうね!
    想像するだけで顔がニヤけます😂

  • おもしろかったけど……タイトルがタイトルなので今回ばかりはツイッターでシェアできませんですー(ToT)

  • 史上最悪の身バレで笑いました😂
    フルダイブの影響なのか、現実の倫理観蝕まれてるの面白すぎだろ!

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