#7. 決意(脚本)
〇空
ルカ(夜明けか・・・)
〇レンガ造りの家
ジョバンニ「早いな 眠れなかったのか?」
ルカ「考え事だ・・・」
ジョバンニ「悩め悩め、 美しきヴァンパイア」
ジョバンニ「これは私からの提案だ」
ジョバンニ「お前たちも これからの長い人生逃げ回るばかりではいられないだろう」
ジョバンニ「ルカ 私に協力しないか?」
ジョバンニ「君たちヴァンパイアは未だに未知数なことばかり だがその能力は驚異的だ」
ジョバンニ「君は私が数年かけて習得した医学的知識を わずか数ヶ月で学んだ 悔しいが」
ジョバンニ「人生半ばを過ぎると私も考えが変わってな」
ジョバンニ「研究し尽くせない ヴァンパイアのメカニズムを後に誰かに託したいと思うようになった」
ジョバンニ「その相手がヴァンパイアだとは思いもしなかったがな・・・」
ジョバンニ「どうだ? 共にヴァンパイアの謎を解明をしつつ、 私の研究と医学的知識を継承して それを世に広めて行かないか?」
ジョバンニ「まだまだ死ぬ気は無いし、 富も名誉も私のものだろうがね」
ルカ「!!」
ジョバンニ「これからの人生、 逃げ回るのも立ち向かうのもお前次第だ・・・」
ルカ「!!」
アンジェロ「二人とも早いな」
アンジェロ「悪い話では無いな あんたが信用出来るかどうかは 話が別だか」
アンジェロ「いいか、 ジョバンニ!」
アンジェロ「ルカに何かあったら 首元から噛み殺すからな!!」
ジョバンニ「怖い怖い」
ジョバンニ「残念だが 今回ばかりは医者として本気なものでな」
ジョバンニ「ヴァンパイアの 尊厳と名誉と自由を 取り戻す時なんじゃないのか?」
ジョバンニ「我々が 世の中を変えるのだよ」
ルカ「!!」
ルカ「少し 考えさせてくれ・・・」
ジョバンニ「そうだな、 幸い君たちの時間は たっぷりあるようだしな・・・」
〇空
ルカ(俺が 医学の道に進み)
ルカ(この世の中を 変えるだと・・・!?)
〇レンガ造りの家
ジョバンニ「無駄に立派な馬車だな」
ルカ「これで国外追放された身だがな」
ルカ「サラ 大丈夫か?」
サラ「ええ」
ルカ(これで彼女を無事に送り届けたら 本当のお別れだ)
〇ヨーロッパの街並み
ジョバンニ「検問だ・・・」
兵士「悪いが中を確認させてもらう」
兵士「運転者は」
ジョバンニ「私は医者だ 患者を家まで送り届ける途中でな」
兵士「それはご苦労・・・」
兵士「中には・・・」
兵士「看護師(ナース)??? 二人と・・・」
「・・・!!」
兵士「患者さんですね・・・」
サラ「はい」
兵士「結構です ご協力ありがとうございます」
兵士「どうぞ 道中お気をつけください」
ジョバンニ「ありがとう ご苦労さま」
ジョバンニ「・・・・・・」
ジョバンニ「よし 大丈夫、出発だ」
サラ「わーっ、 びっくりしたわーっ」
サラ「それにしても二人に こんな変装特技があったなんてっ」
「これは緊急避難措置だっ」
サラ「残念だわ もっと見ていたかったのに・・・」
「サラっ・・・!!」
サラ「ズルいわ、ズルいわ、 二人があんなにキレイだなんて・・・」
「・・・!!」
サラ「アンジェロ、ルカ、 護衛してくれてありがとう」
サラ「ルカ・・・ 私考えてたの」
サラ「これからの目標を決めたわ」
サラ「私はこの国から あらゆる差別を無くす活動をしていきたいの」
サラ「肌の色や身分や、 ヴァンパイアであること・・・」
ルカ「・・・!?」
サラ「並大抵な事では無いと 思っているわ」
サラ「でも決めたの」
サラ「私は あなたと一緒にいられる世界を作りたいの」
サラ「片想いでも構わないわ・・・ 私の勝手な想いよ 迷惑はかけないわ」
ルカ「サラ・・・」
ルカ「・・・」
ルカ「迷っていた、 俺の気持ちも 君の言葉で決意が決まった」
ルカ「サラ、 俺はジョバンニと共に ヴァンパイアを医学的に解明するよ」
ルカ「そして、 誤解や偏見だという事を伝えたい」
ルカ「ヴァンパイアの 尊厳と名誉と自由を 取り戻すんだ!!」
ルカ「俺は目指すよ、 君と一緒にいられる世界を・・・」
ルカ「サラ、 片想いなんかじゃない」
ルカ「君は、 俺の理想そのものだ・・・」
サラ「!!」
サラ「理想だなんて・・・」
サラ「私はただの女の子よ」
ルカ「サラ、 再び会おう・・・」
ルカ「それまで、」
ルカ「さよならだ・・・」
サラ「ルカ・・・」
サラ「嫌でなければ」
サラ「私の指輪を持っていて ほしいの」
ルカ「サラ・・・」
ルカ「ありがとう」
ルカ「うん、 小指にピッタリだ」
ルカ「俺は・・・」
ルカ「こんなものしか 無いけど」
サラ「ピアス!?」
サラ「嬉しい!! お守りにするわ ありがとう」
ルカ「サラ」
ルカ「君は 君の思うように生きてくれ 幸せを選んでくれ」
サラ「嫌だわルカ きっとまた会えるわ」
サラ「分かったわ あなたもね・・・」
ルカ「ああ・・・」
〇西洋の城
母「サラ!! 心配したのよ!!」
父「無事だったか!!」
ハンナ「サラお嬢様!!」
サラ「心配かけてごめんなさい 私は大丈夫よ」
ルカ「サラ・・・」
ルカ(今度こそ、 さよならだ・・・)
〇空
ルカ(それぞれの道を行こう)
(さようなら・・・)